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INTERVIEW / Roomies


「ここから1歩を踏み出すために」――Roomies・及川創介が語る1stアルバム制作背景。家族のような信頼感で結ばれたバンドの現在地

2021.12.15

Roomiesが1stアルバム『The Roomies』を12月17日(金)にリリースする。

Roomiesは元CICADA・及川創介(Syn.)を中心に、Kevin(Vo.)、吉川衛(Ba.)、林一樹(Dr.)、高橋柚一郎(Gt.)、斎藤渉(Pf.)からなる6人編成のバンド。東京の隠れ家・Roomies Houseにてメンバーだけでレコーディングからミックスダウンまで行ったという本作は、スウィートなソウル・ミュージック〜R&Bを軸に、時代や国境を飛び越えるようなエバーグリーンなポップネスに満ちている。

収録されているのはリテイクを施され生まれ変わった6曲の既発曲と、新たに書き下ろされた新曲6曲の全12曲。先月より毎週先行配信していることでも話題を読んでいる。今回はバンドのブレインともいえる及川創介へのメール・インタビュー。新曲を中心にアルバム制作の裏側、そしてバンドの今とこれからについて。ブレないスタンスと真っ直ぐな言葉をお届けする。

Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by Official(バンド提供)


「現状のベストを尽くしたアルバム」

――昨年から一軒家を共同作業場として使用していますが、そのことによって制作にはどのような変化が起きましたか?

及川:決められた時間内での創作はRoomiesにとってはデメリットでしかなかったので、いい変化というよりはスタート地点に立てたという印象です。

――また、同時期からコロナ禍となってしまいました。バンドの活動にはどのような影響がありましたか?

及川:コロナが流行り始めた時に僕とボーカルのKevinが一瞬だけ鬱っぽい時期がありましたが、ちゃんと全員で予定を白紙にして、“何もしない”という2ヶ月を作りました。それが“早くバンドで演奏したい”という気持ちを強くしたので、結果的には結束が強まったような気がします。

――セルフタイトルということからも、ありきたりな言い方ですが、今作はRoomiesのこれまでの集大成的な作品だと感じました。

及川:集大成というよりは“現状のベストを尽くしたアルバムを出そう”という感じでした。集大成を見せれるほどライブもしてないし、バンド内でも濃い時間をもっと増やして達成感を得るようになってから、集大成という言葉を使いたいです。アルバム・タイトルをバンド名にしたのは、むしろここから1歩を踏み出すために自分たちの名前をアルバム名にしたという意味合いが強いです。


「ビートは体が動く」――より肉体的なグルーヴを獲得したアルバムについて

――アルバムは全体的にスムースなR&B〜ソウル、ファンクを軸としながらも、これまでの作品と比べるとより肉体的なグルーヴが強化されているような印象を受けました。乱暴に言ってしまえば“より踊れる”というか。こういった方向性は意識していましたか?

及川:“踊れる”はみんな意識してると思います。“踊らせるアルバムにしよう”という明確な話し合いはしてないですが、いいビートは体が動くと思ってるので、自然と目指してる部分かもしれないです。

――新曲について1曲ずつお聞きしたいです。「Do you feel」はネオソウルのようなゆったりとしたグルーブが心地良いナンバーです。この楽曲はどのようにして生まれたのでしょうか。

及川:家で誰かがフレーズを弾き始めて、いい感じのフレーズだと自然にジャム・セッションが始まります。その段階で歌詞はないですが、Kevinも歌を入れるようにしています。そのセッションを毎回録音するようにしていて、数日経ってからみんなで聴き直して「これを作ろう」と決めていくことがあって、「Do you feel」はその中で生まれた曲です。

――「The Light」はまるでThe Policeを彷彿とさせるようなレゲエ的なリズム、カッティングが新鮮でした。これは自然と出てきたのでしょうか。

及川:この曲はドラムの一樹が作詞作曲をしていて、その時点でレゲエやThe Policeのイメージがありました。ギターの柚一郎もThe Policeのファンなので、自然と表打ちのギターカッティングを入れて、楽曲のグルーヴができていった感じです。

――「Do You remember」は往年のディスコ的なサウンドから流麗な日本語ボーカルが合わさることで、結果としてシティ・ポップっぽく仕上がっているように感じました。この曲はどのように作り上げていったのでしょうか。

及川:Debra Lawsの「On My Own」みたいな曲をやりたくて、ジャム・セッションして作っていきました。歌詞とメロディーは何度か作り直してアルバムの最後の方に完成した曲です。

――「Tonight」はアルバムの中で最もロック色の強いナンバーではないでしょうか。それも、The 1975のようなどこか80’s感漂うスタジアム・ロック的な楽曲というか。制作において何か意識したことはありますか?

及川:Tonightは初ライブの1曲目に演奏しました。かなり初期に作りましたが、僕はColdplayやNew Orderのイメージで作っています。でも、この曲はメンバーそれぞれ捉え方が違うと思っていて、みんなでロックを目指したというよりは、それぞれが自分なりにカッコいい演奏をしようと努力して作った曲のように感じています。

レコーディングとミックスは一番難しかったです。家で録音しているので、スケールが大きいドラムや歌を作るのが大変でした。

――「Family」はどこかジャズの要素を感じさせる洒脱な演奏と、愛に溢れたリリックが印象的でした。この“Family”はやはりバンドのことを表現しているのでしょうか。

及川:作詞はボーカルのKevinが担当している曲です。彼はアルバムのイメージを真っ直ぐな目で「愛をテーマにしたい」と言っていたので、地元の家族やバンドや関わってるたくさんの人に向けてると思います。曲の冒頭の歌詞が「いつもありがとう 感謝してる」っていうストレートすぎる歌詞で、もはや“詞”ではないんじゃないかなとも思ってたんですが、彼が歌うと自然に聴けて変な含みも裏もなく気持ちが伝わってきたので、いい歌詞だなと思いました。

――アルバムを締め括る「If you say」はオールディーズのような質感と、リラックスした演奏が素晴らしいです。この曲はアルバムの最後に持ってくることを意識して制作したのでしょうか?

及川:あまり覚えていませんが、メンバーの半分くらいお酒を飲んでいて、確か夜8時過ぎくらいだった思うんですが、遊び半分でNat King Coleみたいなセッションをしていました。そこで歌もなんとなくセッションしていたら、ほぼ今の状態になって、アルバムに入れようとなりました。意識してラストになる曲を作ったというよりは、この曲を入れるならラストだなと満場一致で決まった感じです。

――また、11月リリースの「きみとふたり」のみアルバムには収録されていません。この曲は少し変わった存在なのでしょうか。

及川:僕とギターの柚一郎とで失恋とか哀愁のある曲を作りたいと思って2〜3時間で作った曲です。今回のアルバムには入れていませんが、いつかライブを重ねてからリテイクして次のアルバムに入れたいなと思っています。


家族のような信頼感とリスペクト。強い結束力を有するRoomiesの特殊性

――今作を作り上げた今、改めて“Roomiesらしさ”という部分やバンドのアイデンティティのようなものを言語化すると、どのような言葉になるでしょうか。

及川:今までいくつもバンドをやってきて改めてすごいなと感じるのが、Roomiesはメンバーそれぞれの本当にクソな部分を分かった上で一緒に演奏できてるということです。それは僕の中では“家族のような存在”だと思っています。あとはメンバーの半分は日本で何が売れてるか興味ない、というか知らないっていう状態で音楽をやってるので、協調性じゃなくて流行りの影響を受けずに個性の掛け算になっていることがRoomiesらしさかなと思います。

それは家族のような信頼感がないとお互いにリスペクトし合えないことだと思うので。Roomiesは仲間意識が強く、そういう部分が“らしさ”に繋がってるのかなと思います。

――結成からおよそ2年、バンド内で変わったこと、変わらなかったことをそれぞれ教えてもらえますか?

及川:変わったことは家の内装とメンバーの髪型とバンドの演奏がよくなったこと。変わらなかったことは、カッコいい音楽を作り続けられたことです。

――2022年以降の展望、計画していることなどあれば教えて下さい。

及川:2022年以降はツアー、ワンマン・ライブを開催して、アルバムを出して、海外進出狙って、近い将来グラミー賞を取れるように頑張っていきます。


【リリース情報】

Roomies 『The Roomies』
Release Date:2021.12.17 (Fri.)
Label:CityHeim
Tracklist:
1. Do you feel
2. I just fell in love with you (Retake)
3. Smile with Thrill (Retake)
4. The Light
5. Do You remember
6. Tonight
7. Runnin’ (Retake)
8. The End of the Two (Retake)
9. Family
10. In My Dream (Retake)
11. I’ll be there (Retake)
12. If you say

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