2018年がKrystal Klearの年であったのなら、2019年はKETTAMAの年である。厳密に言えば音楽のジャンルは違うが、2人の間にある共通点はアイルランド出身であること。シャン・ノースやケーリー・ダンスの国から、立て続けに傑物が出てくるのはおもしろい。
とは言え、KETTAMAは昨日今日ブレイクしたわけではなく、ヨーロッパのダンス・ミュージック・シーンを追っているファンにとっては、すでにお馴染みの存在かもしれない。地元アイルランドで開催される大規模フェスティバル“Boxed Off”では、Armand Van HeldenやThe Martinez Brothersらと共にメイン・ステージを飾った。先日来日したテック・ハウス・デュオ、Duskyにもリミックス(これまた素晴らしい)を提供している。テック・ハウス界のトップにも目をつけられているとあっては、いよいよグローバルにその名を知られる日も近かろう。
そして3月29日(金)、KETTAMAは1枚のEPをリリースした。
その名も『Eastside Avenue』。ギミックなしの正攻法テック・ハウスである。上の動画(静止画だが)のコメント欄には、Derrick Mayの「Strings Life」の名前が挙げられているが、それほどこの曲はクラシカルな素養を孕んでいる。
いや、この曲に限らず本作『Eastside Avenue』はこれまでのアンセムの影を随所に感じるのだ。素晴らしい名作の誕生はいつだって偉大な古典を照らし出すが、今作も例外ではない。その光の先にはDerrick Mayがいて、Juan Atkinsがいて、Carl Craigがいる。
良い時代になってきた。
【リリース情報】
KETTAMA 『Eastside Avenue』
Release Date:2019.03.29 (Fri.)
Label:Shall Not Fade
Tracklist:
1. Eastside Avenue
2. MAJIK
3. In The Garage
4. Falling Down