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Interview / RAT BOY


サマソニで初来日を果たした期待の新人、RAT BOY最速インタビュー!

2016.08.29

2016年サマーソニック初日お昼過ぎ、マウンテンステージにけたたましいサイレンと共に怪しげなマスクを被って飛び跳ねながら登場したのは、イギリスの新人RAT BOY。
2014年、当時18歳だったRAT BOYことJordan CardyがSoundCloudに挙げたミックステープがBabyshamblesのベーシストであるDrew McConnellの目に留まったのを機に、UKで瞬く間にブレイク。2000年代以降のUKロックやパンクとヒップホップをごちゃ混ぜにし、等身大でリアルな日常を歌うその姿は、多くのUKの若者の心を掴んだ。デビューアルバムもまだリリースされていないが、”BBC Sound of 2016″のロングリストにノミネートされ、NMEの”Best New Artist”も受賞するなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いといっても過言ではないだろう。

そんなRAT BOYは今回のサマーソニックが日本での初ライブとなったわけだが、アルバム・リリース前にも関わらず、その話題を聞きつけた早耳リスナーが多数集まっていた。Jordanが描いた車のイラストをステージのバックに掲げ、ギャングスターを意識したというマスクを被って演奏はスタート。水を吐き出したり、口に黒いテープを貼っておどけてみたり、テッシュを口に詰め込んでステージに吐き出したり、ステッカーをばらまいたり、最後にはJordanが観客席にダイヴまでするなどステージ上ではとにかくハチャメチャにやりたい放題。彼らの代表曲「Sign On」は失職したときのことを歌った曲であるし、「Fake ID」や「Get Over It」でも日常の退屈さを歌っているのに、彼らのライブは一体なぜこんなにもハッピーなヴァイブスが溢れているのだろうか。「毎日繰り返される日常はこんなにも退屈だけど、最高の音楽と仲間がいればいつだってハッピーなんだ」と、まるでそう我々に語りかけているかのようであった。

さて、ライブ後の興奮冷めやらぬなか、Jordanに加えバックを固めるバンド・メンバーを含めた4人にインタビューを敢行。ストリートアートや映画について目をキラキラさせながら語るその姿は、まさしく等身大の20歳の少年たちの姿そのものであった。

Interview & Text:Aoi Kurihara
Photo:Takazumi Hosaka

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L→R:Liam Haygarth(Ba.)、Harry Todd(Gt.)、Jordan Cardy(Vo./Gt.)、Noah Booth(Dr.)


ーこんにちは! 実は去年、あなたの最初にヒット・ソングである「SIGN ON」について書いてます(Spincoasterの記事を見せる)。

Jordan:わお、クールだね! すごい! ……(同記事内に埋め込んである楽曲「SPORTSWEAR」を見て)あれ、これなんだっけ?。

■関連記事:Rat Boy / Sign On

ーあなたの曲だよね?

Jordan:え、そうだっけ、これ僕の曲?(笑)……(曲を再生し出してノリノリになる)ひゅー! 確かにこれ僕の曲だった(笑)。

ー(笑)。じゃあ質問初めても大丈夫?

Jordan:うん、オッケー。

ー日本に来たのは初めてですよね? 先週私もロンドンに行っていたのですが、ロンドンとここ東京では天候とか全然違いますよね。

Jordan:そうだよ、日本は初めてなんだ! 本当にクールだね。天候も全然違うし、イギリスと比べて人が多いね。あ、ファンタは僕の一番お気に入りの飲み物なんだ(飲みかけのファンタを持ってカメラに向かってポーズする)。で、なんだっけ?(笑)

ー(笑)。先ほど初めて日本のショーを終えたけどどうでした?

Jordan:本当に素晴らしかったね! 君も観てた? あればクレイジーだね。僕ら日本語も喋れないし日本のことをそんなに知っているわけではないのに、観客のみんながジャンプとかしてくれてさ!

Harry:特に最後の曲はみんな飛び跳ねていて最高だったね。

Jordan:こんなにクレイジーだったのは初めてだよ!

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ー今日のライブは最初メンバーみんなマスク着けて登場したけど、あのマスクは何のキャラクターだったの?

Jordan:あれは僕らの新しいEPのタイトル曲「GET OVER IT」のMVのコンセプトとリンクさせているんだ。MVではギャングスターが泥みたいな怪物のマスクを被って強盗に押入ったり法廷に出廷するシーンがあるんだけど、今日僕が最初に被っていたマスクがそれなんだよ。

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ーその『GET OVER IT – EP』のアートワークもそう?

Jordan:そうだね、右がその泥マスクで、真ん中は僕ってわけ(笑)。

ーこのイラストは自分で描いたのでしょうか?

Jordan:うん、そうだよ!

ーそういえばあなたは大学ではアートを学んだいたようですね。

Jordan:うん。Colchesterという大学でアートを勉強していたんだ。

ーちなみにどういったアートを専攻していたんですか。

Jordan:ストリート・アートだね。

ーBanksy(バンクシー)とか?

Jordan:う〜ん、まぁBanksyもストリートアートだけど、僕はそういったのはあまり見てなかったな。僕が好きなのはNeckfaceっていうスケート・カルチャーで有名なアメリカのアーティストだね。

ー話は戻りますが「GET OVER IT」のMVは西武劇風でとてもユニークですよね。

Jordan:ありがとう。あれはタランティーノの映画を意識したんだ! 次のMVはホラー映画風にしようと思っているんだよね。くだらなくてチープな感じのホラー映画。そういうのをモチーフにしたいね。

ー他にお気に入りの映画監督はいますか?

Jordan:うーん……とにかくタランティーノが好きなんだよね。個性的なキャラクターが出ている映画が好きなんだ。

Liam:(スタンリー・)キューブリック(Stanley Kubrick)も好きじゃなかったっけ?

Jordan:そうそう、キューブリックも好きだね! 『シャイニング(原題:The Shining)』も彼の作品だよね。

Liam:精神がおかしくなっていく感じがヤバいよね、あとあのカーペットが印象的。

ーアメリカ映画ばかり挙げているけど、イギリス映画だったら?

Jordan:ガイ・リッチー(Guy Ritchie)の『スナッチ(原題:Snatch)』が好きだね。

ー「MOVE」のMVもとても好きです。あなたが忍者と戦っていますよね。

J:ああ、あれはね、僕が監督をしたとかではないけどおもしろいよね。カートゥーンで鳥が出てくるアニメ知ってる?(恐らく「トゥイーティー」のこと) あのMVはああいう感じのアニメをモチーフにしていて、追いかけられたり戦ったりしているんだ!

ーちなみに日本で忍者は見つけられた?(笑)

Jordan:いや、全く(笑)。

ー東京にある忍者レストランに行ってみた方が良いですよ。

Jordan:……え、そこに忍者がいるの?

Noah:本当に?(笑)

Joradn:すごく行きたいね。

ーたぶん気に入ると思います(笑)。ところでもう少し音楽的なバックグラウンドの部分をお訊きしたいですが、Rat Boyの音楽性は、どういった音楽やアーティストから影響を受けて形成されていると思いますか?

Jordan:本当に色々な要素から影響を受けているけれど、特に言うとパンクとヒッピホップだと思う。最近聴いて良かったアルバムは……えーとなんだっけ。思い出せないな……(他のメンバーの顔を見ながら)プレイリストに入れてなかったっけ??

Noah:Chance The Rapperじゃない?

Jordan:いや、それじゃない。

ーKendrick Lamarとか?

Jordan:ああ、それだ! 彼の作品は良かったね。

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ー今のUKの音楽シーンについてはどう思う?

Jordan:クールだね、いろいろなインディーバンドがたくさん出ててきて良いと思う。仲良くしているロック・バンドと僕らはちょっと音楽性が違うと思うけど、一緒に楽しくやっているし。

ーでは、最後に日本のファンにメッセージをください!

Jordan:ホテルマンに言付けするみたいだね(笑)。

Liam:言いたいことがいっぱいありすぎて何言えば良いかわからないね。

Jordan:えーと、僕らの音楽を聴いて、周りに広めてほしい。そしたら僕らはまた日本に戻ってくるよ! もっとライブをやりたいんだ! 今度は今回のようなフェスじゃなくて各地をツアーできるようにしたいね!

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【リリース情報】

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Rat Boy 『GET OVER IT – EP』
Release Date:2016.09.09
Label:
Tracklist:
1. INTRO
2. GET OVER IT
3. KICKED OUT TAPE
4. CASH IN HAND
5. GOOD BYE


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