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INTERVIEW | Tenors In Chaos


黒田卓也と3人のサックス奏者が語る、Tenors In Chaosの成り立ちとそれぞれの個性

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2023.10.31

黒田卓也がプロデューサーとして手掛けたのは今の日本のシーンを代表する3人のテナー・サックス奏者が真正面からぶつかるストロング・スタイルのアルバムだった。その名もTenors In Chaos。

タイプの異なる西口明宏(にしぐちあきひろ)、馬場智章(ばばともあき)、陸悠(くがゆう)の3人がそれぞれ曲やアレンジを持ち寄り、テナー・サックスの魅力が最大限に引き立つような音楽を記録した。難しいことは置いといて、とにかく最高のテナー・サックス奏者が最高の演奏を聴かせてくれる。そして、ここでは黒田の采配もあり、それぞれに完全にキャラクターが異なる3人がガチンコでぶつかりつつ、それでいて3人はしっかり調和もしている。

ここまでテナー・サックスをガツンと聴けるアルバムは他にないだろう。それと同時にテナー・サックスという楽器が出せる音、テナー・サックス奏者が奏でられる音楽の多様性をここまで感じられるアルバムも他にないだろう。

実に特殊なアルバムだが、ジャズ・サックスについて知ることができる機会でもある。というわけで、3人のトップ・プレイヤーとプロデューサーの黒田卓也にTenors In Chaosについて語ってもらうことで、ジャズ・サックスの聴き方を炙り出すことにした。これを機にサックスの深い沼に足を踏み入れてください。

Interview & Text by Mitsutaka Nagira

L→R:西口明宏、陸悠、馬場智章

『Breaking Down』のような剥き出しの競争心

――Tenors In Chaosはどのように始まったのでしょうか。

西口明宏(以下:西口):2021年の12月に100BANホール(兵庫・神戸)で黒田卓也さん主催のイベント『THE BUNDLE』(※1)があって、そのなかの企画バンドとして3人と関西のメンバーで演奏したのが始まりです。自分でいうのもあれなんですけど、それが好評で(笑)。それがバンドに。


※1:2021年12月に兵庫・神戸100BANホールで開催された黒田卓也主催のジャズを軸にしたイベント。2023年10月には2回目を東京・渋谷WOMBで開催。海外からの参加も含め、6shows 2DJs、総勢25名以上のトップ・ミュージシャンが競演し、話題となった。

――そもそもこの企画を考えたのは誰ですか?

黒田卓也(以下:黒田):最初はaTak(※2)というビッグ・バンドが関西に行くから、そこにいるメンバーで「全員リーダーできるな」と。それを分解すればフェスになると思ったんですよね。宮川純、馬場智章、西口明宏、吉田サトシ、荻原亮……。全員分けたら10バンドくらいになってしまうから、3人でまとめたらおもしろいんじゃないかなと思ったんです。あとサックス奏者だったら絶対観たことのあるGeorge GarzoneとMichael Brecker、Joshua Redman、Dave Liebmanの動画があるんですよ。

彼らによる160キロのストレートをフルスイングで打ち返すような、難しいことを言わなくて耳に入ってくるテナー・サックスの感じ。Dマイナーがドーン! みたいなのをみんな聴きたいなんじゃないかなと。


※2:黒田卓也がNYブルックリンで参加するアコヤ・アフロビート・アンサンブルにインスパイアされ、結成したシーンを代表するプレイヤー15人からなる大所帯バンド。2018年から毎年行われている『aTak音楽大忘年会』のハウス・バンドであり、2021年には1stアルバム『ZASU』をリリース。aTakでは西口はテナー・サックスを、馬場と陸はバリトン・サックスを担っている。

――そもそもテナー・サックス3本なんて滅多にやらないですよね。

黒田:人にやらされないとやりたくないというか。トランペットも一緒だと思うんですけど、同じ楽器で思いっきり横に並べられると、どうしても勝ち負けみたいのって出るじゃないですか。『THE BUNDLE』のときに柳樂さんも俺に「高い音が出ない」と言ってましたけど(笑)。

――広瀬未来、佐瀬悠輔、黒田卓也が並んだときですよね。「黒田さんのハイ・ノートで勝負しないという特徴がよくわかる」ってことを言いたかったんだけど、すげー気にしてるじゃないすか(笑)。

黒田:むしろ気にしてないんですよ。だからこそ僕はカッコいいんですけど(笑)。サーカスみたいに客の前でやるのって、ジャズの人だと得意な人と苦手な人に分かれると思うんです。そして、どちらかというと苦手な人が多い。僕も得意かといえば得意じゃないですけど、神戸でやったときのプロモーターが「Tenors In Chaosを一番やりたい」と言っていたのがきっかけになりました。

第三者の目でこんなにおもしろく観えるのかと。なぜかというと、みんな嫌がるけど実は一番おもしろいんですよね。『Breaking Down』じゃないですけども。「この曲は誰が持ってくねん」というね。もしかしたら芸術とは関係ないかもしれないけど、そういうのは確かにあるなと。NYにいた人はわかるかもしれないけど、そういう剥き出しの競争心って、当たり前じゃないですか。

黒田:最近はみんな良い子で、みんな仲良し、みたいなのがあるでしょ。そこに敢えて、身長180センチを超えている3人が思いっきり相撲を取るのは絶対おもしろいことになるっていうのはありました。本人たちも嫌かもしれないけど、いいと思うんですよね。絶対ぶつかったらプラスはあるし。僕もこの前は嫌でしたけど、佐瀬悠輔と広瀬未来と吹くことになって、いいことありましたから。

――と、黒田さんは言ってますけど、3人で並べられることに関してみなさんはどうですか?

西口:普段から一緒にやってるし、スタイルも全然違う。もちろん意識はしますけど、レコーディングすれば音も全然違うし。テクニックも異なるから刺激にはめちゃなりますね。作曲のアプローチもみんなバラバラなのでおもしろいなと。

陸悠(以下:陸):そうですね。アプローチが違うというのはレコーディングのときにすごく感じました。3人で同じ曲で同じコード進行で、同じ場所のなかで繰り広げているけど、言ってることは全くかけ離れていて。こんなに違うのかと思いました。勉強になるところがあるので、そこはプラスですね。


黒田卓也から見た3人の魅力

――まずはプロデューサーの黒田さんに3人それぞれの魅力を語ってもらいましょうか。

黒田:西口はもう年輪が……溢れ出ているというか(笑)。40歳って若手だけど、もう巨匠の域に達してきている感じがある(笑)。独自の世界観を貫き続けた気合と根性が明らかにプレイに出ている。“誰とも違う”を貫いて、それが確立した素晴らしい例なんじゃないかと思います。

馬場やんは体格がよくなって(笑)。それとステージの自信や振る舞い、見据えているものもね。背負ってる感が音にもプレイにも乗ってきたんじゃないかという話ですね。『BLUE GIANT』(※3)の話もありますからね。我々も乗っかっていかないとあかんなと(笑)。


(※3:馬場智章は映画『BLUE GIANT』主人公の演奏を担当した)

黒田:陸ちゃんはリーダーでスモール・コンボなどの目立った動きはしてないのかもしれないけど、ラージ・アンサンブルやアレンジのイメージがある。俺とはMISIAのバンドで一緒になったりとかね。MISIAの現場に残った数少ないホーン・プレイヤーなので(笑)、それが実力を物語っているというか。「何でもっと個人でやらないんだろう」というくらいの腕と音ですよね。

陸ちゃんはいわゆるジャズの人とは音の鳴りとかも違うんですよ。スモーキーな音をしながらも、通る音をしている。MISIAの現場でメロディアスなフレーズをパッと吹いても、めちゃめちゃカッコいいよね。今回のアルバムで陸ちゃんの曲が一石を投じたというか、さすがバークリー作曲科を主席卒業ということで。

――では、次はみなさんに他のふたりとやってみてどこがおもしろかったか話をしてもらいたいです。

馬場智章(以下:馬場):西口さんに関しては、自分の2作目『Gathering』のときに一緒に作品作りはしていたんですけど、当時から僕が持っていないアプローチがありました。僕はどちらかというと演奏するとき、メロディに聴こえるようにとか、自分が歌えるものをメロディックなアプローチにすることが多くて、それが自分の持ち味でもあるんです。西口さんは自分の真逆で、メロディックよりもパーカッション楽器のようなソロの取り方をしていて、ときにすごいきれいなメロディがソロの途中で出てくる。そのアプローチは僕が全然やってないことなんです。

馬場:僕は西口さんの土着的な曲が特に好きで、今の流行りのモダン・ジャズ系の流派に自分は乗らないという、はっきりしたアイデンティティがある。西口さんは自分にないものを演奏するので、同じ曲でも全然違うアイディアを加えてくれるので、毎回新鮮なんですよ。

陸ちゃんはレコーディングをやってできた音源を聴くと、マイク乗りもきれいだし、楽器の音を鳴らすということの説得力、技術が伴っている。3人のなかでマイク乗りを含めた音のよさは陸ちゃんがベストだったんじゃないかな。あとは年齢がひとつ違いなので、学生時代に聴いているものが結構リンクしているので、陸ちゃんの曲にすごく共感するんですよ。自分の世代にとって一番カッコいいモダン・ジャズをやっている。それに加えて、彼の持っているコンポーザーとしてのエゴがカッコよく反映されている。

特に「Midway」では、ハーモニー作りとかコードに対するアプローチの感覚がすごいカッコいいんだけど、コンボ編成の曲にあれだけ長いソリ(サックス3人で同じメロディを吹く)があって、しかも、そのメロディは「こんなん作れないわ」って感じ(笑)。作曲能力はピカイチだなと思います。演奏では僕がアレンジした「Giant Steps」できれいなアプローチをしてくれている。MISIAの現場もそうだと思いますけど、レコーディングの現場はなんぼでも長くソロを取ればいいわけじゃない。決められた尺のなかできれいに曲のマックスをしっかり作ってほしい。そこに持っていってくれるんですよね。

ふたりともコンポーザーとしても活動してるから、僕のオリジナル曲でソロを取ってもらっても意図をしっかりくみ取って吹いてくれます。

――同世代感というのはどういうところですか。

馬場:陸ちゃんのソリのアプローチって、Ben Wendelみたいな、サックスのなかでもみんなで合わせる音域じゃないところを平気で持ってくるとか。ソロも僕の好きなMichael Breckerのゴリっとした要素を持ちつつ、Ben WendelやMark Turnerみたいな繊細な動きやハーモニーの使い方も見えたり。僕が追ってきたミュージシャンを聴いてるんじゃないかな、というのをヒシヒシと感じます。

:時系列はそのまんまですね。きれいなところでいうと、僕は入口がスムース・ジャズだったんですよ。Kenny GやEric Marienthalが好きで、きれいな音から入り、Michael Breckerにドハマりして、大学生の頃からコンテンポラリー・ジャズ的なところに行って、それからBen WendelやMark Turnerなど現代のプレイヤーが好きになったんです。時系列は共有しているところがあるかなと。だからこそ、「Midway」で馬場やんにソロを取ってほしかった。さんざん長くソリをやった後に「はい、どうぞ!」でソロをやってもらう個所があるんですけど、そこは時系列を共有しているからこそ、上手くいったんじゃないかなと思います。


3人の音色、楽器の違い

黒田:次は西口が2人のいいところを言ってください。

西口:馬場ちゃんはやっぱり音色ですかね。日本に帰って10年ちょっと経つんですけど、彼と3年前から演奏するようになって、音色の素晴らしさと、NYから帰りたてで、現地で興っていることをそのまま持って帰ってきたので一番びっくりしましたね。体現できる人を知らなかったのに、身近なところで急に現れてびっくりしました。その刺激はすごい大きかった。

同じようなタイミングで陸ちゃんも出てきて、彼も音色ですね。タイプは2人とも違うんですけど。僕は「My Ideal」のアレンジがすごい好きなんです。僕ら3人はビッグ・バンド出身なんですけど、古い時代のいい部分を受け継ぎながらの作曲が素晴らしいなと。3人の音色もスタイルも違うので、一緒に演奏したときのハーモニーも独特で楽しい。エンディングの音や、ユニゾンを吹くだけでもないような雰囲気。そこもテナー3本の魅力のひとつなのかな。サックスは声に近いトーンが出るからいい部分なのかなと思います。

――それぞれの音色って言葉にするとどんな感じですか?

西口:2人とも歌っている感じがする。馬場ちゃんは深い低い声をしているけど、その通りの音色をしている。それは身体の使い方が上手だし、ナチュラルに発声できているんだなという音。豊かな音色ですね。陸ちゃんはストレートな感じ。2人とも英語が上手ですけど、陸ちゃんは発音もきれい。そういうのもわからないけど、音色に活かされてるのかな。歌心的な。英語の歌とかよく歌うでしょ?

:まあまあ……。

西口:僕にはない感じのアーティキュレーションが特徴的。歌い方もあるのかもしれませんけどね。それがいいなと思います。

馬場:サックスって上の人でいうと、例えばJoe LovanoとかGeorge Garzoneみたいな円形に広がっていくタイプがいて、僕はそういうタイプが好きで心掛けているんですけど、陸ちゃんは前にまっすぐ飛んでいくChris Potterみたいな感じなんですよね。

西口:Michael Breckerみたいなイメージだよね。

馬場:西口さんは僕寄りですよね。

西口:あと楽器も全然違うんですよ。サックスってセルマー(H.Selmer)を使っている人がほとんどだと思うですけど、3人とも違う楽器を使っている。陸ちゃんが「Selmer Mark VI」だけど。

――音はどういう風に違うんですか。

馬場:見た目は変わらないように見えるんですけど、実は楽器の重さや太さが全然違うんですよ。僕の楽器「Yamahaカスタム82Z」はシルバーですごい重たいんですよ。ぐっさんが言っているように重量級な音が出るんです。「Selmer Mark VI」は素材自体が軽くて、割ときれいに前に音を飛ばす人が好むというか。Mark Turnerは「Selmer Balanced Action」。

:Chris PotterやBob Mintzerなど、シュッとした感じの人が多いですよね。

馬場:ぐっさんが使っているのは「Buescher」。

西口:古いやつなんですよね。

馬場:「HARD OFF」で買ったんでしょ(笑)。

西口:そんなわけないよ(笑)。古いものだとほかに「KING」(Cannonball Adderley、Charlie Parker、Jackie McLeanらが使用)とか「C.G.Conn」(Charlie ParkerやDexter Gordon、矢野沙織らが使用)、「Martin」(Art Pepperや菊地成孔も使用)とかもありますね。

馬場:「Buescher」は何て説明したらいいんですかね。もこっとした音が出るんですよ。

西口:Ben WendelとかSonny Rollinsも使ってましたね。1945年くらいの年代物のはずなので、マニアの人にとっては写真を見るだけでも「え?」ってなると思う。

:1945年(西口)、1965年(陸)、2018年(馬場)。

――「Buescher」はどんなところがいいんですか?

西口:フィーリングですかね。もともと古い楽器が好きなんです。でも古い楽器はめちゃめちゃ高くて、僕の使っているのは安いんですけどね。古いのは吹きづらいですけど、音色が好きなんです。もう5、6年吹いてます。その前は「Selmer」や「C.G.Conn」を吹いていました。

――そもそも楽器の音色が全然違うと。仮にそれぞれ入れ替えたら吹きづらいですか?

:先ほどの声の質と楽器の音が、という話が合ったんですけど、あれと直結するなと思っているんですよ。楽器の本体もそうなんですけど、マウスピース、リード、リガチャーのセッティングと楽器の重量の相関関係ですよね。例えば僕の楽器は軽く吹けるセッティングで作ってあります。でも、2人の楽器はそう簡単には鳴らない。円形に響くセッティングで、ハードめに作ってあるんですよ。2人はリードもゲージが硬い(※4)ですし、それはそれぞれの咥内や喉の構造や個体差によると思うんです。それを鳴らせる適正値みたいなものが人にはあるので、入れ替えたらとんでもないことになります。

馬場:確かに。僕の楽器は吹ける人少ないと思います。日本に売ってないリードのゲージで、業者に送ってもらってるので(笑)。「Select Jazz」の「4M(ミディアム)」で、日本ではたまに「3H(ハード)」があるくらい。アメリカでもあまり売ってない。でも、Joe Lovanoはさらに硬い「5」とか使っているらしいです(笑)。George Garzoneも「4」なので、僕もその流派ですね。

(※4:リードは数字が上がるほど硬くなる。薄いほど音色は明るく吹きやすい。厚いほど吹き辛いが音が太くなる)


「Tenors In Chaosは陸ちゃんがセンター」

――使用楽器の時点からまったく違う3人を集めたってことなんですね。次は陸さんから見た2人の魅力について教えてください。

:この3人のなかで僕が一番キャリアをスタートさせるのが遅かったんですよ。馬場やんは年齢はひとつ違いなんですけど、僕は日本の大学を卒業してからアメリカに行ったので、ちょうど入学するときに彼は卒業していた。なので“先を行っている人”というイメージがある。西口さんも兵庫県・芦屋に「Left Alone」というお店があって、黒田卓也バンドで吹きに来るのを学生時代から聴きに行っていたし、神戸・ポートアイランドでやっていたジャズのイベントでメイン・ステージの一番最後、“プロのゲストが来ます”枠で西口さんのクインテットが来たりとか。そのとき、西口さんのサックスは銀の「Selmer MARK6」で「Stable mates」を吹いていました。

西口:観てたんや!

:西口さんや黒田さんはひと回りくらい上の先輩で僕にとってスターですから。それにバークリーに行っている時に、J-SQUADとして馬場やんを『報道ステーション』で観てる。「NYから生中継です」って。

西口:リンカーン・センターでみんな汗かいてるやつ?

馬場:顔真っ赤でしたよね。2時間前まで飲んでたんだもん(笑)。

:僕は視聴者側だったので、一緒にバンドをやっていること自体が一歩踏み出している感があるし、ワクワク感もあります。あと僕はビッグ・バンドで持ち替えをいっぱいやる人なので、テナー・サックス、ソプラノ・サックス、クラリネット、フルートと楽器をたくさん並べて吹きます。でも、(テナー・サックスがメインの)テナー・マンの音って違うんですよ。持ち替えする人とは絶対に違うし、「この鳴らし方だとそっちに行けない。悔しい」という気持ちがありました。

僕は学生のときに2人を観て、テナー・マンになりたかった。Michael BreckerやBob Mintzerも観てたし、そこを目指していたけど、西口さんと馬場やんはその最たるところにいる2人ですね。レコーディングのときもテナーの音がしてるから、イヤモニの音から反響する音まで「カッコいいなぁ」と噛みしめていました。

――馬場さんや西口さんはホームラン・バッターみたいな感じですかね。

:そうですね。

西口:めっちゃ空振り多いですけどね(笑)。

:僕は細いバットを何本も持ってやっているけど、2人は極太のバットなのに当たるみたいな感じですよ。僕みたいに楽器をいくつもやっていると、それぞれの音色とか奏法を考えないといけないんですけど、やっぱり“テナーの音”という点で2人はいつもカッコいいなと思います。

――西口さんってビッグ・バンドでも一番大事なところで前に出てきてソロを吹く人というイメージはありますよね。

:西口さんはひとりでソロにいくすごい人だから。僕は「クラリネットやってるんで……」という感じですよ。

馬場:でも、神戸で演奏したときに、初めて陸ちゃんがテナーでゴリゴリ弾いているの観たんですよ。aTakではお互いにバリトン・サックスを吹いているし、僕はラージ・アンサンブルやらない人だから、陸ちゃんがテナーを吹いている印象がほとんどなかったんです。実際に聴いてみたら「できるやん! もっとやったらいいのに」とずっと思ってたんです。だから、今回一緒にできて嬉しいですよ。

――Tenors In Chaosでの陸さんはいつもの陸さんと違うということですか?

馬場:そうですね。バリトンで聴く彼のスタイルとは違いますから。前に出て挑んでいる陸ちゃんが僕にとっては新鮮。

西口:それが本当の陸ちゃんなんじゃない? サックスやトランペットの花形楽器で、前で吹きたいっていうのがある。Tenors In Chaosはそれを出せるバンドでもあります。前に出て吹く陸ちゃんが見れてよかったと思いましたね。

馬場:Tenors In Chaosは陸ちゃんがセンターですからね。


【リリース情報】


Tenors In Chaos 『Chaos』
Release Date:2023.11.01 (Wed.)
Label:aTak Record
Tracklist:
1. Moment’s Notice
Written by John Coltrane
Arranged by Tomoaki Baba

2. Chaos
Written by Akihiro Nishiguchi

3. Midway
Written by Yu Kuga

4. Bang a Gong
Written by Tomoaki Baba

5. My Ideal
Written by Newell Chase and Richard A. Whiting
Arranged by Yu Kuga

6. Giant Steps
Written by John Coltrane
Arranged by Tomoaki Baba

7. Ringtone
Written by Yu Kuga

8. BAKKI BAKI
Written by Takuya Kuroda

9. Yes Or No
Written by Wayne Shorter

10. St. Thomas
Written by Sonny Rollins

予約リンク


【イベント情報】

『Tenors In Chaos : COTTON CLUB JAPAN 2023』
日時:2023年11月30日(木)
会場:東京・丸の内COTTON CLUB
[1st Show] OPEN 17:00 / START 18:00
[2nd Show] OPEN 19:30 / START 20:30

公演詳細

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『Tenors In Chaos at jazz inn LOVELY』
日程:2023年12月5日(火)

公演詳細

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『サックス・トリオ~Tenors In Chaos スペシャル・ゲスト 原朋直(トランペット) 躍動する若武者トリオ』
日時:2023年12月6日(水) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール

チケット詳細(e+)

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■Tenors In Chaos:Instagram

■西口明宏:X(Twitter) / Instagram

■馬場智章:X(Twitetr) / Instagram

■陸悠:Instagram

■黒田卓也:X(Twitter) / Instagram / YouTube


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