möscow çlubやTeen Runningsなどとともにマイペースながらも東京のインディ・シーンを中心に活動を続けてきた入岡佑樹(Vo./Syn)を中心とする5人組、SUPER VHS。
今月2日に待望のデビュー・アルバム『CLASSICS』を、盟友Teen Runnings主宰レーベル、SAUNA COOLよりリリースし、来年3月にはこちらも親交深いmöscow çlubのリリパ&Alpaca Sportsの来日合同イベントへの出演も決定しているなど、東京を中心としたインディ・シーンでも改めて注目を浴び始めている。
今回はそんなSUPER VHSのVo./Synであり、バンドの首謀者でもある入岡佑樹に自身のルーツでもあり、そしてアルバム制作において重要な影響源となった3曲を語ってもらった。
(Text by Takazumi Hosaka)
1. 国安わたる / 心のPhotograph
バキめなスラップベースが印象的ですが、バブル景気の始まりを想起させる全部乗せアレンジも愉快な1曲。本質を見抜いている歌詞はタイムレスな輝きを放ち、共感度1000%。
86~88年頃のアニメ主題歌の持つ高揚感とペーソスを、常に心に!
2. 斉藤由貴 / 卒業
松本隆、筒美京平の黄金コンビによる無形文化財的1曲。武部聡志のアレンジ、斉藤由貴の透き通る声、切なげで妙に大人っぽい感覚の歌詞etc…。決してBGMとして成立しない、真摯に対峙すべき名曲です。
もともと好きな曲だったのですが、アルバムの制作が佳境に入り心身ともに困憊していた今年の晩夏、東京国際フォーラムでの奇跡の再演に感涙して以降、僕の中で特別な意味を持つ曲になりました。
3. Portable Rock / Green Books
アルバムのサウンド面のアプローチに関しては、細野晴臣、高橋幸宏、Apogee&Perigee、Test PatternなどYENレーベルの作品や、Portable Rock、Films、Shi-Shonenといった国産ニューウェーブからは計り知れない影響を受けました。
そういった影響が1番色濃く出ている曲は「Catch a Wave」で、Portable Rockが解散していない世界での彼女達の新曲をイメージして作られています。なんて、ちょっと大げさ。
Message
音楽的なアプローチだけではなく、時代性や文脈的な要素にも重きを置いて『CLASSICS』を作る上でキーとなった3曲を選びました。
ここではあえて昔の邦楽に絞りましたが、もちろん現行の海外インディーや70~80年代のブラック・ミュージックからの影響、SUPER VHSを始めるきっかけとなったTeen Runnings(Friends)や、Moscow Clubなど同世代のクリエイターからの刺激も、アルバムを形作る要素としてあります。
ときに池波正太郎は『男の作法』(新潮文庫)のなかで “人間とか人生とかの味わいというものは、理屈では決められない中間色にあるんだ” と綴っていますが、これは音楽においても言えること。『CLASSICS』は、パーソナルな感覚で聴いてもらえたらうれしいです。
Information
SUER VHS『CLASSICS』
Release Date:2015.12.02
Label:Sauna Cool
Cat. NO.:SC-6
Price:¥2300+tax
Tracklist:
Kowloon Action
Remember The Night
Boy
Feel Young
Runaway
Conservative
Meteors Fall To Desert Islands
Catch a Wave
Profile
SUPER VHS
2011年に入岡佑樹を中心に活動開始、カセットリリース、コンピレーション参加などを経て、15年12月にSauna Coolから『CLASSICS』を発売。
HP : http://supervhsjp.tumblr.com/
Twitter : @super_vhs_jp