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luv、全国ツアーファイナル公演レポート 上昇曲線を描くバンドの熱量が伝わってくる一夜


2025.04.11

4月6日(日)、luvが1st tour『Already Cruisin’』のファイナルとなる東京公演を渋谷WWW Xで開催した。2月に発表したミニアルバム『Already』のリリースを受けた今回のツアーは、福岡・名古屋・札幌・大阪・東京の5都市が全てソールドアウト。リード曲“Send To You”はアジアの各地域でバイラルヒットを記録するなど、上昇曲線を描くバンドの熱量がステージ上からも、そしてフロアからも確かに伝わってくる一夜となった。

開演時間を過ぎると、まずはRosa(Kye.)、Ofeen(DJ)、Zum(Ba.)、Sho(Dr.)の4人がステージに登場。最後にHiyn(Vo., Gt.)が姿を現すと、「東京おひさしぶり! luvと申します!」と挨拶をして、“柔軟剤DOPE”からライブがスタートした。シャープなカッティング、シンセやスクラッチをフィーチャーしたダンスチューンで早速場の空気を掴み、「かかってこい!」とオーディエンスを煽って、“Lee Un Vile”へ。バンドの自己紹介ソングでもあるこの曲では、ベース、キーボード、DJ、ドラムの順でソロを回し、Hiynが歪みを効かせたギターソロを聴かせ、Zumとともにステージ前方に出ていって、フロアはさらなる盛り上がりを見せる。

Rosaによるエレピのソロが温かみを感じさせるネオソウルチューン“Gum i”から、メジャーデビュー曲の“Fuwa Fuwa”では「1・2・3でみんな飛べる?」という呼びかけから、オーディエンスが一斉にジャンプをして、この曲がすでに愛されていることが伝わってくる。「みんなのボルテージもっとちょうだい。オゾン層まで届けられる?」と話して始まった“Ozone”は『A Funk Odyssey』期のJamiroquaiを意識したアシッドジャズで、多彩な音色を鳴らしながら再びソロ回しを披露していく。全員2003年生まれの若いバンドながら、度々織り交ぜられる各メンバーのソロからはプレイヤビリティの高さが感じられ、初のツアーを経験したことでどこかステージングに余裕が生まれているのも頼もしい。

Ofeenのトークボックス使いが印象的な“Cooen”、Al Greenをリファレンスにしたソウルのテイストと、日常的な「食事」をモチーフにした歌詞の組み合わせがおもしろい“胃袋ラブストーリー”を続けると、次に披露されたのはluvのライブではお馴染みのJ-POP名曲カバー。3月に初のアメリカ公演として行われた『SXSW』でのライブでは“はじめてのチュウ”とStevie Wonderの“Sir Duke”をマッシュアップしていたが、この日カバーされたのはPUFFYの“愛のしるし”で、柔らかな4つ打ちによる往年のディスコヒットのようなカバーがとてもいい。海外のアシッドジャズやネオソウルへの愛情の一方で、J-POPを楽しみながらカバーする親しみやすさは彼らが憧れた2010年代のバンドとも異なる、2020年代のバンドならではと言えるだろう。

Hiyn(Vo., Gt.)

MCではHiynを中心にメンバー同士が関西弁で何気ない会話を交わし、その着飾らない雰囲気も魅力的。ライブ後半戦に突入すると、“Jamlady”や“R.wiseman”といったインディーズ時代の曲を続け、“Stevlay”でのバンドの屋台骨となるShoの力強いビートと、Zumのファンクベースも心地いい。「東京でのライブの手応えがきっかけになって、5人でバンドでご飯を食べられるように頑張ろうと思った」「一緒に盛り上げてくれる人たちに救われてきた」とHiynが少し照れた表情を浮かべながらも真面目に感謝を伝えると、ここで披露されたのは大文字のバンド名をタイトルに冠したバラードナンバー“LUV”。この曲で《小さいを知って 僕らでいて》と歌われているように、彼らは「東京ドームでライブをしたい」とか「グラミー賞を獲りたい」のように大きな夢を語るのではなく、「まずは5人でご飯が食べられるように」と、あくまで等身大の目標を掲げ、だからこそオーディエンスも同じ目線で、一緒になって彼らを応援したいと思えるのだ。

Ofeenが赤いタンバリンを鳴らした“好人紀行”のジャジーな小気味いいアウトロから、「東京大好きです! そんなみんなにluvからSend To You! のぼせない程度に踊ってください!」と言って届けられたのは、luvの新たな代表曲となった“Send To You”。耳馴染みのいいトークボックスを用いたこの曲では、ラストの《I wanna send to you》のリフレインでフロアから一斉に手が上がって、ライブのハイライトに。さらには音源以上の疾走感を感じさせるダンスチューンの“Spare”を畳み掛けて、熱狂的な盛り上がりの中で本編が終了した。

アンコールではZumがおもむろに“Happy Birthday to You”を弾き始めて、誕生日の近いOfeenとRosaをサプライズでお祝いする場面も。ここで披露されたのは、『Spotify on Playstation』のキャンペーンソングとして書き下ろされた最新曲“Rear”。《世界の誰かのもとへおくりたいの》と歌うこの曲は、国内外で活動の規模が広がるluvから世界へのラブレターであり、ゲームで遊ぶように音楽で遊んで、目一杯楽しもうというluvの新たな所信表明でもあって、そのポジティヴなヴァイブスはこの曲のコーラスからも、この日のライブ全体からも確かに感じられた。ラストに演奏されたのはluvとして最初に発表した“Motrr”。もう一度各メンバーが巧みなソロを回しを披露して、最後までluvらしく、初のツアーが締めくくられた。

ゴールデンウィークからは続々と大型フェスへの出演が決定しているluv。彼らの活躍から今後も目が離せない。

Text by Atsutake Kaneko

luv『Already Cruisin’』 2025.4.6 @ SHIBUYA WWW X
1. 柔軟剤DOPE
2. Lee Un Vile
3. Gum i
4. Fuwa Fuwa
5. Ozone
6. Cooen
7. 胃袋ラブストーリー
8. 愛のしるし(カバー)
9. Jamlady
10. R.Wiseman
11. Stevlay
12. LUV
13.好人紀行
14. Send To You
15. Spare
En1.Rear
En2 .Motrr


【リリース情報】


luv 『Rear』
Release Date:2025.03.26 (Wed.)
Label:WARNER MUSIC JAPAN INC.
Tracklist:
1. Rear

配信リンク


【イベント情報】


luv 『Already Movin’』

日時:2025年6月12日(木)OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO
料金:ADV. ¥4,400(1D代別途)
INFO:ディスクガレージ

日時:2025年7月13日(日)OPEN 17:00 / START 18:00
会場:大阪・UMEDA CLUB QUATTRO
料金:ADV. ¥4,400(1D代別途)
INFO:キョードーインフォメーション / 0570-200-888 / 11:00〜18:00(日・祝以外)

※オールスタンディング / 整理番号付き/ 未就学児入場不可

チケット詳細(ローソン)

■luv:Instagram / X


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