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INTERVIEW | brkfstblend


今だからこそのバランス感覚と遊び心。人生を豊かにする音楽活動の在り方

2024.07.24

Michael Kaneko、Keity、粕谷哲司によるバンド、brkfstblend(ブレイクファストブレンド)が1st EP『City Habits』を7月10日(水)にリリースした。

いわずもがなSSWとして活動するMichael Kaneko、元LUCKY TAPESのベーシストであり、NulbarichやZINほか多数のバンド/アーティストのサポートを務めるKeity、そして同じくYogee New Wavesの元ドラマーであり、他アーティストのレコーディングやライブにも参加する傍ら、デザイナー/絵描きの小磯竜也と共に切り絵の展示やワークショップなども行う粕谷哲司。それぞれキャリアを積み重ねてきた3人によって昨年結成されたこのバンドは、まるでピカピカの新人バンドのようなピュアな音楽愛と、第一線で活動しているプレイヤーだからこその確かなスキルやウェルメイドなソングライティングセンスを持ち合わせている。

70〜80年代のAORやサザンロックなどのアーシーでオーセンティックなサウンドを軸としつつ、肩の力の抜けた絶妙なレイドバック感と、洗練されたサウンドプロダクションが同居するEP『City Habits』は、決してその場限りのサイドプロジェクトといった趣ではなく、確かなバンドとしての一体感と完成度の高さを感じさせる。

それぞれが音楽家として別々の歩みを進めていた3人はどのようにして交わり、今に至るのか。今回のインタビューではバンド結成の経緯から、30代を迎えた今だからこそ感じる音楽活動の在り方について、存分に語ってもらった。

Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by Yuki Ayano

L→R:粕谷哲司, Keity, Michael Kaneko

呑み屋から始まった新バンド

――まずはバンドの結成のきっかけからお聞きしたいのですが、粕谷さんとKeityさんがお酒を呑んでる場で思いついたそうですね。

Keity:新宿3丁目で呑んでたんですけど、粕谷も僕も前のバンドを辞めるタイミングだったんですよね。マイキーも以前から友だちだったので、「(ボーカルとして)マイキーはどう?」って、自然な流れでなって。

――粕谷さんとマイキーさんも元々面識が?

Michael:粕谷と会ったのは、その前年(2022年)の秋か冬くらいじゃなかったっけ? それもKeityがヨギー(Yogee New Waves)のサポートをしていて、それでスタジオ終わりかなんかで一緒に呑んだんだよね。もちろんそれ以前からお互いにミュージシャンとしては認知していましたけど。

粕谷:そうだそうだ。思い出した。

――Keityさんと粕谷さんは呑みの席の場で、マイキーさんにいきなり電話したとか。

Keity:そうです。いきなり「今から来れない?」って(笑)。

Michael:しかも夕方5時とかにですよ(笑)。

粕谷:その日はボン(Yogee New Wavesのギタリスト・竹村郁哉)とお昼ころから呑み始めたんですけど、(Keityが)バンドを辞めるって噂を聞いてたので、話を聞いてみたいなと思って呼び出すことにして。

Michael:その日は用事があったので、実際に僕が合流できたのは8時過ぎくらいだったかな。SANABAGUN.のTaiga(Tanimoto Taiga)とかもいたよね。

――ラジオでお話されていましたが、呑みの場での「何か一緒にやろうよ」はバンドマンあるあるなコミュニケーションのひとつですよね。普通だったらその場にいた人も参加する流れになりそうですが、なぜこの3人で固まったのでしょうか?

粕谷:たしかに。なんでだろうな……。

Keity:ヨギーのサポートをやらせてもらってたときから、粕谷とは特に音楽の話が合ったんですよね。お互いAORとかが好きで。

Michael:あと、その時期めっちゃ呑んでたよね。よくうちに集まって、お酒を呑みながらお互いの好きな音楽をシェアしていて。2人とも同い年なのに、自分の親世代が聴いていたような音楽に詳しくて、なかなかそんな人には出会ったことがなかったんです。

粕谷:僕からすると、その場にいたボンさんはそれまで一緒にヨギーをやっていたし、Taigaも昔からの友だちだったので、2人の方がまだ距離が詰まりきってなかった。だからこそ、一緒に組んだらどうなるんだろうっていう気持ちがあったのかも。

――3人の好きな音楽の共通項として挙がったアーティストをいくつか教えてもらえますか?

Michael:わかりやすいところだとSteely DanやBobby Caldwell、The Doobie Brothersといった70〜80年代のいわゆるAORと言われる代表的アーティスト。最近で言えばSam EvianとかDrugdealerっていうバンドはみんな好きで盛り上がったよね。

粕谷:それぞれのルーツとか一番好きな方向性みたいなのは少しずつ異なると思うんですけど、大枠では3人とも同じ方向性を向いてるなって感じましたね。

――現行のアーティストでも、ちょっとオーセンティック寄りなサウンドが好みというか。

Michael:日本ではもっとR&Bっぽいサウンドの方が流行ってると思うんです。もちろん僕らもそういったサウンドは大好きなんですけど、もっと白っぽい、そして土臭いサウンドをやってるバンドって、今はあんまりいないんじゃないかって思って。敢えて今、そういうサウンドを鳴らしたいっていう思いはありましたね。

粕谷:今の御時世に歯向かう感じで(笑)。

Keity:打ち込みのサウンドも好きでよく聴いてますけど、やっぱり自分的にしっくりくるのは生楽器の演奏で作られた音楽で。生演奏にこだわってやりたいというのは自然なのかなと思っています。

――マイキーさんはおふたりから誘われたとき、快諾したんですか?

Michael:もうノリノリで、「楽しそうじゃん!」って感じでしたね。その話をしたのが去年の5月くらいで、結成を発表したのが7月。最初は12月くらいに初ライブできたらいいねって話してたんです。でも頻繁に会うようになり、どんどん楽しくなってきて、曲もすぐにできてきて……。

Keity:この3人で一緒にいたり、音を出したりしていると、「もっとこういうことやりたい」「こういう曲作りたい」っていうアイディアとか欲がどんどん出てくるんですよね。

粕谷:そうこうしているうちに初ライブも8月に急遽決まり(笑)。じゃあ、ちゃんとライブできる形にしないとねって感じで、動きが加速していき。

Michael:初ライブ前に3曲ぐらいデモがあったので、それを長めにライブアレンジして、それとカバーを合わせて40分くらいのステージができるように頑張りましたね。

――初ライブが福岡というのも少し意外でした。

Michael:僕がソロで福岡に行ったときに、現地のイベンターの方との雑談の中で、「今度こういうイベントやろうと思ってる」っていう話が出て、僕も新しくバンドを組むことをお話したら、「じゃあそのバンドで出てよ」って言ってくれて。

――バンド結成から初ライブまで、すごく自然な流れというか。不思議な縁みたいなものを感じますね。

Michael:自然でしたね。あと、僕らって10年くらい音楽業界でそれぞれ活動してきて、その内側のいいところも悪いところもある程度見ているんです。だからこそ、このバンドではいわゆる大人の力とかを借りず、DIYというかインディペンデントというか、自然に繋がったりした縁で動いて行きたいなって思っていて。

僕らの年齢も関係してるのかな。30代に入って、新しく何かを始める人も多いじゃないですか。会社員から独立してフリーランスになったり、起業したり。何かそれと同じようなことがミュージシャンの僕らにも起きてるのかなって思います。

粕谷:そう考えると、リョウナ(Kuron inc.代表/brkfstblendのマネージメントも担当)がジョインしたのも必然だった気がするよね。

Michael:自分たちの力でやりたいとは言いつつ、メール返したりとか事務的なことが全員苦手で(笑)。でも、どこかに所属したりするのも違うかなぁって思ってたときに、彼もちょうど自分の会社を立ち上げたばかりだったので、相談してみたら「いいよ、やるよ」って快諾してくれて。

元々彼が前の会社から独立する前からライブ現場で会って、なぜだか知らないけど仲良くなったんですよね。それから彼は名古屋拠点なので、東京に来るときはいつもうちに泊まったり、普通に呑みに行ったりするようになって。歳も近いし、ヴァイブスが共通しているというか。


「打ち込みのデモを生音にほぐしていくような感覚」

――話を少し戻しまして、初ライブはどのような内容になりましたか?

Michael:“Cannonball”と“2am”、“west la”をやって、あとはカバーでしたね。それこそDrugdealerの曲や、Al Greenの“Let’s Stay Together”、Weldon Irvineの“I Love You”と……。

粕谷:Donny Hathawayのライブバージョンの“What’s Going On”。キメが多くて結構難しかったよね(笑)。

Michael:そうだそうだ。あと、その日は鍵盤にTAIHEI(Suchmos/賽)、あと福岡のSSW・Lil Summerちゃんにコーラスをやってもらって。

粕谷:あとKenT(Soulflex)もサックスで入ってくれましたね。ソロプロジェクトのrobeで同じイベントに出ていたので、「こっちもお願い」っていう感じで(笑)。

Michael:たまたま友だちがいっぱいいたので、6人編成という豪華な布陣で初ライブを行いました(笑)。

――オリジナル楽曲はどのように作っていったんですか?

粕谷:バンドとして動く前に、さっきお話したような「好きな音楽の共有」をめっちゃ長いことやってた気がする。

Michael:スタジオに入る前に、たぶん10回くらい呑んだよね。そのうちに、「曲ができたから、スタジオ入ろうぜ」ってなったんだっけ?

Keity:マイキーの家で、宅録で作ったデモをみんなで演奏するっていうのが最初かな。

Michael:最初に作ったのは“Cannonball”だよね。

Keity:“Cannonball”は最初、僕がSplice(サンプル音源配信サービス)の音源を使ってドラムを組んで、4つ打ちのハウスっぽいデモを作って。それを持っていって、みんなで生音に昇華してもらったっていう感じですね。

――EPには“Cannonball”のKeityさんによるリミックスも収録されていますが、あれは原型のデモを発展させたもの?

Keity:そんな感じですね。コードとかもないビートだけのデモが残ってたので、「これ、使えるじゃん」って思って作りました。

Michael:初期の曲に関していうと、今サポートで入ってくれているMimeの近藤くん(近藤邦彦)の存在も大きくて。“Cannonball”はKeityが持ってきたデモに、4人で遊びながら音を重ねていったっていう感じでした。……最初、こんちゃん(近藤)のことかなり口説いてたよね(笑)。

Keity:一緒にやろうよ〜って(笑)。

Michael:そうそう。ただ、彼は「今はMimeに集中して頑張りたい」ということだったので、結局この3人のままで進むことになりました。

――Keityさんが持ってきた“Cannonball”のデモに対して、粕谷さんとマイキーさんはどのようなアレンジやアプローチを考えましたか?

粕谷:ビートは最初から打ち込みだけで成立するような完成度があったので、難しかったですね。それを敢えて揺れとかも入れつつ、生音に変換するっていう感じで。

Keity:スタジオで録ってきてくれたことあったじゃん。あれ、すごくわかりやすかった。

粕谷:あぁ、そういえばやったわ。自分でスタジオに行ってマイクを立てて、プリプロに音を乗せて。

Michael:“City Habits”もそうだけど、きっちりグリッドに沿った打ち込みのデモを、生音にほぐしていくような感覚があるよね。自分のソロだったら絶対出てこないような曲調とかコード進行にトライすることができて、めっちゃチャレンジングだったし楽しかったですね。

――“Cannonball”はKeityさんが原型を作ったとのことでしたが、EP収録の他の4曲はどのように作っていったのでしょうか。

Michael:“City Habits”はKeityだよね。

Keity:“Cannonball”と同じように4つ打ちのビートにベースラインを乗せて、鍵盤入れて……っていう感じでデモを作って。

Michael:Keityのベースラインがすごく個性的で、もうそれだけで聴けるっていう感じなんですよね。だからそれを軸に、どうやって展開させていくかっていう考え方で作っていきましたね。

逆に“2am”と“nyc”は僕スタートで、“2am”はイントロのリフを最初僕がギターで弾いてたんですけど、「鍵盤にした方がいいね」ってなって、こんちゃん含めた4人でお酒を呑みながら作っていきました。

Michael:“nyc”は実はこの前僕がリリースした3rdアルバム(今年5月リリースの『Daydreams』)のために作っていた曲なんですけど、途中で「これはMichael Kanekoじゃないな」って感じてきて。というのも、ちょうど去年の5月頃、brkfstblendを組もうって話してた頃に作った曲だったんですよ。だから、無意識にそういった方向性に進んでいたのかなって。

――バラード曲の“west la”はいかがでしょうか?

Keity:“west la”もマイキーじゃない?

Michael:そうだった。“west la”はbrkfstblendで演奏することをイメージしながら書きました。70年代っぽいスローバラードで、逆に今の時代こういうのやってる人いないんじゃないかって思いながら作りましたね。

――リリックとメロディに関しては、全曲マイキーさんが?

Michael:今リリースされている楽曲に関してはそうですね。実はライブではやってるけど、まだリリースしていない曲で、粕谷が作詞した日本語の曲があるんですけど。

粕谷:作詞は初めての挑戦だったんですけど、難しかったですね……。リリースするかどうかはまだわかりません。

Keity:俺、あの曲好きだけどなぁ。

粕谷:上手くアレンジが固まるかどうか、っていう感じですね。

――マイキーさんは作詞するとき、ソロプロジェクトとbrkfstblendで、何か意識の違いは感じますか?

Michael:いい意味で適当というか、陽キャな自分、パーティヴァイブスな自分が出ていると思います。ソロだったらもっと自分の内面を綴っているんですけど、バンドではいい意味で遊んでる感じ。ちょっと語弊があるかもしれないですけど、ラップに少しだけ近いかも知れないです。言葉遊びもたくさん入れているし、普段だったら使わないような言葉も使ってる。ソロだったら「これはやめておこう」って思うような表現でも、バンドだったらアリにしてしまう。それもバンドのすごさだなって感じていますね。

――普段の自分とは違う側面が引き出されるというか。

Michael:まさしくそういう感じです。


フレッシュな気持ちと、大人としてのバランス感覚

――みなさんそれぞれ別プロジェクトやバンドで活動されていますが、brkfstblendでの制作において、特殊なポイントなどはありますか?

粕谷:これまで曲を作るときやアレンジするとき、見せたいイメージや情景、世界観などがあって、それを入口にして考えていくことが多かったんですけど、このバンドはもうちょっと理路整然としている気がしますね。逆にみんなでスタジオに入っているときに、僕が「ここは白昼夢みたいな感じにしたい」とか、感覚的なことを言ったりしてます(笑)。

Keity:自分は前のバンドでは曲を作って持っていくっていうことをほぼしなかったので、自分のデモをみんなが膨らませて、曲に仕上げてくれるっていうのがめっちゃ楽しく感じてますね。ある意味、初めてバンドを組んだときのような新鮮さも思い出すというか。

粕谷:わかる。フレッシュな気持ち、めっちゃ感じるよね。でも、その一方でみんな33歳なので、大人としてのバランス感覚もあって。それが若い頃とは違うなって思いますね。

――マイキーさんはいかがですか?

Michael:僕は本当に遊びでしかバンドを組んだことがないんですよね。SSWとしては22歳くらいから活動しているんですけど、〈origami PRODUCTIONS〉のアーティストは年上の先輩っていう感じで、同い年くらいの音楽仲間ってずっといなかったんです。2人(粕谷、Keity)は僕が1st EP(2017年リリースの『WESTBOUND EP』)をリリースした頃から活動していて、同世代でムーブメントにもなっていたじゃないですか。Suchmos、ヨギー、ラッキー(LUCKY TAPES)、ネバヤン(never young beach)といったバンドたちがバーっと人気を集めていって。その姿に、正直めっちゃ憧れてたんです。

――なるほど。

Michael:だから、今こうやって同い年の2人とバンドができてるのがすごく楽しいし……「待ってました!」っていう感じ(笑)。

粕谷 & Keity:(笑)。

Michael:でも、逆に若い頃に出会ってたら、今みたいに上手くいかなかったかもしれないとも思っていて。当時はもっと我が強かったと思うし、一人で活動してきていろいろなことを学んだ上での今があるわけで。もちろん今も譲れないところは譲れないし、めちゃくちゃこだわって音楽を作ってますけど、33歳になってより冷静な視点も持てるようになった。任せるべきところは任せるし、お互いを尊重できるようになった。まだ1年しか活動してないですけど、3人ともそういったバランスが取れてるなって思いますね。

――たしかに、VlogやInstagrmaを見てると、めちゃめちゃ楽しみながら活動しているのが伝わってきます。みなさんの別プロジェクトや別バンドでの活動とはまた違った、少し肩の力が抜けている感じもするというか。

Michael:このバンドを始めたとき、「楽しいことしかやらない」って決めたんですよ。やりたくないことはやらない。ツアーも自分たちが行きたいところに行く(笑)。

Keity:沖縄なんて好き過ぎて2ヶ所でライブしてるんで(笑)。

Michael:採算や効率は一旦無視してやりたいことやろうっていう感じで。もちろん多くの人に聴いてもらいたいって思いはありますけど……あるよね?

Keity:あんまりそこは考えてないかも(笑)。

粕谷:とにかく長く続けたいですね。

Michael:うん。好きなことをやり続けて、カッコいいオヤジになりたい。というか、粕谷とKeityは前のバンドでかなり大きなステージも体験してるわけじゃないですか。だったらこのバンドでは違うこと、違うスタイルで活動した方がおもしろいんじゃないかなって、勝手に思ってます。

粕谷:音楽をやっていく上でいろいろなルートがあると思うんですけど、この歳でバンドやるなら、獣道ですらない、道なき道を突き進んで行く方がおもしろそうだなとは思いますね。これまで経験してきたことも活かしつつ、敢えて見たことない景色を見に行くというか。

Keity:セカンドキャリアだからこそ、カッコいいことやりたいねって。これは呑み屋さんでも話したよね。

Michael:きっとメジャーに所属していたときは、2人ともいろいろなしがらみとかもあったと思うんです。だからこそ、このバンドではそういうものは一切抜きにしてやりたいですね。

――そうやってピュアな原動力で活動していながらも、“2am”が海外から注目され始めていたり、早くも夢がある展開になっていますよね。

Michael:僕らも驚きました。たしか最初にメキシコで再生数がグーンと伸びて、その数カ月後にはアメリカでもめっちゃ再生されるようになって。

Keity:今でも日本よりアメリカのリスナーの方が全然多いんです(※取材当時)。

Michael:あとからわかったんですけど、「このヴァイブスに合う曲」みたいな感じでいろいろな曲を紹介している海外のTikTokerさんのポストがひとつのきっかけだったらしくて。

――行く行くはUSツアーとかも実現しそうですね。

Michael:めっちゃ行きたいです。海外でいうと、すでに台湾のツアーは決まっていて。それも僕がソロで中国に行ったとき、現地のイベンターさんに中国と台湾のフェスを全部リストしてもらって、そこに全部DM送ったんです(笑)。そしたら2つ返信がきて、速攻で出演が決まりました。

粕谷:何の政治活動もなく、超草の根活動(笑)。

Keity:こんな感じで海外でのライブが決まるなんて思わなかった(笑)。

粕谷:今の時代はこういう従来の方法とは違う選択肢もあるっていうのが素晴らしいことですよね。あと、今こうやってDIYで動いているからこそ、レーベル所属時に僕らを支えてくれていたスタッフさんの大変さも実感します。海外でライブをするとなったら、それこそ準備なども大変ですし。それはそれですごいことだよな、と。


「文化を作る」「輪を広げる」「人生を豊かにするもの」──3人が考えるバンドの在り方

――今後の動きに関しても教えて下さい。まずはTRUNK(HOTEL) CAT STREETで、入場無料のリリパが控えていますね。

Michael:東京での初ライブがTRUNK(HOTEL)だったんですけど、そこで会場の人と仲良くなって、僕らのことも気に入ってくれたみたいで。それで今回、再度ライブをやらせてもらえることになりました。しかもエントランスフリーで。

Keity:入場無料ってすごいよね。

粕谷:しかも僕らとTRUNK(HOTEL)との共催という形で組ませていただいて。本当にありがたいですね。

――そして8月には逗子にて自主企画『club social vol.2』が開催されます。

Michael:逗子にsurfersという、僕とKeityは若い頃からお世話になっている箱があって。粕谷もヨギーでMVを撮ったことがあったりと、何かと縁が深いんです。

Keity:とにかくロケーションが最高なんですよ。

Michael:そう。なので、「夏にパーティしたい!」ってなったら、「surfersしかないっしょ!」っていう感じで話が進んで。普段は着席スタイルのイベントが多いんですけど、今回は「スタンディングでやりましょう」って提案してくれたので、パーティヴァイブス全開の日になると思います。

――ゲストに迎えている韻シストとTRIPPYHOUSINGは、どのような関係性なんですか?

Michael:先月、大阪で韻シストが主催しているイベントに呼んでもらったんですけど、本当にカッコいいお兄さんたちなんですよね。長年、自分たちの好きなことを続けてきて、ああいうピースフルな空間を作り上げることができる。そういうところに憧れますね。

粕谷:本当にみんなが自然体で、楽しく踊れるっていう感じの空間でした。僕らが目指すべきひとつの理想の姿であり、カッコいい先輩っていう感じですね。

Michael:TRIPPYHOUSINGはラッパーのSkaaiとyonawoの斉藤雄哉、そしてAlex Stevensの3人からなるユニットです。彼らは少し年下なんだけど、本当にヴァイブスが合うんですよね。

粕谷:音楽の趣味も合うし、ただ楽しいこと、好きなことを追求してるっていうスタンスにも共感するよね。

――TRIPPYHOUSINGは都内のイベントにDJ出演していましたよね。

Michael:今回は初のライブセットを披露してくれます。

――Instagramでセッションしている様子もUPされていました。当日も何かスペシャルな演出が期待できるのでしょうか。

Keity:ありそうだよね。

Michael:間に合えば(笑)。

――カッコいい先輩と気の合う後輩と共に、楽しいパーティになりそうですね。

Michael:狙ったわけじゃないんですけど、韻シストが40代、僕らが30代、TRIPPYHOUSINGが20代で、3世代が交わるパーティになりそうです。

Keity:バランスよさそうだよね。

――最後に、様々なプロジェクトでも活動する御三方にそれぞれ質問させてください。このbrkfstblendというバンドを、今後どのようなプロジェクトへとしていきたいですか?

粕谷:すっごいカッコつけた感じで言わせてもらうと、文化を作る場所にしたいなって思っています。音楽ってこれまで長い歴史が積み重なってきての今に繋がっているわけで。僕らはそういった系譜みたいなものをちゃんと感じられる音楽を作りたいんです。brkfstblendの作品やライブが、過去の素晴らしい音楽に触れたり、ディグるきっかけになってくれたら嬉しいし、ちゃんと文化や思想の面も伝えていきたいなって思っています。

――なるほど。

粕谷:やっぱり、音楽をディグるのって楽しいじゃないですか。「こことここが繋がってたんだ」とか「この人は昔、こんなバンドやってたんだ」とか、そういうのがわかってくると、今の時代とは少し異なる意味での文化的豊かさを感じられるんじゃないかなって。

Keity:さっきのお話にも重なるんですけど、韻シストのライブを観て、自分たちで場を作ること、そして輪を広げることの大切さみたいなものを感じて。自分たちの気の赴くままに活動して、仲間や聴いてくれる人、お客さんの輪をどんどん大きくしていければなと。

――マイキーさんはいかがですか?

Michael:今振り返ってみると、20代のときって目の前のことに夢中になっていたんですよね。目標を掲げて、そこ目掛けて走っていた。それは大事なことだし、今でも目標とかはあるんですけど。でも、何ていうんだろうな……音楽ってライフワークじゃないですか。この2人も、バンドメンバーである前に親友だし、歳を取って生活が変わってもライブとかをやっていたい。バンドがあることで人生がよりいいものになったら嬉しい。なので、質問の答えとしては「人生を豊かにするもの」っていうことになりますね。

――いろいろな活動を経た今だからこそ出てくる、素敵な言葉だと思います。

粕谷:今っぽい考え方なのかなとも思うんですよね。好きなことをやりつつも、仕事として真面目な部分は真面目に。無理なく持続可能な形で続けていくというか。

Keity:たしかに。brkfstblendでは一番自由に、いろいろなことを試せる場という感覚もあるので、今後も伸び伸びとやっていきたいですね。

Michael:僕の場合は息抜きにもなるし、正直2人がいることで支えられている面もあります。ひとりで活動していると、結構疲弊するんですよね。もちろん支えてくれる素晴らしいスタッフ、チームもいるんですけど、表現としては僕ひとりで発信しているので。そこで疲れきっても、バンドに合流すると自然に回復する。それぞれの活動にいいフィードバックが与えられてるんじゃないかなって思います。


【リリース情報】


brkfstblend 『City Habits』
Release Date:2024.07.10 (Wed.)
Label:go home records
Tracklist:
1. Cannonbal
2. City Habits
3. nyc
4. 2am
5. west la
6. Cannonball (Keity Wasted Remix)

配信リンク


【イベント情報】


TRUNK(HOTEL) CAT STREET PRESENTS 『City Habits EP RELEASE PARTY LIVE AT TRUNK(HOTEL)』
日時:2024年7月25日(木) OPEN 20:00
会場:東京・渋谷 TRUNK(HOTEL) CAT STREET
料金:入場無料
[LIVE]
brkfstblend

[DJ]
Curated by Namy&

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Corona Sunset Hour presents 『club social vol.2』 hosted by brkfstblend
日時:2024年8月17日(土) OPEN 16:00 / START 17:00 / CLOSE 21:00
会場:神奈川県逗子市 surfers
料金:ADV. ¥5,500 / DOOR ¥6,000
出演:
brkfstblend
韻シスト
TRIPPYHOUSING (Skaai, yuya saito, Alex Stevens)

・チケット
電話予約:6月4日(火)11:00~ 046-870-3307(surfers)

※オールスタンディングの限定チケット販売となります。
※予約キャンセルの場合は、Live前日18:00までにご連絡ください。当日キャンセルの場合は、Music Fee全額をお支払いいただくことになります。
※料金はLive当日に入口にて現金にてお支払い下さい。
※お越しのお客様には1Drink、1Foodのオーダーをお願いしております。
※イベント当日、悪天候が予想される場合は、当日の10:00に、surfers公式webサイト、各アーティスト公式webサイトまたはfacebook等にて中止や延期などを告知させていただきます。
※Live当日は、JR逗子駅前より送迎シャトルカーを運行いたします。始発は16:40、それ以降、毎時15分および40分発で、1時間に2本運行します。
※法令で禁止されているものは持ち込みできません。
※会場内への飲食の持ち込みはご遠慮くださいませ。
※動物(介助犬を除く)やペットの連れもご遠慮くださいませ。
※クロークやロッカーはありませんので、手荷物は各自の管理をお願いいたします。

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