INTERVIEW

MGMT

「『人々ともっと繋がりたい』という気持ちが強まった」――ポップな新作で帰還を遂げたMGMT。その変化の理由について語る

NYはブルックリンを拠点に、2000年代後半には時代の寵児とも言われたMGMTが、久方ぶりの新作『Little Dark Age』を2月14日(海外では2月9日)にリリースした。

セルフタイトルとなった2013年リリースの前作は、サイケデリックかつエクスペリメンタルな展開を多用した、いわばMGMTのカッティング・エッジな面にフィーチャーしたかのような作品だったが、今作ではそれが一転、ポップなメロディにフォーカスを当てたような楽曲が多数収録されている。
すでに先行公開されていた数曲でも、カムバックを祝う声が多数寄せられ、今夏“FUJI ROCK FESTIVAL’18”への出演も決定しているMGMT。果たしてこの変化は一体なぜ、どのようにして起こったのか。

今回はメンバーのBen Goldwasserに対して行われたオフィシャル・インタビューを掲載する。本稿は、よくも悪くも我々ファンの期待を裏切り続けるふたりの本音に近づくための絶好の資料となるだろう。

Translation:安江幸子


――およそ5年ぶりのニュー・アルバム発売、おめでとうございます。活動休止を経て再び音楽シーンへ戻ってきた現在の気持ちを教えてください。

Ben Goldwasser:僕もAndrewも、普通の生活を送るために少しオフを取ったんだ。それがまた音楽シーンへ戻ってきた今、役立っていると思う。自分がミュージシャンだってことにあまり周りから反応されない日常生活経験を経てね。ミュージシャンの自分たちについて、曲にするのにちょっと疲れちゃっていたからさ(笑)。休みを取ってよかったよ。
思うに、曲を書くための今までとは違う焦点が欲しかったんじゃないかな。その焦点を見いだすのに少し時間がかかったけど、今回のアルバム作りに本腰が入り始めたのは確か2016年の夏だったと思う。だから結構長い休みだったね。また一緒に作業するようになって、曲の構造やどんなことを歌うのかなどを、以前のプロセスよりも前の段階で考えるようになった。前はスタジオでジャムりながら考えることが多かったんだけどね。

――今作は、全作に関わってきたDave Fridmann(Mercury Rev)以外にも、Ariel Pink、Connan Mockasinらが参加していることも話題です。彼らがアルバムに参加した経緯を教えてください。

Ben Goldwasser:今出た名前以外にも今回大きく貢献してくれたのが、元ChairliftのPatrick Wimberlyなんだ。彼を起用
したのは、僕たち2人がスタジオにいるときに第3者にいてもらって、レコーディングの過程を進めてくれる人が欲しいと思ったから。セッションをまとめてもらったりするほかに、僕たちのアイデアを形にしたり編集したりするのを手伝ってもらおうと思ってね。本当に大きな助けになってくれたし、僕たちが音楽に自信を持てるようにもしてくれた。色んなことを「イエス」と認めてくれたからね。とにかくすごくポジティヴな人なんだ。僕とAndrewは、ネガティヴとは言わないけど自分に厳しすぎるところがあるから、Patrickがいてくれて助かったよ。

そして他の人たちがセッションに参加してくれたのはPatrickのアイデアなんだ。通常僕たちが作業するときは隔離されたようなクローズドな状態でひたすら音楽に没頭する感じなんだけど、Patrickが「色んな人にセッションに立ち寄ってもらうのがいいんじゃないか」と言ってくれてさ。彼のアイデアでAriel Pinkに来てもらったんだ。ArielはPatrickと長い付き合いだからね。それで彼が来てくれて、結果アルバムの一番最初に出来上がった曲を一緒に完成させてくれたんだ。それが「When You Die」。この曲はすごく早く書き上がってね、過去の作業の仕方とは全然違っていた。
ああいうやり方で曲を仕上げることができるなんて、ショッキングと言ってもいいくらいだったよ(笑)。それがよかったのか、この曲がきっかけでペースを掴むことができるようになったんだ。全体的にもレコーディングのプロセスに光が差したような感じになったし、もっと楽しめるようになったんだよね。

あと、Connan Mockasinとは元々仲がいいんだよ。特にAndrewとConnanがね。AndrewはLAに来るとConnanの家をホームベースにするんだ。そういうこともあって、何回も立ち寄ってくれたね。

――前作はどちらかというと難解な曲が多かったと思いますが、今作はデビュー作にも通じるようなポップな楽曲が収録されています。この変化の要因はあなた自身はどう解析していますか?

Ben Goldwasser:今作は「曲を親しみやすいものにしたい」という意識が強かった初めてのアルバムだと思う。1stアルバム(2007年作『Oracular Spectacular』)のときはそういうことをあまり考えていなかったし、前作は特に内省的かつ内向的だったと思う。それは僕たちがそうしたかったからなんだけど、ダークで理解不能な面もあったと思うんだ。だから、意図的にああいう内容になったけれど、のめり込んで聴いてくれる人があまりいなかったというのも理解できる。今作で「ポップな曲をもっと入れたい」と思ったのはクレイジーな数年だったのも一因かもしれないけれど、「人々ともっと繋がりたい」という気持ちが強まったからなんだ。世の中的にも個人的にも色んな変化があったから、みんなの気分が晴れるような、とにかくポップで踊れる感じの曲が欲しかった。

――ポップな要素が多いアルバムですが、タイトルは『Little Dark Age』です。何故このタイトルになったのでしょうか?

Ben Goldwasser:僕たちの好きな音楽の多くが「曲調はハッピーなのに歌詞はダーク」な感じだったんだよね。その影響が大きかったと思う。そういうのが、いつの時代も強い伝統になっている気がする。何て言うのかな……、世の中で起こっている嫌なことを認識することも大事だけど、その重苦しさを少し緩和するというか、ユーモアで対処するのも大切だと思うんだ。個人的にはいい対応方法だと思うよ。

――それもあって、ただの『Dark Age』ではなく『Little Dark Age』なのですか?

Ben Goldwasser:それはあるね。ダークな時期の真っ最中にいる時はそこに終わりを見いだすのが難しいから、「出口はあるんだぞ」と認識するのは大切だと思うんだ。「うわ、これは人生最悪だぞ」と思うよりも、将来振り返ったときに「ああいうこともあったけど何とか乗り越えられた」と思えるんだ、と知ってたほうがいいからね。

――MGMTは今までフェス&単独と何度も来日を果たしていますが、日本での一番の思い出は何ですか?

Ben Goldwasser:日本へはもう何度も行ってるけど、どんどん居心地が良くなるんだよね。フライトの長旅さえも苦にならない。行く度に好きになるから、もう住んじゃおうかなと思ってるくらいだよ(笑)。

――日本のファンへメッセージを。

Ben Goldwasser:とにかく、いつも僕たちを応援してくれてありがとう! フジロックで沢山の人に会えるといいな。また日本に行けることになって本当に嬉しいよ!


【リリース情報】

MGMT 『Little Dark Age』
Release Date:2018.02.14 (Wed.)
Cat.No.:SICP-5612
Price:¥2,200 + Tax
Tracklist:
1. She Works Out Too Much
2. Little Dark Age
3. When You Die
4. Me and Michael
5. TSLAMP
6. James
7. Days That Got Away
8. One Thing Left To Try
9. When You’re Small
10. Hand It Over

※国内盤(対訳、解説付き)

・プロデュース:MGMT、Patrick Wimberly (ex:Chairlift)、Dave Fridmann (Mercury Rev)

・ゲスト参加:
Ariel Pink:M1(バック・ボーカル、シンセ)、M3(作詞作曲、バック・ボーカル、ギター)
Allen Norton:M1(ボーカル)
Patrick Wimberly (ex:Chairlift):アルバム・プロデュース、M3(パーカッション)、M4(ボーカル)、M7(作曲、パーカッション、ベース)、M9(ビブラホン)
Sébastien Tellier:M3(バック・ボーカル)
Connan Mockasin:M3(バック・ボーカル)、M7(作曲、ギター)

■MGMT 日本オフィシャル・サイト:www.sonymusic.co.jp/mgmt

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