I Don’t Like Mondays.が今年初となる新曲“New York, New York”を4月24日(水)にリリースした。
この曲は、ボーカルのYUが青春時代を過ごした街、ニューヨークへの慕情が詰め込まれた疾走感溢れるロックナンバー。The KillersやThe 1975などI Don’t Like Mondays.のルーツであるギターロックへのリスペクトやオマージュが散りばめられたバンドサウンドと、艶のあるYUの声で歌われる官能的な歌詞が印象に残る。ニューヨークでYUが実際に撮影した写真をあしらったアートワークを含め、デビュー10周年を迎えた彼らの「原点回帰」ともいえる楽曲だ。
昨年から今年にかけ、アルバム『RUNWAY』とアニメ『ONE PIECE』主題歌“PAINT”を携え国内外で精力的にライブを行なってきた彼らに、“New York, New York”制作エピソードはもちろん近況などたっぷりと訊いた。
Interview & Text by Takanori Kuroda
Photo by Shimizu Elio
「節目である今だからこそ」──原点回帰の1曲
――新曲“New York, New York”はどのように作っていきましたか?
SHUKI:まず、昨年6月にリリースした通算5作目のアルバム『RUNWAY』で、僕らはI Don’t Like Mondays.として今やりたいことを、しっかりとやり切ることができた手応えがありました。今年はその精度をさらに上げつつ、これまでやったことないものにもチャレンジしていきたいという気持ちがあったんです。例えば今回のような、バンドサウンドを基軸とした楽曲を、次のリリースタイミングで作ろうという話は昨年末から出ていました。
YU:I Don’t Like Mondays.結成当時から好きで影響を受けてきた、The KillersやThe 1975のようなサウンド感を、メジャーデビューしてからシングルとしてリリースするタイミングがなかなかなくて。デビュー前にはそういう路線のデモもたくさん作ってきていたのに、そういう試みすらいつの間にか忘れていたんですね。この10年間、自分たちが好きなサウンドやジャンルにトライしてきたけど、バンドとしての節目である今だからこそ原点に立ち返ってみるのもいいんじゃないかと。
SHUKI:普段の僕らはDAW(デジタルオーディオワークステーション)を用いて作曲したりデモ音源を作ったりしているので、例えばドラムに関してはスタジオで初めて叩く、なんてことも結構多かったんですけど、今回は「バンドサウンドを録る」ということを踏まえて事前にスタジオに入り、プリプロダクションも行っているんです。この4人で演奏してみてどう聴こえるか、それを踏まえた上でレコーディングしたのは大きかったと思いますね。
――“New York, New York”というタイトルはどのようにして思いつきましたか?
YU:ニューヨークには高校時代に住んでいたことがあり、いつかはそれをタイトルにする曲を作りたいと思っていました。なかなかその機会に巡り会わずここまできたのですが、今年はI Don’t Like Mondays.デビュー10周年。「原点回帰」と言いますか、自分たちが今やりたいサウンドに向き合ったこの楽曲を、バンドにとって大事なものにしたいという思いもあって、今回満を持してこのタイトルをつけました。
まずタイトルを決めて、そこから歌詞を考えたのですが、なかなか一筋縄ではいかなくて。ニューヨークについて歌うにしても、今は日本で暮らしているわけですから、その自分が感情移入できるシチュエーションをどう設定したらいいのか、かなり試行錯誤しました。それでふと思いついたのが、サビの《Her lips reminds me New York》(彼女の唇がニューヨークを思い出させる)というフレーズ。そこから導き出したストーリーと、サウンドの質感がすごくしっくりくると思えたんです。
《New York》というワードもメロディの中のどこにハマるか、全く考えずにタイトルをつけたにもかかわらず、サビがグッと抜けるポイントにちゃんとハメることができたのもすごく不思議で。いろんな偶然を楽しみながら作ることのできた楽曲でしたね。
――ちなみにYUさんは、ニューヨークのどのあたりで暮らしていたのですか?
YU:住んでいた高校の寮はマンハッタンではなく、そこから電車で30分くらいの郊外にありました。でも週末はマンハッタンで夜な夜な遊んでいましたね。兄貴がマンハッタンに住んでいたので、金土の夜は友人と兄貴の家に泊まって、背伸びしてクラブなどに行っていました(笑)。そこから今でも毎年のようにニューヨークを訪れていますが、いまだに未知数な場所だなと思います。
CHOJI:このあいだYUとラジオで話したときに、「ニューヨークは若者よりも年配の方が暮らしを豊かに楽しむ街」と彼が言っていて。なるほど、それならいつか行ってみたいと思いました。
YU:ニューヨークがなぜこんなにロマンティックな街なのかを考えると、やっぱり大人が楽しめる街だからだと思うんですよ。ジャズもそうですが、レストランも30代とかだとまだ若い感じがする。50代、60代、それこそ70代のシニアたちが主役で、それより下の世代は背伸びして暮らしているような街ですよね。
CHOJI:僕もニューヨークといえばやっぱりジャズ。Eric Johnsonの“Manhattan”という曲が真っ先に思い浮かびます。あとは、Jay ZとAlicia Keysの“Empire State of Mind”とか。まだ行ったことがないので、音楽のイメージが強い街ですね。
SHUKI:僕は20代前半の頃、ドラムのサマースクールに通うため1週間くらいニューヨークに滞在したことがあります。ブロードウェイがあり、教会ではゴスペルが流れていて。やっぱり世界最先端のエンタメが集まっている場所という印象がありましたね。
音楽をやっている身としては、自分が好きだったり憧れたりしていたアーティストが一度は住んでいたり訪れていたり、好きな場所として挙げているだけあって、そのパワーはひしひしと感じました。だからこそ、ここで暮らしていくのは大変そうだなとも思いましたけど。
YU:確かに、ポジティブなエネルギーと同じくらいネガティブなエネルギーも渦巻いている街ですよね。世界中の若者が夢を求めてやってくるけど、そこには差別も貧困もあるわけで。だから“New York, New York”の歌詞を考えているとき、ニューヨークのポジティブな部分だけでなく、僕がイメージするこの街の多面的な部分を落とし込みたかった。
バンドサウンドにこだわった制作プロセス
――《The city is shining bright But I’m not satisfied》(街は明るく輝いているけど、僕は満足していない)という歌詞は、ニューヨークの光と影を描写しているように思いました。
YU:まさに。ニューヨークという街は、住む人の渇望感を駆り立てるところがあるような気がして。この曲の主人公は、目の前にいる女性に対してジェラシーを感じているのかどうかすらわからない。けれども、何か決定的な渇望感を抱えていることをニューヨークという街の多面性に喩えているんです。
――サビはセクシャルなことをストレートに表現していて。
YU:そこも、ニューヨークという街の持つセクシャルな要素を表現したかったんですよね。まあ、そんなに細かく「ここはこういう意味があって……」みたいに意識しながら書いていったわけではないですけど(笑)。
ただ、歌詞の中に「クリグラー19」という香水が出てくるんですけど、クリグラー(KRIGLER)を歌に入れた日本人は絶対に僕が最初だと思っています(笑)。セントラルパークの前の老舗、パレスホテルの地下にある香水ブランドで、この19番はオードリー・ヘップバーンが愛用していたんですよ。甘くて切ない香りが、ちょうどメロディにもハマったなと。
日本にはまだ入ってきていない香水であり、ニューヨークを思い出させるという意味でもすごくいいワードが入れられたなと自負していますね。僕はちなみに88番を使っていて。ニューヨークへ行くと必ず買っています。
――レコーディングでは、どんなことにこだわりましたか?
CHOJI:今回は手法のひとつとして、エフェクターを「かけ録り」しました。ミックスの段階でエフェクト処理をするのではなく、最初からギターにエフェクトをかけた状態で録音するので、これだと後から音像を調整できなくなるんです。そこもバンドっぽいやり方でしたね。陰影や奥行き、距離感など完成形を思い浮かべながらいろんなギターを重ねて音響的なサウンドにしていきました。
KENJI:今回、ベースラインは極力シンプルにしてギターを支える側に回りました。ファズを通し、ちょっと歪んだサウンドにしています。
SHUKI:僕もあまり爽やかになりすぎないよう、ちょっと「汚し」の入ったドラムサウンドにしました。1番、2番は抑え気味で叩き、最後のサビだけ思い切り叩いてコントラストをつけています。この曲のミックスは曲作りと同じくらい重要で、微妙なバランスで成り立つ音像感についてはエンジニアさんとも何度も話し合いながら作り込んでいきましたね。
――ボーカルレコーディングで心がけたことは?
YU:サウンドに勢いがあるので、ボーカルもそれに乗ってラフに歌っちゃうと目指している世界観にはならないだろうなと。なので、グッと堪えるところは堪え、靄がかかったような中で内に秘める焦燥感を抱えながら歌うのは、割とチャレンジングでしたね。試行錯誤した結果、すごく満足のいく仕上がりになりました。
「最終的に何がやりたいのか、気づくための10年だった」
――昨年はアルゼンチンやスペイン、中国、台湾、韓国など海外でのライブもいつも以上に精力的に行いました。どんなことが印象に残っていますか?
CHOJI:どの国もとても印象深かったのですが、ブラジルではライブが終わった後に会場をふらついていたら、現地の方から「一緒に写真撮ろうよ!」と声をかけてもらったんです。自分たちの楽曲が、海を越えて届いたのかと思うとすごく嬉しかったし感慨深いものがありました。そういうとき、バンドを続けてきてよかったと心から思います。
それと、中国山東省・煙台でのフェス『YANTAI YOMA FESTIVAL』に出演したときは、リハーサルのときにあまりの会場の広さにびっくりして。「こんなにお客さん集まるのかな」と内心ヒヤヒヤしていたのですが、蓋を開けてみたらみんなフラッグを振ってくれたり、よく『Glastonbury Festival』などの映像で見るのとまさに同じ光景が目の前に広がっていて驚きました。
KENJI:『ONE PIECE』の主題歌として書き下ろした“PAINT”が、僕らの海外進出の大きな足掛かりとなったわけですが、中国を回ったときに他の曲でも盛り上がってくれることにも驚きましたね。どちらかというと海外のお客さんの方が、僕らのことを先入観なしに受け入れてくれたような気がしています。そういう意味では、昨年のツアーはすごく自信に繋がりましたし、今年はまたアジアを回る予定なので本当に楽しみですね。
SHUKI:日本は割と歌詞を大事にする文化というのもあり、頭で聴く人が世界の中でも多い方だと思うんですけど、中国はもっと音楽を「体感」しにくる感じがします。「ライブは楽しむ場所」という感覚は、欧米のそれにも近いのかなと。実際に行ってみてわかることがたくさんあって、本当に刺激的な1年でした。
YU:僕は、いろんな国に行ったことで「自由になれた」というか。「あ、これでいいんだ」と思えたのは大きかったです。自分たちのワンマンツアーは別として、例えば日本のフェスなどに出ると、今までどこか構えてしまっている自分がいたんです。でも今回海外でのライブを経て、「自分たちが受け入れられなかったらどうしよう」みたいなプレッシャーから解き放たれ、「ありのままの自分たちで出ていけば、それを楽しんでくれる人が地球のどこかには必ずいる」ということを確信できました。「自分たちから変に寄せていく必要なんてない」と気づけたし、ようやく自分たちが心から「いい」と思えるものを突き詰められる環境になったなと思っています。
――また国内では大阪、名古屋、札幌、福岡、岡山、仙台、東京と7都市を回るツアーも開催されました。
SHUKI:今までのツアーで一番僕ららしい、ステージに立っているときも「こういう風に見せよう」みたいな気構えもなく、自然体で届けられたかなと。
YU:とはいえまだまだ荒削りな部分があるし、反省点もたくさんありました。今後も新しい曲をどんどん作り、僕らが目指すところに向かって少しでも進んでいけたらと思っています。秋からの全国ツアーでは、それをまたひとつの完成形として届けることができたら嬉しいですね。
――今年でデビュー10周年ですが、今どんな心境でしょうか。
KENJI:意外と何も変わってないといえば変わってないんですよ。いろいろトライしてきたからこそ、今が充実してきているのかもしれない。最終的に何がやりたいのか、気づくための10年だったのかなと。
YU:メンバー同士の関係性とかも、まるで変わってないからね。
CHOJI:本当にそう。
KENJI:まあ、やり始めた頃よりちょっとは仲良くなったかな(笑)。大きな喧嘩もそんなにないし。
YU:良くも悪くも、お互いに任せる分野は任せられるようになったのは、信頼関係が構築できたからこそだと思います。今までだったら、自分のイメージと違ったものを出されるとどこか拒否反応もあったのですが、今回は「じゃあ一回トライしてみようか」とお互い言い合えるようになりました。「想像を超えたい」という欲が全員にあり、自分が関与しないことで超えられることもあるんだなと気づけた10年だったのかなと。
CHOJI:常に何かしらのチャレンジをしながら走り続けてきたからこそ、いまだに挑戦することが楽しいと思えているんじゃないかなと。なんとなくできる範囲のことを、なあなあでやっている時期があったら、このバンドに飽きていたかも知れない。
YU:そうだね。全員がチャレンジ精神の持ち主で、いいバランスだと思う。これから『Island Tour』と銘打って、四国、九州、北海道、沖縄と周り、今まで行ったことのない会場でも単独公演を行うので、これまで足を運びたかったけど遠くて来られなかった人たちにも、生のI Don’t Like Mondays.を届けられる。やっぱり音源だけでは、僕らの半分くらいしか伝えられていないと思うし、100パーセントの僕らを見せたいので、ぜひ遊びに来て欲しいです。
あと、今年は秋から始まる『FOCUS』ツアーでアジアも回ります。僕らのサウンドにフォーカスした本当の姿を解き放ちたいですね。
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【リリース情報】
I Don’t Like Mondays. 『New York, New York』
Release Date:2024.04.24 (Wed.)
Label:AVEX MUSIC CREATIVE INC.
Tracklist:
1. New York, New York
■数量限定Tシャツ付ミュージックカード購入リンク:Lサイズ / XLサイズ
【イベント情報】
『I Don’t Like Mondays. “Island Tour”』
日時:2024年4月30日(火) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:徳島 club GRINDHOUSE
日時:2024年5月1日(水) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:香川 DIME
日時】2024年5月3日(金・祝) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:長崎 DRUM Be-7
日時:2024年5月5日(日) OPEN 17:30 / STARt 18:00
会場:熊本 B.9 V2
日時:2024年5月6日(月・祝) OPEN 17:30 / STARt 18:00
会場:鹿児島 SRホール
日時:2024年5月8日(水) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:愛媛 サロンキティ
日時:2024年5月9日(木) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:高知 X-pt
日時:2024年5月18日(土) OPEN 17:30 / STARt 18:00
会場:北海道・函館 CLUB Cocoa
日時:2024年5月19日(日) OPEN 17:30 / STARt 18:00
会場:北海道・苫小牧 ELLCUBE
日時:2024年5月21日(火) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:北海道・帯広 MEGA STONE
日時:2024年5月23日(木) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:北海道・北見 オニオンホール
日時:2024年5月25日(土) OPEN 17:30 / STARt 18:00
会場:北海道・旭川 Casino drive
日時:2024年6月1日(土) OPEN 17:30 / STARt 18:00
会場:沖縄 桜坂セントラル
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『I Don’t Like Mondays. “FOCUS” ASIA TOUR』
日時:2024年10月8日(火) OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京・渋谷 Spotify O-WEST
※ファンクラブ会員限定公開ゲネプロ
日時:2024年10月19日(土)
[1部] OPEN 14:30 / START 15:00
[2部] OPEN 18:00 / START 18:30
会場:北海道・札幌cube garden
日時:2024年10月27日(日) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:愛知・名古屋 ダイアモンドホール
日時:2024年11月2日(土) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:岡山 YEBISU YA PRO
日時:2024年11月3日(日) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:SIXONE Live STAR
日時:2024年11月9日(土) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:福岡 DRUM LOGOS
日時:2024年11月16日(土) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:大阪 なんばHatch
日時:2024年11月23日(土・祝)
[1部] OPEN 14:30 / START 15:00
[2部] OPEN 18:00 / START 18:30
会場:宮城・仙台 darwin
日時:2024年12月1日(日) OPEN 17:00 / START 18:00
会場:東京 Zepp DiverCity
※全自由席
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※海外公演日程は順次発表。