INTERVIEW

asmi

20歳を迎えたasmiがハートウォーミングな新作『humming』を上梓。そこに刻まれた変化、成長の軌跡を辿る

大阪在住のSSW、asmiが新作EP『humming』を6月23日(水)にリリースした。

関西最大の10代才能発掘プロジェクト『十代白書2020』にてグランプリを獲得したほか、昨年飛躍的なブレイクをみせたRin音とのコラボ曲「earth meal」でも存在感を示したasmi。同年9月には1stアルバム『bond』をリリースし、その後もluvisやiCE KiD、MAISONdes、といったアーティスト/プロジェクトの作品にも参加するなど、急速的に活動のフィールドを広げている。

今回はそんなasmiにインタビューを敢行。前作リリース後から今作までに起こった変化、そして20歳を迎えた若きアーティストの現在地を紐解くことに。

Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by fukumaru


「直接みんなの前に歌いに行けなくても届くように、伝わるように」

――今年も半分過ぎましたが、専門学校を卒業し、20歳を迎え、初のワンマンも開催するなど、2021年はasmiさんにとって節目となるトピックも多いような気がします。この半年を振り返って、どう感じますか?

asmi:学校を卒業して以降、自分の作品や活動に向き合う時間がめっちゃ増えました。あと、20歳を迎えたことで、大人になったというか、自然と意識が変化していったようにも感じていて。だからこそ、今作『humming』ができたのかなって。

――大人になったなと思うのはどういった部分ですか?

asmi:歌詞にすごく表れていると思います。今振り返ってみると、前作『bond』の歌詞は少し破天荒というか、暴れてるようなイメージもあって(笑)。それに比べると、今作『humming』の歌詞は落ち着いたというか、大人になったなぁって思いますね。

――初のワンマン公演はいかがでしたか?

asmi:通常よりもキャパシティを減らしての開催だったんですけど、チケットはソールドアウトで。ワンマンもそうなのですが、自分が主役のライブ自体初めてだったので、すごく緊張しました。私、いつもめっちゃMCで喋っちゃうんですけど、その日は緊張のせいかめっちゃ早口で喋ってて。後でスタッフさんが撮ってくれた映像見たら本当に早送りかと思うくらい(笑)。

私は今まであまり自分に自信を持てていなかったんですけど、あの日は「愛されてるんやなぁ」ってすごく感じました(笑)。とにかく温かい気持ちになりましたし、これからも頑張るぞっていう活力をもらえましたね。

――前作『bond』から今作『humming』までの期間は変わらず曲を作り続けていたのでしょうか?

asmi:そうですね。今作収録曲以外にも新曲は作り溜めていて。今作はその中からコンセプトやカラーの合う5曲を選んで収録したという形です。

――そのコンセプトやカラーというのは、どのように言語化することができますか?

asmi:去年は〈ROOFTOP〉に所属することになって、色々な人と出会ったり関わるようになり、色々な感情に揉まれた。前作『bond』はそういった感情がいっぱい詰め込まれていたと思うんです。でも、徐々にそういう環境に慣れてきて、落ち着いた感じのときに作っていた曲が今作『humming』には詰まっていて。大人になったというか、穏やかなテイストで統一された作品だと思います。

――『humming』というタイトルにはどのような意味、想いが込められているのでしょうか。

asmi:“ハッキリ言葉にせずとも伝わるほどの想い”を表現したくて、『humming』と名付けました。コロナ禍で色々と大変ななか、直接みんなの前に歌いに行けなくても届くように、伝わるように。そんな気持ちを込めたかったんです。最近、SNSとかを見ていても暗いニュースやネガティブな感情が目につくことが多くて。もちろん怒ったりすることも大事なことだとは思うんですけど、それをちょっとでも和らげるような作品にしたいっていう気持ちもあります。


自身の成長、心境の変化がストレートに表れた新作『humming』

――『bond』のインタビューでは、人との関係性やそこで生じたストレスといった、ネガティブな感情がトリガーになって曲ができることが多いとおっしゃっていました。そういった創作の源も変わりましたか?

asmi:変わりました。去年はしんどいことの方が多かったんですけど、今は余裕ができてきて、自分よりも周りの人を大切にしたい。大事に想いたいという気持ちが溢れてきたんです。特に「糸電話」と「例えば」にはそういった温かい感情が強く反映されていると思います。

――例え自分が辛くても、相手の幸せを願う。「例えば」にはそんな感情が上手く表現されていますよね。

asmi:『bond』の頃はそういう感情を知らなかったんです。そういう気持ちを知れたのは、20歳を迎えて大人になったからなのかも。「こんな気持ち初めてや!」って思ったときに書きました。自分でもすごく大きい変化だなと思います。

――そういった感情は、どうして湧いてきたのだと思いますか?

asmi:周囲の人と関わっていく中で芽生えてきたんだと思います。出会いに恵まれたというか。

――また、確かに他者への愛情に溢れた楽曲だと思うのですが、同時にどこか別れを感じさせる作品でもありますよね。

asmi:確かにそうですね。ポジティブな気持ちで書き始めた曲でも、なぜか自然とそういう切ない物語になることが多くて。なんでなんですかね(笑)。

――「糸電話」はコンパクトな曲が多いasmiさんの作品のなかでは珍しく5分超えのナンバーで、歌詞の文量も多いですよね。単純に、それだけ気持ちが溢れている曲なのかなと思いました。

asmi:たぶん5分超えてるのって、私の曲のなかでは初めてじゃないですかね。意識したわけではなくて、言いたいことを書いていたら自然とこの長さになりました。この曲は恋人に限らず好きな人、家族や友人、もしくは私の曲を聴いてくれるリスナーさんなどが辛いとき、しんどいときに寄り添えるような存在でありたいと思って書いた曲です。ファンの方から「今学校の実習が辛くて」というDMをもらうことも多くて、そういったことにも影響されていると思います。

――今お話に出たように、アーティストの方はファンからDMなどをもらう機会も多いと思います。asmiさんはそういったファンの方との接し方について、どのように考えていますか?

asmi:できるだけ目を通して、可能な範囲で返信したいなとは思っているんですけど、自分に余裕がないときは返せないこともあって……。DMを返せなくても、作品を通して返答ではないですけど、その気持ちを掬い上げたいとは思っています。ファンの方も友だちのように大切に想いたいんです。


――ちなみに、今作で一番最初にできた曲は?

asmi:「Kiss me」は去年の2月くらいにはできていて、YouTubeにリリック・ビデオとしても上げていたのですが、今回は新たにアレンジし直して収録することになりました。

――「Kiss me」は男性目線で綴った曲ですよね。asmiさんの作品のなかでは少し珍しいタイプなのかなと。

asmi:(男性目線で歌詞を書いたのは)今のところこの曲だけですね。1年以上経っているので、当時何を思っていたのかちょっと覚えていないのですが、一人称を“僕”にして、男性から見た女性を描いてみました。

――先行配信曲となった「Mon Star」の《どんなにイヤミなmonsterだって 愛でほぐして笑い合おう》というラインには、先ほどおっしゃっていた今の社会を受けての感情が表されているようです。

asmi:そこに続く《地球儀みたいな掲示板だって 愛のこもった文字で》とか、まさに今のSNSのことなどを綴っていて。この曲は、実はRin音くんと作った「earth meal」の続編的なイメージで書いた曲なんです。「earth meal」では地球に取り残された2人を描いたので、この曲では舞台を火星にして。イントロとアウトロでぼんやり聴こえる部分では、地球と火星の距離(7,528万キロメートル)のことを歌っていたり。あと、Rin音くんの充電が苦手というキャラクターに合わせて、《充電ないって何 電話したのに 君ってほんともう 困っちゃうわ》っていうラインを入れてみたり(笑)。

――「Monster」を「Mon Star」と表記しているのはなぜなのでしょう?

asmi:「Mon」がフランス語で「私の」という意味らしくて。後ろに「Star」を付けたら「私の星」という意味になるやんって思って。別にフランス語に特別詳しいわけではなくて、たまたまなんですけど。実はこの曲、《私を乗せて煌いて》という歌詞もあるので、最初は「ほうき星」という仮タイトルを付けていたのですが、作っている途中で今言ったアイディアを思いついて変更しました。

――「Mon Star」は作編曲にニューリーさんもクレジットされています。彼とはどのようなやり取りを?

asmi:最初にギターの弾き語りで作って、このデモにトラックを作ってほしいってお願いしたんですけど、ニューリーくんから返ってきたトラックが良すぎて、私の歌が負けてるなって感じたんです。元のコードも変えられていたということもあって、歌詞も全部作り直しました。ニューリーくんのトラックに感化されてできた曲という感じです。

――EPの最後に位置する「labyrinth」は、ヒップホップ的なトラックが印象的です。

asmi:「Mon Star」と同じくトラックに引っ張られた曲です。夏前にリリースされるのに、夏っぽい曲がないなと思って、夏にドライブで聴きたい感じをイメージして作りました。トラック先行の曲って、今まで発表してきたなかだと「Mon Star」、「labyrinth」と、「memory」(プロデュースはmashima soshi)の3曲になんですけど、徐々にこういう作り方も向いてるのかもって思ってきました。

――個人的に、サビ前のボイス・サンプルの感じがすごくTaro Ishidaさんっぽいなと思いました。

asmi:ですよね! 私もそう思いました。

――これまでも指摘されることが多かったと思うのですが、ラップのようなフロウや韻の踏み方というのは、自然と身に付いてきた感覚なのでしょうか。

asmi:ラップをめちゃくちゃ聴いてきたというわけではないので、Rin音くんとか身近な方だったりの作品を聴いているうちに、自然と影響されているのかなって思います。


「みんなの生活の主題歌になりたい」

――自身を取り巻く環境と、意識が変わった今、asmiさんはどのようなアーティストを目指していますか?

asmi:うーん……これは以前から言っていることなのですが、ドラマの主題歌を歌えるようなアーティストさんになりたいです。私自身、ドラマが大好きだというのもありますし、みんなの生活の主題歌になりたいなって。日々の生活でしんどいときに、ドラマの主題歌を聴くと自分が主人公になったような気持ちに思えて、救われることってあるじゃないですか。自分もそういう体験があったからこそ、今度は自分がそういう作品を多くの人に届けることができればなって思います。

――asmiさんが好きなドラマ、もしくはドラマの主題歌を挙げるとすると?

asmi:好きな主題歌はいっぱいあり過ぎて悩みますね……。めっちゃ好きなドラマは『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』で、そのサントラもいつも携帯に入れて、よく聴いています。ちょうど『いつ恋』を観てるとき、お姉ちゃんが上京した時期で、ドラマの舞台も東京だったので、私の東京への憧れが大きくなった作品です。

最近だと『ダメな私に恋してください』の主題歌だったaikoさんの「ハニーメモリー」も大好きですね。聴いているとめっちゃ主人公になった気持ちになれます。『恋はDeepに』、『大豆田とわ子と三人の元夫』もめっちゃハマりました。

asmi:あと、主人公になれる音楽でいうと、最近Taylor Swiftの『Fearless』(2008年)をよく聴いていて。聴いていると嫌な気分も吹き飛ぶし、やっぱり音楽の力ってすごいなって思います。最近は目覚ましにも設定しているのですが、スッキリ起きれるのですごいオススメです(笑)。

――音楽的に今後なにか挑戦してみたいことはありますか?

asmi:私、他のアーティストさんの曲にフィーチャリングで参加することはあっても、自分の作品でコラボしたことはこれまでないので、いつかやってみたいと思いますね。

――今は周囲の環境にも恵まれて、ある程度満たされている感覚がある。だからこそ、今作はとてもポジティブなヴァイブスに溢れた作品になったということですが、今後の作品もそういった日常での浮き沈みに伴って変化していくと思いますか?

asmi:変わると思います。基本的に今思っていることや感情がストレートに曲に反映されるので。あと、学校の人間関係がしんどかったというのも大きいですね。普通にみんな仲良しなんですけど、それでもお互い気をつかうことも多くて疲弊してしまったり。今作は学校を卒業したことでそういったことから開放されたことも大きく影響していると思います。

――コロナ禍で人との接触や外出の機会が減ったことで、創作活動におけるインプットも少なくなってしまったというお話もよく聞きます。asmiさんはいかがですか?

asmi:確かにずーっと家にいてしんどいなって思うこともありました。でも、そういうときはドラマを観たりして気分を上げていました。

――次の作品などは考えていますか?

asmi:まだ具体的な計画があるわけではないのですが、新曲も制作はしていて。今作っている曲は、初めての方とタッグを組んでるのですが、きっとasmi史上最も開けた曲になるんじゃないかなって思います。

――それは楽しみです。では最後に、この『humming』という作品をリスナーにどのように楽しんでもらいたいと思いますか?

asmi:家でゆっくりと聴いてほしいですね。みんなの心を柔らかくできればなって思っているので、イヤホンやヘッドホンで静かに楽しんでもらえたら嬉しいです。

Photo by Official


【リリース情報】

asmi 『humming』
Release Date:2021.06.23 (Wed.)
Label:ROOFTOP
Tracklist:
1. Mon Star
2. Kiss me
3. 糸電話
4. 例えば
5. labyrinth

■asmi:Twitter / Instagram

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