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REPORT / D.Y.T 『BLOOM & BLOOM』


D.Y.Tが多彩なゲストと共に作り上げた華やかな一夜。初の自主企画『BLOOM & BLOOM』で提示した進化

2022.11.30

Text by Naoya Koike
Photo by nishinaga “saicho” isao

千田耀太と菅野陽太によるボーカル・ユニット、D.Y.Tが、初の主催イベント『BLOOM & BLOOM ~1st Album MULTIVERSE Release Party~』を東京・下北沢ADRIFTで開催した。本公演は同グループの1stアルバム『MULTIVERSE』のリリースを記念したもの。ライブには収録曲で客演したYonYon、lo-key design、Sala、KAHOH、Sincereも登場し、プレミアムなパフォーマンスとなった。

観葉植物があしらわれた演出が珍しい本日のステージ。キッズ・ダンサーたちのショーケースに続いて、最初に登場したのは新鋭SSWのSalaだ。音源と変わらないクオリティの歌を響かせる。続いてSSWのSincereはビートに声を必要以上に入れずに生歌の力強さを大事にパフォーマンスし、3番手・lo-key designは安定感のあるSaltoの歌声が耳に残った。

                                 ダンス・ショーケースの様子

                                                    Sala

                                                  Sincere

                                             lo-key design

KAHOHは「GIRLS TALK」から次々に自分の世界を展開し、最後は人気曲「Summer Time」を2ヴァース目からコンパクトに披露。そしてYonYonは、シンガーとしてもDJとしてもフロアを盛り上げ、DÉ DÉ MOUSEとのコラボ曲「Step in Step in」を以て、メイン・アクトへたすきを繋ぐ。

                                                 KAHOH

                                                 YonYon

主役は「Elevate」のイントロで現れた。モノトーンのシャツにサングラスという装いの菅野が「D.Y.Tのライブ、お待たせしました!」と呼びかけ、トリコロール調のニットを纏った千田が先行して歌い出す。ふたりは悠々とマイクをリレー。

続く「G.O.L.D」を美しいハーモニーで歌い終え、本公演を「やっと実現したイベント」と結成した当初からの念願を語る千田。さらに「4年越しで叶えることができて嬉しいです」と続けたが、感慨に浸るにはまだ早い。

菅野陽太
千田耀太

本公演の屋台骨『MULTIVERSE』は彼らにとって初のアルバムであると同時に、タイトルの通り前述した多様な客演とGimgigam、KM、Mori Zentaro、A.G.O、MATZ、uinといったプロデューサーらによって違う世界線のD.Y.Tが表現された作品だ。その開かれた可能性/並行世界がステージ上でもいよいよ姿を現す。

まず時空の外側から飛び込んだのはKAHOH。とにかく2ヴァース目を務める時の彼女は強い。「Rouge」でも「24」でも後攻で存在感を発揮。彼女に向かって語り掛けるような千田のパート、最後の3人によるラッシュも見応えあり。そしてKAHOHは「D.Y.T大好き!」と言い残し、ステージを後にした。

D.Y.T & KAHOH

続いて招かれたSincereは雪の降る映像をバックに「Don’t look back」を優雅に披露。ラストフックでは印象的な《さよなら》というトップラインの背景を描くようなアドリブを響かせた。去り際のひと言は「『MULTIVERSE』、素敵なアルバムなのでたくさん聴いてください!」。

lo-key designのSaltoとmarsh willowを迎えた「Spinning」では千田、菅野、Saltoの順にマイクが繋がれる。三者三声のコントラストが、先ほどまでとは色の違う次元をステージに生み出した。

D.Y.T & Sincere
D.Y.T & lo-key design

「これからも仲良くしてください!」というシンプルなメッセージをlo-key designから贈られてから、D.Y.Tのみで歌われたのは「Juliet」と「torico」。ラップへの挑戦や個性的なプロデューサーとの制作など、現在のスタイルを形にし始めた時期の楽曲だ。点と点を線にしてきた彼らの4年を感じる瞬間でもあった。

再びマルチバースが開く。「めちゃめちゃアルバム聴き込んでます。全曲歌えます」と嬉しそうに語ったSalaとともに「Dear」。彼らの声はスープのように溶け込み、それぞれの旨味を引き出していく。

D.Y.T & Sala

ここで菅野が「ライブの濃い時間は一瞬で過ぎてしまう」とMC。さらに千田が「少し落ち着いた雰囲気になったので、ギアを上げていきます」と宣言し、客演の最終カード・YonYonをフィーチャーした「Be free」へ。「自分らしさはみんな違ってていいし、その全てが美しいと思って書いた」(YonYon)という、この曲でオーディエンスは手を左右に揺らし、ビートに身を委ねた。

D.Y.T & YonYon

「ここからはふたりきりで盛り上げていきます!」。千田の前置きから「LOSE MY CONTROL」、「Leave me alone」と流れる。アグレッシブな千田のラップ、繊細な菅野のヘッドヴォイス、まさに百花繚乱。映える赤い照明。

D.Y.Tが終盤戦を駆け抜ける。歌・菅野/ラップ・千田、という分担をしっかり表現した「Tokyo Friday Night」では間奏でダンスを見せるサービスも。アウトロではフェイク合戦を演じ、締めは彼らと関係の深いKMがプロデュースを務めた「Dice of the devil」。Lil’Leise But Goldが歌った部分は菅野が担当しつつ、音源にはない迫力でエンディングを飾った。

会場全体で記念撮影を行った後、アンコールでは「FALLIN’」を披露。最後までフロアはハンズアップで盛り上がり、4年越しで作り上げた企画は熱量を保ったまま幕を閉じた。

「初めての試みでしたが、最後の最後まで残っていただいてありがとうございました。また『BLOOM & BLOOM』を開催できるように頑張ります。今年は、まだまだライブがありますので、そこでもお会いしましょう!」。これにて1stアルバムのリリース、1stワンマンの成功、そして自主企画を経たD.Y.T。まだまだ伸びしろだらけの彼らが次に向かう先はどこだろう。新たなチャレンジと進化に引き続き注目していきたい。

Setlist
01. Elevate
02. G.O.L.D
03. Rouge (feat. KAHOH)
04. 24 (feat. KAHOH)
05. Don’t look back (feat. Sincere)
06. Spinning (with lo-key design)
07. Juliet
08. torico
09. Dear (feat. Sala)
10. Be Free (feat. YonYon)
11. LOSE MY CONTROL
12. Leave me alone
13. Tokyo Friday Night
14. Dice of the devil
[ENC.]
15. FALLIN’


【イベント情報】


『BLOOM & BLOOM ~1st Album MULTIVERSE Release Party~』
日時:2022年11月19日(土) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:東京・下北沢 ADRIFT
出演:
D.Y.T
KAHOH
lo-key design
Sincere
Sala
YonYon

(AtoZ)


【リリース情報】


D.Y.T 『MULTIVERSE』
Release Date:2022.10.19 (Wed.)
Tracklist:
01. Elevate -prod. uin
02. Spinning -with lo-key design
03. Be Free (feat. YonYon) -prod. Gimgigam
04. Dice of the devil -prod. KM
05. Juliet -prod. KM
06. Dear (feat. Sala) -prod. Mori Zentaro
07. 24 (feat. KAHOH) -prod. MATZ
08. Don’t look back (feat. Sincere) -prod. A.G.O
09. Rouge (feat. KAHOH) -prod. KM
10. Leave me alone -prod. uin

配信リンク

D.Y.T オフィシャル・サイト


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