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Interview / The Sunshine Underground


「新しい道に進む決断をするには今が一番良いタイミング」ーー日本でのラスト・ライブで活動に幕を下ろす彼らの胸の内に秘められた想い

2016.10.04

何事にも始まりがあれば終りがある。このUKはリーズ出身の3人組、The Sunshine Undergroundは2000年頃にキャリアをスタートさせ、ニューレイヴに先駆けるようにリリースした05年のシングル『Put You in Your Place』で名を挙げた後、レーベル移籍などを経ながらも10年以上もの間世界中を飛び回りながら活動を続けてきた。
そして先月末、遂に通算4作目のオリジナル・アルバム『Luminescent』を”ラスト・アルバム”と銘打ちリリース。エレクトロとロックの融合が声高に叫ばれていた00年代後半からUSインディ活況の10年代、そしてロック不遇の時代と呼ばれて久しい今日まで、自身のサウンドを緩やかに変化させながら、ファンとの固い絆を築き上げてきた誠実かつ実直なバンドのひとつだ。

空中分解するわけでもなく、誰にも気づかれずフェードアウトするわけでもなく、”ラスト・アルバム”、”ラスト・ツアー”と題打ち、自らの最後を華やかに飾ろうとする意気込みすら感じさせる彼らは何を感じ、何を思いその決断に至ったのか。今回、Spincoasterではバンドのギター・ボーカルとしてフロントに立つCraig Wellingtonにメール・インタビューを敢行。その心の内を訊いた。

Interview by Takazumi Hosaka


―まずはバンドの解散が決まった今、改めてこの10年間のThe Sunshine Undergroundの活動を振り返ってみるとどのように感じるかを教えて下さい。

Craig Wellington:この10年間は本当に信じられないくらい素晴らしかった。僕たちは全員一緒に成長して、世界中を一緒に旅して、一緒に音楽を作って、ものすごく楽しかった。だから、きっと僕たちは全員この日々が恋しくなると思う。

―この10年間であなた達を取り巻く音楽業界の環境はどのように変化していったといえるでしょうか?

Craig Wellington:この10年で、音楽リスニングの環境は確実にオンラインへと大きく変化していったよね。そして今、実際に多くの人がストリーミングによって音楽に触れている。これは大きなアーティストにとっては問題ないんだろうけど、ファンがアルバムを買い続けることによってなんとか続けてこれた僕たちみたいなバンドにとっては、少し大変な状況なんだよ。

―この10年間でイギリスの音楽シーンはどのように変化していったと思いますか?

Craig Wellington:最近の僕たちが生きている環境で言うのは難しいな。メインストリームは昔よりポップになってきてると思うけど、イギリスでは常に健全なアンダーグラウンドの音楽シーンが存在しているんだ。多くの素晴らしい音楽が、最近のヒットチャートとは無関係なところで盛り上がっているようにね。

―あなたたちと同じ頃にデビューしたバンドの多くは、10年持たずにその名前を見なくなりました。彼らと違いあなた達が10年もの間コンスタントに活動を続けられたのはなぜだと思いますか?

Craig Wellington:1つ言えることは「ファン」だね。僕たちのファンのみんなはこの10年間本当に素晴らしかったんだ。イギリスはもちろん他の国でも、彼らは常に誠実でいてくれた。ファンのみんなが色々な場所でたくさんライヴする機会を与えてくれて、僕たちはすごく感謝しているし、とても幸運だったと感じているよ。

―では、差し支えなければバンドの解散の理由や経緯を教えてもらえますでしょうか?

Craig Wellington:僕達はデビューから10年が経って、みんなに「ありがとう」と言うのと、新しい道に進む決断をするには今が一番良いタイミングなんじゃないかって思ったんだ。今作が今までの僕たちのキャリアでも最高の作品だと感じたし、この10年間で僕たちは常に自分たちのサウンドを大きく変化させてきたけど、今作がバンドとして初期の頃の作品と同じバンドだと認識できる限界だと思ったんだ。僕たちは作品を楽観的なままにしておきたかったし、何年にも渡って応援してくれたみんなのために最後のツアーをしたいと思った。

―アルバム『Luminescent』についてお訊きします。まずこのアルバムはいつ頃から制作がスタートしたのでしょうか?

Craig Wellington:前作の『THE SUNSHIN UNDERGOUND』の制作が終わってからすぐにスタートしたよ。今作に収録されている「Sunbeam」、「Radiator」を作り始めるのに3カ月もかかんなかったんじゃないかな。この2曲は後に今作のスタイルやサウンドの基盤になったんだ。僕たちが解散の決断をしたのは今年の初めなんだけど、そこから「Something’s Gonna Happen」、「Rise」、「Today」をすぐに書いてアルバムを完成させたよ。

―前作はRoss Ortonがプロデュースを手掛けていましたが、今作は誰がプロデュースを手掛けているのでしょうか?

Craig Wellington:僕たちだよ! いつか自分たちのアルバムをプロデュースすることをずっと目標にしてたんだ。Rossや今までのプロデューサーたちの隣で仕事をしてきて、僕たちは十分なスキルを身につけたし、今こそ自分たちでチャレンジしてみようって思ったんだ!

―これまでの作品と比べ、制作プロセスにおける違いや変化はありましたか?

Craig Wellington:今作はギターと生のドラムを本当に少ししか使っていない。つまり、今作のサウンドは主にドラム・マシーンとシンセサイザーで作ったから、今までのような大規模なレコーディングセット一式やマイクを必要としなかったから、ほぼ完全に自分たちのスタジオで制作することができたんだ。快適な環境で、ゆっくりと曲を組み立てていった。以前は贅沢だ方法だとは思っていなかったんだけど、今まではどこのスタジオにするか事前に検討して、1日辺りにすごく高い金額を払ってスタジオを使っていたんだ。この方法だと、レコーディングを全て素早く終了させて、そして後日ミックスなどをして完成させるっていうプロセスが必要になってくる。今回は曲をミックスしたり、新しいまっさらな曲や、骨組みだけ出来ているような楽曲を完成形までに仕上げる時間にかなり余裕があった。最高だったね。プロデューサーにサウンドの方向性を変えてもらうような説明をする必要もなかったし、今回が自分たちで音楽を作る上で一番いい環境だったよ。でも、詳しい音楽的なアイディアは、時に説明している間にわけが分からなくなってしまうことがある。だから、今作はみんなの好きなように聴いて、楽しんでもらえたら十分だよ。

―ラスト・アルバムとなる今作には、5曲目に位置する『Luminescent』という曲名からタイトルが付けられていますが、この曲は今のあなたたちにとってどのような意味を持つ楽曲なのでしょうか。

Craig Wellington:今回のアートワークを担当してくれたJamie Avisと一緒に働き始めたときに、『Luminescent』をアルバムのタイトルにしようと決めたんだ。彼が作ってくれたアートワークが、この曲のタイトルに完璧にマッチしていたから、その後すぐアルバムのタイトルもこれにしようと決めたんだ。音楽的にも、この曲は今作のプロダクション・スタイルを代表するものとなっているよ。ライヴで演奏するのも気に入ってるんだ。

―今作のリリースに際して、前作に引き続きPledge Musicでプロジェクトを立ち上げていますが、このようなクラウドファンディング型のサービスの利点や可能性についてはどのように考えていますか?

Craig Wellington:クラウドファンディング・サービスは以前よりもアーティストにとって重要なものになった。音楽業界にもこのスタイルが影響されているよね。最近これにレーベルが大きな金額を打っていることは隠すまでもないよね。合法なストリーミング・サービスはレーベルにその損失の埋め合わせをするように動いてるけど、彼らの収益は以前とは違ってきているんだ。その結果として、市場はポップ・ミュージックが支配していて、ポップ・アーティストはレーベルにとって最も安全な賭けだと考えられている。クラウドファンディングはこういった状況に対して完璧な返答をしているんだ。もしそこに一定のファン・コミュニティさえあれば、全てのジャンルの音楽にとって上手くやり遂げられる手段を提供してくれている。

―最後のツアーが終わった後の予定はメンバーそれぞれ決まっていますか?

Craig Wellington:何かしらの方法で音楽を作り続けたいと思っているよ。最初にとりあえず少しは休憩すると思うけどね。僕たちはみんな次のプロジェクトに希望を抱いてるんだ。

―日本にいるあなたたちのファンに対してどのような思いを抱いていますか? また、彼等へ何かメッセージをお願いします。

Craig Wellington:僕たちが一緒に音楽を作り始めたのは2000年くらいなんだけど、その時これが僕らのキャリアを変えるものであってほしいと願っていたし、もし可能ならば世界に羽ばたきたいと思っていたんだよね。今度11月に東京に行くけど、それは6回目の来日になるんだ。10代の夢として2000年に始めたThe Sunshine Undergroundが、こんなに成功するなんて全く想像できなかったよ。東京が僕たちの最後のパーティーだし、この素晴らしい年月をサポートしてくれたみんなに会いたいと心から思っているんだ! 本当に待ちきれないよ。そして、永遠に愛してるよ。

Craig Wellington、Stuart Jones、Matthew Gwilt – The Sunshine Underground

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【イベント情報】

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“The Sunshine Underground – LAST LIVE 2016”

日程:11月10日(木)
会場:東京 Shibuya WOMB
OPEN/START: 18:30/19:30
チケット:5,900円 (前売) (税込/All standing/1Drink別)
チケット発売日:8/13(土)
主催:Vinyl Junkie 協力:クリエイティブマン


【リリース情報】

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The Sunshine Underground 『Luminescent』
Release Date:2016.9.28
Label:Vinyl Junkie Recordings
Cat.No.:VJR-3196
Price:¥2267 + Tax
Tracklist:
1. Rise
2. Something’s Gonna Happen
3. Sunbeam
4. Today
5. Luminescent
6. Open Up
7. Shimmer
8. Skyline
9. Radiator
10. Waves(日本盤ボーナストラック)
11. Double Vision(日本盤ボーナストラック)

■LABEL SITE:http://vinyl-junkie.com/label/tsu/


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