神戸出身の幼馴染で結成された若き4人組、The fin.がこれほどまでの速度と勢いで頭角を現していくことになるとは、ここSpincoasterでいち早く紹介させてもらった身ながら、正直なところ驚いているというのが本音だ。
東京に活動拠点を移してからというものの、Last DinosaursやStarfucker、Braidsなどなど多数の海外アクトとの共演を果たし、海外でのライブもなんども経験済み。もちろん国内でも新世代の気鋭のインディ・バンドたちと共振しながらも、その中でもどこか頭一つ抜きん出ている印象を受ける。
そんなThe fin.は、今週末の土曜日にCulpoolというイベントに出演する。
このCulpoolというイベントは「トレンドカルチャーと音楽の中で自由に遊ぶ、特別なパーティ」というコンセプトを掲げた一風変わったイベント/パーティで、ただのライブ・イベントとは一線を画する内容となっているようだ。
記念すべき第一回目は恵比寿LIQUIDROOM 2FのLIQUID LOFTを全フロア使用。ラウンジ・フロアではライブだけでなくオリジナル・ショップやカジノも展開。Time Out Cafe & Dinerではライブを見ながらCULPOOL限定のフードやドリンクメニューが楽しめます。また、ギャラリー・スペースKATAでは高音質音響にこだわったライブやプレゼンテーションなど、一晩で多数のコンテンツを準備。
我々Spincoasterもこだわりの特製コーヒー豆を持参し、Spincoaster Music Barでご提供しているのと同じコーヒーをこの日限定でお出しします。
まるで5感をフルで刺激されるかのようなこの画期的なイベントの第一回目、是非ともお見逃しなく!
そして今回、The fin.のメンバーにSpincoaster Music Barに遊びに来てもらい、インタビューを敢行。
最近の動向や今回のイベントに対する意気込み、今後の展望などを訊いてみました!
The fin. Interview at Spincoaster Music Bar
(Interviewer: Takazumi Hosaka)
(※以下動画インタビューの全文書き起こし)
—今年3月にはSXSWとUSツアー、そして先月には大阪と東京で初のワンマンを行い、今月には香港、タイ、台湾を周ったアジア・ツアーを敢行するという非常に大きな経験が続いたと思うのですが、それぞれを今振り返ってみての感想は?
Yuto Uchino(Vo、Synth、Gt、以下Y):アメリカ・ツアーはやっぱりThe fin.にとって初めてちゃんとした海外ツアーをしたっていうのが大きかったですね。そもそも海外に行ったことはあっても、向こうでちゃんとツアーをやるみたいなことはなかったので、全然どうなるか予想がつかんかったですね。みんなアメリカも行ったことがなかったし。そういう全く想像がつかんなかで、まぁなんか一個一個やっていくうちに色々掴んできて、最終的にはめっちゃ……良いツアーやったよね。
なんかこう……日本でツアーやっている時よりも、“ツアー感”みたいなものを、ちゃんと感じられたっていうか。
単純にすごいやっぱり楽しかったっていうのもあって。
—そのツアー感というのは多忙な生活とかそういったことも含めて?
Y:本当にあんま眠れなかったりするけど、次から次へと違う土地へ行って……やっぱり土地が変わるとライブの感じも変わったり、毎日移動して毎日ライブして……っていうのが“The ツアー”みたいな。これがツアーだ、みたいな。そんな中でバンドが良くなっていっているのが感じられたから、それが良かったですね。
あとやっぱり行った先々で……プール入ったり遊んだり。
Ryosuke Odagaki(Gt.、以下R):呑んだり。笑
Y:そう、呑んだり。…そういうのが良かったですね。笑
R:あと土地の違いが日本より顕著でしたね。場所によって全然違う。
Y:単純に言うと気温も全然違うし、やっぱり人種もちょっと違うし……なんか違う国行ってる感じあったよね。州が変わったら。(そこが)日本とはまたちょっと違った感じで。
—特にアメリカで記憶に残った土地や街とかはありますか?
Y:最初SXSWでオースティンに行って……ホンマに……たぶんあれはいつものオースティンじゃないんやろうけど、凄かったよね。人のエナジーというか、やっぱりみんながこう、“なんかあるぞ”って思って来てるというか……!
R:集ってる感があったよね
Y:そうそう。メインストリートがあるんですけど、そこが「週末になると狂喜乱舞してるよ」って聞いてたんですけど、ほんまに狂喜乱舞してたっていう。笑
R:あれが狂喜乱舞やなっていう。笑
Y:そっからオースティンに4日間くらい?
R:結構おったよな、5日間くらいかな。
Y:で、そっからツアー回って行ったんですけど、最初シカゴに行ったんですけど、オースティンと全然違くて。そんときにやっぱり、新鮮やったっていうか。国が一緒でもこんだけ違うんや、っていう。人の感じも全然違うし。そこでアホみたいに呑んでな。ライブ終わった後に。
R:うん。シカゴの地元の方、ホテルマンとかライブ観に来てくれた人たちともうずっと呑んでたよな。
Y:シカゴの人たちが引くくらいテキーラ飲んでました。「え? お前またいくん? もうよくない?」みたいな。笑
R:結構な人数……10人弱くらい巻き込んでたよな。笑
—なるほど。笑
さきほど話に出たSXSWでは、バンドとして、The fin.としての音楽的なバックグラウンドの一端を担っているであろうUSインディ系のアクトも多数出演していたと思いますが、そういったアクトのライブを観たりっていうのは?
Y:全然観れんかったよな。笑
あの、SXSWって、(音楽)関係者のためのフェスみたいな感じで、関係者用のバッチ(パス)がすごい高いんですよ。
それがないと人気のアクトは全然入れなくて。
—出演者なのに入れないんですね。
R:アーティスト用のパスが弱いんですよ。
Y:本当に見本市みたいな感じなんですよ、SXSWって。
R:おれたちくっそ雑魚かったよな。笑
Y:もうほんまに3時間並んで「……もう無理」みたいな。笑
Takayasu Taguchi(Ba、以下T):で、帰ってくみたいな。笑
Y:だから、全然……音楽聴いてないっていうか。聴けなかったです全然。笑
—もし観れたとしたら、誰が観たかったですか?
Y:Years & Yearsが出てて、観たかったんですけど。3時間並んで、結局キャンセルだったっていう。笑
—では、一旦SXSWとUSツアーの話は置いておくとして、6月に行われた大阪と東京での初のワンマン・ライブはどうでした?
Y:アメリカでツアーやって、結構自分たちで“ライブってこういう感じかな”っていう掴んできた時に日本に帰ってきて、そしたらやっぱり日本て全然ライブの感じが違くて、一回崩壊したよね。笑
せっかくこう、“ライブ感”みたいなの、勘みたいなのを手に入れたのに、それがこっち(日本)じゃ通用しない、みたいな。結構一回スランプみたいになっちゃって……。でもそっからとりあえず場数を踏もうみたいな感じで色々なイベント出たりして。で、ワンマン・ライブが近づくにつれてどういう風にみせていこうとか、演出だったりを考えていくうちになんか結構チームワークみたいな感じでこう……(結束力が強く)なっていって。最終的にはみんなでワンマンに向けていくエネルギーみたいなモノがすごいいい方向に向いてて……だから、何か乗り越えれたよね?
6月にワンマンがなかったらずるずるアメリカ(での感じ)を引きずっていたかもしれないけど、ワンマンがバシってあったから、みんなで頑張れたというか。
R:それはあるな。
Y:何か文化祭みたいだったよな、しょうもない言い方すると。「みんなで良くしていこう」みたいな。笑
R:たぶん4月〜5月のどっかの段階でたぶんみんながそう変わったから、ワンマンはああいう風にできたんかなって。
Y:ホンマにすごい……感動した。リハーサルで。笑
一同:笑
Y:いやホンマにリハでこれができたんやってなった時に、すごい感動した。「バンドってええな」って。
—元々The fin.はちゃんとした作品をリリースするまでは、あまりライブの場数を踏んできていないバンドなんですよね。やはりそういうのもあって、初めてじゃないかもしれないけど、4人がライブというモノに向き合うキッカケになったという感じでしょうか。
Y:そうですね。ライブをするというよりは、どっちかというと音源を作るバンドだったので、あんまりライブに重きを置いてなかったのかもしれないです。
でもそれが、やっぱり観に来てくれる人も増えて、やっぱりこう……良くしたいなっていう思いも出てきて。
—なるほど。ではそのより結束力が強まった状態で、今月はアジア・ツアーを敢行したということですが、結構話を聞くと大盛況だったみたいですけど、どうでしたか?
Y:本当にアジアはすごくて……やっぱり元気なんですよね。音楽がどうとかそれ以前に、元気で。香港に最初行って思ったんですけど、前座のバンドが出てくれてて、その後のセット・チェンジで俺らがステージ上がっただけですっごい歓声が起きて、なんかこう……全然違うかったよなホンマに何か。で、やっぱり結構踊るんですよね香港の人は。すごいパーティ感出て、それこそアメリカで感じたライブ感みたいなものにすごい近くて。レスポンスがハッキリしてるというか。こっち(のパフォーマンス)が良ければ向こうのレスポンスも良いって感じで。もう一回チューニング狂ったかなみたいな。笑
……結構違うんですよね、その土地土地によってのライブ感みたいな。だから色々なシチュエーションとか場面でできるようになりたいなって最近になって思いますね。
R:その3カ国でも全然違うかったもんな。
Y:全然違うかったな。やっぱり台湾はすごい日本っぽくて。みんな静かに聴いてくれるんですよ。踊らんかったしなあんまり。で、タイの人はすっごい歌うんよな。で、すっごい手拍子もする。笑
でも何かみんなちゃんと曲知ってたよな。だからちゃんと聴いてきてくれてるんやなって。笑
R:うん、知ってた。笑
Y:あとみんなすっごい写真とかビデオとか撮るんですよ。で、インスタグラムとかにいっぱいあげてて。日本って結構禁止じゃないですかそういうの。でもおれは全然アリやって思ってて。香港の時に思ったのは、みんな写真に撮るの上手かったなって。
—それはUPされたのを見ての感想ですか?
Y:そうインスタグラム見てたらみんなすごい良い写真撮ってて、みんなセンスあるなって。笑
でも、自分たちが思ってたより人気あったよな。下手したら日本より売れてるんちゃうか?ってくらい。笑
R:どう考えても想像できんかったもんねあんなになるとは。
—結構会場も大きめだったんでしょうか?
Y:台湾は……600くらい。全然日本より売れてましたよ、チケット。笑
—では、そうした様々な経験を経て、現在のThe fin.があるわけですが、以前と見える景色、もしくはバンドや音楽に対する意識などに変化はありましたか?
Y:何か最近逆にシンプルになってきてて、普通にめっちゃ良い曲作って、それをちゃんと伝えられるライブができたらっていう。やっぱりだんだん音楽にのめりこめるような環境になってきたっていうか。だから……それをいかにアウトプットしていくかっていうことに重点を置いてて。アジア・ツアーとかもライブをしていくっていうアウトプットと、色々な所に行って、色々な人と喋れて、色々な景色を見れてっていうインプットが結構でかいんですよね。アウトプットはもちろん大事なんですけど、やっぱり観客が観れるのはそこじゃないですか。おれたちがアウトプットしてる時に触れ合えるっていう。でも自分的にはそれ以外のインプットの部分もすごい大きくて。やっぱり知らないとこで知らない人と会って、知らない景色見てっていうのが。毎回海外行って帰ってくると、何か日本が違って見えるっていう感じがあるんですよ。ちょっと違う自分になって帰ってくるみたいな感覚があって。それが結局また次の作曲だったり作詞とかにインスピレーションを与えてくれている。だから自分の人生を音楽を作ることっていう風に捉えると、結構健康的なんかなって。一般的な健康の話をするとすっごい不健康ですけどね。寝れないし、みたいな。笑
でもクリエイティヴな面で言えば、すごい健康っていうか健全。上手くいっている感じ……ですね。
—ファースト・アルバム『Days With Uncertainty』リリース後、ototoyさんのインタビューで「気持ち的には既に次のアルバムに向かっている」というように答えていたと思うのですが、新曲などは作り始めていますか?
Y:今作ってて、レコーディングもやってて。でもそれをセカンド・アルバムで出すのかとか、そういう向かい方をしていなくて。結構バンド結成初期の感じに似ていて。(バンドを)組んで最初の方って作品を作りたくて(曲を)作っていたんじゃなくて、ただ単に曲をずっと作ってたって感じなんですけど、最近ホンマにそういう感じやんね。
こう……曲作って、聴いて、それがいつかカタチになるかな。みたいな。結構今……微妙っていうか、思ったよりファースト(・アルバム)の流れが長く続いているっていうか。日本だけだったらすぐに終わってたと思うんですけど、アジア行ったりとかしたし、これからもファーストの流れで海外に行く予定があるんで。だから、まだそのファーストの……なんやろ、ステージ?っていうのと、自分たちのプライヴェートな部分での作曲みたいな。その2つが並行している、みたいな。
—ではその作っている新曲群における、何かサウンドの変化だったりこれまでと違った点など、こちらに教えられる範囲でヒントをもらえますか?
Y:あー、どう? 聴いてて。
R:よりリズムには特化していると思う。そこでも主張している感じになってきているよね。
Y:そうやね。リズムが強くなっていってるっていうのはあるかもしれない。
—では、7/18に開催されるCulpoolはアコースティックでの出演となりますが、そこで新曲を披露するといった予定は……
Y:……は、ないですね。笑
ワンマンでは2曲披露したんですけどね。新曲は……披露しないかな?
R:しない。笑
—では、アコースティック編成の時に、普段のバンド編成の時と比べての違いや、特にこだわっている部分があれば教えて下さい。
Y:結構歌が軸になると思うんですよね。アコースティックにはアコースティックの良さがあるんで、それがよく出るようにっていう。結構シンプルに。
—以前USTREAMで配信したアコースティック・ライヴでは、Arctic Monkeysのカバーを2曲演奏していましたが、今回もそういった変り種が用意してあったり……?
R:あるかもしれません。笑
—ライブを見てのお楽しみという感じで。笑
Y:そうですね。おれも楽しみです。どうなるか。笑
—では、バンドとしての今後の予定を教えてください。
Y:今後は7 月の最後の週かな。22日に、スペースシャワー列伝っていうイベントが渋谷のO-nestであって、それに出るのと、9月に「Is This It?」っていう自主企画をやってるんですけど、それの第……4回……くらい?
R:5?
Y:アバウトな感じなんですけど、それを下北で開催します。笑
—これまでと同じように同世代のバンドを集めて?
Y:そうですね。でもたぶん次回は、前までと違ってパワーアップしていると思うんで、是非お楽しみにって感じです。
—個人的にもすごい楽しみです。では、このインタビューを見て、イベントに遊びに来てくれる方へのメッセージをお願いできますか?
Y:Culpool一回目っていうことで、たぶん誰もがどうなるかわからないなか、楽しむことを頑張ります。笑
R:恵比寿にみんなで集いましょう。笑
Y:リキッドルームって、何かいい意味でラフで。呑んで、友達と喋ったり、いい意味で社交場みたいな環境があるなって思ってて。Culpoolっておれの中ではそんな感じのイメージがあって。音楽とか服とか、食べ物とか色々あって、色々な人が来てて、そういう人たちと触れ合えるって言ったら変だけど、社交できる、みたいな。だから自分もお酒飲んで、楽しみたいですね。リラックスして。
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LIQUIDROOM 11th Anniversary「CULPOOL -wave 01-」
◯Date
2015/7/18
Open 23:00-
ADV / DOOR ¥2,200(税込)
*チケットを事前購入のお客さまはCULPOOLステッカーとFOOD&DRINKやCULPOOLグッズが当たるポーカーを1ゲーム無料でプレゼント。
◯CULPOOL’S LIVE ACT
agraph -Live Set-
The fin. -Acoustic Set-
never young beach -Acoustic Set-
iri
jan and naomi
綿めぐみ
Morioka Yoshihiro (GEKITETSU)
Diana Chiaki
YOSHIROTTEN
※ステージは場内3箇所に設置。Acoustic SetやDJ Setなど、ステージごとに違ったアプローチでライブを展開します。今までとはひと味違うライブをお楽しみください
◯CULPOOL’S MUSIC EXPERIENCE
高音質スピーカー《ムジーク》を使用。迫力のある高音質環境で話題のハイレゾ音源が楽しめます。また2015年4月代々木にオープンした、ハイレゾ音源とアナログレコードを楽しめるSpincoaster Music Barの出張企画や、ハイレゾレコーディングされた日本の森、川、波の自然音を使用したYoshihiro Moriokaによるトラックと国内外から注目を集めるアートディレクターYOSHIROTTENによる映像のパフォーマンスを展開。CULPOOLならではの音楽体験をお楽しみください。
協力:株式会社イースタンサウンドファクトリー、音楽キュレーションメディアSpincoaster
◯CULPOOL’S RESTAURANT
Time Out Cafe & Dinerでは通常メニューに加えて、下北沢《salmon&trout》のシェフ森枝 幹氏プロデュースのCULPOOLオリジナルフードメニューを提供。-197℃の液体窒素と季節のフレッシュフルーツを使ってその場で作るジェラードなど見た目にも楽しいお料理が楽しめます。
協力:salmon&trout
◯CULPOOL’S SHOP
CULPOOLオリジナルのシャツやポロシャツ、トートバックなどクリーンなイメージのアイテムを販売します。またライフスタイル提案型ショップ《FAKE FURNITURE》も参加決定。CULPOOLに合わせたセレクトアイテムを展示販売します。
original item creative direction:shingo isoyama
FAKE FURNITURE
◯CULPOOL’S CASINO
CULPOOLにプチカジノが登場。音楽を聴きながら「POKA」や「BLACK JACK」などのゲームが楽しめます。勝利点数に応じてFOODやDRINK、オリジナルグッズ等様々なアイテムをプレゼントします。
協力:ヒミツキチラボ
◯main visual
photo:Jiro Konami
logo design:MACCIU
flyer design:Masanari Kakamu
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