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Elen Never Sleeps / Paradise Lost


国内インディ・シーンにおけるアウトサイダーが長い沈黙を破り遂に1stをドロップ。徹頭徹尾貫かれる美学に酔いしれて

2018.07.09

東京を拠点とする音楽家・Kajiによるプロジェクト、Elen Never Sleepsが初のフル・アルバム『Flowers For Hesse』を6月29日(金)にリリースしました。

本作は2013年にリリースされた『Rum EP』以来およそ4年半ぶりの作品。プレス・リリースによると、Elen Never Sleepsは西洋音楽業界が日本に対して、基本的に奇妙で偏心的で東洋的なものであることを期待していることに対してフラストレーションを感じていること、そしてそういったバイアスを取り除くことこそが、このプロジェクトの主要な目的のひとつでもあることが記載されています。

かつてmöscow çlubが主導となって発表されたコンピレーション・アルバム『Ç86』にも深く関わるなど、東京を中心としたアンダーグラウンドなインディ・シーンと密接な繋がりをもっていたElen Never Sleeps。しかし、前作リリース以降は沈黙期間を挟んだことにより、シーンも目まぐるしい変化を遂げました。しかし、そういった時代/時流の変化を経ても、Elen Never Sleepsの核となるサウンドは一切ブレていないように感じます。この『Flowers For Hesse』は、言葉本来の意味ではなく、80年代のUKに端を発する「インディ・ロック」という美学をとことん追求するかのような、時代に流された雑音などは一切感じさせない、純度の高い作品と言えるのではないでしょうか。

今回はアルバム・リリースに先駆けて公開されたリード曲「Paradise Lost」をご紹介。〈Captured Tracks〉辺りのバンドにも通ずる繊細なインディ・ロックでありながら、〈Cascine〉界隈を想起させるような浮遊感と夢見心地なサウンドを擁した本楽曲。なんと、上音のアンビエントなシンセや、幻想的な世界観を煽るフルートは、全てエフェクト・ペダルを駆使したギターで奏でられているとのこと。こういったある種職人的なこだわりからもわかる通り、本作からは全体を通して緻密な構築美のようなものもヒシヒシと感じられます。

本作の個人的なハイライトはアルバムのオープナー・トラックであり、表題曲でもある「Flowers For Hesse」。ロマンティックなボーカルとセンチメンタルなメロディが涙腺を刺激する、珠玉のインディ・ポップとなっています。


【リリース情報】

Elen Never Sleeps 『Flowers For Hesse』
Release Date:2018.06.29 (Fri.)
Label:Elen Never Sleeps
Tracklist:
1. Flowers For Hesse
2. Sweet Jean
3. Paradise Lost
4. Anna From Heaven
5. Gentle Hymn
6. Haunted Darling
7. A Faded Beauty
8. Violet Jazz
9. Lera
10. We’re Undone


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