JABBA DA FOOTBALL CLUBのROVIN、Kick a Show、Buddy、Sam is Ohmから成るB-Lovedが1st EP『SPOT』を7月7日(火)にリリースした。
6月にリリースした「Thinking about You feat. Kick a Show」の制作から発展したというB-Lovedは、決してグループではなく、あくまでも柔軟かつ流動的な活動を行う“コレクティブ・ユニット”だという。ROVIN、Kick a Show、Sam is Ohmによる鼎談ではB-Loved始動の背景を訊いたが、今回のインタビューではそこからさらに歩みを進めたB-Lovedの活動に焦点を当てることに。
本稿からまさに“夏休みに友達と遊んでいる”ようなフレンドリーな雰囲気も感じ取ってくれれば幸いだ。
Interview & Text by Takazumi Hosaka
Photo by Maho Korogi
B-Lovedの初期衝動感じさせる1st EP『SPOT』
――前回、ROVINさんのシングル・リリース時に、Buddyさんを除く3人での鼎談を行いました。その記事は見られましたか?
Buddy:読みました。ブレスの位置がなんちゃらかんちゃらとか、韻の踏み方とか。まぁ、嬉しかったですね(笑)。
■【特別鼎談】ROVIN × Kick a Show × Sam is Ohm
Kick a Show:この3人でBuddyちゃんについてどう思うかみたいなことも語ったよね。
Buddy:一番理解してくれてる3人だと思うので、やっぱりコメントも的確だなと。
――前回の取材以降も制作は変わらず?
Sam is Ohm:はい。ずっと続けていますね。できる限り毎週日曜に集まって制作している感じです。
――おそらく大量に楽曲ができているであろう中で、今回1st EP『SPOT』に収録されている3曲は、どのような観点で選出されたのでしょうか。
ROVIN:これまではYouTubeだったりSNSだったりでラフに楽曲を発表していて、4人とも口には出してなかったけど、そろそろちゃんと形にしたいっていう雰囲気は確実に漂っていて。そんな中で、この3曲は確実に手応えが感じられる楽曲だった。逆にこの楽曲たちができたから、ちゃんとリリースに向けて動こうってなったんだと思います。割と空気感の近い楽曲を収録できたと思いますし、B-Lovedの初期衝動という感じもあると思います。もしかしたら次はガラッと変わっちゃうかもしれないし。
――今作には確かに3曲通して共通する質感、イメージみたいなものがあるように思います。BuddyさんとROVINさんが2月にリリースした『The Outer Worlds』とはまた雰囲気がガラッと変わるというか、夜っぽい、メロウなテイストが印象的でした。
Kick a Show:単純に夜に集まって作っているからですかね。もしかして、2人のEPって昼とかにも作ってました?
Buddy:夕方くらいだったような気がします。「Piece of Cake」は昼間に録ったかな。
Kick a Show:B-Lovedは深夜に録ってるっていうのが大きいかもしれないです
ROVIN:『The Outer Worlds』はテーマ、コンセプトみたいなものを最初からはっきり決めてから制作していたので、それもあるかもしれない。B-Lovedの場合はとりあえず深夜に集まって、探り探りでセッション的に作ってたから、その時のおれたちのムードが反映されているのかもしれないですね。
――夜に集まることが多いというのは、スケジュールの都合などで?
Kick a Show:夜の方が比較的楽なんですよね。
ROVIN:今日みたいにこんな早い時間帯に集まるのなんてたぶん初めてです。っていうか昨日も結局夜から集まってたもんね。
Buddy:「明日早いな〜」って言いながら、20時くらいに集まって22時くらいから飲み始めて。普通に3時くらいには寝る予定だったんですけど、ずっと音楽の話してて気づいたら7時くらいだったもんね(笑)。
ROVIN:7時半だったね。
Buddy:もうインタビューで喋ること全部話した(笑)。朝方にアーティストでありYouTuberのみのが来て、そこからもう哲学みたいな話になっちゃって。
ROVIN:これは声を大にして言いたいね、全部みののせい(笑)。
一同:(笑)
Sam is Ohm:クソ真面目にヒップホップのその先みたいな話をしてましたね。
ROVIN:何を話したかっていうと、ぶっちゃけあんまり覚えてないんだけど(笑)。
――そうやって時間を忘れて音楽の話に没頭するというのは、結構日常的なことなのでしょうか。
Kick a Show:制作している中でワイワイするのはありますけど、さすがに哲学みたいなところに行き着くような話はあんまりしないですね。
Buddy:昨日はちょっと入り込みすぎましたね。迷宮に(笑)。
Sam is Ohm:でも、制作とグダグダ喋っている間に温度差がないというか、全部同じテンションでやってる感じはありますね。結局それが夜っぽいというか、僕らのいつもの雰囲気が作品に反映される理由かもしれないですね。
――EP『SPOT』について、1曲ずつ具体的にお聞きしていきたいと思います。今回の作品は3曲ともダンサブルな楽曲ですよね。1曲目の「渚のグッドガール」もその例に漏れず、ゆったりめの4つ打ちで、ピアノやギターのカッティング、サックスが入っていたりとディスコっぽい要素も感じられます。
ROVIN:これはたぶん3曲の中で一番最後にできた曲だよね。最初はトラックも結構違う感じだった。
Sam is Ohm:最初はもうちょっとハウスっぽいというか、本当にダンス・トラックという感じでした。そこから浮ついてるリリックになりそうだったから、やっぱりディスコにしようっていう感じで編曲していきました。「渚のグッドガール」っていうタイトルはKick a Showが最初に出したんだよね。
Kick a Show:そうですね。フックを考えるにあたって、キャッチーなフレーズないかなって感がているうちに出てきました。4人で夏っぽい曲を作ろうっていう話が出ていて、2人(ROVIN、Buddy)とも夏っぽいリリックを考えていたので。
Sam is Ohm:リリックの内容は面倒くさいけど、しっかりと向き合ってみたら魅力的な女性だよね、みたいな曲です。
ROVIN:基本的に僕らの曲の取っ掛かりは女の子がトピックになることが多くて。「渚のグッドガール」は今オーム君が言った通りのテーマで書いていて。結構あるあるネタというか。普段だったら「はぁ?」ってなるような態度取られても、それすらも可愛く思えてしまう。一見面倒くさかったりするけど、そこが魅力的に思えてしまう。そんな女性の話をみんなでしていた気がする。
Buddy:僕はあまり中身がない、言い方悪いですけど“空っぽだな”って思うような人のことも、1回肯定してみようと思って書きました。他の曲の方が結構密度が濃いラップをしていると思うんですけど、この曲に関しては少し肩の力を抜いてみようと思って。テンポ感で押し切る感じも、一夏の恋っぽさがあって良いんじゃないかなと。
ROVIN:この曲が形になってきた時、意外とおれらはポップスの要素も自然に体現できるんだなって思いました。「渚のグッドガール」って2000年代初期にとかにレンタル・ショップで借りてたような日本語ヒップホップのテイストがすごくあるなって感じていて。ちょっと俗っぽいテイストというか。おれはそういうのもすごく好きだったので、リリックも敢えて俗っぽい内容を意識しました。Kick a Showがフックで“渚のグッドガール”っていうフレーズを出した時に、これはもう“勝ったな”って思いましたね。「それそれ! 菊池君それだよ!」っていう(笑)。
Kick a Show:僕は日本海側育ちなので、太平洋側の人たちとはちょっと違うのかもしれないですけど、この「渚のグッドガール」はサンセットの海辺のイメージなんです。夕日が沈む海って結構チルい気持ちになるんですよね。落ち着いてボーッとするというか。そういう時に、波打ち際に女の子がキャッキャしてると、「あ〜いいなぁ」って思うんですよ(笑)。昼間から騒いだ延長で、もう日が暮れるのにキャッキャにしてる女の子2人組とか。
ROVIN:なるほどね、わかる。
Sam is Ohm:基本的にみんな女の子のことしか考えてないです(笑)。ただ、僕は「渚のグッドガール」を聴くと、地球っぽいけど地球じゃない。そんなSFチックな雰囲気も感じられて。それでイントロに宇宙船をイメージした音色を忍ばせました。現世なんだけど現世じゃない感じというか。後付けですけどここから4人で宇宙に行くぞ、違う世界観に突入するぞっていうイメージも込めて。
ROVIN:あのイントロもすごい懐かしい感じだった。
Kick a Show:これがプロデューサーの手腕です(笑)。上手いこと3人のリリックの美味しいところを抽出してまとめて下さってるなと。
ROVIN:間違いない。っていうか、おれら意外と曲の話できるもんだね。決して適当っていうわけじゃないけど、作っている時は基本的に感覚で進めていくから、こういう機会で上手く話せるのかな〜って思ってたけど。
Kick a Show:話そうと思えば話せるよね。
Sam is Ohm:困るんですよ、話せないと(笑)。
ROVIN:チューニング合わせてくれたみのに感謝だね。ありがとう、みの!(笑)
ヒップハウス・マナーで2重の意味もたせた「I Need You So Much」
――2曲目の「I Need You So Much」は、よりBPMも早くなって、まさしくハウスな1曲ですよね。
ROVIN:オールドスクールなハウスですよね。トラックを作ってたときに、オーム君が「今っぽいハウスじゃなくて、逆にクラシックなハウスがB-Lovedには合うんじゃないか」って言ってて。これも天才プロデューサーの手腕です(笑)。
Sam is Ohm:ラップを刻む2人がいて、メロディもポップス的じゃないというか、グライドしていくような感じなんですよね。そうなると、自分としては今っぽいトラックには合わないと思って。4つ打ちで刻むとしても、ローファイにしていく方が曲全体として良いかなと思いました。あと、こういったオールドスクールなハウスが個人的に好きっていうのもありますね。ヒップハウスのノリも好きですし。そういう個人的な趣味趣向も上手くパッケージングできたかなと。
――最後のサビで音を抜くところも、Sam Is OhmさんのDJ的な側面が出ているなと思いました。
Kick a Show:確かに。音源で完全にパッと抜ける瞬間ってあまりないですもんね。
Sam is Ohm:あれはループを組んだ時にたまたま音が抜けてて。でも、「この抜けてる感じも良くね?」ってなったんだよね。
ROVIN:最初はキレイに抜いたんだけど、「もうちょっとばつんと切っても良いんじゃない?」って話をしたような気が。
――リリック面はいかがでしょう? 女の子を追いかけるような内容にも感じられます。
ROVIN:この曲に関しては、内容よりもどちらかというとこのトラックにいかに上手く乗せられるかを意識していました。
Kick a Show:ROVINくん、めちゃめちゃ謝ってますよね。こんなに懺悔する16小節ってなかなかない。
ROVIN:ラップでこんなに謝ってる人、他にいないよね。女の子に対して、もしかしたら酷いことをしてるかもしれないからね。曲中で謝ってみた(笑)。
――トラックに引っ張られたというか、性急なフロウが新鮮ですよね。
ROVIN:これまでにも4つ打ちに乗っけたことはあったんですけど、たぶんこれだけもろにハウスなトラックでラップするのは初めてだと思います。新鮮な感じでしたね。
Sam is Ohm:女の子に振り向いてもらえないもどかしさというか、自分のエゴを主張するような内容でもあるんですけど、僕はリリックの中の“女の子”を、今のシーンというか環境みたいなものにも結び付けられるなと思っていて。おれたち結構頑張っているのに報われないなっていう風にも捉えられるなと思いましたね。もちろん最終的には自分たちのペースでやっていくんで問題ないっていう感じでポジティブに持っていけますし。
――Buddyさんの「不親切マシマシリリック固め」というリリックも最高でした。
Buddy:ありがとうございます。僕は日本語を大切にすることを意識していて。そこの強度みたいなところも詰めつつ、そこに気づいてほしいっていう感じのリリックになっています。
ROVIN:このくらい真面目に考えてくれるので、助かってます。その代わりに僕が好き勝手やれるので。
Kick a Show:僕は最後に録ったと思うんですけど、2人のバースも踏まえて、女の子に対する気持ちや自分たちの置かれている状況に対しての感情だったりとかは、どこまでいっても止まらない、という感じですかね。だから、僕には君が、僕らにはリスナーが必要だっていうことですね。
Buddy:ある意味3曲の中で一番複雑な曲なのかもしれないですね。
ROVIN:作ってる時のこと思い出してきた(笑)。ちょうど外出自粛期間で、おれらもライブができない。もちろんライブ配信とか色々な選択肢もあったけど、おれらは曲を作ってそれを届けることを選んだ。もちろんそれは悪いことではないんだけど、どこかプレイヤーもリスナーも引け目を感じてしまうというか。どうしたら良いのかわからない感覚があるなと。そういったフラストレーションも表出しているのかもしれないです。
――今のお話しを聞いてからKick a Showさんのフックを聴くと、また違った響き方がしてくるというか。
Kick a Show:僕はソロの楽曲だと自分の気持ちを伝えるっていうことはあまりしてなくて。架空の男女間の物語を歌ったりすることが多いんです。でも、B-Lovedではそういった部分にトライしてみてもおもしろいかなと思って。もちろん僕が2人の声をまとめ上げているわけではないんですけど、僕には僕で伝えたい想い、感情もあるので。
――女性に纏わることリリックのトピック、モチーフにするのは、そうすることで伝えたい想いやメッセージを上手く届けることができるからなのでしょうか。
ROVIN:それもあるし、何よりも女の子に聴いて欲しいからっていうのもあります。
Sam is Ohm:ただ、女性に対して色っぽい言葉とかを使うと、安っぽくなりがちなので、そこは意識的に上品な言葉使いにするようにしていると思います。それはB-Loved全体のトンマナみたいな感じですね。
Buddy:「きっと、上品な恋をしてきたんでしょうね」って書いといてください(笑)。
Kick a Show:リリックにおいてはヒップホップ・マナーじゃなくて、R&Bマナーな感じですね。そこは僕の場合、ソロの時と同じ感覚ですね。
――お互いのリリックとかを指摘し合うことなどはあるのでしょうか。
ROVIN:リリックに対してはあまりないですけど、ラップに対してはありますね。フロウや言葉の詰め方とか。それで結果的に歌詞が変わることはあります。どっちかっていうと歌詞に関しては音で判断してるよね。
Sam is Ohm:ボーカルを楽器として捉えてる感じはあります。
ROVIN:それこそジャバの時は逆なんです。「これ言ってる意味分からなくない?」とか「テーマと逸れてない?」ってみんなで話し合う。
Sam is Ohm:正直、音を作ってる側としてもそうかな。もちろんリリックは聴くけど、さっきのトンマナの話にも通じるけど、みんなすでに整ってる。だから、後はいかにグルーヴをキープするところに重点を置いていて。
Buddy:なんかもう、歌詞がいいのは当たり前って感じですよね。
Kick a Show:おぁ、言うねえ。さすがラッパー! 生粋の!
Buddy:次に進んでください(笑)。4人もいるとすぐにとっ散らかっちゃうからな〜。
「サウンド的にはぶっちゃけ超狙ってる」
――3人でのインタビュー時にも、4人でいる時Kick a ShowさんとBuddyさんがずっとイチャイチャしているという話が出ていました。今日見ている感じだと、結構Kick a Showさんが仕掛けている感じですよね(笑)。
Kick a Show:そうなんですよね。なんでこうなっちゃうんだろうなって自分でも不思議なんですよ(笑)。
ROVIN:あれじゃない? Buddyはキクにとっての初めての弟、後輩みたいな存在だからなんじゃない。
Kick a Show:確かに。これまで周りがみんな年上の環境にいましたからね。
ROVIN:本当にずっとこういうことやってるんですよ。歌詞書いてる時もずっとちょっかいかけてきて。僕も最初の頃は受けた球は全部返すみたいな姿勢だったんですけど、最近はもう欲しい球だけ返すことにして。スルーを覚えました(笑)。
Kick a Show:やっぱり早いですよね、対応能力が(笑)。どれだけついてこれるかなって思ってたんですけど、僕が置いてかれました。
ROVIN:たまに誰も反応しないときもあるよね。誰も拾わないのに、気づくまでやってる(笑)。
Kick a Show:滑ることに対する恐怖心ってものが無いんですよね。
Buddy:たまに僕が先に録り終わることがあるんですよ。その後Kick a Showさんがリリック書くってなったら、この人イヤホン付けるんですよ。
Kick a Show:自分がやる時は邪魔されないように(笑)。
ROVIN:今まで散々邪魔してきたのに、ふざけんなよって(笑)。
Kick a Show:でも、スゴいですよね。2人は邪魔が入っても素敵なリリックを書いてるんです。やっぱりラッパーだなぁ(笑)。
一同:(笑)
Buddy:B-Lovedが高校の部活だとしたら、僕は1年生なんですよ。3年生のROVINさんとオームさんは県大会前のちょっとピリピリしてる時期。Kick a Showさんは一番余裕ある2年生(笑)。
Kick a Show:構図はそうかもしれない。
Buddy:ROVINさんとオームさんはよく部長と副部長みたいな会話してますもんね。
――作品はスタイリッシュな雰囲気なので、こういった空気感はあまり出ていないですよね(笑)。
Buddy:そこは出てないですね。ラジオとかに呼んでもらえれば、一発でバレます(笑)。
ROVIN:それも乞うご期待ということで。
――話は戻りまして。3曲目の「Tokyo Midnight」は、タイトル通り最もメロウな雰囲気の曲で、トラック的にはムーンバートンですよね。
ROVIN:これもトラック先行でした。オームくんが「B-Lovedでムーンバートンやろうよ。絶対合うから」って言ってくれて。おれもそういうトラックに乗せたことなかったからおもしろそうだなって思って。
Buddy:リリックはシンプルに外出自粛期間ということもあったので、早くクラブに行きたいし、踊りたいよねっていう話からスタートしました。僕はその時によくtofubeatsさんの「クラブ」っていう曲を聴いていて。その曲で感じた抽象的なメッセージみたいなものを、僕もラップで表現してみようと思ったんです。
Kick a Show:恋愛においてもラップにおいても、僕の場合は歌ですけど、東京でサバイブしているっていうのも大きなテーマのひとつでした。地方から集まった僕らが、東京でサバイブしているっていう。
ROVIN:外出自粛期間中に、早く遊びに行きたいっていう気持ちをBuddyは抽象的に、おれは結構パーソナルな感情に寄って書きました。実際にリリックを書いている時の気持ち、時間の過ごし方を綴っていて。クラブに行けないしあの子に会いにもいけない。それでも制作し続けないと、精神を保っていられないっていうギリギリの感覚がその時にはあって。
Sam is Ohm:同じ曲の中で、みんな別々のことを歌ってる。でも、全員に共通する感情もあるよね。だからこそ、この曲は基本的にワンループで完結させていて。下手に展開しちゃうと、リリックもメッセージ性みたいなものが削ぎ落とされちゃうんじゃないかなって思ったんですよね。
ROVIN:僕らって、基本的に言ってることはシンプルで、難しくない。シリアスな曲でもどこかふざけちゃったりする。でも、そういう部分で共有してもらえたり、おもしろがってもらえるんじゃないかなって思います。
Sam is Ohm:そうだね。ただ、サウンド的にはぶっちゃけ超狙ってる部分もあって。例えばこういったリリック、メロディを普通のヒップホップ・マナーで展開すると、すごく安っぽくなってしまうんじゃないかなって思っていて。こういうダンサブルなトラックの中で、B-Lovedのみんなが持ってるポップな要素をさり気なく出すことによって、新鮮な色が出る。今までこういうバランス感覚って、中々あるようでなかったんじゃないかなと。これが今の僕らの個性のひとつでもあると思います。
ROVIN:それこそ今朝5時くらいに話していた内容なんですけど、僕も今はヒップホップをやっているけど、元々はCHEMISTRYとか、ポップ・ミュージックを聴いていて。そこからレッチリとかも好きになって、色々を経て今に辿り着いている。ヒップホップ、ラップ・ミュージックってそういうバックグラウンドがわかりやすい表現スタイルでもあると思っていて。もし僕の足取りとどこかでリンクする人がいたら、僕のラップを聴いて気づいてくれると思うんですよ。それはもちろんBuddyもキクに関しても言えることで。そういうバックグラウンドの組み合わせも、B-Lovedは本当におもしろいバランス感覚で成り立っていると思います。
「どこまでいけるのか」――インディペンデントでの挑戦
――今後の動きについても教えて下さい。曲は常に作り続けているんですよね。
ROVIN:溜まってますね。最初の頃の闇雲に作り続けていた時期を経て、今はわりと精査しながら作っているよね。オーム君がアイディアをいくつか出してくれて、それをみんなでどういう風に料理して、どういうお皿に乗っけてみんなに届けるか、っていうイメージ。バザーからちゃんとしたお店になってきたというか。4人のフォーマットみたいなものもできてきたし。でも、それもすぐに変わるかもしれない。
――トラックは引き続きダンサブルな方向性なのでしょうか。
Sam is Ohm:そうですね。今は2ステップの曲とかも作っています。今はこの方向性がおもしろいと思っているので取り入れていますけど、たぶんいつかガラッと変わるんじゃないかなって思います。
ROVIN:根本的には、やっぱり僕らも踊りたい。そういう音楽が大好きなので。
――最近は外出自粛も少し緩まりましたが、そういった情勢、空気感はリリックにも影響を与えますか?
Buddy:まだ呪縛からは開放されていない気がします。いつまだ外出自粛になるかもわからないですし。
ROVIN:今は逆にすごく難しい時期かもしれないです。自粛期間中はそこで足掻くしかなかったので、そういった表現方法を自分自身も素直に受け止められた。でも、今はどっちつかずな中途半端な状態だと思うので、正直なところ迷いが出てくるかもしれない。
――そんな先が見えない中で、B-Lovedとしての今後の展開についてはどのように考えているのでしょうか。
ROVIN:世間がどう動くか次第でまた変わってくるかもしれないですけれど、現時点では僕は今年中にライブはできないと思っていて。それは仮に場を設けられたとしても、遊びに来てくれる方や自分たちに少しでも不安や罪悪感が芽生えてしまうようなら、やる意味はないと思っているから。だから、今年はとにかくリリースを重ねていこうかなと。その間も各々別プロジェクトでも動くだろうし、みんなのライブでのストレスも溜めつつ(笑)。このコロナ禍がめでたく完全に収束したら、一発目はいきなり(東京・恵比寿)LIQUIDROOMですね。それ以外はないと思っています。こういうのは言っておけば実現すると思うんで(笑)。
Kick a Show:言わないとやらない場合もありますからね。
ROVIN:あまり縮こまりたくないんですよね。来場数絞って、しっぽりと開催するのではなく、ヤバい作品作って、バーッとリリパもやりたいんですよね。そこのバカさは無くしたくない。
――作品に関してはいかがでしょうか。
Kick a Show:今年中にEP3作出したいなっていうのは話しています。ちょっと調整も必要だとは思うんですけど。
ROVIN:理想を言えば、今年EP3部作を発表して、年明けてライブできるようになったら派手にイベントを打つ。そしたらもうその日にフルアルバムを出す、とかも想像はしています。でも、さっき言ったみたいに、言えば実現する気がしているので。そうなったらいいなっていう感じですね。
――B-Lovedの活動において、ROVINさんは旗振り役といった感じなのでしょうか。
ROVIN:おれが無理を言って、オーム君が実現させてくれるっていう感じです。
Sam is Ohm:変な話ですけれど、ROVINくんとBuddyはそれぞれ別グループとして大手に所属してるのに、B-Lovedに関してはぶっちゃけ完全に自主でやっているんです。スケジュールも自分たちで管理していますし、マネージャーもいない。そういった人気のあるアーティストが、インディペンデントとして何か新しい動きもできればなという意識で活動しているので、ROVINくんには今後も引っ張っていってもらえればなと。
ROVIN:僕は旗を振るだけです(笑)。あとは才能溢れる仲間が助けてくれる。
Sam is Ohm:大手に所属してると言えど、インディペンデントの4人だけでLIQUIDROOMを埋められたらスゴいですよね。もちろんそれがゴールではないんですけれど、シーンに対しても新しいスタイルを提示できるんじゃないかなって。自主でどこまでいけるのかっていうチャレンジでもあると思っています。
――B-Lovedとして初の作品もリリースしたわけですが、4人の関係性や雰囲気などは変わらず?
ROVIN:変わらないですね。どうなんだろう。今後も変わらなそうだよね。
Kick a Show:僕はこれからも終始おちゃらけてそうですし。
Sam is Ohm:制作は効率化されて、流れが見えてきたかもしれないけど人間的には何も変わらないよね。
――引き続き、友達同士で遊んでいるような感覚で。
ROVIN:そうですね。完全にそれっす。でもやっぱり、おれはやっぱりこいつらのことを愛してるので、一生大事にしていきたいっすね(笑)。
一同:(笑)
Buddy:クッサ(笑)
ROVIN:これで最後締めましょう(笑)。
――LIQUIDROOM、楽しみにしてますね。
ROVIN:マジでやるんで、楽しみにしていてください!
【リリース情報】
B-Loved 『SPOT』
Release Date:2020.07.07 (Tue.)
Tracklist:
1. 渚のグッドガール
2. I Need You So Much
3. Tokyo Midnight
Lyric:Buddy.ROVIN.Kick a Show.
All Tracks by Sam is Ohm
Mix:Sam is Ohm
Recording:Sam is Ohm
Mastered by Hiroshi Shiota At TRCsouth
Designed by マザーファッ子
■ROVIN:Instagram
■Kick a Show:Twitter / Instagram