Wallflower

Nowhere

Wallflower / Nowhere
思い出に勝てるものなんてない。でもこの曲は同じだけ美しい――Mini Zineも楽しみな、2年ぶりのNew Single!

大阪を拠点に活動する男女5人組インディ・ポップ・バンド、Wallflower(ウォールフラワー)の新シングル『Nowhere』が、5月下旬にリリースされます。

B面には、現在Ice Choir(アイス・クワイア)の活動でも知られる、元The Pains of Being Pure at Heart(ザ・ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート)のKurt Feldman(カート・フェルドマン)の手掛けたリミックスが収録される予定です。そのペインズやAlpaca Sports(アルパカ・スポーツ)との共演経験もあるWallflowerですが、今回の新作にプロデューサーとして迎えたのはIan Catt(イアン・カット)。彼は近年アルパカをプロデュースしていることもあって、堅い信頼がそこに垣間見えます。

ナカジマエリの歌声から感じるのは、穏やかさ。今作においては特にそうです。それは浜辺の熱砂に埋まったり、真っ白な深雪に飛び込んだりして、カラカラ笑うようなものではありません。むしろ、春秋の優しい風に包まれる様子や、それに撫でられた頬のやわらかさに似ています。

とは言っても、シンセ・パッドの電子音が楽曲を彩っているので、やはりどこか楽しげな印象も。陽を浴びて輝く花や芒がサウンドスケープとして浮かんできませんか。オリジナルにも既にノスタルジックな雰囲気はありますが、B面のリミックスはKurt Feldmanの80’s趣味が炸裂した幻想的なエレ・ポップに仕上がっているとのことなので、懐古趣味の我々にとってはきっと涙の零れるほど――。
思い出というものは、ある意味”どこでもないところ”なのかもしれませんね。現在へ繋がる時間軸を辿ってみれば、そこ在るのは確かに過去なのでしょうけれど、記憶はどの事実よりも美しいはずです。さらに言えば、経験を介さずイメージだけで語られるその美しさたるや、ユートピアとして扱うに充分ではないでしょうか。Wallflowerのサウンドは、悲しい出来事さえも肯定してくれる気がします。

またアートワークを手掛けたのは、möscow çlub(モスクワクラブ)のYuma Horiuchi。同じ〈Fastcut〉からのリリースや、共演、さらにはVo.エリがコーラスで参加したナンバー「Margaret」などを経てきている2組の、親密さが窺えます(以下の動画よりTOKYO ACOUSTIC SESSIONの模様をご覧いただけます)。ちなみに今作「Nowhere」は、モスクワの「sanatorium」へのオマージュのような気も。

最後に、今回発売予定のフィジカルには、メンバーによるセルフ・ライナーノーツなどを含むMini Zineも付属するようなので、楽曲だけでなく写真や解説などを味わうとともに、私の見解との相違を楽しんでいただけたらと思います。リリース日の発表を待ちましょう。


【リリース情報】

Wallflower 『Nowhere』
Label:Fastcut Records
Tracklist:
1. Nowhere
2. Nowhere (Ice Choir Remix)

※ミニ・ジン+DLコード付き。クリア・ヴァイナル仕様。

■Wallflower オフィシャル・サイト:http://wllflowr.tumblr.com/

ru_kawa

Curator

ru_kawa

内省的で知性美のある音楽を贔屓にしています。が、バイオレントなものも好きです。普段は暗く涼しいところに保管されたい