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Best Tracks Of 2017 / Ryota Suto


キュレーター、Ryota Sutoによる2017年の年間ベスト・トラック!

2017.12.28

ボストンの宅録女子・Clairoの話題曲「Pretty Girl」を、友人がモデルの子のインスタ・ライブで見つけたと言っていて、音楽の伝わり方自体が広がっていると感じた1年でした。また、気になる新人がBandcampやフィジカル・リリースをスルーし、iTunesまたはストリーミング・サービスのみというケースがかなり増えたなと。時代なのはわかるけど、どっちかで出してくれ……。さて、年間ベスト・トラックということで、僕は純粋に今年聴いたポップス〜バンドものを中心に好きな5曲を選びました。


5. Men I Trust / Tailwhip

2015年にEmmaを正式メンバーに加えた後、グッと洗練されていったMen I Trust。本楽曲は、バンドのさらなるステップアップかつ決定打となった2017年発表のシングル。Men I Trustに繊細さが加わった理由は、Emmaの透明な歌声はもちろん、彼女のソロ・プロジェクト、Bernacheも聴いてみるとよく伝わってくるのではないかと。MVの随所に差し込まれるホームビデオから伝わってくる自由奔放なキャラクター(どう見ても愛されてる)と、スムースな曲がこれでもかとバッチリ噛み合った一曲。


4. The Rhythm Method / Something For The Weekend

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テイストは違えど、The Tough Allianceのようにインディ・サイドから極上のポップスを聴かせてくれるThe Rhythm Methodのシングル。正直、今のUKは掘れば掘るほど良いアーティストを発見出来るのですが、その中でも特に惹かれたのが、明確な意思を持ってポップスを鳴らす彼らでした。Shameなど期待の若手UKシーンと同時進行しているのも頷ける抜群の強度。リリース元の〈Moshi Moshi Records〉も最近またおもしろいアーティストをプッシュしているので要チェックです。


3. JW Ridley / Everything (Deathless)

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〈Speedywunderground〉からリリースされたJW Ridleyの鮮烈なデビュー・シングル。最近ではChildhood × Sorry × JW Ridleyという夢のような対バンが組まれていて、やはりシーンの中に入り込んできたかと、指を咥えながらスマホを眺めていました。群れることも虚飾を張ることもなく、ただひとりだけで様になる貴重なアーティスト。媚びも笑顔も全くない思い詰めた表情で、彼は一体どこを見つめているのか……。


2. Boy Pablo / Everytime

「ANTI SOCIAL SOCIAL CLUB」のパーカーに丈の短いhummelのジャージをお茶目に着こなす、少年パブロの青臭くも切ない名曲。爽やかな楽曲もさることながら、とにかく最後の一節が憎い。口にすれば腐ってしまいそうな言葉を、甘いメロディーで包み込み、フレッシュなまま届ける彼らの姿は、思わず目を瞑ってしまいそうなほど眩しかった。何度も何度も口ずさんだ、個人的に今年外せない一曲。


1. Alex Cameron / Stranger’s Kiss (Duet with Angel Olsen)

去年〈Secretly Canadian〉から再発されたアルバムからMVが、どれも己自身を大々的にピックアップし、ひたすら踊っている映像で、すぐさま虜にされたAlex Cameron。「The Comeback」のMVを観ればきっとみんな彼に惚れてしまうと思うので、是非チェックして欲しいです。そんなナイス・ガイがデュエットしたのは、まさかのAngel Olsen。まさにヒーローとヒロインによる夢の共演。突き抜けるようなサックスとふたりの魂が交差するような駆け引きがとにかく最高。


Comment

全くランキングには反映していませんが、今年からちょくちょくmixをチェックするようになり、それに伴いハウスのイベントに顔を出すようになりました。人が多い空間はあまり得意ではないのですが、音楽を心の底から愛する人たちが、各々好きな服を着て、自由に踊っている姿にとても感銘を受けた1年でした。特に印象に残っているのは入場規制がかかったCYK feat.Mall Grabで、DJ、VJ(ブラウン管!)、サポート、観客の全てから熱量が溢れ出ていて、ムーブメントが出来上がっていく貴重な瞬間が垣間見えた気がします。CYKクルーがこのパーティに並々ならぬ力を注いできたということがハッキリ伝わってきました。そして、無邪気なMall Grab可愛かった……。

話は変わって贅沢な悩みなのですが、今までのチェックに加え、mixやストリーミング・サービスのプレイリストを活用している中、聴きたい音源(チェックしたい情報量)にも限界が見えてきた1年だとも感じています。自分の耳を信じて諸々チェックしてきたわけですが、来年からはある程度情報源を絞っていかないと、音楽に向き合う前にパンクしてしまいそうです。


番外編 マイ・ベスト

【ベスト・自撮り】

Clairo

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■Ryota Suto 過去記事:https://spincoaster.com/author/ryota-suto


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