SPIN.DISCOVERY Vo.03 アーティスト対談

Seiho × Tomggg

"トラックメイカーのライブ"に焦点を絞った対談を敢行! 途中、かなり脱線もします……。

いよいよ明日に迫ったSPIN.DISCOVERY Vol.03!
ということで、ギリギリになってしまいましたが、今回はSeihoとTomgggによるトラックメイカー対談をお届けします!

対談のテーマは”トラックメイカーのライブ”について……!
ネット上を主戦場とするトラックメイカー/DTMerがリアルな場へとどんどん活躍の場を広げている昨今の状況において、私を含め実はトラックメイカーのライブってどういうことしているのかわからない人も多いのではないか……と思い、この度の企画を敢行致しました……!
途中かなりアチラコチラへと脱線してしまったりもしましたが、中々に興味深い対談になったかと思いますので、イベント前に是非ともご覧くださいませ……!

Interview by Takazumi Hosaka
Photo by Kohei Nojima


—まず最初に、お二人は面識はあるんですよね……?

Seiho(以下:S):もちろんです。最初は……2.5Dとかで会ったんでしたっけ?

Tomggg(以下:T):どこでしたっけ……どこかの楽屋だった気がするんですけど。

S:でも最初に会ったの結構前ですよね。3年前とかでしたっけ?

T:そうですね。……ダメだ、何のイベントだが全然思い出せないです。

—たぶんお互い会う前から先にお互いの音楽の方を先に知っていたかと思うんですが、それも踏まえたうえでの第一印象はどうでしたか?

T:う〜ん……背が高いな、みたいな(笑)。

S:そんな高くないっすよ! たぶん厚底履いてたから(笑)。
……ぼくは結構思った通りの人だったっていう気がしますけどね。でも、グググさんがメディアとかで喋ってるのをみると「あ、イカれてんな」って(笑)。

T:ハハハ(笑)。

S:外向きの顔のほうがバグってるっていう(笑)。

—なるほど。では、今日も是非ともバグった感じを出して頂ければと思います(笑)。
それで今日はですね“トラックメイカーのライブに焦点”を当ててトークしてもらいたいなと思っているのですが、まず最初に、超根本的なところからいくと、「実際トラックメイカーのみなさんはライブの時、なにをやっているのか?」っていうのをぼく含め、ファンの方でも意外とわからないひとって結構いると思うんです。なので、まずはそこから教えてもらいたいかなと。

S:う〜ん、めっちゃ踊ってる。その会場の中で一番気持良くなってる。

T:そう、確かにそれが一番大切!(笑)

—トラックメイカーのライブをDJプレイって表現しているメディアもあると思うんですけど……。

S:でも、ぼくは結構そこは割りきっていて、たぶん「DJスタイル」って言われれば、それはその通りなんですよね。全部自作(曲)のDJスタイル。だから、あんまりそこは気にしたり、こだわってはいないかな。

—基本的には元々仕込んできたセットをPCで走らせ(流し)つつ、そこにリアルタイムでエフェクトをかけていくっていう感じでしょうか?

S:まぁそうですね。だからあんまりDJとの差もないのかなって。ただ、ぼくが活動し始めた5年くらい前は、自分の曲をラップトップでかけまくるDJっていうのがあまりいなかったので、それを「ライブ・セット」って呼んでいた方が見栄えが良いかなって思って、勝手にそう名乗り始めただけ……ですかね。

—事前に仕込んできたセットを、いわゆるDJのようにその場やオーディエンスに合わせてリアルタイムで変化させることはありますか?

T:ぼくの場合は例えば「この曲はちょっと短めにして、早く次の曲に行こう」って感じだったり、逆に反応が良かったら本当は早めに切り替える予定の曲を引き伸ばしたり……っていうのはありますね。

S:ぼくは……組み方は珍しいんですけど、ストーリーの分岐点みたいなのだけは作ってて。大まかに組んでるセットがあって、例えば中盤からこっちに分岐していこうとか、そういう感じですね。大体3曲くらいは決まった流れがいくつかあって、「あ、もっと踊りたい感じかな?」って思ったら分岐点でそっちに持って行くし、ちょっとBPM早くしてJukeっぽいセットにした方が良いな、って思ったらそっちを選ぶし。それが終わったらまた新たに分岐点が出てくるので、例えば「I Feel Rave」行く流れと行かない流れがあって、どっちかをまた選ぶとか、そういう感じですね。

T:それは面白いですね〜。そういう組み方っていうのは初めて聞きましたね。

—お互いライブで最もこだわっている点だったり、注力している点を教えてもらえますか?

T:ぼくはあんまりライブの本数がないので、必ず新曲を1曲は入れて生で反応をみてみるっていうのはやってます。ちょっと今月に関してはライブがいっぱいあって、(新曲を組み込むことが)できていないんですけど……。

S:ぼくの場合は……なるべくどっかで一回無音にして、“ぼくだけを観て欲しいタイム”を作りたいんですよね。「はい、こっからぼくの時間です!」みたいな(笑)。

T:もう音を止めて、(自分を)観るだけに集中して欲しい、みたいな?(笑)

S:そう、なんかInstagramチャンスじゃないけど、「はい、ここ見せ場です!」みたいなのを作りたい。

T:すごいですよね、自分が見られることをとても意識している……というか。音楽演奏の場なのに、音がメインじゃないっていうのもすごい(笑)。

—確かに(笑)。でもEDMとかのDJもそうですけど、トラックメイカーのライブって、パフォーマンスありきなところもありますよね。オーディエンスを煽る動きが重要というか。

T:そうなんですよね。「幸せなら手をたたこう」みたいな(笑)。

—そういったパフォーマンスで「こいつはヤバいな」って思ったトラックメイカーっていますか?

S:ボルチモアのCo LaっていうアーティストとMatthewdavidですね。もう今後の生涯これ以上の衝撃はないなってくらいの存在で。ぼくが最近ライブで牛乳飲んでるのとかもCo Laの影響がでかいんです。……ちょっと深い話になるんですけど、例えばEDMとかのDJだと規模がでかくなればなるほど演出が過剰になるじゃないですか。曲が盛り上がれば盛り上がるほど、ライティングが派手になったり、映像が派手になったり。ぼくはそれにすごい疑問を抱いてて。Co Laは逆なんですよ。果物を食べたり、ティッシュを撒いたりするんです。それって小学生でもできるじゃないですか。それをステージで、自分のライブ中にやるっていうのは、ぼくの中ではEDMとかと真逆の演出をやっている気がするんですよね。もちろんEDMがダメ!とかそういう話じゃないですけど。

—おふたりはライブでは鍵盤も使われていますが、導入するに至ったキッカケを教えてください。

T:ぼくの場合は書き出したものを(MIDI鍵盤に)並べたりするときもあるんですけど、それだとなんか……冷凍保存しているみたいなイメージがあって、それ以上発展しないような気がするんです。それをちょっと人間の手で汚したいっていう欲求に駆られて、ライブで実際に自分が弾く鍵盤で汚す、みたいなことをやっていますね。

S:(ライブで)弾き出したのは3年くらい前からかな……それまではFenneszみたいにギターの信号にエフェクトかけてシューゲイザーみたいなことやったり、何か色々と分岐点があって……。元々トロンボーンをやってたりもしたし、楽器を使うってことに対しては特別な気持ちは持っていないっていうか。

—Seihoさんは先日、Dommuneでモジュラー・シンセ・セットを披露していましたが、あれはリアルタイムでどういう操作を行っているのでしょうか?

S:まぁ実はぼくもよくわかってないです(笑)。
あの、他の人がモジュラー使うのってエフェクター用だったり、ノイズっぽい感じだったり、エクスペリメンタルな使い方が多いんですよね。でもぼくはモジュラー・シンセ買う時から、それをどう音楽的に使うかっていうのはすごい意識していて。やっていることは他の楽器と同じでそんなに複雑なことではないんですよ。モジュラーってパーツ毎に買えるシンセサイザーなので、シンセサイザーでやっていることとそんなに変わらないんですけど……。

T:なんかぼくが抱くモジュラー(・シンセ)の印象って、勝手に暴れだすみたいな感じ。それをどう抑えこむか、みたいなのがライブなのかなって(笑)。

S:モジュラー(・シンセ)の一番ヤバいポイントは、ずっと鳴ってるってこと。ヤバないすか? おれがトイレ行ってる間もずっと音が鳴りっぱなしなんですよ。頭オカシイなって、あいつら(笑)。

T:サボってもいいのにね(笑)。

—モジュラー・シンセを導入しようと思ったのはなぜなんでしょう……?

S:ぼくもグググさんと同じでMax/MSP(音楽用プログラミング・ソフト)をやってたんですけど、それがすごい苦手だったんですよ。できることが多すぎて、頭の中が整理できない。だから、モジュラー・シンセくらいの制限度があった方がぼくには合ってるなって。あと最近なんかモジュラー・シンセが人のいない世界みたいなのを想像させるんですよね。

T:あ〜それはすごいよくわかる。人がいなくなっても機械だけが動き続けているっていう。

S:そう。モジュラー・シンセの生々しさが“人のいない世界で動いている虫”みたいなんですよ。

T:なるほど。テンポの感じとか、クリックの感じというか……。

S:で、ここらへんの話って、グググさんは絶対共感してくれるって思ってたんですよ。あの、グググさんの音楽って“人がいない”んですよね。

T:うん。

S:これ、Metomeが言ってたんすけど「グググさんの音楽はほぼDUB-Russellと一緒」っていう話を前にしてて(笑)。

T:ハハハ!(笑)
わかる。ぼくDUB-Russell大好きなんですよ。

S:人間を超えていこうとしているというか……。

T:それは間違いなくて、頭のなかの理想の世界をそのままPCで鳴らしたいっていうか。

S:こういう話がしたかったんですよ今日は!

T:うん……やっぱり人間は超えますよ。そりゃあ。

S:なんで超えようと思ったんですか? どこら辺からそうなったんですか?

T:例えばぼくクラシックとかもやってたんですけど、フルートの奏者1000人呼んで演奏させるっていうのはなかなか難しいけど、PCだったら簡単にできるっていうか。そういう考えが始まりかなって。

S:ぼくの相方のAvec Avecは人間での再現度っていうのを結構こだわるんですよ。このドラム・パターンなら叩けるとか、このベース・ラインなら弾ける、とか。で、Avec Avecとグググさんの音楽ってパッと聴くと似てるんです。でも、大きく違うのはグググさんは人間を超えてきてるってこと。頭で処理する前に次の音がくるっていうか……。

T:そういう部分は本当に目指しているところですね。

—そう考えると、そもそもライブをするっていうこと自体がなんか矛盾してくるような気もしますね(笑)。

S:ぼくがDUB-Russellを初めて観たとき、最初すごい頭で考えようとしたんですよ。なにが鳴ってるのか、どこがキックの頭なのか、とか。でも2分くらいで「無理!」ってなるんですよ。

T:確かに無理ですよね。

S:もう、違うんですよね。自分の体をこのデータ(音)がただ過ぎて行くのを待つしかない(笑)。
グググさんの音楽も一見キメが多いような気がするけど、多すぎて一緒にキメられないんですよ。情報量がとにかく多すぎて、(音が)体を過ぎて行くのを待つしかない(笑)。

T:中学生のとき音ゲーにハマってたことがあって、あの滝のように流れてくる譜面をピアノロールとかに落としこむ、みたいな感覚は確かにありますね。

S:ポップスって既視感やから、一回目のサビが歌えへんくても、二回目のサビで歌えて、三回目になったらもうドカーンって盛り上がる、みたいなのが構造としてある。でも、グググさんの場合は一回目も二回目も三回目も意表を突いてくるから、受け止められずに、全部(体を)過ぎていく……みたいな!

T:そうなんですよ、同じの繰り返せない病気みたいなのにかかって(笑)。

S:それが大分グググさんの特殊なところやと思います。

T:やっぱりダンス・ミュージックは反復が基本なので、コピペで作っていくことももちろんあるんですけど、何か同じループだとすぐに飽きちゃうんですよね。すぐに違う音を足したり、音数増やしたり……っていうのはありますね。

—なるほど。ではライブ・パフォーマンスと楽曲制作、どっちが好きですか?

T:う〜ん、どっちが好きとか考えたことないなぁ。

S:気持ち良さでいうと、曲が出来たときです。できた瞬間がピーク。そこから後はもう死んでいくだけっていうか……。最近いけばなにハマってるんですよ。一時期観葉植物育てていたこともあるんですけど、観葉植物は「明日花が咲くかもしれない」みたいな、今日よりも明日、明日よりも明後日っていう楽しみ方なんですよね。でも、いけばなって逆で、完成した直後から死んでいくんです。ぼくはやっぱりいけばな的な感覚の方が向いていて、曲が出来上がった直後がマックスで、あとは死んでいくだけ。

T:そうか〜。……でも、うん、それはあるよね。曲が出来て、「やったー」ってなって、その後興味がなくなっちゃうっていう……。

S:たぶんね、ぼくとグググさんは“愛のない母”タイプなんですよね。生むという行為だけが好きっていう(笑)。

T:ハハハ!(笑)
たぶん、これからも(曲を)作り続けるんだろうなっていうのは思いますね。

—今後、自身のライブ・セットをこう変化させていきたい! というヴィジョンのようなものはありますか?

T:う〜ん、基本的には自分の手が届く範囲のことしか考えてないので……。

—例えば人手を増やすとか、生楽器の演奏と合わせるとか……。

S:人じゃ超えられないっすもんね。だったらPCをたくさん置くとか(笑)。

T:そうそう(笑)。

S:しかも……ダメなPCを置くってことですよね。ライブって間違いとか予期せぬことが起こるっていうことじゃないですか。だから間違えるパソコンを、しかもいっぱい使うっていう………(笑)。

T:間違えるパソコンって良いですね(笑)。

ーでは、Seihoさんは?

S:……ぼくは音楽を聴くことによって生じる共感みたいなものがあまり好きじゃないんですよ。横の人と「この音楽良いよね」って話ながらとかじゃなくて、自分ひとり対音楽の対話を楽しんで欲しいんです。だから盛り上がれば盛り上がるほど、真っ暗にしたい。だってひとりになるには、絶対暗いほうが有利じゃないですか。最終的には一対一の対話が無数に集まっている状態。自分のライブをそういう場にできたら最高ですね。


SD3メインビジュアル9.23

<SPIN.DISCOVERY -Vol.03->
【開催日】2015 年 10 月 10 日(土)
【開催場所】渋谷 Club Asia(渋谷区円山町1-8)
【OPEN/START】14:30/15:00
【チケット料金】前売り¥3,500 (1Drink別途) / 当日¥4,000 (1Drink別途)
【出演】Norton / KiWi / JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB / Seiho / Tomggg /
PAELLAS / Lucky Kilimanjaro / ラブリーサマーちゃん / WONDERVER / yule
【プレイガイド】 イープラスにて発売中
【主催&企画制作】株式会社Spincoaster
【招聘】THSITIME RECORDS
【公式サイト】 http://discovery.spincoaster.com/vol-03
【お問い合わせ先】info@spincoaster.com

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