INTERVIEW

Newspeak

突如として日本のインディ・シーンに現れたNewspeakとは一体何者なのか? バンド初インタビューを敢行した

今年3月に結成し、早くも”SUMMER SONIC 2017″や”マグロック 2017″など大型イベントへの出演を果たすなど、急速的に注目を集める4人組バンド、Newspeak。

英語詞や00年代以降のUK/USロックの影響を強く感じさせるその音楽性は言わずもがな、カナダ人のメンバーも所属しており、一見海外のバンドかと思うほどに国際色の強いバンドだ。なんでもフロントマンのReiは2年間、イギリスで現地のプレイヤーと共にバンドを組んでいたという経歴があり、リヴァプールやロンドンを拠点にライブ活動を行いながらBBCへの出演も果たしているとのこと。グローバルな感性を擁しているのも非常に合点がいく話だ。さらに、ギターのRyoyaは元go!go!vanillasと言うのだから、まさに異色のメンツが揃ったバンドと言えるだろう。

500枚限定の1st EP『What We Wanted』を完売させた勢いそのままに、続く2nd EP『July』を11月13日(水)にリリースする彼ら。今回、Spincoasterではバンドで初となるインタビューを実施した。突如として日本のインディ・シーンに現れたNewspeakとは一体何者なのか? 彼らの入門篇としてぜひともご覧いただきたい。

Interview & Text by Kohei Nojima
Photo By Hiroya Brian Nakano

[L→R: RyoyaReiStevenYohey ]


ーーReiさんはリヴァプールでの音楽活動を経て、日本に帰国後Newspeakを結成しましたが、まずはその経緯を教えていただけますか?

Rei:リヴァプールでは、ある音楽コミュニティで知り合った現地人たちとバンドを組んだり、マレーシア人アーティストに楽曲を提供したり、とにかくライブハウスに遊びに行ったりと、音楽漬けの毎日でしたね。リヴァプールのライブハウス界隈は本当にローカルの人しかいないので、彼らに対してフロントで音楽をするのはとても刺激になりました。

その後、ビザの関係で日本に帰国して、就職活動をする傍ら作曲の仕事などもしていたのですが、タイミングが良くも悪くも仕事がたくさん入ってきたり、渡英前にやっていたバンドを再開したり、結局音楽に生活を支配されて就職活動をやめました(笑)。そんな中、家が近かったのもあって、yoheyに久しぶりに会って色々と相談したり、デモとかを聴かせたりしてて、そのうち一緒にやりたいねと話をしていました。

それと同時期くらいに、前のバンドのライブをRyoyaが観に来てくれて、その場で誘ってくれたのがこのバンドの始まりですね。でも、酔っ払っていて腹立ったので一回断りました(笑)。その後、もう一回見に来て真剣に話してくれて。それで元々YoheyとRyoyaも繋がっていたので、「じゃあみんなでやろうよ」ってことでスタートしました。Stevenとは前のバンドでの対バンがキッカケで知り合ったのですが、僕の隣の駅に住んでることが分かって、よく家に遊びに行っていました。

ある時、僕が新しいバンドを始めるっていう話をStevenの家で僕とStevenとSurvive Said The ProphetのYoshとしていて、自分のデモを数曲聴かせたらふたりともすごく気に入ってくれたんです。Yoshがいいアシストしてくれないかなーって思ってたら「Hey Steven, you gotta do this bro!」的な感じでナイス・アシストしてくれて。それでStevenがドラムとして参加してくれることになりました。なので、メンバーとはイギリス行く前からの付き合いですね。

ーーRyoyaさんは、2年前のgo!go!vanillas脱退時は音楽以外のことでやりたいことがあると仰っていましたが、この2年間どういった活動をしていましたか? また、なぜこのバンドで再び音楽活動を始めることになったのでしょうか?

Ryoya:バンド脱退後は知り合いのリペアマンの方のところで見習いの仕事をしてました。でも、その仕事をしている間に、再びギターを弾きたい衝動に駆られ、その方と相談して音楽をまたやることに決めたんです。
それからイギリスに行きたいと思ってお金を貯めて、ロンドン、マンチェスター、リヴァプールと自分が影響を受けたロックスターたちが育った場所に行きました。そこでは自由に自分たちがやりたいことを、好きなことをやってる人がたくさんいて、大きな刺激を受けましたね。日本に帰ってきてからは、昔からの知り合いだったボーカルのReiを誘って、それからバンドについて相談していたYoheyにも声をかけていったっていう感じです。

ーーNewspeakというバンド名はジョージ・オーウェルの小説『1984年』が語源ですよね。このバンド名にはどのような意味合い、想いが込められているのでしょうか?

Rei:元々Yoheyが好きな本で、僕はそれを教えてもらってその映画も観ました。小説内のNewspeakと言う単語は、「ある架空のディストピアで、政府が言語を簡略化することによって人々の思想を統制するために作った言語」という非常にネガティブな意味を持つのですが、僕らはそれにインスパイアされてポジティブな意味合いでバンド名にしました。今、僕らが生きている世界は、情報が多すぎて余計な知識だったり思想だったりが蔓延しているせいで色々なことを楽しめなくなってる気がして。僕たちはもっと「楽しい」「嬉しい」「切ない」とか、そういったシンプルな感情を音楽という言語で呼び起こしたいという想いがあるんです。そういった経緯で「Newspeak」という単語をバンド名に使わせてもらいました。

Yohey:おそらく、小説を読んだことがある人や、「Newspeak」という言葉を聞いて何かピンとくる人にとっては、ポリティカルなイメージを持たれるかもしれないですし、実際、そういうメッセージ性のある歌詞がないわけではありません。ただ、あまりディストピアなイメージだけに引っ張られずに、もっとラフでシンプルに、みんなが色々な生活を送っていく中での共通言語として、僕らの音楽が新しいコミュニケーションのツールになるといいなと。同じことを繰り返して言ってるだけですけど。その上で、やっぱり『1984年』は素晴らしい小説なので、いつかみんな読んでみてもらって、「Newspeak」という言葉の本来の意味も色々考えてもらえたらおもしろいなと思います。読むのはめちゃくちゃ大変なんですけどね。

ーーバンド結成当時、どのような音楽性やコンセプトを目指してスタートしたのでしょうか?

Rei:小さいステージでもめちゃめちゃでかいステージでもエモく盛り上がれるバンドにしよう、という思いはありましたね。

ただ、好きな音楽がわりと近かったのもあって、あまりハッキリとした音楽性をメンバー間で共有するといったことはなかったですね。明確なラベルをつけることで、不必要な先入観を持って自分たちを制限したくなかったですし。あと、アーティストなら誰でもそうだと思いますが、少しでもユニークな音楽を作りたいと思っていて。ゆったりした曲でもどんな曲でも体が動いてしまうような音楽をテーマにはしています。歌詞の内容に関しては、世界を変えるというような大きな内容よりも、あくまで個人の内的な心情を表現することが多いです。

あと、音楽には言語は関係ないと思うので、英詞が多いから「洋楽っぽい」みたいなカテゴライジングや、日本詞にしたから残念がられるような風潮も崩せればとは思っていました。

ーーなるほど。ちなみにReiさんは2016年に日本に帰ってきた際、日本の音楽シーンの変化などを感じましたか?

Rei:相変わらずアイドルがめっぽう強いのは変わってなかったですが、単純に僕の個人的に好きな音楽が増えてましたね。というよりは、YouTubeやストリーミング・サービスの台頭で、よりインディ感の強い音楽(僕の個人的な趣味)にも辿りつきやすくなったんでしょうね。イギリスに特に行く前に絡みのあったThe fin.、Yogee New Waves、go!go!vanillas、PAELLAS、DATS、YOUR ROMANCE辺りががおっきくなってて嬉しかったし、励みになりました。

ーーイギリスにいる時も日本の新しい音楽はチェックしていましたか?

Rei:正直全くしてなかったですね……。元々好きだった久石譲さんとかヒグチアイさんに癒されてました。だから帰った時、浦島太郎状態でした(笑)。

ーー先日、Spotfiyでプレイリストを公開していましたが、この中で特に4人の共通点であったり、キーとなる楽曲、アーティストを挙げるとしたら?

Yohey:この4人は実は共通点があるような、ないような、というところが本音で。そこがおもしろかったりもするんですが、強いてメンバーのルーツを挙げるとするならば、やはりOasis、JET、Coldplay、Radiohead、Keane辺りはそうかもしれません。好き嫌いは置いておいて、当時みんな聴いてたなと。あとはツェッペリンですかね。スケール感のデカさと言われるとこの辺りなんだと思います。

あと、Everything Everythingなんかは、「こいつらヤベェよな」って。……すごい上から目線で申し訳ないですけど(笑)。そういうのはみんなで共有したりはしてましたね。彼らの場合はインディ・ロックというよりは何かもうプログレですよね。あそこまでめちゃくちゃに色々なものを混ぜこぜにして、あれだけキャッチーなんてほんとぶっ飛んでます。あの真似したいのに真似できない感じは僕らも模索していきたいなと思っていますね。
Reiが挙げていた久石穣さんは僕も大好きで、彼と僕はピアノ、シンセのアレンジにすごい影響を受けているなと思います。バンド・アレンジが進むとどんどん薄れてしまうんですが。エモいですよね、とにかく。

ーー今年の3月に結成し、早くも”SUMMER SONIC 2017″や”マグロック 2017″など大型のイベントに出演しましたが、結成からこの半年を振り返ってみていかがですか?

Rei:自分たちで自分たちのケツを叩かないとダレるところがあるので、一概に評価できないのですが、全体的に結構スケジューリングが前のめりで、結局行き当たりばったり感が強くなってしまったのは反省してますね……(笑)。
それでもサマソニやマグロックなどに出演させてもらって、シンプルにもっと大きなステージでやりたいと思いましたし、そのために必要なことも少しずつ見えてきている気がします。そして、1stEPも完売させることができたし、ライブにもたくさんのお客さんが来てくれたり、結成して1年も経っていないのに多くの人に応援してもらえていることに本当に感謝しています。

ーーその中で、なにか印象に残っている事件やエピソードはありますか?

Yohey:Ryoyaは元々は後輩だったのですが、このバンドを組んでからタメ口を使うようになったのでムカついてます。ほんとに(笑)。
あとは、他愛もない話ばっかりです。ライブやら、撮影やら、バンドで出かける時は基本的に僕が運転なんですけど、普段寝坊なんか絶対にしないのに、そうゆう日に限って今のところ百発百中朝寝坊してます。すいません(笑)。あとはこのバンドを始めてから、すごい色の濃いやつらと仲間になれて、僕らなんてほんとまだまだなんですけど、それでもその仲間と同じ時間を共有できることができて、ほんとに感謝してますね。すげー楽しいです。ありがとう、みんな。って感じです。

ーーバンドの基本的な楽曲制作のプロセスを教えてください。

Rei:今のところ基本的には僕が家でデモを作って、それをスタジオに持って行き、みんなで各楽器や構成のアレンジをしていくという感じですね。メロディもみんなにアドバイスをもらって、また持ち帰って変えることも多いです。

ーーバンド内の個々の役割は?

Rei:僕は大枠とメロディー、シンセ・リフを考える人。Stevenは僕らの音源のエンジニアでもあり、とにかくおもしろいことをしたいと常に考えているので、ユニークなドラミングを考えてくれます。Ryoyaはギターに専念して、とにかくいいラインを捻り出してくれるキノコ(Ryoyaのヘアスタイルを指して)。Yoheyは歌えるベース・ラインを作って、みんなをまとめてくれる人。僕はそんな風に見ています。ただ、YoheyとStevenも作曲をしています。1st EPに入っている「Reveal It」は僕とStevenが家で一緒に作り始めたり、2ndに入っている「Watch Me Blaze」はYoheyが大枠を作っていたり。

ーー今回リリースした2nd EP『July』は、The KillersやColdplayのようなスケール感のあるスタジアム・ロックとなっています。本作はどういったアイデアからスタートし、どういったプロセスを経て完成しましたか?

Rei:1st EPではわりと小さい箱が似合いそうなスケール感だったので、2作目は大きなステージでも映えるような作品にしようという思いはありました。「July」に関しては僕が朝起きて、思いついたものをそのままアコギと歌でアウトプットしたのが始まりです。その後、大きなスケール感をイメージして4分くらいのデモを作りました。バンドでのアレンジはそれに一回沿ってもらい、そこからリズム隊がより跳ねるビート感を出してくれて、ギターがよりインディ・サウンドにしてくれたと思ってます。

ーーNewspeakの音楽は全体的に「密度のある音楽」という印象を受けます。特に終盤には息もつかせない畳み掛けるような展開が用意されていたり。

Rei:情緒不安定、欲張り、エモい人間の集まりだから自然にそうなるんだと思います(笑)。

ーーReiさんはイギリスでの音楽活動でどういったことを感じましたか? また、そこでの経験がNewspeakに活かされていると思いますか?

Rei:イギリスのオーディエンスは本当に成熟していて、ライブハウスにいるおじいさん、おばあさん、チャラそうなお姉さんお兄さん……誰と話しても自分より音楽詳しいんじゃないかって思うくらいなんです。そういうオーディエンスに対して既に聴いたことあるような音楽を丸々投げても反応は悪い。何か少しでもオリジナリティのある音楽に対して、とても敏感に反応します。だからこそ、アーティストは新しいものを作ろうと挑戦する。そんな姿勢を学んだ気がします。イギリスに限った話ではないですが、そういう傾向が強いと感じました。

そんなことを考えながらイギリスのバンド・メンバーと話してたら、 「Reiはそのままでも変だから考えなくていいよ(笑)。日本、アメリカ、イギリス、どれかっぽくもあるしどれかっぽくもないような感じ」って言われて、その言葉を今の楽曲制作に活かしています。あまり考えすぎずに自分がいいと思うものをやった結果、”BBC Radio Merseyside”への出演やCavern Clubで演奏する機会をもらえたことは自信になっています。たぶん、完全に何かの音楽を正解にして、それに囚われて制作すると、小説内のNewspeakじゃないですけど絶対に新しいものは生まれないとか思ってて。だから、最後のサビで日本っぽいボーカル・アレンジをしてみよう、とかは意図的に挑戦しています。僕らはStevenもいますし、本当に日本、アメリカ、イギリス、その他色々な影響を受けて育ったメンバーの集まりなので、基準は必要でも正解は決めずに製作した方がおもしろいものができるのではないかな、と今のところは考えています。

ーーやはり、いずれは海外で活動したい、という想いはありますか?

Rei:そうですね。Stevenもカナダ人ですし、僕はアメリカ生まれでイギリスで音楽をしていたし、好きな音楽も海外のバンドが多いので、その思いはあります。ただ、アジアも今盛り上がっているみたいなので、新しいシーンを作れたら嬉しいですね。海外でも活動してみたいという思いが、英詞の曲が多い理由のひとつとも言えます。

ーー直近の目標、そして将来的なバンドのヴィジョンを教えてください。

Rei:直近の目標はワンマン、アルバム制作ですね。その先には海外公演や全国ツアーもやれたらなって考えています。


【イベント情報】

“Newspeak Release Party Acoustic Break Oneman Show”
日時:11月23日(木・祝) 開場17:00 / 開演17:00
会場:Spincoaster Music Bar(代々木)
料金:前売予約¥1,500(+1Drink代別途)
出演:
Newspeak (Acoustic Set)
DJ:
遠藤孝行(New Action! / Ajam)
八木橋一寛(KIWA KIWA/ROCK ACTION)

主催メール予約:newspeakjp@gmail.com

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“Newspeak 2nd EP「July」Release Party in Osaka”
日時:2017年11月29日(水) 開場19:00 / 開演20:00
会場:大阪LIVE HOUSE Pangea
料金:前売¥2,500- / 当日¥3,000- 共に1drink代別途
[Live]
Newspeak
Mississippi Khaki Hair
Acidclank

[DJ]
Rock’n Roll Birthday

[チケット販売・予約]
イープラス、ローソンチケット、チケットぴあ、会場店頭販売


【リリース情報】

Newspeak 『July』
Release Date:2017.11.13 (Wed.) ※
Price:¥1,000 + Tax 1,000枚限定盤
Tracklist:
1. July
2. Media
3. Watch Me Blaze

※10月27日(金) 会場先行発売

■Newspeak オフィシャル・サイト:http://newspeak.jp

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