英ロンドン出身の若き天才マルチ・ミュージシャン、Jacob Collier(ジェイコブ・コリアー)が無名時代からYouTubeにアップしてきた数々のカバー曲を集めた日本独自盤アルバム『Pure Imagination -The Hit Covers Collection-』が先月リリースされました。
2013年頃に彗星の如く現れたこの”多重録音の天才”ことJacob Collierは、Herbie HancockやPat Metheny、Quincy Jonesといった大御所たちからの賞賛を浴びつつ、2016年にデビュー・アルバム『In My Room』を発表し、なんと翌年、2017年グラミー賞で2部門を獲得した異例の才能の持ち主であります。そんな今作から、個人的にも好きなBurt Bacharachの名曲カバーをピックアップ。
明け方の幻想的な爽やかさを想起させる導入から、本人が大ファンだというディアンジェロのエッセンスを感じさせるネオ・ソウルの大胆なアレンジで心が鷲掴みに。最大10つのパートに分かれたコーラスのハーモニーの美しさ、そして全コマ上で演奏される全ての音をたったひとりで重ねている演奏スキル、展開のセンス、それでいて被りものが似合うキュートさ、どれをとっても魅力的な新世代ミュージシャンと言えるのではないでしょうか。
アルバム全体は、デビュー作で発揮したマルチな楽器演奏よりもアカペラをメインに据えた構成になっており、強く影響を受けたというアカペラ・グループ、Take 6をフレッシュにフィーチャーさせたようなキレと伸びのあるひとりオーケストラを十二分に堪能できる作品に。はっきり言って、末恐ろしい才能です……!
また、先日行われたBlue Note TOKYOでの来日公演で披露した、MITメディアラボとの共同製作によるリアルタイム3Dキャプチャやボーカル・ハーモナイザーなどのテクノロジーを駆使し、演奏のプロセス全体を共有するライブはもはや観る者ほとんどの人にとって初体験の興奮。緻密に構成されたフレーズを無邪気かつアドリブのように奏でていく様は、会場一体が虜になるには十分すぎるほどのカリスマ性を感じさせました。そして本人にいたっては94年生まれにして、すでにこの境地。今後が楽しみなことはもちろん、個人的には今年最も印象に残っている出会いでした。褒めが止まらないので、とりあえずここらへんで。
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【リリース情報】
Jacob Collier 『Pure Imagination -the hit covers collection-』
Release Date:2017.09.20 (Wed.)
Label:P-VINE
Cat.No.:PCD-22404
Price:¥2,200 + Tax
Tracklist:
1. Don’t You Worry ‘Bout A Thing
2. Close To You
3. Georgia On My Mind
4. Pure Imagination
5. The Road Not Taken
6. Oh What A Beautiful Morning
7. Isn’t She Lovely
8. P.Y.T.
9. In The Bleak Midwinter
10. Fascinating Rhythm