Interview

ラブリーサマーちゃん

ハタチの宅録女性SSW、ラブリーサマーちゃんに、これまでの道のりとこれからの展望を語ってもらいました!

2013年、どこからともなくその名がネットを媒介に広まった宅録女性SSW、ラブリーサマーちゃん
活動開始からわずか1年で様々なトラックメイカー、バンドとコラボしたり、Maltine RecordsからEPをリリース、ワンマンも開催。そして今年に入ってからは2度目のワンマンを成功させ、遂には単独名義での全国流通作品『ベッドルームの夢e.p.』をリリースするに至った……!

一見、現代におけるインターネット上のシンデレラ・ストーリーとも言えそうなキャリアの持ち主ではあるが、実際はまだあどけない20歳の女子大学生。彼女のSNSをフォローしている方ならご存知の通り、ラブサマちゃんは何もこの2年間、順風満帆な成功物語を紡いできた人物ではない。時に悩み苦しみ、そして荒れている様を赤裸々に吐露しながら、ここまで辿り着いた。

今回、SPIN.DISCOVERY Vol.03への出演が決定したということで、そんな彼女のこれまでの道のりについて、そしてますます大きな活躍が期待されているこれからについてなど、学校帰りの彼女にインタビューを敢行し、様々なことを語ってもらった……!

Interview by Takazumi Hosaka


—今回のSPIN.DISCOVERYにはラブサマちゃんのライブを初めて観る方も多く来ると思いますので、改めて今回のインタビューではラブサマちゃんの道のりを足早に辿っていきたいと思います。
まず、宅録を始めたのが2013年の夏、まだ高校生の時でした。元々やっていたバンドが活動停止してしまったのがキッカケだったそうですが、バンドをやろうと思ったキッカケを教えてもらえますでしょうか?

毎年夏休みに親戚の別荘に泊まりに行くのが恒例行事だったんですけど、妹はトランペットが吹けて、ハトコはクラリネットが吹けたり、ダンスもできたりして、周りの大人から「みんなすごいねー」って言われてたりしたんです。でも、私は読書くらいしか趣味がなくて……。「このままじゃダメだ、何か趣味を見つけよう!」って思って家にあったアコースティックギターを弾き始めたら、それが結構ハマってしまって。それが中学3年の夏くらいなんですけど。そこから何ヶ月か練習してるうちに、高校生になったらバンドを組もう!って決意するようになり、それで高校に入ってから出会った人と組んだのが、結成までの経緯ですね。

—そのバンドではなんのパートで、どういう音楽をやられていたのでしょうか?

私はギターで、なんていうか……the cabsとかcinema staffに影響されたような音楽をやっていました。

—その時は実際、そういったバンドにハマっていたのですか?

そのバンドのボーカルをやってた男の子が作ってた曲がたまたまそういう感じだったんです。私は中学の時からthe brilliant greenさんやBonnie Pinkさんが好きで、そこからどんどん色々な音楽を聴くようになっていったんです。でも当時はだんだん海外の音楽も聴くようになっていって、その頃はLate Of The Pierとかも好きでしたね。

—なるほど。ではそこからバンドが活動停止してしまい、宅録をスタートさせる時期のお話をお訊きしたいのですが、最初に宅録をスタートさせた時、どのようなサウンドを目指していましたか?

バンドが休止してしまったので、新しいバンドを組みたいって思っていたんですけど、その時画家っていうバンドが好きだったんですよ。なのでそういう大編成のバンドがやりたかったんですよ。たまに歌があってもいいけど、基本はインストで、みたいな。それで色々なパートの人を集めなくちゃって思ったんですけど、ギターとかベースを弾ける人は周りにいても、トランペットとか弾ける人が回りにいなかったので、ネットで集うしかない!って思って。それでメンバー集めのためのデモ音源として、宅録で録った楽曲をUPし始めたのが一番最初でした。

—宅録で楽曲をUPするようになって、一番最初に大きな注目を集めたのはやはり「あなたは煙草 私はシャボン」だと思うのですが、あの曲の生まれた経緯を教えてもらえますか?

当時好きだった人が年上で煙草を吸う人で、そのとき私はシャボン玉にハマっていたんですが、失恋してしまって。それで、煙草とシャボン玉を重ねた曲を作りました。

—その後、2014年の初めころには「あなたは煙草 私はシャボン」や“>tofubeats「水星」のカバーのリミックスが多数生まれつつ、Herrokkinとのコラボ、「笑い話」に繋がったりしますよね。ここらへんの、ネットでの反響具合はどうでしたか? 急速に変化したのか、それともゆるやかな変化だったのか……。

その時私はまだいわゆるバンド・サウンドの音楽が好きで……Warpの作品とかは結構聴いていたんですけど、日本の、今私がクラブで共演させてもらっているようなネット・レーベル界隈のひとたちの音楽って、実は当時は全然知らなくて。Herrokkinさんがたまたま見つけてリミックスしてくれたのがキッカケで、そういうクラブ・カルチャーに少しずつ触れるようになっていったんです。その頃、バンド界隈のひとたちではなく、クラブ寄りのひとたちにフックアップされるのは一体どうしてなんだろうって思ってたんですよ。クラブにも行ったことないし、っていうか行けないし、なのにどうしてこんなにみんな可愛がってくれるんだろうって。そしたらその時Marginal Rec.主宰の方に「クラブ界隈にはトラックを作るオタクみたいなひとはいっぱいいるけど、ボーカルをできる女の子っていう存在が圧倒的に足りていないから、それで重宝されているんだよ」って言わて。確かに実際Yun*chiさんとかしかいないかも知れないなって思って、すごく納得したんですよ。でも、共作とかフィーチャリングのお誘いとかいっぱいきてたんですけど、わたし自身はクラブの音楽を作れないし、知識もない。元々やりたかった音楽性でもないし、“クラブのひと”みたいになるのも嫌だなって思って、これを続けていたらいつかダメになっちゃうような気がして、その時は結構不安になったりもしました。

—その頃はまだバンドを組む方で動いてたりはしなかったんですか?

実はバンドを組むってことは決まってて、2013年の12月にワンマンをすることも決まってたんですよ。その年の夏くらいに宅録を始めたばっかなのに、12月にワンマンで、しかもメンバーを14人くらい集める予定で……。もちろんそんなの半年で全然できるわけもなく、今まで声かけたひとたちとかライブ・ハウスの方にも謝って、全部チャラにしてもらいました……。

—「笑い話」のあと、tofubeatsの「ディスコの神様」にコーラスで参加した辺りからは様々なミュージシャンとの客演を果たし、芳川よしのとの共作EPをマルチネからリリース、宇宙ネコ子とのコラボ作も出たりと、かなり多作な時期だったかと思うのですが、この時期はやはり多忙な生活でしたか?

その時は大学に行けてなかったので、今よりはそんなに忙しい……って感じでもなかったですね(笑)。

—そうなんですね。それと同時に5月にはマルチネの大型イベント「東京」に出演し、入りきれないほどのオーディエンスを集めたり、恵比寿Baticaで初のワンマンも成功させます。この当時の心境はどのようなものでしたか?

その時はとにかくインターネットに感謝していて。音楽とインターネットがあったからこんな宅録始めて1年のわたしなんかを沢山のひとが観に来てくれて……。あとtomadさんとかわたしをこっち側に引っ張ってくれた方にもすごい感謝しています。

—でもインターネットというのは名前が広まっていくと同時に悪い一面も見えてくると思うのですが、そういった面は……。

あの時は確かに一言批判みたいなことが書かれただけで、すごい凹んだりしてましたね……。

—そこから少し間を空け、2015年はMarginal rec.からのKosmo KatのEPへの参加なども挟みつつ、7月の20歳の誕生日には初の単独名義作品『ベッドルームの夢』を配信リリース、さらに9月に初の全国流通作品(CD)となる『ベッドルームの夢e.p.』がリリースされました。
今までFor Tracy Hydeや宇宙ネコ子とラブリーサマーちゃん、ラブリーサマーちゃんと芳川よしのといった名義でのリリースと比べて、今回の単独名義でのリリースの反響はどうですか?

リミックスとかをやってもらったり、色々なひとと積極的にコラボしてたのは、元々そのひとのファンだったひとにも聴いてもらえるからっていうのがあったんです。わたしがひとりで地道にやっていくよりも、コラボとかをちょくちょくやっていた方が、より広い層に届けられるかなって。でも、色々やっていくうちに、自分で全部やってた最初の頃の音源のほうが……なんだろう……なんか、(聴いてて)安心するなってことに気がついたんですよ。ひととやるのもすごい刺激的で楽しいんですけど、ある時期から自分から出てきたものだけで作るっていうことに回帰したくなってきて。それと同時に、ファンのひとにも「ラブリーサマーちゃんだけでやってる曲がもっと聴きたい」とか言ってもらえるようにもなって……。そういうの待ってくれているんだなって。
あと、それまではクラブ界隈の音楽と、インディっぽいものの軸が2本存在していたような気がしたんですけど、あのe.p.を出したことによって、なんだろう、Yuckとかああいう海外のインディ・ロックみたいな路線を選んだんだなっていうのが伝わってきたって……Soleil Soleilさんに言われて(笑)。

—実際、その路線は自分でも意識的に目指していたものなのでしょうか?

実は最初作ってたデモの段階ではもっとノイジーで思いっきりシューゲイザーみたいな感じだったんですよ。でも、周りの人に聴かせたら「これじゃ聴く人を選んでしまう」って言われて……(笑)。
それでもやっぱりリヴァーブは削れない……! みたいな、私のワガママを貫いた結果、ああいうインディ・ロックみたいな作品になってしまったんだなっていう気がします。

—「ベッドルームの夢」はいつ頃から作り始めた楽曲なのでしょう?

これは……曲そのもの自体は高校2年生くらいの頃に作っていて、メロとか歌詞とかもすごい変えちゃったんですけど、その前のデモVer.はSoundcloudにもUPしていて……。TaxGuitarっていうギターの譜面を作るためのソフトみたいなのがあって、本当にお粗末なんですけど、作った譜面をmp3で出力もできるんですよ。当時はマイクとかもなかったので、TaxGuitarで出力したギター音源だけをUPしてました(笑)。

—それはやはりいつか録り直したいと思っていたのですか?

いや、全然いい曲じゃない!とか思ってたりもして……。

—それをどうして引っ張り出してきたんですか?

CD出すって話が決まった時に、ちょうど自分が何か曲が作れないモードに入ってたんですよ……。だから高校生くらいの時に作ったよくわからないのも全部見直してみて……。それで引っかかったのが「ベッドルームの夢」でした。

—宅録を初めて2年目の夏が終わりましたが、楽曲自体はどれくらい作ってきているのでしょうか?

う〜ん、でもそんな作ってきてないですね。たぶん25曲くらいです。

—ちょっと話は変わりますが、8月末に行われた2度目のワンマン&飲み会を終えての感想を教えてもらえますか?

あの会場のキャパが……80〜90人くらいだったと思うんですけど、すごい地方から来てくださっている方もいて、ラブリーサマーちゃんのファンの中でも一層コアな方が集まってくれたみたいで、何か……すごい“愛”を感じましたね(笑)。

—イベントではファンと1対1というか、密なコミュニケーションを取ることをとても大事にしている様子が伝わってきたのですが、そういったことは意識的に行っていますか?

えーどうなんだろう……。私がファンのひととコミュニケーションを1対1でとって、ファンの方が嬉しく思ってくれるかどうかっていうのはわからないんですけど、単純に私の曲を聴いてくれたり、気に入ってくれたりしてくれる人たちがどういうひとなのかっていうのを知りたくて……。そういう想いもあって、“飲み会”っていう風にしたかったんです。
あと、私のワンマンなので、私だけを観に来てくれるために3000円とかを払って来てくれるわけじゃないですか。その人たちがなるべく楽しかったって言ってくれたり、満足してくれたりするためには……って考えた時に、すごい情けない考え方なんですけど、自分のライブとか音楽だけではもしかしたらまだ満足してくれないかもしれない……って考えに至って。なので他にも食べ物とか、私のアートワークを手がけてくれている寺岡さんの作品とかを展示して、色々な方面から楽しいと思ってもらえるようなイベントにしようって考えて……。

—そういった密なコミュニケーションを取っていくなかで、なにか“気づき”や発見はありましたか?

えー、なんだろう……。すごいカワイイ女の子が多くてビックリしました。あとはカップルとか兄弟で来てくれている方たちもいたりしたのも意外でした。

—ファンと密なコミュニケーションを取っていくというスタイルは、ラブリーサマーちゃんとしての活動の規模が大きくなるに連れてどんどん困難になっていってしまうような気もします。その点についてはどのようにお考えになっていますか?

まず私がどれくらいのペースで活動できるかとか、どれくらいの規模で活動していけるのかっていうのもわからないので、ちょっとなんとも言えないんですけど……。でも確かに今より活動の規模が大きくなったら、ちょっと難しいかなって思います。こないだみたいな飲み会みたいなのはなかなかできなくなるのかなって。

—DIYな活動スタイルや手作り感のようなものが現在のラブサマちゃんのトレードマークのようなものになっていると思いますが、そういう点はどのように考えていますか?

そこは常に持ち続けていきたいと思っていますね。自分が大好き!ってわけではないんですけど、自分に関連したモノに、人の手が加わると「これもっとこうした方がいいんじゃない?」とか、すごい口出ししたくなっちゃうんですよ……。どうしたらいいんですかね? もっと大きな規模で活動しているひとたちはどうしてるんだろう……。

—10/10でのライブは弾き語りセットになりますが、PCでのバックトラックを使ってのライブとはどちらが得意ですか?
また、それぞれ注力している点などがあれば教えて下さい。

私、楽器を弾くのが苦手で。だからポンってスイッチ押すだけのPCセットの方がいいなって思ってたんですけど、この前名古屋でのライブで「イェーイ!」みたいな感じで動いた時、間違ってフェーダーを動かしちゃったっぽくて、30秒くらいアタフタするっていのがあったので……どうだろう……。

—UNITの時もギターの音が出ないっていうトラブルもありましたよね(笑)。

あー、トーフさんのリリパですよね(笑)。
出番の5分くらい前になんかイジってたら音が出なくなっちゃって……。リペアに出します!(笑)

—バンドがやりたいのに楽器弾くのが苦手というのも結構衝撃的な発言ですね(笑)。

そうですよね……(笑)。
でも弾き語りってすごい時間が密というか、バンドとかとは違ってミスタッチとかもダイレクトに伝わってしまうじゃないですか、そこが難しいですよね……。でも最近はバンドとかDJでの盛り上がりとはまた違った、弾き語りの“人と人との対話”みたいな空気感も好きになってきて……だから、(弾き語りも)大切にしようって思います。

—何やら新しいMVを撮影していたり、イベント当日の10/10の夜には大きな情報解禁も待ち構えているようですね。無理じゃない範囲で、今後のラブサマちゃんへの活動へのヒントをもらえませんか?

実は今年、7/7に私も参加しているKosmo KatさんのEPが出て、8/8に「ベッドルームの夢」のMVとCDリリースの発表をして、9/9に実際リリースして……ていう風に、ゾロ目の日に何かしらを行っているんです。なので、10/10とか11/11、12/12も何かあると思いますので、期待してて下さい……! あと、1/11には初のバンド編成でのワンマンも決まっています!(笑)

—では、イベント当日の情報解禁を楽しみにしていますね。ちなみに、今回のイベントで、個人的に楽しみな出演者はいますか?

PAELLASがとにかく大好きで! 高校の時にcoconuts diskで買ったりしてたり、For Tracy Hydeの時にも仲良くして頂いたこともあるので。あとはLucky Kilimanjaroも気になるし……yuleも、YouTubeで聴いた時に「最高! 好き好き!」ってなったので、すごい楽しみです(笑)。
あとCOR!Sさんがbo enとやっていた曲「i’ll fall」がすごい好きだったので、やっとKiWiとして観れるのが嬉しいです。


ラブリーサマーちゃん Information:

■Twitter
https://twitter.com/_imaizumiaika/media

■SoundCloud
https://soundcloud.com/lovely_summer_chan

■Official Site
http://lovelysummerchan.com/

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SPIN.DISCOVERY -Vol.03-

SD3メインビジュアル9.23

【開催日】2015 年 10 月 10 日(土)
【開催場所】渋谷 Club Asia(渋谷区円山町1-8)
【OPEN/START】14:30/15:00
【チケット料金】前売り¥3,500 (1Drink別途) / 当日¥4,000 (1Drink別途)
【出演】Norton / KiWi / JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB / Seiho / Tomggg /
PAELLAS / Lucky Kilimanjaro / ラブリーサマーちゃん / WONDERVER / yule
【プレイガイド】 イープラスにて発売中
【主催&企画制作】株式会社Spincoaster
【招聘】THSITIME RECORDS
【公式サイト】 http://discovery.spincoaster.com/vol-03
【お問い合わせ先】info@spincoaster.com

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