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青い果実 / mebius feat. ico!


覆面の隙間から漏れ出す豊かな才能! 音楽の未来を切り開く、禁断のグルーヴが解禁!

2018.01.20

唯一無二にして日本語ラップ界のリヴィング・レジェンドであるラッパーのMETEOR……によく似た人と、KYNによく似た人、さらにはSSWのbutajiによく似た人の3名による正体不明の覆面楽団・青い果実が今月24日にリリース予定のアルバム『AOKAJI』から、「mebius feat. ico!」のMVを公開した。

人種や国籍を問わず、100人居れば98人は勝手に踊り出しそうな世界共通のグルーヴを奏でる今作は、シンガーのico!をフィーチャリングに迎えたディスコ・ブギーな1曲。

“皆と一緒にダンスこそしないものの ものの数秒で楽しくなってる 俺 楽しい奴 俺が俺 洗脳してでも楽しい”

たとえ踊らなくても楽しい、何よりもその時間を楽しいと思う事が大切、という有難いメッセージを冒頭から発信するのは、ラッパーのMETEORによく似た人。直後に「のし袋開いてみたら励ます会のギャラ」と続くため、ひょっとしたらかなり怖い人なのでは? と警戒する人もいるかもしれないが、「ダンス する してみる ダンス」というヴァースの締め括り方でわかる通り、周りが変化したらそれに合わせて変化していく順応性と、腰の低さを兼ね備えたかなりの人格者であることは一目瞭然だ。いわゆる「このグルーヴに酔いしれろ!」といった類の押し付けがましさが一切ないのも、作り手が音楽の聴き方を制限すべきではないという配慮からだろう。とにかく優しい。

そして、二番手に登場するKYNによく似たラッパーは、とにかく声色が爽やかでフロウがスムース。奥歯に物が挟まったような〜という慣用句があるが、彼の場合は前歯にも奥歯にも、恐らく何も挟まっていないだろう。虫歯はおろか歯石一つすらないのかもしれない。本当のスムースとはこういうことなのだ。ステップが君と合えば他には何もいらない、ということに終始した潔いリリックも好印象で、この人も決して多くを望まない優しい性格の持ち主だと断言できる。

さらに、ちょうどいいバイブスで雰囲気たっぷりにフックを歌い上げるico!というシンガーの存在感も凄い。彼女がいるだけで、一気にMONTIENのような一体感を生み出すことに成功している。ご本人のツイートによると、楽曲でラッパーと絡むのは初めてとのことだが、明らかに絡み慣れているような余裕を随所に感じる。女性の言う「初めて」に男性が弱いことを熟知している打算的な人間というわけではなく、自然にそういったスキルが身についているタイプの天才肌なのだろう。屈託のない素敵な横顔がそれを物語っている。

そんな彼女の歌声に呼応するように、ブルージーな合いの手でフックを味付けするbutajiによく似た人も明らかな辣腕だ。一見、控え目なようにも感じるが、本当に強い人や本当に優しい人は往々にして控え目である。ヤクザ映画などでも、何かと首を突っ込んでイタズラに拳銃を振り回すような人間は序盤で命を落とす。目立ち過ぎないことが大切なのだ。彼の存在なくしてこのグルーヴは生まれていないだろうし、もっと彼の歌声を聴いてみたいなと素直に思わせてくれる。

豊かな才能が決してぶつかり合うことなく、互いを尊重し、ただひたすら高め合っている。こんなグループが他に存在するだろうか? 少なくとも私は知らない。青い果実、完全に機は熟した。


【リリース情報】

青い果実 『AOKAJI』
Release Date:2018.01.24 (Wed.)
Label:Vybe Music
Cat.No.:VBCD-0087
Price:¥2300 +Tax
Tracklist
1.aokajintro
2.ほんとそう!
3.健康ランド
4.mebius feat ico!
5.無重力
6.個人情報
7.THIS TOWN
8.ふらつこう
9.なつやすみ
10.許され許し
11.おやすみ


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