INTERVIEW

踊Foot Works

「目標は東京オリンピック」? 突如シーンに舞い降りた彼らはどこから現れ、そしてどこへ向かうのか。その正体を暴く

今年の3月に彗星の如くシーンに舞い降りたヒップホップ・グループ、踊Foot Works(オドフット・ワークス)。

突如フリー配信された1st EP『ODD FOOT WORKS』は近年のトレンドを上手く取り入れながらも、抜群のポップ・センスと様々なジャンルからのリファレンスを感じさせる傑作となっており、何の前情報もないながらも国内シーンで大きな注目を集めることに。
その後数ヶ月でライターの三宅正一主宰のQ2、そしてSuchmosやYogee New Wavesのメンバーなどのヘアスタリングを手がけることでも知られている祐天寺のヘア・サロン、darlin.プレゼンツによるイベント”PACHINKO”、〈術ノ穴〉主催”ササクレフェス2017″やお笑い芸人・やついいちろうオーガナイズによる”やついフェス”、果ては”FUJI ROCK FESTIVAL ’17″内の”ROOKIE A GO-GO”への出演も果たすなど、未だEPのリリースから半年ほどにも関わらず、彼らは既に新進気鋭の国内アクトの仲間入りを果たしていると言えるだろう。

そんな踊Foot Worksには10月1日(日)に開催するSpincoaster主催イベント、”SPIN.DISCOVERY Vol.04″に出演してもらうということもあり、今回は急遽インタビューを敢行。一体彼らはどのようにしてどこから現れたのか。そして今後、一体どこを目指し、どう羽ばたいていくのか。Spincoaster Music Barにてじっくりと語ってもらった。

Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by Kohei Nojima

[L→R:Fanamo’TondenheyPecoriサンバルカン]


――まず、踊Foot Worksの結成の経緯から教えてください。最初は3人組としてスタートしていますよね。

Fanamo’:この3人(Pecori、Tondenhey、Fanamo’)は、僕が働いていた多摩の聖蹟桜ヶ丘のスタジオで出会ったんです。Tondenheyは週3とか来てくれるような常連さん、Pecoriは年に2回くらいしか来ないレアなお客さんっていう感じで、それぞれ別々に知り合って。僕とTondenheyは結構聴いている音楽が近いってこともあり、すぐに意気投合したんですよね。ソウルとかR&Bといったブラック・ミュージックだったり、あとはキリンジがふたりとも大好きっていうところも共通していて。そこで「何か一緒にやりたいね」っていう話になって、ちょうどそれくらいの時期に、ラップをやってるっていうPecoriとも知り合って。PSGとかunderslowjamsとかの話で盛り上がったので、せっかくだからってことで一回セッションをしてみました。その時はまた別の人がドラマーとして入って、僕がベースで、Tondenheyがギター、Pecoriがラップっていう感じで、韻シストの「哀愁のチューン」とかThe Rootsの曲とかをずっとループで演奏しながら、Pecoriがそこに即興でラップを乗っける、みたいな。そういう遊びみたいなセッションを2回くらいやったんですけど、何かもうそれで飽きちゃったんですよね(笑)。
それで今度は「オリジナルとかを作らないとつまらないね」ってなり。そこからみんなで”りんご音楽祭”とかに遊びに行ったりして。

Pecori:そんな感じなので、具体的に結成が何月ですとかっていうのがわからないんですよね。一応初対面で会ってるのが去年の夏とか? そっからは今Fanamo’が言ったようにセッションしたり”りんご音楽祭”に遊びに行ったり、普通に音楽仲間として遊んでて。それで去年の12月くらいからオリジナルを作り始めた。一番最初にTondenheyが「TokyoInvader」を書いてきて、その時点で「ヤベー!」って。「いや、売れるでしょ?」ってなって(笑)。
それからとりあえずEPとかミニ・アルバムでいいから、数曲まとめた作品を作ろうってことで、それぞれが曲を作り始めました。それも意外とスムーズにいって、今年の3月に『ODD FOOT WORKS』をリリースしてっていう感じですね。

――では、踊Foot Worksという名前が固まってきたのも昨年末くらいから?

Pecori:いや、名前に関してはたぶんセッションし始めた頃からあったと思いますね。結構おれらは名前とかスタイルから入ってみるっていう部分があって。曲名とかもそうなんですよ。タイトルを先に決めてから、テーマとかを広げていったり。で、「踊Foor Worksってどういう意味なの?」とかって聞かれることが多いんですけど、マジで全く意味とかはなくて。踊Foot Worksと、ping-pong-planetと、あともう一個名前の候補が挙がってて。

サンバルカン:ping-pong-planet、超いいじゃん(笑)。

Pecori:LINEでふたりに聞いたら、全員一致で「踊Foot Worksがいい」って言うから、「じゃあ決まりだね」って。それが出会ってすぐ、去年の夏くらい。名前はめちゃ早く決めたけど、年末まではロクに稼働することもなかったです(笑)。

――セッションを始めて、”りんご音楽祭”などへ遊びに行っていた、いわば踊Foot Worksの音楽的地盤を固めていたような時期には、どのような音楽を共有し、どのような話をしていたのでしょうか?

Tondenhey:一番はやっぱりChance The Rapperだよね。

Pecori:そうだね。おれ、Chance The Rapperと同い年なんですよ。ブラック・ミュージックとかは結構にわかなので、そこはふたりに教えてもらいつつ、おれはおれでChance The RapperとかUSのヒップホップ〜日本語ラップをふたりに共有していって……。「とりあえずChance(The Rapper)になろう」って(笑)。
とりあえず目標はそこでしたね。あとはHocus Pocusとかも。

Fanamo’:一番最初にセッションする際、「どんな曲やる?」っていうアイディア出しの時に、最初からPecoriはChance The Rapperの動画を僕らに送ってたんですよね。でも、その時は僕らふたりはスルーしてしまっていて。で、その3ヶ月後くらいに、「めっちゃいいアーティスト見っけた! Chance The Rapperって知ってる?」ってPecoriに聞いてしまうっていう(笑)。

Pecori:ずっと前からおれは名前を挙げてたろって(笑)。

Fanamo’:榎元(サンバルカン)も含めて全員聴いてきた音楽は結構バラバラなんですけど、バラバラな中でも少しずつ被ってる部分があるんですよね。

Pecori:たぶん根底には全員US、UKのギター・ロックとかパワーポップ。それこそ日本で言えばアジカンとかエルレとか、そういうのを通ってきてたりするんですよね。僕も中学生の頃コピバンとかやってたし。だから、そこら辺に由来するメロディ重視な感覚っていうのは、たぶん全員が持っていて。曲のフックとかを作っていく時に自然とそういう影響は出ているような気がしますね。大げさに言えばエモっぽいというか。そこら辺もルーツとしてしっかり持ちつつ、ソウルもR&BもヒップホップもJ-POPも、好きなもの全部ひっくるめてやっちゃいたいねって。

――PecoriさんはRhymeTubeさんとのユニット、角巛エンタープライズとしても活動されていたんですよね。

Pecori:角巛エンタープライズはアルバムを一枚制作して(『僕らのナインティーンスクラッチ』)、一応そこで燃焼してしまっていう感じですね。たぶんライブも合計で10回やってないくらいなんですよね。RhymeTubeは静岡に住んでるので、制作もスカイプとかでやりとりをしつつっていう感じで。そのうちRhymeTubeはどんどんトラックメイクの方に専念するようになって、あまりラップはやらなくなり。そんな感じで、おれも「角巛なくなるならどうしようかな〜」って思っていた頃に、このふたりとちょうど出会って。偶然ですけどすごくいいタイミングだったんですよね。

――RhymeTubeさんはいわゆるニコラップ、ネットラップと言われるようなシーンで有名な方ですよね。

Pecori:そうですね。僕もラップをやり始めた頃、YouTubeとかニコ動にUPしてみて。本当にクソみたいなミックスの、ヒドいクオリティで、再生回数も全然伸びなかったんですけど、そんな中でも当時から既に高いプロップスを誇っていた野崎りこんくんが見つけてくれたりして。「一緒に何かやりませんか」って声を掛けてくれて、一緒に曲を作ったりさせてもらいましたね。

――そもそもPecoriさんがラップをしようと思ったのは何がキッカケだったのでしょうか?

Pecori:かなり遡って原点までいくと、小2の頃くらいに観た映画『Men In Black(メン・イン・ブラック)』の主題歌でラップしてたWill Smithですね。「Men In Black」のMVを観て、「おれもこれをやりてぇ」ってなりました。その後リップスライムとかのCDを自分で買いだしてから、ラップの真似事をし始めてっていう感じで。

Pecori:でも、トラックメイクとかリミックスとか、そういった領域に足を踏み込むことになったキッカケはももいろクローバーなんですよね。高3〜大学3、4年くらいまで、どっぷりとモノノフになりまして。「彼女もいらない、ももクロがいれば」みたいな、大分ソリッドな尖り方をしていて(笑)。
ちょうどその頃にCherry Brownさんとかtofubeatsさんとか、ももクロの楽曲をリミックスするラッパー/トラックメイカーが出てきて。それで「おれもやろう!」ってなり、ももクロの楽曲をリミックスしたりマッシュアップしたりして、「しおりん大好きラップ!」みたいなことをやっていました(笑)。
でも、そこでトラックメイクとかDTMに対しての意欲が沸いて、ミックスのこととか技術的なことを覚えることが出来ましたね。

Fanamo’:『ODD FOOT WORKS』のレコーディングはPecoriの家でやってたんですけど、PCの上にしおりんのポスターが貼ってあって(笑)。

――では、3人編成で結成された踊Foot Worksに、サンバルカンさんが加入するまでの経緯は?

サンバルカン:下北沢GARAGEにて開催された一番最初のライブ、ライターの三宅さんに誘ってもらった”PACHINKO”ですね。その際に、どうやら「ライブするんだったらベースが必要だよね」っていう話になったみたいで。僕とTondenheyは大学時代から知り合いで、そのちょっと前くらいから「おれ、今年に入ってから新しいバンド組んだんだよね」みたいなことは言われてて。でも、具体的にどんなサウンドなのかは知らなかったんです。ヒップホップなのかロックなのかも。ただ、Tondenheyは元々ブラック・ミュージック好きな印象があったので、たぶんそういうことやってんだろうなと。

Pecori:最初の4〜5回のライブは、サポート・メンバーとして参加してもらってたんですよ。

サンバルカン:で、スタジオで練習とかを重ねていくうちに、正式メンバーになるのかならないかっていう話し合いが何度か行われ。

Tondenhey:最初、本気で入りたくはないんじゃないかなって思ってて。彼の意思があんまりわからなくて。

Pecori:あと、当初はあれだよね。ちょっとスピリチュアルな話が踊Footの間で流行ってて。「これはスピってる」、「これはスピってない」、みたいな(笑)。
そのノリで、なぜか「3」っていう数字に結構こだわっていたんですよね。3人で結成して、3月にEPをリリースして、最初にイベントに誘ってくれたのも三宅さんだし、初ライブも5月3日だし、踊Footのロゴも三角形。あとChance The Rappeのマーチャンダイズも数字の3をデザインの中央に配置していますよね。そういうのもあって、無駄に「3」にこだわっていた時期もあったんですけど……そういうこだわりは気付いたら消えてました(笑)。

――ちなみに、先程Pecoriさんの音楽歴をお聞きしましたが、みなさんはそれぞれどのような経歴を辿ってきているのでしょうか?

Fanamo’:僕は他の3人と違って、音楽にガッツリのめり込むようになったのが遅かったんです。高校卒業するまでは水泳ばっかりやってたんです。

Pecori:一昨日くらいに知ったんですけど、北島康介と一緒に泳いだこともあったみたいで。元々音楽やる人じゃなくて、ちゃんとしたスポーツマンなんですよ(笑)。

Fanamo’:北島康介さんが僕の地元の島根に来た時に、平泳ぎ島根代表みたいな感じで、一緒に泳がせてもらったことはありました(笑)。本当に高校までは水泳ばかりやってたんですけど、同時に音楽も聴くのは大好きで、文化系の人に憧れる体育会系、みたいな感じでした。

Tondenhey:ライブ後「ちょー気持ちいい」って言うもんね。

Fanamo’:言わねえわ(笑)。で、大学出て、東京に来てからベースを始めたり、タンテを買ってDJの真似事をしてみたりとかをし始めて。そこからいろいろな人とセッションを楽しんだり、バンドを組んだりしつつ。でも、全然お客さんもつかず、趣味の範囲を出ない社会人バンドみたいな感じだったので、正直プレイヤーとしてはもういいかなって思ったんです。だから、最初に話した通り、踊Footも最初は遊びのセッションだけだったんですけど、EPを作り、三宅さんに誘ってもらって、ライブやるぞってなった時に、「今からまたベースを本格的にやるのは厳しいな」っていうことで、「じゃあおれDJするわ」ってなり、榎元に入ってもらいました。
リスナーとしては、大学時代に今はなき下北沢のレコファンで5年くらいずっとバイトしていて。そこでブラック・ミュージックを始めとした色々なジャンルの音楽を教えてもらったのが大きかったですね。

――最初に連絡を頂いた時、Fanamo’さんは「メンバー兼マネージメントをしている」とおっしゃっていましたが、グループ内でのそういった役割は主にFanamo’さんが担うことが多いのでしょうか?

Fanamo’:そうですね。最初はマネージャーをやりたいって言ってたんです。今はもうそういう言い方はしてないんですけど。ただ、メンバーの中で一番年長なので、自然と対外的な連絡とかは僕がやっていますね。楽曲制作とかはどちらかというとこのふたり(Pecori、Tondenhey)がメインなんですけど。

――なるほど。では、Tondenheyさんのバックグラウンドは?

Tondenhey:僕は小学生の時にギターを始めて、ゆらゆら帝国が大好きで、コピバンを組んでたんです。YouTubeにも鬼のように動画をUPしたりとかしてて。その後も高校でアジカンのコピバンとかもやったりもしてたんですけど、大学入ったらこれまでと違うこともやってみたいって思い、ジャズ研に入りました。そこでジャズとかR&Bとかを教えてもらったりして。ヒップホップが聴けるようになったのもそこでの経験が大きいですね。これまではずっとギタリストっていう感じでやってきたんですけど、踊Footに入ってからは曲を作り始めたりもして、今は作曲に対する意欲もすごく湧いてきています。

――作曲を手掛けるのは、踊Foot Worksが初めてですか?

Tondenhey:完全にそうですね。その一発目が「TokyoInvader」で。

――では、最後にサンバルカンさんはいかがでしょうか?

サンバルカン:僕は小6くらいからベースをやり始めて。何でかはわからないんですけど、昔から低音が好きだったんですよね。で、最初はレッチリ(Red Hot Chili Peppers)から入ったんだと思います。あとはGO!GO!7188とか。高校からはポスト・ロックとかにハマったのと同時に、Jamiroquaiみたいなアシッド・ジャズ、フュージョンみたいなものも聴きだして。そこから派生してSquarepusherみたいな電子音も聴きつつ。今やってるもう一個のバンド(1inamillion)はインストのポスト・ロック/ハードコア・バンドで、こういうブラック・ミュージック的な要素の入ったサウンドをやるのは踊Footが初めてでしたね。

――Tondenheyさんとは大学時代に出会っていたんですよね。

Tondenhey:そうですね。大学自体は違うんですけど、サークルの繋がりで。でも、実際はあまり喋ったこともなかったんです。

――あまり喋ったこともなかったというサンバルカンさんを、踊Foot Worksに誘ったのはなぜなのでしょう?

Tondenhey:何ていうんでしょう、我が強いというか、彼が入ったらおもしろいんじゃないかなって思ったんですよね。この3人に対して、礼儀正しく真面目なベーシストが加わってもあまり合わないんじゃないかなって。

――先程から何度も名前が挙がっている、踊Foot Worksを最もフックアップしている人物でもあるライターの三宅正一さんとは、どのようにして出会ったのでしょうか?

Pecori:「夜の学校」にフィーチャリング参加してくれたSSW、もののあわいくんが、元々Fanamo’が働いているスタジオに来ていて。後から僕と同い年で大学も一緒だったことがわかるんですけど。その彼が赤い公園の津野米咲さんと繋がっていて、何かよくわからないヒップホップ・グループの曲に参加したっていうことで、チェックしてくれたみたいなんです。津野さんはまだ『ODD FOOT WORKS』もリリースされてない頃、ティーザー映像をUPしたばかりの頃からTwitterで呟いてくれたり、ラジオで曲をかけてくれたりしてくれて。たぶん、その流れで三宅正一さんにも情報が届いたみたいで、EPリリースしてすぐにDMをくれて、”PACHINKO”に誘ってくれました。EPをリリースする直前からそこまでの流れは本当に一瞬みたいな感じで、ものすごい勢いで何かが変わってゆくのを感じましたね。

Fanamo’:最初、「初めてのライブは7月くらいかね」みたいな話をしてたんですけど、三宅さんに誘ってもらったのが5月で、「ヤベー! どうしよう!?」みたいな(笑)。

Pecori:なんなら一生ライブしなくてもいいと思ってたくらい(笑)。

Tondenhey:うん、おれもライブすること考えてなかった。

――それが蓋を開けてみれば7月にはフジロックに出演するという(笑)。

Fanamo’:でも、フジロックも聖蹟のスタジオで知り合った方に「こういうのあるから応募した方がいいよ」って教えてもらって。それがなかったら絶対応募してなかったよね。

Pecori:あと、RhymeTubeや野崎りこんくんの繋がりで、〈術ノ穴〉の方も早くからチェックしてくれて。”ササクレフェスティバル”とか”やついフェス”にも出させてもらったのは大きかったですね。

――実際にそういった大きいフェス、イベントに出てみていかがでしたか?

Pecori:例えばフジロックなんて、3月くらいの時点までは夢のまた夢なわけですよ。野外だし、きっとお客さんもいっぱいいるだろうし、めちゃくちゃ緊張するだろうなっていう想定だったんですけど、実際は……そうでもなかったですね。

サンバルカン:いや、たぶん全員そうだと思うよ。いい意味でいつも通りできたよね。

Pecori:気合い入れまくった結果、意外と平常心を保てたというか。

サンバルカン:別にやる気がなかったとかそういうわけではないんですけど、プレッシャーみたいなものは感じなかったですね。あと、フジロック出演が決まった瞬間が一番テンション高かった。

Fanamo’:おれらは元々妄想癖があるから、フジロック応募した時点で、受かって、出演してっていうことを妄想してたんだろうね。だから意外とイメトレがしっかりできてたっていう(笑)。

サンバルカン:あと、それこそ最初の下北沢GARAGEでライブやった時から赤い公園の津野さんが観てくれていて。初っ端からそういうことがあったので、衝撃慣れしてしまったというか(笑)。

――そのように大きなフェスに出演を果たしながらも、三宅さん主宰のQとの共催企画”TOKYO INV”では第一回目に石毛輝さんの新バンドやMONO NO AWARE、第二回目にはLEO今井、呂布といった旬の豪華なアーティストとも共演を果たしましたよね。

Pecori:”TOKYO INV”もやっぱり三宅さんの横の繋がりにかなり助けられていて。もちろん僕らと「誰と一緒にやりたい?」っていう話し合いをしながら決めているんですけど。オファーする際に一番意識しているのは、ジャンルレスなラインナップにしたいということですね。ジャンルにこだわらずに、色々な人たちと一緒にやっていきたいんです。自分たちの音楽もヒップホップであり、同時にポップでもありたいと思っている。だから”TOKYO INV”もそういった普段は中々混じり合わないジャンルやシーンの架け橋になれるようなイベントにしたいんですよね。そこは世間的には結構難しいところでもあると思うんですけど。

――では、デビューEPの『ODD FOOT WORKS』についてお訊きしたいのですが、曲作りはどのような流れで行われたのでしょうか?

Tondenhey:最近は叩きみたいなものを僕が作って、それをみんなでブラッシュアップしていくっていう流れが多いんですけど、『ODD FOOT WORKS』の時は結構曲によってバラバラで。本当にそれぞれが持ち寄ってきたものを集めたっていう感じですね。

――いざ1st EPを制作するぞとなった際に、何かコンセプトやテーマみたいなものは決めていましたか?

Tondenhey:全くなかったですね。とりあえず完成したものを全部ぶち込む、みたいな。

Fanamo’:Pecoriがリリックのテーマとして、「SF」とは言ってたよね。

Pecori:大まかなテーマで、後付けではあるんですけど。元々僕はサンプリングでしか作ったことがなかったし、Tondenheyはギターで土台を作るし、よくあれでまとまったよね。

――リリックもすごく独特ですよね。音と単語の組合せで遊んでいるという点では、それこそ踊Foor Worksという名前にも繋がる。

Pecori:よく言われるんですけど、元々そういうのが好きだったんですよね。直球で自分のバックグラウンドとかメッセージを投げつけるんではなくて、受け取る側によって見える景色とか世界が変わるような表現というか。一応そういうのを意識しているので、全く意味がないわけではないんですけど、基本は音や単語の並びのおもしろさ、あとは語感ですね。そこしか意識してないです。

――1st EP『ODD FOOT WORKS』をリリースしてから半年が経ちます。この半年で踊Foot Worksの回りには色々なことが起こりまくったと思うのですが、グループ内のモード、意識は今どのような方向に向いていますか?

Fanamo’:『ODD FOOT WORKS』を出してからも新曲の制作は続けていて、同時に結構な本数のライブをこなしているので、一旦ライブの本数は絞ろうかって思ってますね。Tondenheyとサンバルカンは別のバンドもやってるので。

サンバルカン:既に新曲も5曲くらいあって、その新曲もまだライブの本数がそんなになかった頃に作ったやつなんですよ。ライブが増えてからは本当に新曲が作れていないので、やっぱりそこは一回減らすべきなのかなって。

Pecori:減らしたいんだけど、誘ってもらうライブが尽くすごくいいイベントばかりで。出たくなっちゃうんですよね(笑)。

Tondenhey:何としてでも出たくなっちゃうイベントばかりで。

――そういった内容的にも素晴らしいイベントへのブッキングが続くこと、そしてペトロールズのカバーEPにも参加したことなども、踊Foot Worksが今話題の若手アーティストの仲間入りを果たしていることを裏付けている出来事だと思うのですが、そういった自分たちを取り巻く環境の変化に対してはどのように思っていますか?

Pecori:結構僕らエゴサマンなんで、みなさんの反応はしっかりと把握してるつもりです(笑)。ラジオでも結構プレイしてくれているみたいですし、僕らの音楽を褒めてくれるツイートとかも増えていて、単純に嬉しいですよね。そこにこだわるのはダサいことだとは思いますけど。

Tondenhey:そうだね。ただ、ネット上でのプロップスは高くなってるみたいだけど、なんだか実態のない喜びみたいに感じられる時もあるよね。

サンバルカン:”TOKYO INV.”のお客さんとか、どうやって知って来てくれたんだろうって思ったもんね。

――踊Foot Worksとして、次の一手は既に仕込んでいるのでしょうか?

Pecori:とりあえず、『ODD FOOT WORKS』で僕らを好きになってくれた人の期待を、いい意味で裏切ってしまうことになるのは間違いないというか。もちろんあの作品は当時最高だと思った8曲を入れたんですけど、今はまた僕らの音楽的興味も変わってきているので。

Tondenhey:トラックも変わればラップも変わっているような気がしますね。

――個人的な予想になるのですが、サウンドの形成する外骨格みたいなものは大きく変化しても、楽曲の核となるポップな要素、キャッチーなメロディなどはそのまま残り続けるような気がしています。

Pecori:それは間違いないですね。そこは意識してやっているわけではないんですけど、いい曲を作ろうってなると、自然とそうなるというか。結局全員ポップス野郎なんですよね。だから、そこはどんなアプローチにしろブレないんじゃないかなって思いますね。

――だから、一番最初にキリンジの名前が挙がった時に、いきなりすごく納得してしまったというか。

Tondenhey:冨田ラボさんとかもすごく好きで、ああいうポップスの作り方は意識していますね。次のリリースも一応既に考えてはいるんですけど、果たしてそれが来月リリースされるか、15年後にリリースされるか(笑)。

サンバルカン:おれら的には、既に次の次の作品が楽しみな感じあるよね。次の作品は既に結構見えてきているというか。

Tondenhey:次の次は……Weezer(笑)。

Pecori:冗談で言ってるように見えて、結構マジなんですよ。おれもバッキング・ギター弾いて(笑)。

サンバルカン:そうやってふざけて言ってると、本当に実現しちゃいそうだからね(笑)。

――そういった次なる一手も踏まえつつ、もっと長期的な視野ではどうでしょうか。踊Foot Worksとしての最終的なヴィジョンというか、目標のようなものがもし見えていれば教えてください。

Pecori:一個キワード的に挙がっているのが、東京オリンピック。2020年までに世界を侵略(Invasion)したいぞって。まずは東京を侵略するんですけど、オリンピックには外国の方もいっぱい来るので、ワールドワイドな視野を持って、2020年に東京に来た外国の方全員に踊Foot Worksを知ってもらうというか。開幕式で椎名林檎と一緒に歌うというか。そういうことっすね(笑)。

サンバルカン:ヤバ過ぎ(笑)。

Tondenhey:あと〈Odd Future〉(OFWGKTA:Tyler, the Creatorをリーダーとしたコレクティヴ兼レーベルであり、ファッションラインもリリースしている)に入るんでしょ?

Pecori:〈Odd Future〉入ります。Odd繋がりで。Tyler, the Creatorの新作も最近すごい聴いてるし(笑)。

――今の話を聞いていても、さっきサンバルカンさんが「ふざけて言っていたことが実現してしまう」とおっしゃていた通り、不思議と実現してしまいそうに思えてくるから怖いですね(笑)。

Pecori:でも、マジで「TokyoInvader」できた時に、「あ、売れたわ。今年、フェス出れるっしょ」って言ってたんですよね。その時も7割確信、3割冗談くらいの感覚だったんですけど、それが着実に現実になってきていて、ちょっと怖い。スピってます(笑)。

Fanamo’:2020年のオリンピックは確実にありますね(笑)。

Pecori:あります。

――では最後に、10月1日(日)に開催される”SPIN.DISCOVERY Vol.04″への意気込みなどを聞かせてください。

Fanamo’:何よりも共演者がすごいですよね。環ROYさんとかiriさんなんて、EPを出す前の音楽性を練っている時期から僕らの間で名前が挙がっていたようなアーティストさんで。

Pecori:なんなら「TokyoInvader」もiriさんの「半疑じゃない」からかなりインスピレーション受けた部分があって。シティ・ポップじゃないけど、ああいうアーバンさを出す上での参考にはさせてもらいましたね。あと、環ROYさんも高校の頃からずっと聴いてきたアーティストさんなので、まさかこんな早く会えるとはって感じで(笑)。
本当に高校時代からずっと聴いていたアーティストさんなんで、なんていうか……最高ですよね。

――あと、10月にはRude-αの企画でLUCKY TAPESとの共演も決まっていますよね。なので、後付けではありますが、色々な点が繋がるラインナップになったなと。

Tondenhey:そうですね。実はLUCKY TAPESのトロンボーンを担当している方は高校の頃から知ってる先輩だったりもして。まさかこんな早く一緒にやれるとは思ってなかったですね。

Pecori:タイムテーブル見させてもらって、トリを務めさせて頂けるとのことなので、もう気合はバッチバチに入ってますね。


【イベント情報】

Spincoaster Presents “SPIN.DISCOVERY vol.04”
日時:2017年10月1日(日) OPEN 17:00 / START 17:30
会場:表参道 WALL&WALL(MAP
出演:
環ROY
PARKGOLF
踊Foot Works
Kai Takahashi(LUCKY TAPES / DJ set)
iri

Ticket:
早割1. ¥2,500SOLD OUT
早割2. ¥3,000
一般. ¥3,500
※全て入場時に1ドリンク代が別途必要となります。


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