INTERVIEW

Babaganouj

オーストラリアはブリスベンからハッピーなサウンドを鳴らす4人組、Babaganouj! 昨年の来日時に行ったインタビューをお届け!

悲しい曲ですら、彼らの手にかかるとハッピーなアンセムになってしまう。昨年10月、オーストラリアはブリスベンを拠点に活動するインディ・ロック・バンド、Babaganouj(バブガニューシュ)の初来日ツアーが昨年10月に開催された。

彼らは2011年から活動を開始し、現在のバンドの形態になってから1st EP『Pillar Of Light』にボーナス・トラックを加えたアルバムで2016年に日本デビュー。続いて2017年3月には新作3rd EP『Clarity Restored』をリリースした。

キャッチーなガレージ・サウンドに乗せた、男女ボーカルで歌われるわかりやすくシンプルなリリックは、誰も彼もが思わずシンガロングしたくなる。爽やかでピュアな懐かしいギター・サウンドは、ロックを聴き始めたばかりのようなティーンから、往年のロック・ファンまで、ここ遠く離れた日本でも早耳リスナーの心を掴み、ツアーも盛況。

そのツアー最終公演の直前に、バンド結成についてからオーストラリアの音楽シーンの現状についてまで語ってもらった。楽しそうに音楽について話す彼らの人柄が、彼らの音楽性にも直結していることをこのインタビューから読み取ってもらえれば幸いだ。

Text by Aoi Kurihara
Header & Live Photo by Takazumi Hosaka

[L→R:Charles (Gt./Vo.)Harriette (Ba./Vo.)Ruby (Gt./Vo.)George (Dr.)]


――さて、本日(10月8日)がジャパン・ツアーの最終日ですが、いかがでしたか? 何か感想を教えてください。

Charles:とても楽しかったよ! 以前、日本には旅行で来たことはあったけど、今回は僕らにとっての初めての日本公演だったからね。

Harriette:ね、とても楽しかったわ。日本にライブをしに行くということに対して、オーストラリアの友達からもいいリアクションをもらえたし。

――日本とオーストラリアとではライブに来ている観客の反応は異なりますか?

Harriette:ええ、全然違うわ。日本でのライブの方が、本当の私たちのファンが来てくれるという感じね。

Charles:日本では良いインディ・ロックのコミュニティがあるように思う。

Ruby:オーストラリアはもう少し、コミュニティが狭いように感じるの。

Harriette:日本のみんなはどこのエリアに行っても親切で礼儀正しいわね。オーストラリアだとみんなバンドを観に来るというより、お酒を飲みに来て、たまたまその日そこでやっているバンドを観ているというだけ。日本だと、みんな開演前から私たちのショーを観るためにライブハウスに来てくれるのよね。

George:それと、日本のオーディエンスは静かにライブを聴いてくれるね。オーストラリアの観客はいつもしゃべっているから。

Harriette:日本のファンとオーストラリアのファンは両方ともファッショナブルなんだけど、やっぱり国によってトレンドが違うから、彼らのファッションからも異なるテイストを感じたわ。

――Babaganoujのメンバーもみんなお洒落ですよね。ファッションにこだわりがあるように思いますが、何かバンドとしてのテーマやドレスコードのようなものを設けていたり?

Harriette:ありがとう。バンドとして、という点では特にないわね、いつもライブの時は大体ジーンズにTシャツよ。その方が楽だからね。これがオーストラリアのスタイルね。

Charles:僕はキャップを被るのが最近のスタイルだね。

――なるほど。早速ですがバンドについてお伺いしていきたいと思います。Babaganoujiは、Charlesがまず一人でスタートさせ、Hariette、Rubyと参加し、最後に今年Georgeが加入して今の体制となったわけですが、そもそもみんなどのようにして知り合いになったのでしょうか?

Harriette:Charlesと私に共通の友達がいて、彼がベースを探していたから私にFacebookでコンタクトをとってきたの。それまでは一度も会ったことがなかったわ。

Charles:Harietteの方が僕より若いんだけど、学校の友達を介して知り合ったよ。

Harriette:私はRubyと別のバンドをやっていたんだけど、Babaganoujiの方でギターがもうひとり必要になったから、彼女と一緒にやることにしたの。Georgeとは別のバンドでプレイしていた頃に知り合って、前のドラムが抜けたタイミングで彼にお願いしたの。ブリスベンの音楽コミュニティーはとても狭いから、みんなお互いのことをよく知っているのよね。

――それぞれの音楽的なバックグラウンドをお伺いしたいです、いつ頃から楽器を始めたのでしょうか?

Charles:小学校の時に学校の部活でトランペットをやっていたのが最初だね。13歳の時にギターを初めて、高校生の時にはバンドを組んでいたよ。友達に教えてもらっていたね。

George:僕は7、8歳の頃にドラムを始めたよ。といっても簡易的なドラムキットだったんだけどね。大学ではジャズ・ドラムを習っていたんだ。ちなみにRubyのボーイフレンドと一緒だったんだよ。

Ruby:私も小さい頃からギターを弾いていたわ。

――BabaganoujはThe Beatlesみたいなロック・クラシックから、Wolf Aliceのような最近のインディまで、幅広く影響を受けていると聞きましたが、楽器を始めたティーンエイジャーぐらいの頃はどういった音楽を聴いていたのでしょうか?

Ruby:私がギターを始めた頃はRamonesが好きだった。

George:うーん、今思うと当時は全然クールじゃないパンク・バンドを聴いてたね。

Charles:僕はオーストラリアの90年代頃のバンドが好きだったね。でも、全然有名なバンドではないから、日本では誰も知らないかも(笑)。当時の主な情報源はラジオだったんだ。

George:インターネットが普及してから、僕らだけでなくみんなだと思うけど、よりオーストラリア以外の国の音楽も聴くようになったよね。アメリカとかイギリスのバンドとか。

――前回のインタビューではイギリスのWolf AliceやカナダのAlvvaysから影響を受けていると答えていましたよね。

Charles:アメリカやイギリスの方がアルバムを継続的にリリースしやすい環境があると思うんだよね。だから必然的に海外のバンドの方が聴きやすかったりする。オーストラリアではアルバムという形でのリリースは中々難しいんだ。というのも、コミュニティも狭いしアルバムのリリースにはお金がかかるからね。

Ruby:そう、それもあるし、インターネットではUS/UKのバンドの情報が多くて情報が手に入りやすい。だからオーストラリアの人は意外に自分の国のバンドを知らなかったりするのよ。

――2017年は3枚目のEPをリリースしましたが、これはセルフ・プロデュース作?

Charles:そうだね。友人にも手伝ってもらったから完全にセルフ・プロデュースというわけではないけど。ミキシングとかは友人に頼んだりして、完成させたんだ。

Ruby:普通は曲作りが完成したらスタジオに行って篭って作品を作るっていう感じだと思うんだけど、私たちはもっとライブをやりたいのよね。

――なるほど。オーストラリアではそういうセルフ・プロデュースだったりDIYなスタイルで音楽活動をすることが当たり前なのでしょうか?

Ruby:ええ、そう思うわ。その方が安く済むもの。オーストラリアには多くのレコーディング・スタジオがあるし、自分たちでやった方が簡単に済むし安いわね。

George:スタジオに行くのは楽しいけど、パパッと終わらせたいしね。ニュージーランドに行くともっと安いかも。

Charles:メルボルンはスタジオが多いんだけれどブリスベンはあまりないんだよね。

George:そうだね、ブリスベンは狭いからプロフェッショナルなスタジオは2つぐらいしかないかも。そんなには多くない、だからDIYでやる方が楽なんだよね。

――あなたたちの地元、ブリスベンとオーストラリアの主要都市であるシドニー、メルボルンの音楽シーンの相違点を教えてください。

Ruby:今話したように、レコーディングに関する部分は違ってくるんじゃないかと思う。

Harriette:ポピュラーな音楽スタイルというのも地域ごとに違うわね。メルボルンはもっとオーストラリアン・ミュージックって感じね。世界的にも有名なインディ・バンドやアーティストは、メルボルンが一番多いんじゃないかしら。

George:シドニーの音楽シーンは僕らと全然繋がりがないんだよね。というのも、商業的な音楽が多いのかな。TVによく出ているようなアーティストとか。コマーシャル的でエンターテイメント的なもの。

Harriette:ブリスベンは狭いコミュニティで、ライブハウスも限られてくるしお互いのことをみんなが知っているからライブがしやすいわね。

George:そうそう。ブリスベンで音楽をやっている人たちは、シリアスにやっているというよりも、楽しむためにやっているって感じかな。

――地域による変化は興味深いですね。では、EPの話に戻りますが、『Clarity Restored』というタイトルはどこから来ているのでしょうか?

Ruby:私たちは今までに3枚のEPを出していて、当然それぞれ違う内容になってるんだけど、タイトルがそれぞれのEPをよく表していると思っているの。私たちは共に長くバンドを続けてきて、ようやくこの3枚目のEPを出すに至った。それはある意味終わりであり、ある意味では新しいチャプターへ向かっているということ。だから、この『Clarity Restored』は、終わりであり始まりであることのメタファーかな。

――Babaganoujの楽曲は、シンガロングしやすいシンプルな歌詞が特徴だと思います。歌詞を書く際はどのようなプロセスを経ているのでしょうか?

Harriette:私、Ruby、Charlieがそれぞれ作詞を担当しているの。だから、それぞれのメンバーによって歌詞のスタイルは違うんじゃないかな。私はパーソナルな内容が多いかな。

Ruby:でも、最終的にはメロディに合わせていくから、歌いやすいように少し変化させていくことも多いわね。

――「パーソナルな内容が多い」とのことでしたが、個人的に思い入れの強い楽曲などがあれば教えてください。

Ruby:「Sorry」は元彼と別れた時の歌なのよ。すごく悲しくて、私には大きいできごとだった。でもそれを曲にすることで、気分がよくなったの。

Charles:僕も恋愛関係についての歌が多いかな。ラブ・ソングを書くのが好きだね。

――悲しい歌詞の曲でも、メロディはポップでハッピーな雰囲気を感じさせます。

Harriette:そうね。悲しい内容の歌をハッピーに歌う、そのコントラストが良いと思っているわ。

Ruby:だって、悲しい内容を悲しいメロディで歌った音楽を聴いたら、さらに悲しくなるでしょ? 悲しい内容でもハッピーな曲だったら、少しはマシな気分になるわ。

――「Star」のMVは誰のアイディアで作成したのでしょう?

Harriette:ある大学のプロジェクトで制作してもらったの。アニメーションのアイディアは監督のThomas Evansが持ってきたアイディアね。

George:撮影の機材とかは全部フリーだったんだ。僕らにとってはいいことだね。それこそDIYの精神だよ。

――他のMVとは異なるスタイルのMVとなっていますよね。

Ruby:「Sorry」は「Do Rite With Me Tonite」のMVと同じくJennifer Embeltonが監督しているの。

George:彼女は他にもブリスベンのミュージシャンのビデオを手がけているんだ。

Harriette:そうそう、ブリスベンの中だけではなくオーストラリアで有名だと思うわ。

――バンドがスタートしてからすでに長く経ちますが、フルレングスのアルバムはまだですよね。先ほどもオーストラリアではEPの方がリリースしやすい環境にあるという話がありましたが、今後もEPでリリースを続けていく予定なのでしょうか?

Harriette:ええ、そうね、フルレングスよりもこっちの方がストレスなく、すぐにリリースできるからね。

George:コストもカバーできるしね。レーベルと色々やりとりをしながら、フルレングスでリリースするよりも楽だよね。

Ruby:たぶん、来年またレコーディングするんじゃないかしら。そして、また日本に戻ってきたいわね。

――今のところ3枚のEPはCharlie、Ruby、Harietteの3人それぞれの写真が使われていたので、次はGeorgeですかね。

Ruby:そうね! 日本ツアーの間にちょうどその話をしていたのよね(笑)。


――あなたたちは普段、どのようにして音楽を聴いていますか? レコード? CD? もしくはストリーミング?

Ruby:レコードで買うことが多いわ。たいていダウンロード・コードが付いているし。Spotifyでチェックして、気に入ったものを買うっていう感じね。

Harriette:レコードだけど、ネットで買っちゃうわね。

――アメリカやイギリスを始めとした欧米各国では、すでにレコードとストリーミング・サービスが主流になってきていると思いますが、日本ではまだCDの人気も根強く残っています。

Ruby:そういう意味では、オーストラリアはアメリカやイギリスと同じような状況だと思うわ。

Harriette:だから、日本のタワーレコードにはCDがたくさんあってビックリしたわ。タワレコはインディ的なものじゃなくて、メインストリームのものが多いよね。

――今回、日本の色々なバンドとツアーをしましたが、気に入ったバンドはいましたか?

Harriette:もちろんどのバンドもよかったけど、Lucky Kilimanjaroのライブは特に楽しかったわね。それからLuby Sparksも好きだな。

George:Old Lacy Bedは名古屋で共演して、今夜も一緒なんだけどよかったね。ギターがクールだ。

Harriette:日本は女性のロック・ミュージシャンやサウンド・エンジニアもが多いわね。オーストラリアよりも多く感じて、ビックリしたの。

――そうなんですか? アメリカやイギリスなどのミュージシャンとのインタビューでも、音楽シーンは未だに男性社会だという話にはなりますし、日本も似たような状況なんじゃないかと思いますが。

Ruby:でも、女性のサウンド・エンジニアは、オーストラリアではまず見たことがないわ。あと、日本では特に女性のドラマーが多いことにもびっくりした! オーストラリアではあまりいないの。だから、日本に来て女性の音楽関係の人にたくさん出会えたことは、意外なことだったし、とてもいいことだった。

――その根底では、ジェンダーに対しての古い考え方が未だに残っていることが関係している?

George:いや、そんなに意識しているわけではないと思う。無意識にそういう状況ができているんじゃないかな。

Harriette:男がこうあれ、女はこうあれ、というルールとかではないの。でも、女性の方が音楽業界へのチャンスが少ないというのが事実ね。

――最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

Harriette:本当に多くの感謝しかないわ。日本ツアーはすごく楽しかった。みんなショーに来てくれてありがとう。全てのライブ会場がクールだったし、来てくれた人たちも優しかった。Spincoasterのバーもすごくクールだったわね。

Charles:またきっと日本に来るね!


【リリース情報】

Babaganouj 『Big In Japan』
Release Date:2017.09.20 (Wed.)
Label:2670records
Cat.No.:TSSO-1030
Tracklist:
1. 4u (acoustic version)
2. Star (acoustic version)
3. Cool Drinkin’
4. It’s Rainin’ It’s Summer

*紙ジャケット仕様
*歌詞カード付属

■アーティスト詳細:http://2670records.jp/?page_id=4759

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