FEATURE

INTERVIEW / yule


「yuleの進歩みたいなものがそのまま音になってる」――待望の1stアルバムを上梓したyule。これまでの道のりを辿りつつ、その初作を紐解く

2017.02.08

yuleの名がSpincoasterに初登場した2015年5月。その時は「未知なる可能性を秘めた東京発、男女混声6人組ドリーム・ポップ・バンド!」というキャッチが付けられていた。が、その時感じた「未知なる可能性」も、今となっては当時の想定の範囲を大きく飛び越え、むしろ彼らを一介の「ドリーム・ポップ・バンド」と称するのも憚られるほどだ。
なぜなら、彼らは男女ツインヴォーカルという特性を最大限に活かしながら、躍動感に満ちたビッグなサウンドと牧歌的なメロディを同時に鳴らし、「ドリーム・ポップ」というカテゴリー特有の霞に包まれたような曖昧さを微塵も感じさせないから。そこには、とても澄んだ美しい風景が広がっているのだ。

そんなyuleにとって初の全国流通盤となるデビュー・アルバム『Symbol』が、〈SOPHORI FIELD COMPANY〉より2月8日に満を持してリリースされた。ここに収められた13の楽曲は、それぞれがひとつのテーマ、ひとつのストーリーに向かいながらも、それぞれに異なるシーンのBGMのようでもある。そんな作品『Symbol』に込められたテーマや思いを紐解くべく、Rei(Gt./Vo.)、Anna(Vo.)、Iwao (Gt./Syn/Glockenspiel)、Tetsutaro(Ba)、fumi(Dr)の5人へのインタビューを行った。

Interview by deidaku
Photo by Takazumi Hosaka

L→R:Tetsutaro(Ba)、Iwao (Gt./Syn/Glockenspiel)、Anna(Vo.)、Rei(Gt./Vo.)、fumi(Dr)


―まずは1stアルバム『Symbol』の完成、そしてリリースおめでとうございます。色々アルバムについてお訊きしたいこともあるのですが、このインタビューで初めてyuleのことを知る人も多いかと思うので、先にバンドについて色々お訊きしていこうと思います。まずバンド結成の経緯について教えてください。バンドの結成自体は2015年の1月ということですよね。

Rei:そうですね。その前に僕が1年半くらい宅録のようなことをしていたんですけど、その時点でひとりでやれることの限界がきたというか、ちょっと幅を広げたいなって思ってる時にちょうどAnnaちゃんと出会って。

Anna:お互い別々に音楽はやっていて。私はアコースティック・ユニットを2年くらいやっていたんですけど、同時に「バンドがしたい!」っていう欲も私の中でずっとあって。そんなタイミングでRei君に出会って、当時作ってた宅録の音楽を初めて聴いた時に、「なんだこれは!」ってなったんです。なんか、私が思い描いていたモノにものすごく近いというか、「あ! これは絶対おもしろくなるぞ!」みたいなことを確信させられて。

Rei:で、そこから何回かスタジオに入ったり連絡取り合ったりして。まずふたりでデモみたいなものを何曲か作ったんです。その作ったデモを元にみんなが集まってきてくれたというか。今回のアルバムでいうと「sleepless sleep」とか「羊が眠る頃」は、既にその時期から原型がありましたね。

―メンバーのみなさんが揃った頃、何か目標とか方向性みたいなものは既に固まっていたのでしょうか?

Rei:すごくボンヤリとしたイメージなんですけど、最初はふたりでどんなバンドにしたいかっていうことをよく話してましたね。

Anna:「とりあえずバンドがしたい!」って考えていたので、もう妄想の世界でしかないんですけど、「大勢で色々な楽器を森の中で鳴らしたい」とか、「電飾とかガーランドで装飾してある場所で演奏したい」とか、そういう妄想をRei君に伝えて。「こういうことがしたいんだけど、どうしたらいいんだろう?」みたいな。

―やはりそういう大所帯で、という構想は当初からあったんですね。

Rei:そうですね。ぼんやりとではありますけど。元々僕が作っていた曲とかも、使ってた音的に4人とかだと再現しきれないなっていうところもあったので。

―では、yuleというバンド名が決まったのはいつ頃なのでしょうか?

Rei:この6人が集まってからもまだ名前が決まっていない時期があって。で、「そろそろ決めないとね」ってなったんですよね。その時点でデモとかも少しあったので、それに合いそうな言葉をみんなでリストアップしていきました。でも、それでもなかなか決まらなかったので、最終的には1人2票の多数決を行い(笑)。

fumi:Wallとかあったよね。

Rei:うん。いっぱいあったんです。10個くらいあったかな。でも、どれも基本的にシンプルで覚えやすく1単語っていう方向性ではありましたね。

―曲名も1単語なものが多いですよね。

Rei:そうですね。最初にもっと長いタイトルがついてたりした曲も、最終的には1単語にしたりっていうこともあります。やっぱり覚えてもらいやすいほうがいいかなぁって。由来の話に戻ると、多数決を繰り返して絞っていく中で、最後的には全員一致で「yule」っていう言葉に辿り着いたんですね。意味合い的には「クリスマスの期間」を表す古語らしいんですけど、それが自分たちの音楽性にピッタリきてるかなと。

―古語で、クリスマスの期間を表す言葉?

Rei:らしいです。本当に詳しくはわからないですけど。この名前に決まったのが2015年の1月ですね。そのちょっと前にみんなで顔合わせしたり、バンドについての話をしたりする期間がちょっとありつつ。

―1st EP『Sleep』のアートワークやバンドのロゴ、そして曲名にも羊がモチーフになっているものがありますよね。これはどのようにして生まれたモチーフなのでしょうか?

Rei:ロゴの羊も、そのバンド名とかを話し合っている時期に、何かアイキャッチになるようなアイコンとかがあった方が覚えてもらいやすいんじゃないかなっていうことで、僕がイラストを描いて、「ロゴこんな感じでどうだろう?」って。

Anna:ある日急にLINEでその羊の画像が飛んできたんです。「これ僕が描いたんだけど、どう?」みたいな感じで。それで「えー! うまいじゃん!」ってなって。

Rei:何で羊にしたかは……好きだからかな。みんな好き?

fumi:うん。なんか、バンド・メンバーの雰囲気とかにも合ってるというかね。

Rei:yuleの曲を意識した上で描いたら、自然と羊になったんですよね。

Anna:ちょっとゆったりしてる雰囲気というか。すごいシックリきたよね。

―その辺の話にも繋がってくることだと思うんですけど、羊のイラストやアーティスト写真が中世ヨーロッパの挿絵調だったり、花とかアンティーク調のものだったり、「池」とか「森」とか「湖」とか、「自然」っていうものをモチーフにしているところが一貫しているなと思っていました。そういうのって先程話していたような初期の打ち合わせの段階からある程度舵取る方向を決めていたのでしょうか?

Rei:それもシッカリ話し合って決めたというよりは、自然な流れなんです。まず最初に曲があって、それを発表するに連れて必然的に自分たちのビジュアルを出す機会が増えてきて。その段階で、「自分たちってどういうイメージなんだろう」って話してたら、なんとなくぼんやりとそういうイメージに辿り着いたんですよね。何か都会の、ビルの間にいるとか、そういうのは似合わないだろうなって(笑)。

fumi:なんとなくなんですけど、みんなが好きな風景とかイメージとかも共通していて。わかりやすく言っちゃえばそれこそ北欧っぽい感じというか。

Anna:常に癒しを求めてる感じというか(笑)。

Rei:そうそう。自然派というかね(笑)。

―メンバーの素性というかパーソナルな部分を出さないというか、顔が見えなかったり、シルエットだけのアー写とかも多かったですよね。そういうのは「神秘性みたいなものを持たせるため」に、というような意味合いがあったのでしょうか?

Rei:狙いがあったというよりは、あんまり堂々と顔を出したくなかった……。

fumi:恥ずかしかった(笑)。

Anna:自信もないし、恥ずかしいし(笑)。

―じゃあ特に「謎めいたキャラでいくぜ!」みたいな感じではなく。

Rei:そうですね、普通に恥ずかしくて。でも、最初はそういう感じだったんですけど、途中からはそういうのが自分たちに合うのかなっていう意識は芽生えてきましたね。これは僕だけかもしれないけど。

fumi:yuleはメンバー全体的に内気というか、穏やかな人たちが集まっているというか、結構民主的というか……(笑)。
例えば、「この後どっかご飯いく?」みたいな話する時とかも、みんながみんなお互いをの出方を伺いながら、「じゃあ……行こうか」ってなる、みたいな。誰かがリーダーシップを発揮して引っ張るというよりかは、一人が出した意見を受け止めつつも、平和的に一個一個対処していくというか。

Rei:喧嘩とかはないもんね。レコーディングのときに多少気まずくなったりとかはあったけど。

fumi:え? あった? 初聞きだよ(笑)。

Anna:鈍感なの?(笑)

Rei:衝突とかではなく、「こうした方がいい」、「ああした方がいい」っていう話し合いの中で、なんとなく気まずくなっちゃったかな……っていうだけですけどね。でも、そういうときもやっぱり話し合いで平和的に解決した気がします。

fumi:でも、確かに最近はスタジオとかでもお互い遠慮なく意見を出せるようになったっていうのはありますね。例えば僕のドラムに対しても、「こういうフレーズがいい」とか「もっと柔らかい感じがいい」とか、バンバン意見を出してくれて。

―バンドとしてはとてもいい傾向ですよね。他のパートのことも言い合えるっていうのは。

fumi:そうですね。それに対して反発とか嫌悪感とかもないし、自分のこだわりたいことろはしっかりこだわった上で、みんなでバンドの曲をブラッシュアップしていけてるというか。初期の曲とかも改めてアレンジとかを見直したりもしていて、本当に今はバンドの状態がすごくいい感じなんですよね。ただ、ライブになるとちょっと緊張しちゃうっていう(笑)。
なので、ライブに関してはもっと練習したり経験を積んで、よりいいライブができるようにしたいですね。

―都会的なものよりも、どちらかというと「自然」みたいなものに惹かれるとおっしゃっていましたが、それはどうしてだと思いますか?

Rei:僕の場合は結構両親の影響もあるのかなって、最近大人になってから改めて思うことはありますね。例えば洋服とか小物とか、憧れる土地や国とか、そういうものの好みがすごく両親に似てるんですよ。僕の母親がデンマークが好きで、北欧雑貨とかそういった地方の工芸とかを集めたり、あとはそういう北欧的なデザインの刺繍をしたりとか。

―まさにyuleに通ずる世界観というか雰囲気ですよね。

Rei:はい。なので、自然にそういうところから影響を受けてきたのかなぁって思いますね。

―では、現在のyuleのサウンドを特徴付けている要素として、男女ボーカルの掛け合いや鉄琴、マンドリンなど音色が挙げられると思うのですが、そこに行き着いた経緯や、こだわりなどを教えてもらえますか?

Rei:最初の話に戻るんですけど、僕がひとりで宅録で作っていた頃は、もうちょっと一般的なロック・バンドに近いような曲もあったんです。でも、ある時期から普通のロック・バンドでは使わないような音とかも入れてみたいっていう気分になってきて。元々持っていたマンドリンをちょっと使ってみたら、それがすごいしっくりきたんです。そこから次はもっと金属っぽい音も入れてみたくなって、鉄琴を入れて……って言う感じで、徐々に今の形になっていきましたね。

Iwao:僕が元々マンドリンも鉄琴も持っていて。yuleに誘われた時に、ちょうど自分が持ってる楽器を活かせるなって思って。

―持ってる人を集めたわけじゃなく、声をかけた人がたまたま持ってたっていう。

Rei:ビックリしましたね。最初はギタリストとして声をかけたのに、鉄琴もできるしマンドリンもできるっていうことがわかり。

Anna:ラッキーラッキー。運命だよね(笑)。

Rei:そんな人いるんだって思いましたね。

―本当に運命的な出会いですね(笑)。では、そろそろアルバム『Symbol』についてお訊きしていければと思います。個人的には1st EP『Sleep』の頃からずっと期待していたんですけど、その期待を遥かに上回る出来でとても驚きました。今作は全体を通して一貫したテーマとストーリー性があるように感じたのですが、アルバムを製作するにあたって、最初にコンセプトとかテーマなどはシッカリと固めていたのでしょうか?

Rei:ありがとうございます。今回のアルバムは、最初は「どういうアルバムにするか」、「どれくらいのボリュームにするか」とか、「どの曲を入れるか」っていうのも全然なく、本当にまっさらな状態だったんです。そこからまず既存の曲から収録する曲を決めて、その既存曲のレコーディングを始めつつ、並行して新しい曲も作るっていう流れでした。それである程度その作業が進んだ段階で、録り終わった曲を並べてみたら、何となく今回のアルバムのテーマみたいなものが見えてきたんです。そこからは全体の流れとかを意識しつつ、新しい曲も仕上げていったっていう感じで。特に音作りの面では統一感を出すことを意識しましたね。

―音が相当作り込まれているなという印象を受けたのですが、今作はセルフ・プロデュースなんですよね。外部のプロデューサーを起用しないという考えに至ったのも、自然な流れから?

Rei:やっぱり最初だからこそ自分たちだけでやってみたいっていうのはありましたね。ただ、最初は完全に何も決まってなかったので「どうしよう……」みたいな感じで悩んだりもしていて。そうこうするうちに、まぁ最初は自分たちでやってみるかっていうことになり。
僕たちの楽曲は音数が多いので、それを一個一個自分たちで感触とか質感をじっくり選択しながら進めることが出来て、結果的には全部自分たちでやれてよかったなって思ってます。レコーディングとか曲作りよりも、今回はどっちかっていうと「どういう音触にするか」、「どういうアレンジにするか」、「どこを足してどこを抜くか」とか、そういう部分をじっくり練りながら完成させていきましたね。

―今おっしゃったように、アルバムでは多彩な楽器、音色が入っているのに、それが埋もれずに全部クリアに聴こえてくるところが印象的でした。各楽器の配置感やミックスのバランスが素晴らしいなと思ったのですが、ミックスも自分たちで?

Rei:ありがとうございます。ミックスとかレコーディングのエンジニアリングも基本僕がやっています。ただ、あくまでもみんなと相談しながら進めていくので、全員がプレイヤーであり、全員がプロデューサーって感じなんです。レコーディングが終わったら、「こんな感じに仕上げてみたけど、どうかな?」ってみんなに聴いてもらって。で、「もうちょっとここは歌に丸みを出したい」とか、そういう意見を交換しながら。

Anna:ミックスはとにかくこだわって、もう何回も何回も微調整を重ねましたね。たぶんミックスに費やした時間がアルバムの制作プロセスのなかで一番長かったんじゃないかなって思います。Reiくんはめちゃくちゃ大変だったと思いますね。

―話を聞いていると、妥協を許さないというか、職人気質なところがあるような気がしますね。

Anna:わりとみんなそういうタイプなんです。なので、一回OKってなったものでも、1日経ったら「やっぱりここが気になる……」とか、そういうのがLINEで常に飛び交ってましたね。

Rei:ミックスして、みんなで聴いて、もう一回ミックスし直して……みたいなことをかなり繰り返しました。

―Reiさんは元々そういう専門的な知識とかは勉強していたりしたのでしょうか?

Rei:このアルバムを作るまでは、個人で宅録をするぐらいの技術しかなかったので……とにかく猛勉強しましたね。本を大量に買い、全部熟読して……必死でした。ひとりで宅録でやってると、多少適当な部分があっても、「それも味かな?」で済むところもあると思うんですけど、バンドはこの6人全員の音を責任持ってひとつの作品にまとめるってことなので、それは通用しないだろうと。

fumi:ドラムの録音とかも、最初はマイクの本数とかマイクの立てる位置とかも何度も試行錯誤しながら時間をかけてセッティングしていたんですけど、レコーディングの最後の方になるとそういった作業も格段に早くなり、マイクの本数とかも変わったり、すごい速度で技術と知識が身に付いていってるんだなっていうのが伝わってきましたね。

Rei:最初2時間くらいかけてやっていた作業が、最終的には30分くらいでできるようになったりしましたね。

―レコーディングとミックス作業を行っていたのは、具体的にどれくらいの時期なのでしょうか?

fumi:一番最初に録ったのが「sleepless sleep」で、それが去年の1月くらいだよね。バンド1周年記念と、レーベル所属記念に期間限定でフリーDLで公開して。それ以降また録り直したりもとかして、たぶん6、7月くらいに一回録音は終わったんだっけ。半年くらいかけて。

Rei:レコーディングとミックスを並行してやってたんですけど、無理やり平均を出すとしたらたぶん、レコーディング自体は1曲につき3週間くらいな感じですね。

fumi:でも、さっきも言った通りその後のミックスが本当に大変で。Reiくんは本当にみんなの意見を一個一個聞きながらずっと作業してくれて……。朝4時とかにLINEがきたりとかね(笑)。

Anna:笑っちゃいけないんだけど、Reiくんがぶっ倒れるっていう事件が一回ありまして。救急車で運ばれちゃって……(笑)。

Rei:寝ないで作業したりが続いて、人生で初めて倒れてしまい……(笑)。

Tetsutaro:スタジオの日は毎回Reiくんが来るかどうかが心配だったよね(笑)。

Anna:めっちゃ顔色悪いし、髪の毛ボサボサだし、みたいな。そんな日々が続きましたね……。

Rei:本当に1曲1曲じっくりじっくりやっていたので……(笑)。で、難しいのは、やっぱり1曲としてみるとすごくバランスがいいミックスにできても、アルバムとして他の曲と並べて聴いてみた時に違和感があったりするんです。微妙なローファイ感が出てたり、音が固かったり。そういう部分も完全に統一したかったので、その最後の微調整をとことん……。マスタリングより前の、プレ・マスタリング的な作業ですね。例えばシンセサイザーがうるさすぎたら、一回アナログの真空管アンプ通して録り直したり、そういう作業をひたすら。

fumi:最後のマスターが10テイクくらいあって。Reiくんには本当に申し訳ないけど、毎回誰かしらどこか気になる点が出てきてしまって……。

Anna:そうそう(笑)。みんなこだわりが強くて。

Rei:でも、おかげで最後は100%全員が満足できるものになりました。

Anna:いや、もう100%超えましたよ。わかんないけど(笑)。

―ライブ・パフォーマンスにも定評があるyuleですが、レコーディング作品とライブでの演奏について、それぞれどのように考えていますか?

Rei:このアルバムを作る前は、自分たちで再現できる範囲で好きな音とかを思いつくままに入れちゃってたんですけど、ライブをこなしていくにつれて、そこで学んだことをちゃんとフィードバックして音源にしようっていう思いが出てきたんです。例えば、同じ楽器で同じフレーズを弾いても、演奏者が違うとやっぱり出音は違うじゃないですか。なので、「この鉄琴はIwaoくんが叩いてるな」ってわかるようなテイクを選んだりとか、そういうことを意識しました。やっぱりレコーディングでは基本的に何テイクも録るんですけど、5回くらい録ったら、「これが一番◯◯◯くんっぽい」っていうのを僕の中で選ぶっていう。普段のライブでの自分たちっぽさをパッケージングしたいというか。

―機械のように正確で……というよりは、どちらかというと人間味が感じられるというか。

Rei:そうです。その人柄というか、その人の個性というか。ドラムだったら、すごくキレイにきっちり叩けているんだけど、なんとなくグルーヴが固く、とか。fumiくんの人柄が多少見えるようなテイクを積極的に選択していった気がします。なので、レコーディング作品なんですけど、同時に自分たちのライブでの音の感じも上手く出ているんじゃないかなって。

―yuleは男女ボーカルを軸としていますが、その歌われている内容は、いわゆるデュテット・ソングみたいな、男女の掛け合いみたいなものとは大きく異なりますよね。yuleの歌詞には「君」や「僕」などの一人称が出てこないというか、すごく俯瞰で見ていて、「星」とか「木」とか自然に関するもの、あるいは「光」とか「街」とか「列車」とか、そういう人々の生活に関するものを、第三者的視線から描いているような印象を受けて。そこが特殊でおもしろいなとも思いました。

Rei:実は僕、作詞には本当に時間をかけない方で。

―それは、常に頭のなかに物語みたいなのがあるから?

Rei:感覚的にはそれが近いですね。歌詞に現れているような空想の世界を、普段からよく妄想で思い描いているというか。こういう景色があって、こういうとこに電車が走ってて、なんかこういう街があったらキレイだよな……とか。そういう、なんの役にも立たないような妄想を普段からよくしてるんです(笑)。

Anna:作詞に役立ってるじゃん(笑)!

Rei:いや、まぁ、なんだろう、実社会ではあまり有用性のないような妄想というかね……(笑)。
普段からそうやって思い描いてるものを、曲を作った時にバーッと、勢いで出すと、自然となんかああいう世界観になるんですよね。

―また、今回のアルバムは個人的にとても曲順が素晴らしいと思いました。その曲順はどのように決めっていったのかと、曲順を決める中で、軸になった曲があれば教えてください。

Rei:軸になったのは2曲目のタイトル・トラック「Symbol」ですね。まだみんな集まってなくて、Annaちゃんとふたりでデモを作ってた時期に既にあった曲で。

Anna:「Symbol」はReiくんが宅録してる時に送ってきてくれて、「すっごくいい!」って私がめちゃくちゃ気に入った曲なんです。まだその時はReiくんのボーカルだけだったんですけど、今振り返ってみるとその曲ができた頃くらいから、yuleが始まったのかなって。そういう一番最初のキッカケみたいな曲でもありますね。

Rei:その僕のボーカルしかなかった状態の「Symbol」に、スタジオで声を入れてもらったんですよね。そしたら、「この人の声が入ったことによって、曲がこんなにも生き生きとしてくるのか」って。別物なんじゃないかってくらい変わったっていう感触があって。実はそこですごく感激したんです。なので、そういう意味で「Symbol」っていう曲は、歌詞の内容自体も出発みたいなニュアンスがあると思うんですけど、僕らyuleにとっても、もしかしたらこの曲がなかったら今のバンドはできてなかったかもしれないっていうような、始まり的な意味合いがある曲なんですよね。

―1曲目「大きな木/Childhood」はイントロダクション的な趣というか、2曲目の「Symbol」が本当の一曲目のような立ち位置?

Rei:はい、1曲目は小説とかでいうと表紙みたいなイメージで、2曲目が本当の本編みたいな感じですかね。曲のスピード感もそうですし、どんどん前に進んでいくような力強さが「Symbol」という曲にはあると思うので、まずこれを頭に置いて。この勢いでアルバム全編を引っ張っていってほしい、みたいな気持ちもありますね。

―2曲目に「Symbol」を配置することを決めて、あとの流れは自然に?

Rei:あとは「羊が眠る頃」とか「ゴーストタウン」とか、空間的に広がりがあるというか、大きいスケール感を持ってる曲は最後の方が落ち着きがよかったので、そこも結構早い段階で決まって。あとの曲は、歌詞の中に出てくる視点がキレイにリンクするような並べ方を探して、何パターンか作った結果、最終的にこれが1番しっくりきたという感じですね。あと、10曲目に「It’s dark outside」っていう曲があるんですけど、実はこの曲は残りの12曲が仕上がって、これでアルバム完成だなって曲を並べ終わり、マスタリングもほぼ終わった段階で急に作った曲なんですよね。

―それは、急にできたのでしょうか?

Rei:そうです、急に。何かもう1曲作りたい、(アルバムに)もう1曲入れたいって思い、夜中に作り始めて、朝方みんなに「ちょっと新しい曲作ってみたんだけど、これもアルバムに入れたい」って送って。

Anna:「え? 本当に入れるの?」みたいな(笑)。

Rei:「今の流れが完璧だから、もう手を加えない方がいいんじゃない?」とか言われたんですけど、「いや、それでも入れたいんだ」って。

―それでこの位置に入れたらしっくりきたと。

Anna:案外しっくりハマって。

Rei:そうですね。なんか広がりが出たのかなって思います。「It’s dark outside」以外の曲順は今のまま変えずに、10曲目に挟んだらちょうどよかったんです。

―今作にはEPに収録されていた楽曲もアレンジを変えて再録されていますよね。既に発表している曲に新たに手を加えるというのは、ある意味リスク伴う部分もあると思うのですが、このアレンジの変更はどういう考えの元に行われたのでしょうか?

Rei:最初のデモの段階では、主なフレーズとかを全部僕が作っちゃってたので、最初の頃はみんなもそれをコピーするっていう感覚に近かったんです。でも、1年半くらいライブ活動を続けて、スタジオ練習を重ねていくうちに、自然とみんな個性が出てきて、それぞれが考えてアレンジしてくれたりするようになって。例えば「ゴーストタウン」っていう曲のタムは、最初もっと軽い音が入ってたんですけど、fumiくんが結構重めで迫力のあるようなフレーズを作ってきて。なんかそういう風にみんながちょっとずつ練ってきてくれたり、ライブを繰り返していくうちにどんどん進化していったような感じがあって。なので、僕が作ったデモを、みんながそれぞれの解釈で演奏し続けていくうちに、自然と今の形に変わっていったというか。言うならば「yuleの進歩」みたいなものがそのまま音になっている。

fumi:最初は自分たちの魅力というか、自分たちの武器を完全に把握しきれていない中でライブをやっていて。そこでdeidakuさんとかもそうですし、色々な方が自分たちの長所をTwitterとかで呟いてくれたりして。そういうのに引っ張られる形で、無意識的に自分たちの演奏も変わっていったというか。
特に僕はドラムに関して、スケールの大きさみたいなところをより気にするようになりました。それは最初に何回かライブをしてから「yuleのサウンドはスケールが大きい」っていうことを言って頂いてたからで。周りの方の評価に影響される……っていうのとは違うかもしれないですけど、そういったところから、自分たちの武器に気づかされるっていうのはありましたね。

Rei:例えば「羊が眠る頃」に関しては、デモ段階では直接耳にくる轟音っていう感じでしたけど、それよりももっと空間的な鳴りがほしいと思って。実際にものすごく広いスタジオを借りて、そこで本当に大きい音を鳴らして録りました。録音した後に、編集でそういう空間的な響きを持たせるっていうこともできるんですけど、それだとどうしても作った感じが出ちゃって嫌だったんです。

―yuleのサウンドは北欧を始めとしたインディー・ポップやドリーム・ポップ辺りを聴いている洋楽リスナーの趣向にもバッチリハマる音楽性だと思うのですが、かといって、決してそのまんま洋楽っぽくはないなという風に思いました。曲によってはむしろ古き良き日本の童謡とか唱歌にも通じる感じがあるなと。そういう日本語の響きとか、日本人としてのアイデンティティみたいなものを考えたりはしますか?

Anna:やっぱり……日本語っていうのが一番ですかね。「英語で歌ったらどうなるのか」って周りから言われることが結構多いんですけど、やっぱりyuleっていうバンドとしては、日本語の歌詞にこだわりがありますね。

Rei:その童謡的な部分とか、こだわりとはちょっと違うかもしれないんですけど、自分たちが聴いてきた音楽の中には、いわゆるポップではないものもいっぱいあるんですけど、そういう音楽から学ばせてもらったような要素は取り入れつつも、敢えてコアなものにはしたくないというか。小さい子からおじいさんおばあさんが聴いても「いいね」って言ってくれるものにしたいという気持ちが強くあって。だからといって「こういうメロディーの方が大衆性がある」とか、そういうことをいちいち考えながら作るわけではないんですけど。多彩なサウンド・アプローチをみせつつも、同時に多くの人に届き得るサウンドにしたい。その究極はやっぱり子供の歌。具体的な目標地点というよりは、そういうモノにしたいなという気持ちで作り続けていたら、結果的にそういうモノになった、という感じですかね。結果的にはそこに向かっていたというか。

Anna:うん。あとは単純に歌いやすいとか、伝えやすいっていうのが一番だよね。

Rei:そうだね。当たり前ですけど日本語がネイティブ言語なので。気持ちを込めやすい言語でもあるし、自然な流れで発音できる言葉も日本語だったっていう。

―皆さんそれぞれいろいろな音楽性を持っているメンバーの集まりだと思うのですが、メンバーごとに普段最もよく聴くジャンルやアーティスト名、あるいはアルバムの制作時期によく聴いていた作品などを、お一人ずつ教えてもらえますか?

Tetsutaro:普段から常にyuleを意識して音楽を聴いているわけではないですけど、僕が本当に好きなのはSigur RósだったりÁsgeirだったり、やっぱりアイスランドの音楽ですね。

fumi:僕はyuleを始めてから、やっぱり壮大なというか、遠くまでドラムが鳴り響くようなイメージのバンドを聴くようになって。前々から僕もアイスランドの音楽とかが好きだったんですけど、最近は遠くまで鳴り響くというか、生命力がある演奏という意味で、Coldplayをよく聴いたりしていました。そういった要素をyuleに取り込めたらもっともっといいバンドになるのかなって思って。僕もSigur RósとかÁsgeirは好きですし、あとはSóleyっていう女性ソロ・アーティスト……のドラマーが、壮大というか結構細かい感じで、アイスランド独特の雰囲気を湛えているんですよ。シンバルをスネアに置いたりだとか、そういう叩き方をしていて。そういった要素を実はyuleの曲にも取り込んでいて。ただ、手元なのであまり気づいてもらえないんですけど(笑)。

Iwao:僕はレコーディング中はyuleばっかり聴いてて(笑)。あんまりその鉄琴とかマンドリンを取り入れてるバンドを僕は知らないので、何を参考にしたらいいかわからなくて。なので、自分の中でひたすらyuleの曲を聴いて、どういう風に叩くべきかっていうのを考えてました。

Rei:僕は制作中、毎日毎日yuleの曲を聴きながら作業をしていたので、音楽を聴くこと自体が嫌になっちゃった時期があって(笑)。
ただ、聴いてなかったわけではなくて。八十八ヶ所巡礼というバンドがいるんですけど。ジャンル的にはプロレッシブ・ロックっていう風になるんですかね。彼らの音楽を聴いたら……なんかすごい楽しくて。たぶん自分たちがやっていることと全く相反するような音楽だからこそ、すごく新鮮な気持ちで聴けたのかなって。そのバンドの作品をよく聴いていました。
あと、今まで聴いていた音楽だと、みんなが挙げたSigur RósとがBjörkとかmúmとか、そういうアイスランドのミュージシャンももちろん大好きでよく聴いてるんですけど、結構曲単位で聴いているというか、このアーティストの作品を全てチェックするというよりかは、この人のこの曲が好きっていう風に何百回も同じ曲を聴く、っていう聴き方をすることが多いです。

―アルバム単位とかではなく?

Rei:アルバム単位でも聴くんですけど、その気に入った一曲のみを繰り返して聴くことが多いですね。iTunesの再生回数の画面とか見ると、50、20、80、70、600、みたいな。Sigur Rósの『Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust(残響)』っていうアルバムの1曲目なんかは、iTunes上で2000回くらい再生してます(笑)。

―たしかにyuleの音楽に通ずるというか、童謡感みたいな、躍動感みたいなものがありますね、あの曲には。

Rei:遊んでる感じ。素直に楽しんで音を鳴らしてるっていう感じが出てる音楽が好きですね。

Anna:……私は、女性ボーカルが好きで、Russian RedとかLenkaとか、ああいうふんわりした感じの人をよく聴いてますね。あまり詳しくはないんですけど、みんなが挙げていたSigur Rósとかも好きですし……あとは、レコーディングの時は『借りぐらしのアリエッティ』のサントラがめちゃくちゃよくて、あればっかり聴いてました。

―ジブリ映画のサントラを?

Anna:そうです。あのサントラは本当に聴いてほしい。本当にあのキラキラとした世界観がどハマりで。ああいう世界観をいつかyuleでも出せたらいいな、とか考えながら聴いたりしています。元々映画の挿入歌とが好きなので、サントラとかをよく聴いたりしますね。歌のない劇伴音楽とかでも、歩きながら聴いてたり。でも、『借りぐらしのアリエッティ』のサントラは本当にずば抜けて好きです。ぜひ聴いてみてください(笑)。

―はい、チェックさせてもらいますね(笑)。
yuleライブにおける最大の魅力は、祝祭感とか壮大さだと思うんですけど、ライブで見せ方とか音響とかパフォーマンスで、こだわりとか今後やってみたいことなどはありますか?

Rei:今までは自分たちが人力で鳴らした音だけで全てを表現するっていうところにとてもこだわっていたんですけど、今回のアルバム制作を経て、そういう点にこだわり過ぎなくなったというか。結局どういう風に鳴らしたらその曲が一番活き活きとするのか、みたいなところを重視するようになりましたね。なので、場合によっては同期させた音とかも入れた方がいい場合もあるとか、そういう考えはアルバムにも反映されていると思います。今は一曲一曲毎にどの楽器をどういう風に鳴らしたら一番よく響くか、ということをスタジオに何回も何回も入ってじっくり詰めているっていう感じですね。

―最後に、アルバムリリース後の予定を教えてください。

Rei:今回アルバムを作り終わったのが11月くらいで、リリースは2月ですよね。僕たちにとっては既に2ヶ月半くらい経っているので、既にどんどん新しい曲を作っていて、レコーディングにも入り始めているんです。今回のアルバムは10ヶ月くらいかけて作ったんですけど、本当にすごく色々なことを学びながら、成長しながら作っていったので、作り始める前と作り終わった後とで、自分たちがだいぶ進歩したんじゃないかっていう実感があって。今はそれを活かしてどんどん新しい曲を作っていきたいという気持ちですし、実際に今進めています。


 yule 『Symbol』をより楽しむための5枚

Sigur Rós 『Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust(残響)』(2008年)

yuleの楽曲は「祝祭感」に満ちたものが多いが、そんなムードを作り出しているのが美しいアコギの響きと、パーカッションなども用いたリズミカルなビート。メンバー揃って好きだというSigur Rós(特にTetsutaroはSigur Rósの出身国であるアイスランド好きが高じて、実際に訪れもしたそう)の2008年作『Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust(残響)』の冒頭に収録された「Gobbledigook」は、まさにyuleの音楽性を一言で表すには最適な楽曲なのではないだろうか。この曲が持つ「これから何かが始まるワクワク感」のようなテクスチャーは『Symbol』の随所からも感じ取ることができる。

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Sóley 『Ask The Deep』(2015年)

Sigur Rósと同郷のアイスランド出身アーティストであるSóley、そしてやはりアイスランドの姉妹デュオPascal PinonのJófríður Ákadóttirによるプロジェクト・JFDRのライブにおいて、ドラマーがスネアの上にシンバルを置いて叩くという演奏技法が見られる。ドラマーのfumiはここから着想を得て、ライブでも「Morgenrot」などで同様の技法でプレイしているそうだ。また、12曲目に収録された「Ruler」ではこの技法で録音された音をサンプリング素材としてエディットしている。

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セシル・コルベル 『借りぐらしのアリエッティ サウンドトラック』(2010年)

ヴォーカルAnnaがフェイバリットに挙げるのが2010年公開のジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』のサントラ。本作を担当したセシル・コルベルはフランスのシンガー/ハープ奏者で、アコースティックな楽器の美しい響き、透明感のある優しげな女性ヴォーカルという点では確かにyuleと通じるものがある。

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The 1975 『I Like It When You Sleep, for You Are So Beautiful Yet So Unaware of It (君が寝てる姿が好きなんだ。なぜなら君はとても美しいのにそれに全く気がついていないから。)』(2016年)

『Symbol』は、まるでひとつの映像作品を観ているような気分にさせられるような作品だ。それぞれの曲にそれぞれのシーンがあるが、それは一本の線でシームレスに繋がっている(単純に曲が繋がっているということではなく)。
オープニングがあり、インタールードがあり、クライマックスがあり、物語の終わりにはエンドロールがある。そして聴き終えたとき、ほんのりと多幸感に包まれる。そんなところがこの2作品の親和性を高めている。また、インストゥルメンタル曲の配置の仕方、シューゲイザーやエレクトロニックな要素などのさりげない取り入れ方も共通しており、「It’s dark outside」「Ruler」のようなエレクトロ要素の強い楽曲に顕著にあらわれている。

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トクマルシューゴ 『In Focus?』(2012年)

https://www.youtube.com/watch?v=UKPkVSA9UhA

yuleの音楽性を語る上で欠かせないのは「牧歌的」な要素と「和」の要素だろう。というのも、これが他のドリーム・ポップ系バンドや北欧ポップ系のアーティストと一線を画す要因となっているからである。ここでいう「和」とは日本の童謡や唱歌(例えば「故郷」や「赤とんぼ」のような)であり、懐かしさや親しみを潜在的に感じさせるメロディが大きな魅力となっている。そのようなメロディに多彩な音を乗せ祝祭感を増幅させるという意味では、日本人アーティストにおいてはトクマルシューゴ(Shugo Tokumaru)が引き合いに出されることも多いかもしれない。いずれも山や森の中のような野外でのステージが映える音楽性と言えるだろう。


【リリース情報】

yule_jk

yule 『Symbol』
Release Date:2017.02.08 (Wed)
Label:Sophori Field
Cat.No.:SPFC-0012
Price:¥2315 + Tax
Tracklist:
1.大きな木/Childhood
2.Symbol
3.sleepless sleep
4.Call
5.starry song
6.hope.
7.塔の街/tale
8.Morgenrot
9.ゴーストタウン
10.It’s dark outside
11.羊が眠る頃
12.Ruler
13.居住区/Area

■yule オフィシャルサイト:http://yule-japan.tumblr.com


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