FEATURE

INTERVIEW / OKAMOTO’S


常にシーンで異彩を放ち続ける不動の4人組=OKAMOTO'S。記念碑的新作について、彼らが「BOYで在り続けなければいけない」と語る理由

2019.01.16

OKAMOTO’Sが1月9日(水)に8thアルバムとなる新作『BOY』をリリースした。

その挑戦的なタイトルでも話題を集めた前作『NO MORE MUSIC』では、アーバンかつ洒脱なサウンドでリスナーを驚かせたOKAMOTO’S。そこからわずか1年半ほどで届けられた本作は、再び瑞々しくもパワフルなロック・ナンバーを軸とした、痛快な作品となっている。

振り返ってみれば、10代でデビューして以降、その早熟な才能故にシーンにおいて常に孤高のポジションについてきた彼ら。以来、メンバー不動のまま、10年間日本の音楽シーンをサヴァイヴしてきた彼らは今、何を見据えているのか。

デビュー10周年を迎え、6月には初の武道館公演も行うOKAMOTO’Sの4人に、これまでの道のりを振り返ってもらいつつも、バンドの現在時点とそして今後の行く先について訊いた。

Text & Interview by Takazumi Hosaka
Photo by Nanami Shinkai

[L→R:ハマ・オカモト(Ba.) オカモトレイジ(Dr.) オカモトショウ(Vo.) オカモトコウキ(Gt.)]


「トライ・アンド・エラー」の10年間

――新作『BOY』はOKAMOTO’Sのデビュー10周年の幕開けを飾る作品となりますが、この10年を振り返ってみていかがでしたか?

レイジ:この10年をざっくりと言うと……。

コウキ:「トライ・アンド・エラー」だよね。

ハマ:そうだね。「トライ・アンド・エラー」っていいですね。

レイジ:「トライ・アンド・エラー」であり、「紆余曲折」。一言では言い表せない感じです。

コウキ:OKAMOTO’Sは最初からひとつのスタイルがあって、ビシッと一本筋の通ったやり方を貫くというよりかは、その時々によって音楽性や姿勢を柔軟に変えてきていて。なんだかんだありながらも今が一番いい状態だって思えているので、いいキャリアの積み重ね方だったのかなって思います。

レイジ:色濃い10年でしたよね。ここからここまでは空白だった、みたいな期間が一切なくて。ちゃんと節目節目には自分たちのやっていることを再確認、客観視できる事柄があって。それに対応することで、意識をきちんと変えることもできた。ぼーっとしている暇がなかった10年って感じでしたね。

――では、ある意味常に「今が一番いい」という状態で、それを更新し続けているということでしょうか?

ショウ:そうですね。もちろん、それは1stアルバムからの積み重ねがあるからこそ言えることでもあって。

コウキ:OKAMOTO’Sって、実はデビュー以来ライブの動員がガクッと落ちたことがなくて。徐々にではありますが、ずーっと増え続けていっているんです。よく考えてみたら、これって結構すごいことだなと思っていて。やっぱり長い期間やっていたら、多少は上下するのが当たり前じゃないですか。

レイジ:10年間減ってないって、すごいよね。

コウキ:ガーッと一気に増えることもないけど、着実にファンを増やすことができている。そこはすごくよかったと思います。

――10年もの間、ライブの動員を着実に増やし続けた。確かにすごいことだと思います。OKAMOTO’Sのみなさんから見て、これはどういうことが要因となっていると思いますか?

ハマ:ライブで、パフォーマンスで魅せるということは大前提にありながら、ある時期から、僕らはどういう人間なのか、どういう人間がこの音楽を作っているのかという自分たちのパーソナルな部分をより出すようにしてみたんですよね。別に明確な話し合いなどがあったわけではないのですが、ライブ中のMCであったり、YouTube上で自分たちがやっている番組にしてもそうで。僕なんて、最初の頃はライブで全くMCをしませんでしたし。そこから、徐々に僕ら4人のそれぞれのキャラクターというか、地の人間性みたいな部分を見せていくようになっていきました。もしかしたらそういうことが理由のひとつになっているのかもしれませんね。やっている音楽自体は、結構な早さで変化していっていると思うので、そういう部分がなければ「ちょっと何やってるかわからなくなった」っていう感じで離れていってしまう人も多かったんじゃないかなと。それとほぼ同時期に、歌詞の面でもどんどん自分のこと、自分たちのことを表現するようになってきていて。そうすることによって、自然と多角的にバンドを楽しんでもらえるようになったんだと思います。

ショウ:もちろん、ライブの地力も要因のひとつだと思います。もし音源で聴いて理解できなかったとしても、ライブを観てもらえれば引き込む自信がある。そういうことはすごく研究してきたつもりなので、ライブを30分だけでも観てもらえれば、絶対に「いいね」と言わせるだけの力が今のこの4人にはあるんじゃないかな。

――なるほど。ハマさんがおっしゃったメンバーそれぞれのパーソナルな部分を出していくということについて、最初は戸惑いや葛藤などはありましたか?

ショウ:葛藤というか、最初の頃は出したかったけど出せなかったんですよ。どうやって上手く表現すればいいのかわからなかった。

ハマ:怖かったというか、やり方を模索していた時期はあったと思います。それこそ今はパーソナルな言動が独り歩きしてしまうこともある時代ですし、だからこそSNSはやめたメンバーもいます。今では4人それぞれが自然体で、気負わずに自分を出すことができていますけど、3年くらい前のライブのMCなんかは、今はもう絶対見返せないですもん(笑)。

ショウ:わかる。

ハマ:演奏はまだ見られると思いますが、MCは本当に恥ずかしくて見られないですね。そういう部分でもトライ・アンド・エラーを繰り返してきたというか。

――では、トライ・アンド・エラーを繰り返してきたというこの10年間で、一番印象に残っている挑戦、もしくは失敗を挙げるとしたら?

ハマ:エラーというわけではありませんが、試してみたけど期待したような効果は得られなかったなということはもちろんありました。それをエラーと呼ぶのかどうかは微妙なところですが。例えば、「JOY JOY JOY」という曲は、フェスなどに出演した時に、わかりやすく盛り上がれる曲がないとダメだという考えを元に作った曲だったんです。当時のインタビューでも「狙ってやった」ということを明言していたのですが、それでも結構「今まで通り」といった評価を受けることが多くて。でも、それでわかったこともたくさんありました。なので、「リリースしなきゃよかった」ということは一切ないですね。

ショウ:そういう意味では、この10年間において大失敗はなかったような気もしていて。バンドって常に変わっていくものだと思うし。

ハマ:トライ・アンド・エラーだからね。失敗してもちゃんと昇華してきてる。

レイジ:その時々は「失敗だった」って思うような出来事も、後から振り返ってみると、それがなかったらその後に続かなかったなって思えたり、もしくはその失敗で大事なことに気付かされたり。全く報われない失敗みたいなことはやっぱりなかったと思いますね。

ハマ:結局は続けているからこそ言えることですし、たぶん、長く続けるってそういうことなのかなという風には思います。


「ある意味、お互いに興味があまりないんだと思います」

――それこそこのご時世に、10年間以上同じメンバーとバンドを続けているっていうことは、かなり特殊なことだと言えると思います。大きな失敗もせずに、ここまで長く続けられるのはなぜだと思いますか?

レイジ:音楽がめっちゃ好きだからじゃないですかね。それはものすごく大きいと思います。

ショウ:うん、そうだね。

レイジ:音楽が好き、演奏するのが楽しい。本当にそれが原動力。

ショウ:あとはうちのメンバーは結構バンド以外での活動もそれぞれ積極的にやっていて。DJをしたり楽曲提供したり、演奏で参加したり。おれも今年は初めてのソロ・ツアーを回りましたし。もちろんバンドが一番の芯になっている活動ですし、母体だけど、そこは結構フレキシブルに動いていて。そういうところでガス抜き的なこともできているんだと思います。おっしゃった通り、今の時代、その時々で出会った人たちと新しい作品をパッと作っていくっていうスタイルの方が自然だと思いますし、おれもそういうことはやりたい。でも、逆にずっと同じメンバーで、同じようなスタイルで、同じような音楽を作り続けるというその不自然さもカッコいいと思うんです。創作活動においては何か制限があった方がより良いものを作れる気がしますし。

レイジ:誰かひとりでもバンド以外での活動が全くない状態になると、段々厳しくなっていきそうな気がするんですけど、このバンドはそれが全然ないんです。パワー・バランスが均一というか。それぞれにそれぞれの役割と担当があって、それを全員が全うできている。そしてお互いがお互いを認め合えている。一時期、リーダー不在っていう状況をよくないと思っていたこともあるんですけど、今はそれが逆によかったんじゃないかなと思います。

ショウ:誰かが新しいことを始めたりすると、「すげー! おれも頑張らなきゃ!」という気持ちになるんです。それがすごいことだなと思っていて。全く妬みとかがないというか。それは今レイジが言った、お互いにリスペクトがあるからだと思います。

レイジ:そうだね。

ハマ:あと、ある意味、お互いに興味があまりないんだと思います。もちろんいい意味で。

レイジ:確かに。興味があるとちょっと悔しいとか思ったりするかもしれない。ハマくんが何回も『ベース・マガジン』の表紙をやってる一方で、おれは一回も『リズム&ドラム・マガジン』の表紙をやったことがない。本来だったら同じバンドのドラマーとして「もっと頑張らなきゃ!」って思うべきなんでしょうけど、実際はそういうことに興味が持てなかったり(笑)。それがいい意味でのお互いへの興味のなさに繋がっているというか。

コウキ:みんなそれぞれ別々のことをやっているという感覚だよね。

ハマ:(オカモトショウが)NHKのお兄さんをやっていることなんて、世間的にはすごいことですよね。こういうことも、あらゆるところで発信しまくった方がいいに決まっているのに、たぶんレギュラーが決まってからライブのMCなどで一回も言ったことないんじゃないか? というくらい言わないんですよ。

ショウ:確かに(笑)。

ハマ:だから、普通じゃないんですよ(笑)。あとはみんな色々な音楽が好きだけど、全員が満場一致で「好きだ」って思えるのは、たぶんOKAMOTO’S以外にないんです。それも長く続けられる要因のひとつかなと思いますね。

――OKAMOTO’Sのみなさんは中学生の頃から一緒にバンドをやってきた、言わば幼馴染のような存在ですよね。そうやって仲のいい友人同士でスタートしたバンドですが、そこからプロとして活動するようになり、10年という月日が経ちます。その中でみなさんの関係性に変化は起こってきましたか? 例えば、よく友人関係からビジネス・パートナーのような関係に変化していくとか、そういう話しもお聞きします。

ハマ:それは変化してきたと思います。

レイジ:プライベートではもう8年くらい遊んでないですもん。あ、ショウは一回ウチに来たっけ?

ショウ:そうだね。レイジは時々誘ってくれたりするよね。でも、誘ってくれたんだけど、いざそこに行ったらおれとは喋ってくれない、ということもありますね(笑)。

レイジ:ハハハ(笑)。

ハマ:何かキッカケがあったわけではないのですが、自分がどう見られているかということを意識して、自分たちを客観視できてきた頃からそうなったんだと思います。ある意味OKAMOTO’Sのメンバーであることを演じてるというか、芸名で活動していることの方が人生において圧倒的に多くなったわけですし。

コウキ:僕らは元々結構ドライな感じだったということも要因のひとつだと思いますよ。みんなで「行くぞー!」っていう体育会系のバンドでもないし。

ショウ:ライブ前に円陣も組まないしね。

コウキ:音楽が一緒にできればいいっていう感じで、それ以外はお互いに何も望んでないというか。

ハマ:でも、ビジネス・パートナーとも思ってないかもしれないですね。そこまでカッチリ割り切っていると、逆にお互いに許せない部分なんかが出てくるかもしれない。

レイジ:もっと緩い関係性というか。だから、本当の親族みたいな感じかもしれないよね。

ショウ:普段一緒に遊ばないのって、おれはやっぱりお互いリスペクトがあるからなような気もする。遊びに行く時って、結構気を抜いてるじゃないですか。そういう時の自分をメンバーには見られたくないという思いがあるかもしれない。

ハマ:その逆もあるんじゃない? お互い、気を抜いているメンバーのプライベートな素顔を見たくないというか。

ショウ:確かに。それもあるね。

コウキ:ハマさんの家での素顔とか見てみたいけどね(笑)。

レイジ:言ってもおれらのオフは結構想像つくでしょ。あんまり変わらないし。でも、ハマさんのオフは気になるな〜(笑)。

ハマ:いやいや、何も変わらないですよ。みんなの想像通りです(笑)。

レイジ:あ、でも、お酒を呑む場で会わないかもね。コウキとハマさんは地方の打ち上げで一緒に呑んでたりもするけど。

ショウ:いや、でも本気で呑んでる時、本気で酔っ払ってる時は会わないでしょ?

レイジ:一回あったかも。おれがDJしてる時に、ショウさんが最前でブチ上がってた時あったよね(笑)。あれは3年くらい前だっけ? またおれがDJしてる時に来てよ。

コウキ:よっしゃ3人で行きますか(笑)

ショウ:もう少し忙しくない時がいいな(笑)。

ハマ:ものすごく現実的(笑)。

レイジ:おれとハマさんでDJをやっていた時もあるんですよ。伝説のDJユニット、DJぶどう(笑)。

ショウ:DJ Shadowが由来だと言われている(笑)。

――ハハハ(笑)。OKAMOTO’Sの4人の関係性がよくわかったような気がします。友人でもないし、ビジネス・パートナーでもない、ちょっと不思議な関係性。中でも、レイジさんの「本当に親族みたいな関係」というのがすごくシックリしました。

レイジ:そうなんです。今、おれは友達と遊んでるのに、なんでここにいるの? みたいな感じですね。友達と遊んでるところを見られると、ちょっと恥ずかしくなるというか。でも、家に帰れば必ず顔を合わせるし。ずっと一緒にいるのが当たり前の存在。

――なるほど。

レイジ:そして、そういった関係性を作品としてまとめ上げたのが、今回の『BOY』。

ハマ:強引だな〜(笑)。

ショウ:すごいショートカットを使った感じがしたけど、言いたいことに着地できてよかった(笑)。


「BOYで在り続けなければいけないという責任感」

――ありがとうございます(笑)。では、その新作『BOY』についてお聞きしたいと思います。資料によると、このタイトルには自身が少年期から青年期を経て大人になっていく中での想いが込められているとのことですが、こういったテーマ、コンセプトに辿り着いた経緯を教えてください。

ショウ:まず、来年10周年を迎えることと、初の日本武道館ワンマンを行うことが先に決まっていて。それを念頭に置いて制作に臨んだので、やっぱりそこを無視する気はありませんでした。ただ、10周年記念アルバムを作ろうというほど、まだノスタルジックには浸れなくて。おれらはまだ28歳だし、ピークはまだまだこれからでしょという燃えるような気持ちも持っていて、そういう想いを込めたアルバムにしたかったんです。ある意味、10代の時に見始めた夢を、今も追いかけ続けている。そういうことを言うのは、何かちょっと照れるなという気持ちも少なからずありました。でも、そこはやっぱりリアルな部分なので、きちんと言い切ったほうがいいかなと。

レイジ:最初からそういうテーマがあったわけではないんです。とりあえず曲作りを始めていって、曲がだんだん完成してきた頃に、「そろそろタイトル決めないとね」っていうことで、その段階でできあがっていた曲の歌詞なんかを断片的に見ていった時、最初は『DREAM』とかが候補に挙がったんです。10年前のおれらだったら絶対にあり得ないような言葉なんですけど、「おれたち、今はもう夢とかも語れるようになったぜ」っていう、成長したぞ感を表せるかなって。ただ、流石に『DREAM』だと直球すぎるというか、煌びやか過ぎるんじゃないかということで一旦保留にして。その間に「Dancing Boy」という曲ができあがってきて。
その『BOY』という言葉は、『DREAM』っていう言葉が出てきた時の感情ともリンクしているし、10代の正真正銘のBOY=少年だった時にデビューして、そこから10年経って大人になったけど、今でも変わらない部分はもちろんあるし、これからもBOYで在り続けなければいけないという責任感みたいなものもある。そういう部分ですごくシックリきて、タイトルに決まりました。

――自分たちのこれまでを振り返って感じたモノを素直に表現することができるというのも、成長したからこそ為せることですよね。

レイジ:そうですね。しかも、みんなで話し合って「こういうテーマでいこう」って決めたわけではなくて、自然と出てきちゃったっていう感じなんです。それがすごくいい感じだったから、このままでいこうと。

――サウンド的な面で、アルバムの糸口になった楽曲を挙げるとすると?

コウキ:曲は結構同時多発的にでき上がっていった感じがあります。

レイジ:うん。しかも一番最初にレコーディングした曲を結局アルバムに入れなかったり。アルバムのコンセプトとか、タイトルが固まる要因になったのは、「Dreaming Man」か「Dancing Boy」だよね。

コウキ:ガッツリ話し合うことはありませんでしたが、最初は前作『NO MORE MUSIC』の続編みたいなイメージが浮かんでいて。前のアルバムの感触もすごくよかったので、それをさらに発展させるようなサウンドで。ファンキーだったり、16ビートっぽい感じというか。そういう曲から作り始めていったんですけど、しばらくしてみんなで演奏を詰める段階にいったら、自然とそういう曲たちが削ぎ落とされていったんです。逆に、もっとシンプルで、プリミティヴなロックばかりが残っていって。

レイジ:そう考えると、今回のアルバムの方向性を決める上でも、やっぱり「Dreaming Man」の存在が大きかったのかな。。前作では極端にギターをかき鳴らしたりするものを減らしたんですよ。もっと効果的に配置するというか。そういう方が今の時代にも合っていると思って。でも、今回は改めて「ギターをかき鳴らしてこそのロックだろ」みたいなモードに切り替わったというか。OKAMOTO’Sで10周年を迎えるなら、やっぱりこういうストレートなロックで迎えたいなって。

――前作リリース時のインタビューでも、ある程度は時代性や時流を読んで制作されているとおっしゃっていました。ただ、前作をリリースした2017年から現在まで、個人的な体感ではあまりトレンドや時流の目覚ましい変化は起こっていないように感じます。つまり、依然としてストレートなロック・バンドにとっては逆境とも言える環境にあるんじゃないかと。そんな中、敢えてこのようなプリミティヴなロックを鳴らす意味、意義のような部分については、どのように考えますか?

コウキ:こういう話は色々な角度からの見方があると思っていて、一概には言えないんですけど、個人的にはこれからこういうプリミティヴなサウンドに回帰していく流れがくるんじゃないかなと、若干感じている部分もあります。それかもっと洗練されていくか。二極化していくのかな。

ショウ:まだ先かもしれないですけど、こういう今の雰囲気をぶっ壊してくれるようなサウンドが求められるようになると思うんですよ。あと、確かに前作から時流やトレンドをもっと意識したいって思い始めていましたが、その「時流やトレンドを意識する」ということをもう一回自分の中で噛み砕いてみて。その結果、それって「この時代を生きている自分の気持ちを素直に出す」ということなんじゃないかなと、最近になって思いました。今回のアルバムの「お洒落な音楽をぶち壊す」ような、エネルギッシュなサウンドはそういうところに起因していると思います。もちろん、全曲がそういうわけでもありませんが。

――アルバムのコンセプトの根幹にもなったという「Dreaming Man」には、昨今の社会というかシーンについての言及も見られます。

ショウ:シーンへの不満というわけでもなく、事実として、今こういうシーンの中でおれたちは活動しているわけで。音楽に限らずファッションでも何でも、モノを作って発表するということがインターネットの発達、浸透によって大きく変わってきている。もちろん、そんな状況において不満がないわけでもないですが、否定はしたくない。おれたちはこのシーンにおける楽しみ方、使い方は心得てるんだぜ、ということを歌った曲ですね。「昔はよかった」じゃなくて、「今が一番いいぜ」っていう。ここから、今までにはなかったような新しいモノを作ってやるぜという気概。そういう意味で、「夢見ている」と歌っているんです。

――なるほど。サウンド面でいうと、「Higher」「NOTHING」など、ダブ的な要素が感じられる楽曲も新鮮でした。これも制作している中で自然と出てきた要素のひとつなのでしょうか?

ハマ:いわゆるそういうダブっぽい要素というのは、ライブでカバー曲を披露する時に取り入れることはあったのですが、楽曲としてはまだなかったよねという話しになり。「NOTHING」に関してはデモの段階からああいう感じでした。「ちょっとこういうのやってみようか」っていう、単純な好奇心というか。ああいう曲は、演奏しているこっちは楽しいんですけど結構単調になりがちで。それをきちんと工夫して、ポップな一曲として上手くまとめることができたと思っています。

――一方で、「偶然」などはいわゆる渋谷系的な雰囲気も感じさせる、都会的で洗練された楽曲となっています。プリミティヴなロックが印象的な本作においては、上手くスパイスとして機能しているというか。

コウキ:「偶然」は、さっき話した前作からの延長線上、発展形にあたる曲という意味では、たぶん今作で唯一採用された曲になると思います。

ショウ:圧倒的にメロディがよかった。

コウキ:この曲はCHOKKAKUさんというジャニーズや真心ブラザーズの「ENDLESS SUMMER NUDE」なども手がけている方にアレンジをお願いして。ガチガチに入り組んだアレンジにしてもらったんですけど、それもすごく上手くいったなと思います。

――「Animals」のビートは打ち込みですよね? この楽曲もとても新鮮な印象でした。

レイジ:あの曲も、かなり変な作り方をしていて。最初にコウキが持ってきたデモのリミックスみたいなトラックをおれが作って。そのインスト版をショウに送ってメロディを乗っけてもらったんです。そこからコウキのデモのメロディと、ショウが作ったメロディのいいとこ取りをする形で完成させた楽曲ですね。こんな変わった作り方をしたのは今回が初です。

――アルバムのラストを飾る「Dancing Boys」には、前作でも「BROTHER」を手がけていたLOVE PSYCHEDELICOのNAOKIさんが編曲に加わっています。彼が加わったことによって、楽曲はどのように変化していきましたか?

ショウ:この曲に関しては、NAOKIさんが5人目のメンバーと言っても過言ではないくらい、すごい深く関わってくれて。NAOKIさんが入ってくれたおかげで、ものすごく大きく変化しました。

ハマ:デモの段階でもすごい手応えを感じていた曲でしたが、それをそのまま録るという選択肢もある中で、10周年に相応しい作品にするということを考えた時に、自分たちだけでは辿り着けないような楽曲にしたいなと思い、NAOKIさんにオファーしたんです。なので、僕らも腹を割って話し合いましたし、アレンジだったりレコーディングを含めたらあの一曲だけで丸々一ヶ月くらいかかってますね。

――では、10周年の幕開けを迎えるOKAMOTO’Sとして、今後のヴィジョンはどのように描いていますか?

ショウ:まず、デビュー時から言い続けていることですが、「世界制覇」は今でも変わらず掲げていることで。この4人だったら本気でできるとも思っています。あと、何年か前だったらもっと欧米に進出していきたいと考えていたかもしれないけど、今だったらすでに何度も行ってるアジアにもう一度アプローチするべきなのかな、とか。そういうことも考えていますね。

ハマ:あとは、そろそろ何かを牽引するような存在になりたいです。例えば、今作『BOY』に引っ張られたシーンだったり仲間のような存在ができたら嬉しいなと。もっと現実的に言うと、僕らが主体となってイベントをやってみたり。そうやってわかりやすい形でパッケージングして見せることも、今だったらカッコよくできそうだななと思います。「敢えて」と言っていいのかどうかはわかりませんが、これまではそういうことをほぼやってこなかったので。

――確かに、これまでのOKAMOTO’Sはあまり他のバンドやアーティストと群れることのない、孤高の存在のように見えていました。

レイジ:よかった、「孤独」じゃなくて(笑)。

一同:(笑)。

レイジ:単純に、同世代があまりにも周りにいなかったんですよ。もしくは、仲良くなったバンドも解散していったり。

――でも、それが少しずつ変わってきている。

ハマ:そうですね。明らかに数年前よりも居心地がよくなっているというか、楽しくなってきています。昔は「今のシーンがおもしろくない」というようなことを思っていましたし、実際にインタビューなどでも言っていたんですけど、今はそういう感じがない。

ショウ:うん、今の日本の音楽はおもしろいよね。あとは、OKAMOTO’Sとしては何といっても6月の日本武道館公演を成功させます。

レイジ:これを成功させることができなかったら、夢がなさすぎるよね。

ハマ:これで無理だったら死にます(笑)。


【リリース情報】

OKAMOTO’S 『BOY』
Release Date:2019.01.09 (Wed.)
初回生産限定盤(CD+DVD):BVCL-951~952 ¥3,800 + Tax
通常盤(CD):BVCL-953 ¥3,300 + Tax
完全生産限定アナログ盤(12インチ) BVJL-30 ¥4,500 + Tax
Tracklist:
1. Dreaming Man
2. Hole
3. FOOL
4. Higher
5. ART(FCO2811)
6. 偶然
7. NOTHING
8. Animals
9. DOOR
10. Dancing Boy

『BOY』特設サイト


【イベント情報】

OKAMOTO’S 10th ANNIVERSARY LIVE TOUR 2019 “BOY”

日時:2019年4月6日(土) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:神奈川・横浜BAY HALL

日時:2019年4月13日(土) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:静岡・浜松窓枠

日時:2019年4月14日(日) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:三重・松阪M’AXA

日時:2019年4月20日(土) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:長野・長野CLUB JUNK BOX

日時:2019年4月21日(日) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:石川・金沢EIGHT HALL

日時:2019年5月16日(木) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:青森・青森Quarter

日時:2019年5月18(土)、19日(日) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:北海道・札幌PENNY LANE 24

日時:2019年5月23日(木) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:京都・京都磔磔

日時:2019年5月25日(土) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:香川・高松MONSTER

日時:2019年5月26日(日) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:滋賀・滋賀U☆STONE

日時:2019年6月1日(土) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:広島・広島CLUB QUATTRO

日時:2019年6月2日(日) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:鳥取・米子AZTiC laughs

日時:2019年6月8日(土) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:群馬・高崎club FLEEZ

日時:2019年6月9日(日) OPEN 17:30 / START 18:00
会場:宮城・仙台RENSA

日時:2019年6月13日(木) OPEN 18:30 / START 19:00
会場:鹿児島・鹿児島CAPARVO HALL

日時:2019年6月15日(土) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:福岡・福岡DRUM LOGOS

日時:2019年6月16日(日) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:熊本・熊本B.9 V1

日時:2019年6月22日(土) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:愛知・名古屋DIAMOND HALL

日時:2019年6月23日(日) OPEN 17:15 / START 18:00
会場:大阪・なんばHatch

・チケット

前売り ¥4,320(1D代別途)

オフィシャルHP先行受付期間:1月8日(火)12:00~1月15日(火)23:59
https://pia.jp/v/okamotos-lht19s/

一般発売:2月16日(土)

※なんばHatch公演のみ、2F指定席販売有 ¥4,620(1D代別途)
※お1人様1公演につき4枚まで(複数公演お申し込み可)

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OKAMOTO’S 10th ANNIVERSARY LIVE “LAST BOY”
日時:2019年6月27日(木) OPEN 18:00 / START 19:00
会場:東京・日本武道館
出演:
OKAMOTO’S

・チケット

前売り ¥5,400

オフィシャルHP先行受付期間:1月8日(火)12:00 ~ 1月15日(火)23:59
https://pia.jp/v/okamotos-lht19s/

※お1人様1公演につき4枚まで

一般発売:4月6日(土)

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OKAMOTO’S 10周年記念特別公演 ~ハマ・オカモト”に”大感謝祭!~
日時:2019年3月12日(火) OPEN 18:15 / START 19:00
会場:大阪・なんばHatch
料金:1Fスタンディング ¥4,320 / 2F指定 ¥4,620

一般発売日:2019年1月8日(火)

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「出張!オカモトーーーク & あなたのスマホで!?KASHA!!写!」in大阪
日時:2019年1月13日(日) 19:00
会場:タワーレコード梅田NU茶屋町店
内容:トーク&撮影会 ※ライブ_パフォーマンスはありません。

お問い合わせ:タワーレコード梅田NU茶屋町店: 06-6373-2951

イベント参加方法、注意点など詳細

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「出張!オカモトーーーク & あなたのスマホで!?KASHA!!写!」in東京
日時:2019年1月14日(月) 15:00
会場:タワーレコード新宿店 7Fイベント・スペース
内容:トーク&撮影会 ※ライブ・パフォーマンスはありません。

お問い合わせ:タワーレコード新宿店 03-5360-7811

イベント参加方法、注意点など詳細

OKAMOTO’S オフィシャル・サイト


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