FEATURE

REPORT / SPIN.DISCOVERY -Vol.03-


Seiho、Norton、JBHFC、Tomggg、ラブサマちゃんら出演! “SPIN.DISCOVERY -Vol.03-”をレポートをお届け!

2015.10.24

Spincoaster主催のイベントとして、「新たな音楽との出会い、発見」をテーマとして2014年からスタートさせたSPIN.DISCOVERY。皆さまのお陰で先日、その第3回目が大盛況のうちに無事終了致しました!

回を重ねる毎に規模を拡大させながらも根底にあるテーマは崩さず、今回もシーンや界隈を飛び越えた、他とは一線を画す組み合わせを実現させることができたと自負しております!
遊びに来てくれた方々はきっと新たな音楽との出会いがあったのではないでしょうか……?

さて、少々遅くなってしまいましたが今回はそんなSPIN.DISCOVERY -Vol.03-のレポートをお届けいたします!

text by:
K=Kohei Nojima
D=deidaku
T=Takazumi Hosaka

photo:
Spincoaster Logo=Spincoaster
other=Shoko Ishizaki


 15:00 – Lucky Kilimanjaro

イベントのトップバッターを飾ったのは、6人組シンセ・ポップバンドLucky Kilimanjaro(ラッキー・キリマンジャロ)。今、インディーシーンで急速に注目を集める、このバンドを一目見ようと最初から多くのお客さんが集まった。
この日は初見のお客さんも多く、最初は様子見であったオーディエンスもLucky Kilimanjaroのパワフルでキラキラとした、ディスコ・ポップと熊木幸丸(Vo./Syn.)のイキイキとしたパフォーマンスにつられて、次第に体を揺らしていく。そして、終盤には多くのオーディエンスが、手を上げ跳びはねるように踊るまでに。
彼らの音楽がより大きなフィールドで鳴らされるべき、「ポップミュージック」と「ダンスミュージック」であることを確信したステージであった。(K)

-Set List-
1.Let Just One More Kiss
2.Faking Love
3.Burning Friday Night
4.Magic Gravity
5.Superstar
6.Call Me Baby

 15:30 – ラブリーサマーちゃん

2ndステージのトップバッターながら、ライブ開始前から多くのオーディエンスが我先にと集う様子は、この現役大学生SSWであるラブサマちゃんに寄せられる音楽リスナーからの注目度の高さを如実に物語る光景であった。
今回はシンプルにエレキをつま弾きながらの弾き語りセットということで、彼女の楽曲が持つメロディの良さがより一層浮き彫りに。彼女の吐息交じりのどこか憂いを帯びたボーカルの魅力がダイレクトに伝わってくる、とても親密な雰囲気が会場を終始覆っていた。
また、当日イベントに来てくれた方なら、自身のライブ後も他出演者のライブで楽しそうに踊るラブサマちゃんの姿を目撃した人も少なくないはず。七尾旅人やSACOYANのカバーを挟んだこの日のライブからは、そんな彼女の音楽への愛がヒシヒシと伝わってきた。(T)

-Set List-
1.笑い話
2.ルミネセンス
3.おやすみ
4.サーカスナイト (七尾旅人 Cover)
5.JK (SACOYAN Cover)
6.あなたは煙草 私はシャボン

 16:00 – WONDERVER

メインフロアの2番手は3人組エレクトロ・ポップバンドWONDERVER(ワンダーバー)。今回の会場であるClub AsiaとWONDERVERの音の相性の良さについては事前から多くの人たちが口にしており、本人たちもこの半年の活動の集大成と捉え、史上最高のWONDERVERを見せてくれると宣言していた。
そしてこの日、彼らはそれらの期待を高々と越えていく、衝撃的なパフォーマンスを魅せてくれた。ズシンと腹にくる低音。時に耳を刺すように鋭く、時に全身を包むように分厚く、時に跳ねるように軽やかに、次々と表情を変え、全身にあらゆる刺激を送り込む多彩なシンセサイザーのサウンド。そして、中性的で伸びやかな相澤のボーカル。この日、その全てが抜群であった。
彼らの隠し持った牙がようやくむき出しになったような、熱狂と緊張感を帯びた鬼気迫るステージに、このバンドの末恐ろしさを感じた。(K)

-Set List-
1.A L O N E
2.E N V Y
3.H E A R T
4.P R A Y
5.G H O S T
6.M E L L O W
7.B L U E

 16:30 – KiWi

この日が東京での初ライブとなった関西を拠点とするトラックメイカー・デュオ、KiWi。JukeやJersey Clubといった先鋭的なベース・ミュージック/クラブ・ミュージックの要素をどこまでも巧妙にポップ・ミュージックのフォーマットに落とし込むことを得意としている彼らだが、ライブではCOR!Sのキュートなボーカルが乗っかりながらも、よりビートが強化されたフロア寄りのサウンドを展開。ラップトップなどと並んで置かれたキウィや水の入った小瓶、そして特別に用意されたVJ用の映像などが視覚面からも彼らの徹底された世界観を演出。途中でPCのトラブルがあり、音が止まってしまうという事態もあったものの、新曲も多数プレイしてくれたこの日のライブは、今後の彼らの活躍ぶりを大いに期待させてくれる素晴らしい出来だった。(T)

-Set List-
1.屋根裏部屋の計画
2.Greed Greed
3.Forbidden Forest
4.Twilight Game
5.魔女の畑
6.キウィのうた(live edit)
7.SUGAR PANIC
8.月夜の魔法市
9.花火
10.星屑のパレード
11.キウィの絵描き歌(live edit)

 17:00 – yule

続いてメインフロアに登場したのは男女混声6人組、yule(ユール)。8月の初ライブ以来二回目となるお披露目だが、彼らの最大の魅力はライブである、ということがより多くの人の前で証明されたライブとなった。今回メインフロアのVJを担当してくれたDEJAMAISによる田園風景や動物たちをモチーフにした映像も、アイリッシュ・トラッドやケルト、フォークといった彼らの音楽性とシンクロしていたし、何より音源を完全再現していた(ゆえに完成度も高かった)初ライブの時とは違って、今回はライブならではのアレンジも加えることで「静」と「動」のコントラストがより際立ち、ダイナミックな躍動感が増していた。ラストの「羊が眠る頃」はyule流のシューゲイザーだが、轟音で隙間を埋めるのではなくあくまでAnnaとReiの柔らかな歌声を前面に押し出すことで、甘美な揺らめきを場内にもたらしていた。きっと多くの人の目には、彼らが将来大自然に囲まれた野外ステージで演奏している姿が思い浮かんだことだろう。(D)

-Set List-
1.Morgenrot
2.ゴーストタウンからの手紙
3.Symbol
4.starry song
5.sleepless sleep
6.羊が眠る頃

 17:25 – Tomggg

その記名性の高いサウンドを武器に、様々なアーティストのリミックスを手掛けたり、今年には初の全国流通盤となるEP『Butter Sugar Cream』をリリースしたりと、今急速に注目を集めているトラック・メイカー、Tomggg(トムグググ)。
今回共演する形になったKiWiやラブサマちゃんを始め、その他親交深いアクトのリミックスを中心に、煌めくような音の波でオーディエンスを包み込み、KiWiと同じく先鋭的なクラブ・ミュージックからの引用が見られる強靭なビートはオーディエンスの足腰を揺さぶる。そのキューかつポップな世界観故か、前方で可愛らしい女の子たちがピョンピョン飛び跳ねるように踊っていたのが実にTomgggのライブらしい光景だった。(T)

-Set List-
1.Butter Sugar Cream (MAXO Beammix)
2.In the Blue Shirt – Seven Bridge (Tomggg Remix)
3.KiWi – greed greed (Tomggg Remix)
4.Spazzkid – Truly (Tomggg Remix)
5.Arnold – Plus and Minus (Tomggg Bootleg)
6.ラブリーサマーちゃん – あなたは煙草 私はシャボン(Tomggg Remix)
7.ラブリーサマーちゃん – はじめまして×Popteen (mash up mix)
8.Hyper Juice – City Lights (Tomggg *Sunday Candy* Remix)
9.Butter Sugar Cream
10.???

 18:00 – PAELLAS

Nortonへのバトンを渡す重要なアクトとして、今回ブッキングをしたPAELLAS(パエリアズ)。彼らが登場すると、会場の空気がガラッと変わった。特にボーカルの松本はまるで、The DrumsのJonathan Pierceや、The HorrorsのFaris Badwanのようなオーラを、ボーカリストとして纏っている。
照明やVJによる演出もバッチリ、ハマっていた。さらにClub Asiaのサウンドシステムの効果により強力な低音とシンセパッドのリズムがいつも以上にクッキリと聞こえ、より妖艶でダンサブルなステージを魅せてくれた。
きっとNortonを目当てに観に来たお客さんにも気に入ってもらえたことだろう。「日本にこんなバンドがいることを早く世界に知らしめないと!」彼らのライブを見ると、そう思わずにはいられない。(K)

-Set List-
1.Night Drive
2.Hold On Tight
3.Golden Eye
4.Tell Me What To Do
5.Fever
6.Cat Out

 18:25 – JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB

前回のTokyo Health Clubと同じく、唯一のヒップホップ・アクトとして出演してくれたキャラ立ち4MCからなるクルー、JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB(ジャバ・ザ・ハット・フット・ボールクラブ)。なんと一曲目に当日物販で買ったラブサマちゃんのCDをかけ、そこにフリー・スタイルを乗っけるというなんとも人を食った演出をし、早々にオーディエンスを掴むや否や、ライブでの定番曲である「YARN」や「PANNNA DONNA」では、4人が鮮やかにマイクを繋ぐフロウを披露。中盤の椎名林檎「丸の内サディスティック」をビートジャックした「終電」や浜田麻里の「Emotion in Motion」を部分的に拝借した「Do What You Want?-君は意味不明-」で会場を大きく沸かすと、そこから最後まではもう4人の独壇場!
最後の「君の街まで」では、2階のフロアをほぼ満員に埋めるほどに集まったオーディエンスの盛り上がりも最高潮を迎え、まさに大団円の言葉が相応しい光景となった。(T)

-Set List-
1.ラブリーサマーちゃんの当日売ってたCD
2.YARN
3.PANNNA DONNA
4.終電
5.Do What You Want?-君は意味不明-
6.Revenge For Summer Part.2
7.STEREO RIOT
8.君の街まで

 19:00 – Norton (from Portugal)

今回のヘッドライナーはポルトガルから遥々やってきた4人組、Norton(ノートン)。本人たちの日本に対する並々ならぬ想いと、キュレーターであるNojimaの熱望が相まって今回、彼らの来日が実現に至った。Nortonを待ち望んでいた人、Nortonのことを全く知らずにここにいる人、次のアクトを待っている人、さまざまな想いを持った人たちが彼らのライブを見つめていた。Nortonにとっても日本で初めてのライブ。リズミカルかつパワフルに彼らの代表曲を披露するが、序盤はお互いに若干の硬さも感じさせた。

しかし、彼らのアンセム「Magnets」の投下、そしてボーカルのペドロが「みんな愛しています!」と日本語でMCを披露したところから、会場の空気が一変。みんながどんどんNortonのことを好きになっていっているのが肌で感じられた。ハイライトは彼らのもうひとつのアンセム「Two Points」。ペドロがステージを降り、サビの大コール・アンド・レスポンスが発生。お客さんにマイクを向け歌わせるシーンではより一層大きな盛り上がりを見せることに。それはまさしく会場が完全に一体となった瞬間と言える光景だった。

メンバーが一度ステージを去るも、当然のようにアンコールが発生。当初アンコールでは「BRAVA」をプレイする予定だったが、この日の空気を感じたペドロの判断で「Magnets」をもう一度プレイ。結果としてより一層大きな盛り上がりを作ることができた。オーディエンスに満面の笑顔で見送られ、Nortonのメンバーは満足そうに日本初ライブを終えた。(K)

Set List
1.DIRECTIONS
2.LAYERS
3.MAGNETS
4.DRIFTING BALLET
5.GLOWING SUITE
6.EUROPEAN
7.TWO POINTS
8.PREMIERE
9.HOURS & DAYS

E1.MAGNETS
E2.COASTLINE

 20:10 – Seiho

se2

Nortonの盛り上がり冷めやらぬ中、クロージング・アクトとして登場したのはお決まりのセクシーな衣装に身を包んだSeiho(セイホー)。出だしこそ若干のアウェイ感を感じさせもしたが、序盤からアッパーな4つ打ち主体のセットですぐさま会場の空気を刷新。途中恒例の牛乳を飲み干す演出こそなかったものの、一輪の花を持ってのパフォーマンスは多くのオーディエンスを虜にすると共に、会場のボルテージを上げた。ラストのI Feel Raveでの爆発後、Seihoの中でも最もメロウなナンバーのひとつである「koi」でしっとりと、だがしかしこれ以上無いほどに美しくイベントの最後を締めくくってくれた。(T)


また、今回のSPIN.DISCOVERYには上記の出演者以外にも、ゲストDJとしてJukebox Crewタイラダイスケ星原喜一郎、そしてメインフロアのVJを担当してくれたDEJAMAISが出演してくれ、会場では常に素敵な音と映像に触れることができたはずです。
以下はそんなゲスト陣に加え、遊びに来てくれた方々の写真を何点かご紹介したいと思います……!


ではでは、また次回のSPIN.DISCOVERYでお会いできることを楽しみにしております……!


Spincoaster SNS