INTERVIEW

KANDYTOWN

KANDYTOWNがコロナ禍で意識したこと。新作『LOCAL SERVICE 2』に込めた想いとは

KANDYTOWNの2021年第一弾リリースとなる『LOCAL SERVICE 2』は、昨年の緊急事態宣言中に “STAY HOME EDITION”としてYouTubeへアップされた「One More Dance」、「Faithful」、「Dripsoul」の3曲をアップデートしたものを含む、計6曲入りのEPである。

今回はその内の5曲のサウンド・プロデュースとミキシングを担当したKANDYTOWNのサウンドの要であるNeetzと、今やシーンでも指折りの存在感を放つラッパーであるKEIJUに話を聞いた。新作『LOCAL SERVICE 2』について、そして浮き足立たずに“普段と変わらないこと”を選んだKANDYTOWNの2020年について。

Interview & Text by Sota Nagashima
Photo by Hideya Ishima


「変わらない自分たちをみんなに見せる」

――まずは昨年の緊急事態宣言期間中に“STAY HOME EDITION”を制作するに至った経緯から教えていただけますか?

Neetz:昨年の3月に「PROGRESS」をリリースした頃から、みんなで「自分たちのスタジオがあれば、もっとすぐ集まって曲を作れるようになっていいよね」という話をしていて。それから実際にスタジオを作る作業をして、完成すると同時にちょうど緊急事態宣言が出たんです。でも、どうせだったらこのタイミングで曲を作ろうと。それがきっかけです。

――それまでKANDYとしてのスタジオはなかった?

KEIJU:それぞれ個人で曲を録れる環境はあったんですけど、ちゃんと大人数で集まれる環境がなくて。これまでKANDYとしての作品は、仮録りは各自でやってきて、本番はillicit tsuboiさんのスタジオで録るという形が多かったんです。でも、今回に関しては全部自分たちのスタジオで完結させました。ミックスはNeetzがやって、レコーディングもエンジニアもやって……という形で作ったのは、メジャー・リリース以降では今回が初ですね。

――すごい、じゃあ今はみんなが一堂に会せるKANDYTOWN STUDIOがあるんですね。

KEIJU:そうなんです。ずっと作りたいと言っていて、今回それが実現したという形です。

――先程の3月にそのスタジオで曲を作ろうと最初に言い始めたのは誰だったんですか?

Neetz:きっかけはIOですかね。

KEIJU:細かい話をすると、IOくんが柊平(HOLLY Q)とスタジオに置く家具や電気とかを買いに行った帰りに、曲を作ろういう話になって。それでできたのが「One More Dance」で、そこからの流れで作っていった形ですかね。

――“STAY HOME EDITION”で公開された「One More Dance」、「Faithful」、「Dripsoul」の3曲には全てIOとHOLLY Qが参加されていますもんね。まずその2人が中心になって始まったと。

KEIJU:そうですね。

――緊急事態宣言中にKANDY全体でのコミュニケーションはあったんですか?

KEIJU:ZOOMとか、みんなで一回やったよね?

Neetz:そうだね、ZOOM会議したね。そこではEPとしてまとめて出そうという話とか。

KEIJU:でも、ものの数分で終わったよね(笑)。その頃のZOOMの流行りに乗ってみたけど、「ウィッスー」って言い合って、ちょっと喋って即行で終わった。

――(笑)。

KEIJU:コミュニケーションという話で言えば、自分は今スポーツを結構やっていて。それはDony Jointが最初に声掛けを始めて、こんなご時世でもキャッチボールだったらできるんじゃないかみたいな感じで、多摩川の河川敷とかでやっているのに呼ばれて。そこにGottzや他のメンバーも来るようになったりして。野球とか全然やったことなかったけど、このコロナ禍で始まった新しいコミュニケーションですね。

Neetz:そうだね。後は、RECの時に集まって話したり。車の中で話すことも多いんじゃない? いいと思う曲を聴かせあったり、自分のビートを聴かせたり。そういう日常の中でのコミュニケーションが多いよね。

KEIJU:やっぱりどこかしらみんな不安なんだろうなというのは自分も含めて感じていて。でも、その中でもキャッチボールとか、そういう形でみんなに会えていたことで心を保てた気がしますね。

――そんな中、“STAY HOME EDITION”と題してYouTubeに楽曲を公開しようとしたのにはどんな想いがあったのでしょうか?

KEIJU:周りに普通の仕事をしている友達もたくさんいて、そういう人たちが「大変だ」と言っている時に、自分たちは曲を作ることとか普段と変わらないことをやらせてもらえていたので、そこはありがたいなと思っていました。自分はソロのアルバムを作っていたこともあって、“STAY HOME EDITION”を作り始める時は、あまりみんなのところに行かずに会わないようにもしていたんです。

――そうだったんですね。

KEIJU:それから今作に収録されている「Sunday Drive」という曲を作った時に久しぶりにみんなに会って、率直に嬉しいし楽しかった。曲に関して言えば、そういう自分が出ちゃいそうだったから、普段の自分も保てるようにと言葉を書いていました。特に世間に向けてこうでなきゃとか、そういうことはなかったけど、変わらない自分たちをみんなに見せることで安心してもらえるのかなとも思って。こういうことをやっていて間違いないだろうなというのを実感しながらやれていた気がします。

―「Sunday Drive」のフックでも、<自分に釘を刺すように書くリリック>と書かれていますもんね。

KEIJU:そうです。「会えて嬉しいです」とか、「楽しいね、今」みたいなことを書きそうになるテンションだったので(笑)。自分たちのやっていた活動が自然と身体にあるから、そういう風な言葉になったと思うんですけど。

――Neetzさんはいかがでしたか?

Neetz:あの時はどの情報が正しくて間違っているかとか、自分は考えられなかったので、とにかく制作するしかないと思っていました。だから、できることといえば制作に集中して曲を作って、みんなに聴いてもらうことしかないので、そういう気持ちが詰まった曲たちだと思います。

――色々なノイズが多かった年だと思うんですけど、制作に結構集中できていた?

Neetz:逆に集中できました。ありがたいことだと思うんですけど、やっぱりあのタイミングでみんなが集まったことがデカくて。これはもう俺はやるしかないなと、全力で音楽作りに集中しました。


「自分に釘を刺すように書くリリック」

――そんな2020年を改めて振り返ってみて、どんな年でしたか?

KEIJU:自分はソロもやらせてもらっていたので、ちょうど同じような時期にアルバムを作って、それに付随してビデオを撮る稼動などもあったから、そんなに2020年は違ったという思いはあんまりなくて。思い返してみればライブができなかったり、所々で変わったなと思うことももちろんあるけど、自分の中では精一杯生きていた感じがある。ニュースは見て色々なことを把握していたけど、自分の力で何か変えられるとも思ってなかったので、SNSなども意識的に見ないようにしたり。応援してくれる人の力になれるようなことだけを考えようと、自分もみんなも考えていたと思います。

――メンバー内でも、俺たちはいつも通りでいようと話していたということですか?

KEIJU:実際にいつも通りでいようぜと話していたわけではないです。KANDYTOWNって、例えば礼儀正しさなどを重んじていたり、世間がイメージするラッパー像とは少し違うと思っていて。そういう意思統一しなきゃという文化もなくて。「これはこうでしょ」って、当たり前になっているから、それをワザと口に出すことはしない。小さい頃から同じ空気を吸ってるから、そういう価値観は共有できていて。今回も「世間的にこうだからこうしよう」という話は一切してなくて。

Neetz:まず曲を持ってきた、という感じだよね。

KEIJU:うん。曲を持ってきて、誰がこういう時にやれるのかっていう試し合いというか。「やってやろうぜ」という気持ちからスタートしているプロジェクトですね。

――では、元々は6曲入りEPの『LOCAL SERVICE 2』としてリリースするアイディアではなかった?

KEIJU:元々のアイディアではないです。パッケージにしようという話は多分していたんですけど、『LOCAL SERVICE 2』として2月14日に打つという段取りはしていなかった。ステイホームの時に集まってバッっと作った物は、みんなも待っているだろうし、とにかくステイホーム中に出そうというのがIOくんとかの中にあった。

――なるほど。

KEIJU:でも、あり得ないスピード感で出していっていたものだったし、最初はタイプ・ビートだったので、Neetzからも変えたいところとか意見がどんどん出てきて。それだったらパッケージにしようという話に徐々になっていきました。その時は今出してもライブもできないし、来年2月ぐらいにはもう少し動きやすくなっているかもとワーナーとも話して。それから、YUSHIの命日である2月14日に最初の『LOCAL SERVICE』も出していたので、2作目としてリリースしようという流れです。

――「One More Dance」、「Faithful」、「Dripsoul」の3曲は先のYouTubeに上げられていたバージョンもカッコよかったですが、今作でかなりアップデートされていますよね。「One More Dance」なんかは爆音で聴いても気持ちいい、クラブ映えしそうな仕上がりになっているなと。

Neetz:元の“STAY HOME EDITION”も、あれはあれでKANDYTOWNっぽさがあっていいと思うんですけど、トラックメイカーとしては自分のトラックじゃないから、自らの挑戦としてガラッと変えようと思って作りました。でも、型はできたけど2バース目をどうしようか悩んでいた時に、ワーナーから他の人とコラボしたらいいんじゃないかという提案をいただいて。そこで元々Yaffleくんと繋がりがあったので、一緒にやらせていただきました。

――Yaffleさんとはどのような話をされていたんですか?

Neetz:Yaffle君に「足りないところは何だろう?」と聞いたら、俺が渡したトラックにめちゃくちゃ色々な要素が足されたやつが送られてきて。そこから削ぎ落とす作業を自分でしたという感じですね。

――2バース目以降の叙情的な展開は、Yaffleさんのアイディアも含まれているのでしょうか?

Neetz:そうですね、その2バース目のストリングスと大サビの部分のシンセがそうです。今回Yaffleくんのおかげですごくよくなりました(笑)。

――KEIJUさんは、Ryohuさんによるトラックの「Sunday Drive」で参加されていますよね。

KEIJU:そうです。今回ビートを送ってもらって、自分が聴いていいなと思った頃には、みんなのスピード感がすご過ぎてもうラップが入っていて。でも、それからスタジオでNeetzと話していたら、Neetzが俺もラップしたいって言っていて。それで自分のビートだと飽きたから、他の人のビートでラップしたいということで、Ryohuくんのビートをチョイスした感じだよね。

Neetz:そうだね。

KEIJU:さっきも言ったように、最初にバースを描き始めようとしたらちょっと浮き足立ってしまっている気がしたから、サビからまず作ろうとなって。そこでたぶん、みんな自分の<自分に釘を刺すように書くリリック>というのを題材にして、ヴァースを書いていってくれたんだと思うんだけど……、どう?

Neetz:そうだね。あれがあったから自分に向けて書くみたいなところに続いていったんだと思う。

KEIJU:他の人とか世間のこととか書いちゃいそうな時期だったから。そこは自分で固定しておこうと思っていました。

――それに続くMUDさんとGottzさんによる「Coming Home」は結構シリアスな曲ですよね。

Neetz:MUDはまさにステイホームの期間中へ向けた曲を作っていたと思います。「心配要らないよ」というような。

KEIJU:最初に聴かされた時からすごいいい曲だなと思って、特にあの時期だったのでめっちゃ沁みましたね。これまでも「MUDがいるから大丈夫」と思える曲は多かったけど、今回も彼の人が出ているなと思います。MUDは優しい心でできた人だから。

――でも、今作はEP全体を通して元気を与えてくれるというか、「大丈夫だよ」と言ってもらっているような気がしました。

Neetz:それは嬉しいですね。

KEIJU:みんなが目指していた1番はそこだと思います。


「KANDYで作る音楽をネクスト・レベルへ」

――KANDYTOWNはこれまでもこれからも常に刺激を与え続け合う仲間だと思いますが、最近改めて気付いたことや発見ってありますか?

KEIJU:最近みんなといると、ふとした時にすごい面子だなと思ったりすることがあります。例えば、Gottzは友達としてだけじゃなくひとりのアーティストとして見るようになったし、柊平も俳優として頑張っているし、本当にみんなすごい(笑)。別に仕事がどうとかじゃなく、プライベートでもカッコいいと思えるし。

――なぜ最近そう思うようになったんですかね?

KEIJU:こないだMVを撮った時に、昔は自分が歳下で色々と気にかけて動かなきゃいけないと思っていたけど、今はプレイヤーとして専念させてもらえるようになった。現場に行けばスタッフがいて、メンバーはみんなキマッてるのを見て、もう安心して自分のことだけ集中していればいいんだと思えるようになった。映像監督のdutch(山田健人)も18、19歳ぐらいの時のひとりで現場に来ていたころから見ていて。当時は自分がカメラを持つ手伝いとかしていたけど、今はもうたくさんのスタッフを従えてやっているのを見たりすると、すごいなと思います。ありがたい場所にいさせてもらえているなと率直に感じますし、頑張ろうって思えますね。

Neetz:俺は人間的にはもちろんだけど、どっちかというとみんなのソロ・アルバムとか楽曲を聴いて常に刺激を受けています。よくも悪くも視野が狭いというか、仲間以外はあまり見ていないのかもしれない。やっぱり彼らに俺の曲を使って欲しいと思うし、もっとできるなと思ってその度に刺激をもらえる。後は、ファッションもIOやKEIJUとかはカッコイイし、それも刺激を受けます(笑)。

――毎回インタビューする度に本当にいい関係だなとつくづく思います。改めて、今作がKANDYの2021年初リリースですが、本来であれば今後ライブやツアーという流れもあったと思うのですが、引き続き世間は厳しい状況が続いています。そんな中でも「今年はこんな年にしよう」という思いはありますか?

KEIJU:KANDYで作る音楽をネクスト・レベルへ持っていきたいです。ひとりでやるのもいいんですけど、見てる人もみんなでいるところを見た方が元気になるだろうなと思うし。今は難しいけど、みんなでステージに立てる機会が増えていくような曲、自分たちに刺さるような曲を作れたらいいなと思います。

Neetz:自分としてはKANDYの次の制作を頑張りたい。今作の音の部分に関しては結構自分ひとりで進めた感じがあるので、次の作品はもっと音の部分でもみんなから意見を聞いたりして、さらに濃厚で“KANDYTOWNを凝縮した作品”にしたいなと思っています。その他にもMUDとずっとアルバムを作ろうと話していたりするので、とにかく制作に集中していきたいです。

KEIJU:自分たちにしかできないことに挑戦しようという話はずっとしていて。世田谷区内のどっかを借りて、地元で自分たちにしかできないライブをやろうという話だったりとか、こういうコロナ禍でもやれるライブをしようという話もしています。KANDYTOWNはワーナーに所属させてもらっているけど、ソロでの動きやチャンスも色々あるので、レーベルとしての動きというか、チームとしてそういう話もサポートしていけるようにしようと。もっとみんなで共有して動くという感じになって、音楽の質も上がるかなと思うので。これから楽しみですね。


【リリース情報】

KANDYTOWN 『LOCAL SERVICE 2』
Release Date:2021.02.14 (Sun.)
Tracklist:
1. Faithful (Lyric:IO, Ryohu, Neetz, Holly Q, DIAN Music : Neetz)
2. One More Dance (Lyric:IO, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
3. Dripsoul (Lyric :IO, Ryohu, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
4. Sunday Drive (Lyric : Dony Joint, KEIJU, Neetz, MASATO Music : Ryohu)
5. Coming Home (Lyric : MUD, Gottz Music : Neetz)
6. Sky (Lyric: BSC, Ryohu, MUD, DIAN Music : Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by Neetz at Studio 991
Masterd by Joe LaPorta at Sterling Sound 
Sound Produce: Neetz (M-1,2,3,5,6), Ryohu (M-4)
Additional Arrange: Yaffle (M-2)
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

==

KANDYTOWN 『LOCAL SERVICE COMPLETE EDITION』
Release Date:2021.04.21 (Wed.)
Tracklist:
[DISC 1:LOCAL SERVICE]
1. Prove (Lyric: Gottz, KEIJU, MUD Music: Neetz)
2. Till I Die (Lyric: Ryohu, MASATO, BSC Music: Neetz)
3. Explore (Lyric: Gottz, MUD, Holly Q Music: Neetz)
4. Regency (Lyric: MASATO, Ryohu, KIKUMARU Music: Neetz)
5. Fluxus (Lyric: Neetz, DIAN, Dony Joint Music: Neetz)
6. Kapital (Lyric: BSC, KIKUMARU, Dony Joint, DIAN, Ryohu Music: Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by The Anticipation Illicit Tsuboi at RDS Toritsudai
Masterd by Rick Essig at REM Sound
Sound Produce: Neetz
Additional Arrange: KEM
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

[DISC2:LOCAL SERVICE 2]
1. Faithful (Lyric:IO, Ryohu, Neetz, Holly Q, DIAN Music : Neetz)
2. One More Dance (Lyric:IO, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
3. Dripsoul (Lyric :IO, Ryohu, Gottz, Holly Q Music : Neetz)
4. Sunday Drive (Lyric : Dony Joint, KEIJU, Neetz, MASATO Music : Ryohu)
5. Coming Home (Lyric : MUD, Gottz Music : Neetz)
6. Sky (Lyric: BSC, Ryohu, MUD, DIAN Music : Neetz)

Produced by KANDYTOWN LIFE
Recorded & Mixed by Neetz at Studio 991
Masterd by Joe LaPorta at Sterling Sound
Sound Produce: Neetz (M-1,2,3,5,6), Ryohu (M-4)
Additional Arrange: Yaffle (M-2)
Art Direction: IO, Takuya Kamioka

■KANDYTOWN:Twitter / Instagram

Spincoaster

Spincoaster

Spincoaster(スピンコースター)は、独自に厳選した国内外の新鋭MUSICを紹介する音楽情報メディアです。