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ena mori、新作EP『rOe』本日リリース 「内なる子どもを消さないという意志表明」


2025.08.08

ena moriが新作EP『rOe』を本日8月8日(金)にリリースした。

ena moriは日本出身、15歳でフィリピンへ移住し現在も同地を拠点に活動するSSW/プロデューサー。日本のプロデューサー・Tomgggとのコラボ曲“いちごミルク”や“なんてね”でも注目を集め、後者はポカリスエット新CMソングにも起用されたことでも話題を呼んだ。

本作ではデビューアルバム『DON’T BLAME THE WILD ONE!』(2022年)の爆発的なエネルギーから距離を置き、より内省的かつ洗練された楽曲を提示している。いわゆる典型的な意味での「大人への成長物語」ではないが、この6曲入りの作品は、片足を子ども時代に残したまま20代へと踏み出すときの感情の揺れを描き出す。要するに、それは前に進んでいるのに足踏みしているように感じるという逆説についての物語だ。

詩的なリリックと、意図的に繊細な音作りを通して、ena moriは「無垢さ」が記憶にまとわりつき、「驚き」が疑念によって複雑化される世界を構築している。「最近、私に多くのインスピレーションを与えてくれているのは子ども時代です」とena moriは語る。「このEPでは、自分の記憶を掘り下げ、大人の目を通してそれらをどう感じるかを探ってみたかったんです。もしかすると、あの無垢な状態を求めているのかもしれないし、単にノスタルジアの心地よさに少し中毒になっているだけかもしれません」。

本作はena moriとクリエイティブパートナー・Tim Marquezによる共同プロデュース作。制作については次のようにコメントしている。「制作中、Timと私はアルバムの視覚的なイメージについてもたくさん話し合いました。たくさんの写真や形を集めてインスピレーションにしましたが、その中でも特に意識したのは、“微生物のような”音のイメージ──内側から生きているように感じられるものを表現することでした」「制作は正直、時にはとても根気のいる作業でした。でも細部もアイデアも、すべて話し合って一緒に練り上げていきました。Timと一緒に仕事ができたことには、心から感謝しています。彼はただ才能があるだけじゃなく、私のことを理解してくれるんです。時には、私が想像していなかったものまで聴き取ってくれることもあります」。

ミックスはSam Marquez(One Click Straight)、マスタリングはEmil Dela Rosaが担当。プロダクションの美学は型破りな質感に寄り添い、ストリングカルテットとローファイなギタースケッチ、ナイロン弦のつま弾きとハープ、そして幾重にも重ねられたささやき声のようなボーカルとグリッチーな電子音を組み合わせている。だが、デビュー作のマキシマリストなアートポップとは異なり、『rOe』の楽曲は夢のようでありながらも混乱を伴い、まるで記憶違いをした思い出のように、しかし深く心に響くものとなっている。

“Trust Me”はena moriが限られたギターの腕前で書き上げたもので、制約が時に、最も純粋な形で創造性を生み出すことの証となっている。“Portion Control”と“Heartache Generation”は、どこか愛らしいほどの脆さを帯びたクロスオーバーミュージックを響かせる。そしてEPを詩的な終幕で締めくくる“Cub”では、本作の中でも特に心に残る一節が歌われる──《人生の結果はわかっている、ああなんて人生だ/でも嘘の世界では生きたくない》。これは静かな反逆──内なる子どもを消さないという意志表明だ。


【リリース情報】


ena mori 『rOe』
Release Date:2025.08.08 (Fri.)
Label:Offshore Music / Sony Music Entertainment
Tracklist:
1. rOe
2. Portion Control
3. Heartache Generation
4. Sink
5. Trust Me
6. Cube

■ena mori:Instagram / X


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