INTERVIEW

Nao

6,000マイル先から愛を。ーーロンドンから世界に旅立つ、その大きな惑星を追いかけて

12月6日(木)に東京・渋谷WWW Xにて、待望の初来日公演を開催するイースト・ロンドン出身のR&Bシンガー/プロデューサー、Nao(ネイオ)。

今年10月にリリースした最新作『Saturn』のコンセプトは、占星術における土星回帰(サターン・リターン)。土星の公転周期になぞらえて、多忙な時期を駆け抜けた30歳という節目に、人生に訪れた様々な変化を振り返ったのだという。

そんな彼女のパーソナリティを探るべく、今回は来日公演直前にメール・インタビューを敢行。制作の背景はもちろん、出身地であるロンドンの音楽環境、アーティストとしての姿勢、そして日本での思い出について様々な質問を投げかけた。新たな公転周期に突入した彼女に、6,000マイル離れたこの地から迫ってみようと思う。

なお、来日公演の前日、12月5日(水)には東京・六本木EX THEATERにて開催されるMura Masaの来日公演への出演も決定。チケットはすでにソールドアウトしているが、両者の貴重なコラボが期待できるだろう。

Interview & Text by Takato Ishikawa
Edit by Takazumi Hosaka


――あなたのサウンドはロンドンのアンダーグラウンドなエレクトロニック・ミュージックからの影響も強いように思います。普段、ロンドンで生活していて、どのようにロンドンの音楽シーンと接していますか?

私の友達の多くは音楽を制作しているので、私がロンドンで過ごすほとんどの時間は、ローカル音楽シーンと接していることになるわ。音楽が好きならロンドンは最高の街ね。世界中の音楽スタイルを見つけることができるし、近年のアフロ・ビートの流行を見てもわかると思うけど、アンダーグラウンドのものがすぐにオーバーグラウンドに上がる。私が音楽を始めた当初は、James Blake、SBTRKT、Burial、Samphaなどのエレクトロニック・ミュージックの最先端にいる人たちの影響を大きく受けた。今年リリースした2ndアルバム『Saturn』では、もう少しオルタナR&Bやソウルの要素を入れたの。それはSZAやSolange、Daniel Caesarといったシンガーが、これまでのR&Bアーティストとは違うクリエイティブな方法で飛躍することに刺激されたから。

――ロンドンのギルドホール音楽演劇学校(Guildhall School of Music and Drama)でジャズ・ボーカルを学んでいたことや、その後バック・コーラスとして多く務めていた経験が、あなたのシンガーとしての大きな基礎を形作っていると思います。その経験は、現在のボーカル・スタイルにどのように影響を及ぼしていると考えますか?

私は「1万時間の法則」(※1)の発想は正しいと考えていて。卒業後、Naoとして活動する前、私はセッション歌手、音楽教師、バック・ボーカリストとファンクション・バンド(※2)のシンガーとして何年か活動していたの。その頃からずっと今と変わらない歌い方をしてきたので、そういった経験がどの様に私のスタイルに影響を与えたかはわからない。でも、私をより良いボーカリストにしてくれたのは確かで、これらの経験にはとても感謝をしているわ。結婚式とかのパーティで5人の観客を前に歌ったりする経験をせず、若くしてレーベルとの契約に至ったら、今みたいに本当に楽しんでライブをすることができるかしらってたまに考えたりもするの。

※1. マルコム・グラッドウェルが著書で展開した、どんな分野でも天才と呼ばれる人は10000時間は練習や研究などに費やしているという持論
※2. 結婚式やパーティなどで演奏するカバー・バンド

――Tom Misch、Rex Orange County、Loyle Carner、しいてはAmy Winehouseなど、近年のロンドンではブリット・スクール出身アーティストの活躍も目覚ましいですよね。同じくロンドンの音楽スクール出身者として、ロンドンの教育環境がアーティストや音楽シーンにどのような影響を及ぼしていると思いますか?

教育はもちろんのこと、音楽スクールで一番価値があるのは、そこで作るコネクションや交友関係だと思う。私自身もジャズに関して多くのことを学んだけど、実は今のバンド・メンバーも音楽学校時代から知っている人たちだし、Kwabsの様な人たちにアドバイスを求めることができたのもそのおかげ。こういった環境は貴重だと思う。ブリット・スクールの卒業生に関しても同じで、サポートや協力してくれる人たちのネットワークが若い時からあっただろうし、それは全て学生時代に学んだことと同じくくらい重要なものなの。

――ニュー・アルバム『Saturn』のプロデューサーには、前作から引き続き、GRADES、Stint、LOXE、Royce Wood Juniorが参加しています。彼らとの音楽制作について、どのような印象を持っていますか。

彼らは私の昔からの友人で、彼らと共に仕事できたことをとても嬉しく思うわ。私はこれからも音楽を作り続けるし、彼らはそういった私の人生と音楽をより良いものにしてくれるの。

――Mura Masaがプロデュースした「If You Ever」では、6LACKをゲストに迎えた別バージョンが先行リリースされましたが、今作には収録されませんでした。この一連の背景にはどのような経緯があったのでしょうか。

6LACKはシーンに出てくるのが遅かったのは明らかよね。アルバム制作が終わって、リリース準備をしていた時に、6LACKがTwitterでコラボをしないかと提案してきたの。私は彼の音楽が大好きだったので、いくつかのトラックを送ったところ、「If You Ever」が彼の中でハマったみたいで。インスト版しか送ってなかったのに、すぐに反応してくれたの。私は彼がそこにラップを乗せてくれたことがすごく嬉しかったので、ラジオ・シングルのメイン・バージョンにしたの。アルバムには入っていないので、レーベルにはかなりのストレスを与えてしまったと思うけど、ストリーミング・サービスがある今の時代にはあまり関係ないことだと思って。準備ができ次第、いい音楽をリリースして、どうなるかを見る。2、3年かけて全ての卵をアルバムというカゴへ入れるといった流れは、もうなくなったんじゃないかなって。

――ソーシャル・メディアにまつわる精神的な悪影響について、そのようなノイズから意識的に距離を取っていることを「Drive and Disconnect」で歌っています。実際に、Twitter、Instagramは熱心に使ってなさそうですが、普段からどのようにソーシャルメディアと接していますか。

以前よりはSNSを使うことも増えたけど、確かに私は熱心なユーザーではないわね。人に何かしらの報告をすることは好きだけど、アーティストにとって一番大切なのは音楽だし、アーティストのことを知りたいなら、彼・彼女らのライブに行くべきだと思う。

――「Love Supreme」のラストに、日本語と英語のセリフが微かに聞こえてきました。恋愛における別れのニュアンスを感じたのですが、どのような内容なのか、そして誰の声なのでしょうか。

1stアルバムと2ndアルバムの間はとても難しい時期で、主に他の人の経験について読んでいたの。「サターン・リターン」(土星回帰)に関する説を見つけた時、自分が経験していることに説明がついたので、そこから関連する多くの動画や本を読んだわ。この学びや要素をアルバムのモチーフとして散りばめたいと思ったから、曲間で聴こえるものは全てこれらの断片なの。日本語の台詞は学校の友達の声です。彼・彼女も今作に携わったミュージシャンのひとりね!

――今後のコラボレーションについて、KAYTRANADAとThe Free Nationalsに曲を書いていると知りました。現段階では、どのようなコラボレーションになりそうですか。

これに関しては、終わるまで何も言えないけど、良いものになるので報告を待っていてほしいわ。

――自身のレーベル〈Little Tokyo Recordings〉という名前の由来について、元々あなたが好きなモダン・ジャズが、日本で広く聴かれていることに感心したエピソードが元になっていると知りました。日本滞在中の思い出を少し教えてもらえますか?

日本に来た時の思い出は良いものばかりね。最初は日本の音楽のほとんどがJ-POPとK-POPを中心に回っているんだと思っていたんだけど、日本人がジャズやソウル、R&B、そしてクラシック・ミュージックも好んでいることを知れたのは素晴らしい発見だったわ。Little Soul Caféでオーナーのレコードから初めて聴く曲が次々と流れるのを聴いていたのは、大切な思い出のひとつね。私たちが人として共有するもの、そして音楽が私たちをひとつにすることに気づかされました。

――今名前が挙がった下北沢にある「Little Soul Café」というバーでは、ウィスキーとともに楽しい時間を過ごされたそうですね。今回の来日で行ってみたいスポットはありますか。

スカイツリーに行ってみたいの。12月の来日時に、少し時間があることを願ってるわ。あとは渋谷のタワーレコードにも行きたい。

――日本のファンへメッセージをお願いできますか?

いつも応援ありがとう、愛してるわ。あなたたちは美しい国と文化を持っています。私の音楽が6,000マイル先に届いていることは不思議な気持ち。日本で公演ができることが未だに信じられないです。ぜひ公演を観に来て、楽しんでください。


【イベント情報】

NAO
日時:2018年12月6日(木) OPEN 18:30 / START 19:30
会場:東京・渋谷 WWW X
料金:前売り ¥6,000 (別途1D代)

※未就学児入場不可

企画・制作・招聘:
Live Nation Japan

協力:SONY MUSIC
お問い合わせ:
Live Nation Japan info@livenation.co.jp

チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット、iFLYERにてチケット発売中

公演詳細

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