2016年は各種大型フェスや地上波などへの出演も果たし、もはやライブのチケットも入手困難と、圧倒的な存在感を見せつけたSuchmosを筆頭に、ついに今年武道館単独公演を控える水曜日のカンパネラ、複数の地上波テレビ番組にも出演し、オウンドメディアの立ち上げでも注目を集めたぼくのりりっくのぼうよみなど、新しい世代のアーティストが広く知れ渡るようになりました。
そのようなアーティストのマス・レベルでのブレイクがあったからこそ、刺激的で豊かな新しい音楽シーンへの希望が生まれ、多様性が加速した1年になったのではないかと思います。
そこで、この2017年に昨年の彼らと同じような飛躍的な活躍をみせてくれるであろう15組のアーティストをSpincoasterのキュレーターの推薦&投票により選出しました!
・複数の大型フェスに出演する。
・主要音楽チャートの上位に食い込む。
・地上波のテレビでも露出がある。
・大型タイアップが展開される。
ブレイクの基準は様々ですが、上記を基準として”Spincoaster BREAKOUT 2017″を選出しています。
最後には選出したアーティストの楽曲をYOU TUBEのプレイリストに、また選出の有無を問わず2017年要注目のアーティストを「SPOTLIGHT 2017」としてSpotifyプレイリストにまとめていますので、是非ご一聴を。
そして来年のBreakout候補となる1〜2年後が楽しみな注目のニューカマー”Spincoaster Next Coming 2017″も合わせてチェックをお願いします!
Text by Spincoaster
BREAKOUT アーティスト15組 ※A→Z順
Awesome City Club
2013年結成の男女5人組バンド、Awesome City Club。結成当初からソウル、ファンクなどのブラック・ミュージック的要素をポップスに落とし込んだ見事なサウンドに惚れ込む早耳リスナーは多かったが、その音楽性だけでなく、2015年のメジャー・デビュー後に新しい試みとしてクラウドファンディング限定シングルを発表したり、2016年にはGapフラッグシップ銀座で撮影された「Don’t Think, Feel」や、チャイナ服を身に纏った「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」など、彼らの企画力とファッション的要素によって現代のカルチャー・シーンとうまくリンクしながら、着実に成長している様子が伺える。2017年はさらに大きく飛躍する年になるだろう。
雨のパレード
雨のパレードはリアルタイムの海外のサウンドと、国内の若いリスナーが好む歌メロとビジュアルを融合させた、ハイブリッドな音楽を鳴らすバンドだと捉えている。そこに挑戦するバンドは数あれど、そのバランス感覚とクオリティにおいて、音源・ライブ双方共に何歩も抜きん出ている存在だといえるだろう。しかしブレイクを予感させる最大の理由は、ボーカル福永浩平の存在だ。彼の空気感や表情、歌声、そして紡ぐ言葉には、人を強く惹きつける魅力が溢れている。SuchmosのYONCEや星野源とは異なるタイプのアーティストではあるが、新しい時代を象徴するアーティスト像のひとつの理想形を彼から感じずにはいられない。
Creepy Nuts
もはやお茶の間でお馴染み……というのは大げさかもしれないが、異例の話題っぷりをみせているモンスター番組『フリースタイルダンジョン』にレギュラー出演を果たすR-指定と、その相方であるDJ松永からなるユニット。昨年公開の「みんなちがって、みんないい。」や、2ndミニ・アルバムのタイトル・トラックでもある「助演男優賞」のMVでは、世間の様相を上手く切り取りながらも、常に自分たちへの自虐ネタも忘れないという憎めないキャラクター性を発揮。ユーモアとアイロニーに富んだリリックを、クールでキャッチーなトラックに乗っける音楽性もいうことなし。今年は彼らにとって飛躍の一年になるかもしれない……!
D.A.N.
昨年に引き続きの選出だが、1stアルバムも待望のアナログ盤としてリリースされ、WWW Xのオープニング・シリーズのひとつとして開催した、Seihoをバンド・セットで招いた自主企画”Timeless”も大盛況。さらに2月は同企画の第二弾としてLAのMndsgnを招聘し開催することも決定しているD.A.N.。年末に突如リリースした新曲「SSWB」も素晴らしかっただけに2ndアルバムへの期待も高まる。徹底的に抑圧されたグルーヴ感と、洗練されたミニマル・サイケなサウンドを基調としながらも、そこに流麗な日本語詞をハメるスタイルは、新世代による新たなポップスとしても機能しそうな気配も!
ENJOY MUSIC CLUB
激キャッチーなメロディや親しみやすいキュートなサウンド・センスを武器に、ジワジワと人気が高まるENJOY MUSIC CLUB(以下:EMC)。メンバーのひとり、江本祐介はおかもとえみへの楽曲提供や、ソロ曲が乃木坂46・桜井玲香のソロMV挿入歌に起用されたりと、幅の広い活躍ぶりをみせているが、母体となるEMCもバカリズム原案の深夜ドラマ『住住』の主題歌を担当するなど、ブレイクの機運が。そもそもポテンシャルとしては元から十分にあったはずなので、今後もTV番組などでの起用が増えれば、一気にドカンといくかも……? また、Tシャツ、スウェット、コーチジャケットといったマーチャンダイズも大人気で、ライブやイベント見かける率も高し!
フレンズ
2015年に結成、2016年から本格的な活動をスタートさせたフレンズ。すでに音楽シーンで活躍しているミュージシャンたちで構成されているということもあり、楽曲のクオリティはやスキルで言えば新人バンドの領域ではない。昨年も様々なフェスやイベントに出演し、そのエンターテインメント精神溢れるステージングで音楽好きのハートをガッチリとキャッチ。昨年WWWで行ったワンマンライブも瞬く間にソールドアウトし、その勢いは留まることを知らない。そして現在フルアルバムのリリースに向けて制作中とのこと。卓越したポップ・センスと強力な個性を放つフレンドリーな5人組は今年、大きな旋風を巻き起こしてくれるかもしれない。
iri
神奈川県逗子市在住、新人女性シンガーのiri(イリ)。2016年は早くもサマソニやOCEAN PEOPLESに出演していたが、10月に1stアルバム『Groove it』 をリリースしメジャーデビューしたばかりである。このアルバムの作詞・作曲は全曲iriが手がけているのだが、気鋭トラックメーカーたちとのコラボによってより洗練された都会的なサウンドに仕上がっている。2017年は、早速2月に同アルバムのリリースパーティーが渋谷WWWで行われ、その後のフェスでの活躍も期待される。今後も彼女の動向から目が離せない。
KID FRESINO
一昨年傑作2ndアルバムを、昨年はC.O.S.A.とのコラボ作品をリリース。それ以外にも様々な客演でスキルフルなフロウを披露し、注目を集め続ける若きラッパー/ビート・メイカー、KID FRESINO。先述したC.O.S.A.とのコラボ作にはコトリンゴ(!)やPUNPEEを招いたり、今年2月リリースの新作EP『Salve』ではペトロールズの三浦淳悟やYasei Collectiveの斎藤拓郎なども参加し、全編生音生楽器に挑戦するなど、コアなヒップホップ・シーンを超えたより多くの層へと届く可能性を大いに秘めている。その証拠に、EPの表題曲「Salve」はTV番組『モヤさま2』エンディング曲にも起用。盛り上がり続ける国内ヒップホップ・シーンでも頭一つ抜きん出た存在になるのでは……!
never young beach
昨年もBREAKOUTに選出したバンドだが、never young beachの本当のブレイクは今年かもしれない。ボーカル安部勇磨の天真爛漫なキャラクターは相変わらずだが、音楽性においても2ndアルバム『fam fam』ではよりハッピーな方向に舵を切ったことにより、ますます多くの人を笑顔することができるバンドになってきた印象を受ける。日本中の男性を悶絶させたMV、衝撃的な繋がりの発覚、年末の大型フェスも大盛況、そしてついに今年メジャー・デビューを果たす。ネバヤンの話題は事絶えない。是非ともこの勢いで今年も日本中にハッピーな音楽と話題を振りまいて欲しい。
Nulbarich
怒涛の快進撃を続けるSuchmosを追いかける伏兵として、急速的にその認知とバズを拡大させているのがこのNulbarich(ナルバリッチ)。シンガーソングライターのJQを中心とし、メンバーを固定しないというその活動スタイルや、バンドのアイコン=ナルバリくんをビジュアル面に使うといった匿名性の高さは、現代の環境に最適化された先鋭的なフォーマットのようにも思える。相変わらず高まり続けるソウル、ファンク、ディスコといったブラック・ミュージック再起の機運とも相まり、何かひとつキッカケがあるだけで、爆発的なヒットも生まれそう。昨年末にリリースした7インチが即完したことも、彼らの期待値の高さを物語っている。
ポルカドットスティングレイ
福岡を拠点に活動する女性ボーカル4人組ロック・バンド、ポルカドットスティングレイ。2016年は、ボーカル・ギターの雫が自ら監督を務めて3月に公開された「テレキャスター・ストライプ」のMVが現在再生回数270万回を超えており、11月には初の全国流通の「骨抜きE.P.」がリリースされた。2017年は、2月に行われる東名阪での初のワンマンツアーが即日ソールドアウトしており、その後の夏フェス等の大型フェスでの活躍も期待される。是非生ライブで彼女らの真骨頂に触れて欲しい。
Tempalay
こちらも昨年から引き続きの選出。昨年は1stアルバム『from JAPAN』をリリースし、盟友ドミコとの”BEACH TOMATO NOODLE”を、野外フェスと屋内カウントダウン・パーティーとしてそれぞれ成功させるなどして話題を振りまき、注目を集めていたTempalay。今年に入ってからも間髪入れずに早速新作EP『5曲』のリリースを発表するなど、まだまだその勢いは衰えないようだ。浮遊感漂うサイケな様相を呈していながらも、耳馴染みの良いサウンド、そして不思議な言語感覚を擁した、一度聴くと耳から離れなくなるかのような日本語詞を武器に、今年はさらなる飛躍を期待している。
Tomggg
フィジカル・リリースやiTunes、Spotifyでの配信など、着実に既存の音楽シーンへと侵攻しているネット発のDTM界隈。その中でも、ボンジュール鈴木やtsvaciこと辻林美穂とのコラボ作でも話題を集めていたTomgggは、今後より一層の活躍が予想されるプロデューサーのひとりだ。アカデミックな音楽理論や作曲技術に長けていながらも、それでいてどこまでもポップでハッピーに弾けたり、先鋭的なクラブ・ミュージックの要素までも取り込む彼のサウンドは、様々なシーンや界隈を横断し、より母数の多い層へと届く可能性に満ちあふれている。TVなどでの起用などをキッカケに、ドカンとブレイクしてもおかしくないだろう。
yahyel
このyahyel(ヤイエル)と名乗る音楽家集団は、「昨年で最も幅広く、そして大きな話題をさらった国内ニューカマー」と言っても過言ではないだろう。今回の”BREAKOUT”の中でもかなり確度の高いアクトのひとつ。欧米を中心とした先鋭的なビート・ミュージック〜インディ・ロック勢とも共鳴する音楽性ながら、フジロックのルーキー・ステージ出演からまさかのMETAFIVEのオープニング・アクト抜擢、そして渋谷WWWにて行われた1stアルバムのリリパも超満員ソールドアウトと、怒涛の勢いをみせている。サウンドだけでなくヴィジュアル面にも並々ならぬこだわりを感じさせる、まるで総合アートのようなその活動スタイルで、今後も異例の飛躍ぶりをみせてくれることを願う。
Yunomi
東京に拠点を移した昨年、特に後半にかけての彼の働きぶりには目を見張るものがあった。他アーティストや企業への楽曲提供や編曲、リミックス仕事を多数こなしながらも、自身の楽曲制作の方も決して疎かにならず、出す曲出す曲毎回素晴らしいクオリティを誇っているYunomi。先鋭的なクラブ・ミュージックの要素を上手く取り込みながら、それをポップで記名性の高いサウンドとしてアウトプットするスタイルは唯一無二。昨年はnicamoqと、今年はTORIENAとのコラボ名義でEPをリリースし、ますますその認知を拡大させているだけに、今年後半には超売れっ子プロデューサーになっている可能性も!
15組の楽曲をまとめ聴き!
https://www.youtube.com/playlist?list=PLy8LZ8FM-o0VPOBV_9xtRh-x8BYm6BTuW