多摩美術大学出身の3人から成るバンド、まん腹が2ndアルバム『都わすれ』を本日3月3日(水)にリリースした。
2013年に多摩美術大学にてドラムレスの4人組バンドとして結成されたまん腹。季節や街、人などをテーマにしたぬくもりあふれる楽曲や、様々なゲストを迎えて節目節目に開催してきた自主企画イベント『満福御礼』などで徐々にリスナーを獲得していき、2019年3月にはメンバーの一人が脱退して3人編成となり、サポート・メンバーを加えたバンド体制になった。
“街”をテーマにした2018年発表の1stアルバム『ゆうたうん』に続く本作のテーマは“旅”。日本語を大切にした等身大の歌詞で綴られる、“いま置かれた現状から放たれること”をテーマにした楽曲が収録されている。
なお、本作へ向けて岡山健二(classicus)、君島大空、yojik(yojikとwanda)、wanda(yojikとwanda)、荻原楽太郎(写真家)、長岡智顕(思い出野郎Aチーム)、フクダヒロア(羊文学)、池田俊彦(T.V.NOT JANUARY / Hei Tanaka)からコメントが寄せられている。
【岡山健二(classicus) コメント】
わぴこちゃんの歌詞は
徒然草の現代版のようで
いやぁ、渋いなぁと感服させられてしまう。
あきらくんは
グッド・メロディの職人具合に磨きがかかっている。
1曲目が3拍子というのもいい。歌詞も、上野の科学館の人類進化のアニメーションを見ているような気分になる内容だ。
そして、それらを楽しく
聴いていられるという事実こそが闇日本5000のグルーヴ・マスターたる所以である。
【君島大空 コメント】
まん腹の新しい音楽たちに寄せて
大切な人が近くにいるのにひとりぼっちになってしまうとき。
さようならと言って、背中が見えなくなったあとに始まるひとりきりの帰り道。
出会った頃からまん腹の音楽は、そんな時間たちの主題歌でした。
本当にかけがえのない景色は、他愛もなくて、そばにいる人にさえ笑われてしまうような些細なものなのかもしれません。
でもそれをずっと抱きしめていていいよ。と言ってくれる。
それを忘れそうになってしまった時にも、肩にそっと触れる手のようにまん腹の音楽はありました。
「ドラムが入るんだよ」と教えてくれた時のことをよく覚えています。
正直、凄く変わってしまったらどうしよう?って不安だったけれど、そんなのは野暮でした。
ごめんなさい。思えばドラムレスの頃から、彼女彼らはバンドだったんだ。
新しい編成になって、今までのまん腹の世界がこんなにも自然に色彩と水分と光を増して拡がって、
とてもしなやかにここに成就していることが嬉しくて気持ち良くて堪らなくなりました。
そしてやっぱり、ずっと抱きしめていていいよ。と言ってくれた気がします。
今までを全部連れて今に居てくれる、僕にとってこれからもずっと、ひとりの帰り道を一緒に歩いてくれる音楽です。
ここからまん腹の音楽に出会う人々にとっても、きっとそうだったらいいな。なんて、おこがましくも思ってしまうほどに。
【yojik(yojikとwanda) コメント】
まん腹の皆さんはお若い。自分と比べたらそれはものすごく。
自分の子供の世代に近いほど。
だけどなぜだろうか、いつもその演奏する姿には年齢に不似合いなほど貫禄を感じてしまう。
曲にも歌詞にも、若さを俯瞰したような立ち位置を感じるのです。
それは若々しくないということではありません。
わぴこさんの声やリズム隊やあきらさんのギターは春の野のようにフレッシュです。
何が言いたいのかというと、まん腹は時代性を丁寧な形で失っているような気がするということです。
個を尖らせる強さではなく、森に集まった子供たちが輪になって遊ぶ陽気さを、大人の作法で獲得したバンドと言えば良いでしょうか。
そして、もう一つはっきり思うことですが、
この人たちの音楽は全然ふわっとしていない。
実はそれは、とても難しいバランスの上で成立しているように思います。
この上なく稀有な、狙っているだけでは絶対に採れない木の実を手にした特別な人たちだと思うのです。
すでに世に残るべき作品ばかりでまいっちゃうけど、
4曲めの「ジャーニー」なんてライブで聴けば絶対楽しいし、3曲めの「道端の花の名前もわからない僕らは」のメロディラインはこれこそまん腹って感じ。(まん腹はわぴこさんの地声と裏声を行き交うところがわりと自分のツボ)ラストのインスト「ホーム」もピアノが美しくて泣いちゃう。
彼らの冒険を、広く沢山の人が一緒に楽しめればいいと、心から願っています。
セカンドアルバム発売、本当におめでとうございます。
【wanda(yojikとwanda) コメント】
1stアルバムからのメンバー脱退(大正琴)を経てアレンジの自由度を異常に広げた新たなポップス編集音楽の名盤誕生。
リズムと鍵盤が活躍する事で増量された普遍性(エバーグリーン感)がとても心地良い。
もう職人的なポップスと言えるのではこれは。
3曲目と7曲目8曲目が特に好きです。
今作を聴いた後に「どんなんだったっけ?」と思って1stを聴きかえすと大正琴の響きに胸をしめつけられる。
2ndが生まれたことで前作が「失われた青春」の名盤として確定された思い。
2ndは「新しい青年期」の音楽として最高だった。
新世界に歓迎された気持ち。こちらこそ作者たちに伝えたい。
ありがとう。おめでとう。
【荻原楽太郎(写真家) コメント】
彼らが集って一緒に曲を作り始めた当初から、ほとんど毎日彼らの曲を聴いている。
身を切るような寒さの夜明けの河川敷でも、散々駄弁った宴の後でも、友人の墓参りの帰り道でも。
何しろ多彩だ。彼らの音楽は時間と場所を選ばない。どんな場面でも何かしら聞きたい曲がある。
スピーカーに傾聴すると情景が浮かぶ。暖かく、心地よく、どこかシニカルな歌詞が昨日とは幾許か違う印象で耳に届く。
その蓄積が堪らなく愛おしいのだ。
今作も、折に触れて長いこと聞き続けるのだと思う。これからもどうぞよろしくお願いします。
【長岡智顕(思い出野郎Aチーム) コメント】
前メンバー「病院」の脱退から紆余曲折、まん腹は新たな旅路へと舵を切った。
進化が止まらないあきらのポップネス、安心安定わぴこの歌、てつ(闇日本5000)のベースはバンドサウンドの中でさらなる躍動を見せる。
笑いあり涙ありマイペースなまん腹節は今作も健在。
サポートメンバーを迎え、新たな境地へとたどり着いたまん腹のサウンドに、今後も要注目だ。
【フクダヒロア(羊文学) コメント】
小田急線に乗っていて、東京都狛江市の多摩川の風が窓から入ってきて春の香りがするような心地よさがありました。
日常に寄り添うような優しさがあり、ふとした切なさを感じました。最後の曲「ホーム」では、雨の音と同時に人生を振り返り、様々な風景を思い出しました。
まん腹は、下北沢ベースメントバーで共演してもらった時にライブを観て感動してCDも買わせてもらいました!これからも、まん腹を沢山聴いていたいです!
【池田俊彦(T.V.NOT JANUARY / Hei Tanaka) コメント】
もうずいぶん遠出をしていないけど、
そういえば、好きな音楽を聴きながら近所を散歩するだけで、どこかの違う時間や場所に潜り込めるような、空と地球の間に浮かぶことすら出来るような、そんな感覚をまん腹の新しい曲たちを聴いて思い出した気がします。
【リリース情報】
まん腹 『都わすれ』
Release Date:2021.03.03 (Wed.)
Lavel:P-Vine
Tracklist:
1. おひっこし
2. サイダー
3. 道端の花の名前もわからない僕らは
4. ジャーニー
5. はるかな
6. ガラスの花
7. 明日からのこと
8. 都わすれ
9. ホーム