Crumb / Locket
まさに印象派。やわらかなピアノの光は、月夜に泳ぐ少女を想う。NYのサイケソウル・バンドが鮮やかなMVをお披露目!

サイケソウル・シーンを浮遊するNYの4人組、Crumb(クラム)が昨年6月にリリースしていたデビューEP『Locket』から、(待望の!)表題曲のMVが公開された。その内容は神秘性と日常性とを行き来するものに仕上がっており、気分やムードを喚起しようとする楽曲の味わいをより豊かにしてくれる。

また、彼らはそれと同時に、過去のシングルと上記のEPをまとめたヴァイナル『Crumb / Locket』のリリースをアナウンスしたが、現在早くもソールドアウトとなっている。

幕開けのピアノの響きには、湖面に揺れる月の影を見ることができる。例を挙げるとすれば、印象派・ドビュッシー『ベルガマスク組曲』のそれに近い。この耽美なメロディ・ラインを基調に、様々な音色がその存在を主張し始める。蕾がほころんでゆく様を彷彿とさせる“オーケストラ”の調律と、そのあと再び訪れるつかの間の静寂。こうした抑揚にいきなり心を奪われ、続くコンチェルトへの期待も自ずと高まっている。

そしてジャジーでLo-Fi、チルホップ・ライクな曲調へ。とろけそうなこの感じはSpace Captain(スペース・キャプテン)の「Sycamore」などと共鳴しているように思う。さらに、この2バンドが活動拠点を同じくしているという事実からも、ブルックリンの現行シーン(の一端)を形成しているのはどのような音楽で、どんな人たちなのかをハッキリと確認することができるだろう。

やがて歌声と(イントロにあった)ピアノの旋律はシンクロし、私たちの眼球に、脳内に亜麻色の煙が立ち込める。その中からぼうっと現れるのは宇宙。そこに先ほど咲いた可憐な花びら……がゆっくりゆっくりと燃えてゆく――そんな神秘を感じる。

アンビエント/シューゲイザー/ダウンテンポを筆頭に、美しさを印象付けられる音楽は少なくない。インダストリアル・サウンドにさえそれを見出すことができるほどなのだから。そして、この「Locket」という曲もそれらと変わらない。ただ、むしろクラシカルな美を本質的に捉え、それを優雅なポップに昇華した功績は思いのほか(“それら”以上に)大きいのかもしれない。

以下の「Bones」はジャズ色のより強い楽曲となっているので、“水と戯れた”こちらのMVもぜひチェックしてみてほしい。


【リリース情報】

Crumb 『Crumb / Locket』
Release Date:2018.03.07(Wed.)
Tracklist:
1. Bones
2. Vinta
3. So Tired
4. Plants
5. Recently Played
6. Thirty-Nine
7. Locket

■リリース詳細:http://aintwet.nyc/product_info/5a937a864c600a79218f1d88

hikrrr

Curator

hikrrr

内省的で知性美のある音楽を贔屓にしています。が、アグレッシヴなものも好きです。普段は暗く涼しいところに保管されたい