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INTERVIEW | ニシ ナオキ


移りゆく町の景色を記録する── 初のEPで目指した「今を生きるシティポップ」

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2026.09.24

東京都清澄白河出身、2001年生まれのシンガーソングライター。ニシ ナオキは変わりゆく町の風景、その侘び寂びを詩情を込めて歌うシンガーだ。80年代の歌謡曲やシティポップを継承し、そこにフォークやファンクをブレンドしながら、現代的な感性で日常のドラマにスポットを当てる。

渋谷/下北沢のライブハウスを中心に積極的にライブを行う傍ら、Billyrromのギタリスト、Rinのソロプロジェクト・aint lindyのサポートギターを務めるなど、都内を中心に精力的な活動を見せている。そんなニシ ナオキにとって初のEP『JUNCTION』が完成した。まとまった作品としては2023年11月に発表した1stミニアルバム『HEART OF THE CITY』以来およそ3年ぶり、〈sen records〉に所属してから初の作品集である。自身のバンド「ナビゲーションズ」で録音した納得の一作だ。

3月に〈sen records〉レーベルオーナーと話した際、ニシ ナオキについて「おもしろくて、誠実で、とても魅力的な人間」と聞いていたが、Geloomyの小腸もしきりに「マジで良い兄さん!」と豪語するなど、とにかく彼はナイスガイなのだ。自身を形成した文化的ルーツを皮切りに、新作『JUNCTION』の各楽曲について、そして町の景色を歌うその音楽観について語ってもらった。

Interview & Text by Ryutaro Kuroda
Photo by Ryo Sato


Prince、サカナクション、“コンピューターおばあちゃん”……ニシ ナオキのルーツと原体験

――ニシさんは清澄白河出身なんですね。友人が江東区に住んでいたので、私も学生の頃はよく東陽町や西大島に遊びに行ってました。

ニシ ナオキ:僕もめっちゃ行きます。清澄は遊ぶところがないので、大島とか錦糸町、木場あたりでよく遊んでいました。

――新作だと“枇杷の花”がそうですけど、清澄白河で見た風景を歌うことが多いんですか?

ニシ ナオキ:町からインスピレーションを受けることは多いです。清澄白河は都会と自然が両方あって、自然と人情みたいなものが上手い具合に合わさっている。地元には川があるんですけど、ちょっと見上げると日本橋の高層ビル群が見えたり、スカイツリーが見えたり、(都会と自然が)織り交ざっているところがおもしろいです。

――音楽が根付いている町だと思いますか?

ニシ ナオキ:いや、音楽は根付いてないと思います。昔ながらのお祭りとかは残っているんですけど、ポップミュージックはあんまり感じないですね。

――じゃあご自身にとって一番古い音楽の記憶と、一番影響を受けた音楽をそれぞれ挙げるとしたら?

ニシ ナオキ:母親が僕の音楽の先生でした。自然が好きで、山とかに遊びに行くことが多かったんですけど、車の中でEarth, Wind & Fireが流れていたり。ブラックミュージックはそこから好きになりました。あとは学校の給食の時間に音楽が流れていて、そのときにかかっていた“コンピューターおばあちゃん”(※1)やサカナクションを聴いて、「音楽ヤバい!」って思ったのが最初ですね。

家ではずっと音楽が流れていて、母親は結構幅が広くてハードロックもメタルも聴いていたから、一時期はMr. Bigにハマったり。自分の兄貴はそっち系が大好きでしたね。

※1:NHKの『みんなのうた』から生まれた、坂本龍一が編曲/プロデュースを手がけたテクノポップ調の人気曲。

――一番衝撃を受けた音楽は?

ニシ ナオキ:Princeです。最初は全然理解できなかったんですけど、“Sign ‘O’ the Times”という曲をご飯食べてるときに聴いたら、もうバコーン!って撃ち抜かれて。そっからはずぶずぶにハマりました。それが中学生のときですね。自分の中のルーツが全部混ざったような感じで、本当に衝撃的でした。

――ブラックミュージックがルーツにある中、日本の歌謡曲やシティポップはどんな風に聴いていったんですか。

ニシ ナオキ:自分で音楽をやるなら、絶対に日本語で歌いたいと思っていたんです。それで日本語の曲を調べていって、南佳孝さんや松本隆さんの歌詞を見てすごいなって思いました。さらに掘っていって、はっぴいえんどや山下達郎さんにもハマった感じですね。どうやったら日本人に上手く伝えられるのかって考えたら、このスタイルが最適解なんじゃないかと思いました。

――最初に持った楽器はギターですか?

ニシ ナオキ:ギターです。弾いたきっかけはサカナクションでした。最初はアコースティックギターでずっとコピーをしていて、サカナクションの曲は全部弾けるぐらいになりましたね。

――サカナクションで一番好きな曲は?

ニシ ナオキ:ちょっとスカして答えると、“潮”です。ライブDVDを観たときにすごく衝撃を受けたのを覚えています。でも、一番聴いてる曲はたぶん“ナイロンの糸”ですね(笑)。


渋谷LUSHでの出会い、ナビゲーションズ結成

――ちなみに、今日の洋服は全て普段着なんですよね?

ニシ ナオキ:そうです。衣装じゃなくて、これが素です。

――ファッションを含めて、自分のスタイルを確立したのはいつ頃ですか?

ニシ ナオキ:中学のときから服に対しての美意識は他の人より強かった気がします。中学のときから私服でジャケットを着てたり。でも、それはシティポップなどの影響ではなくて、(サカナクションの)山口さんがそういう服を着てたから。ほとんど真似していた感じでした(笑)。

――本格的に音楽活動を始めたのは?

ニシ ナオキ:大学の2年生ぐらいです。その前にスケートボードにハマった時期もあったんですけど、怪我をして何もできなくなってしまって。そのときに改めてギターを触ってみたら「やべえ!」ってなって、本気で音楽をやってみようって思いました。そこから自分でオリジナル曲を作ったり、ライブハウスに出たりするようになり…。

――スケボーは今のスタイルとはちょっと違いますね。

ニシ ナオキ:そうですね。その時期は90年代辺りのアメリカに影響を受けていて。服も〈Dickies〉とか〈Vans〉とかで、音楽もWill Smithとかを聴いてましたね。好きになるととことんハマるタイプなので、そのときは結構ストリートな感じでした。

――最初に音源を発表したのは2023年の春頃で、その年の末にはミニアルバム(『HEART OF THE CITY』)をリリースしていますね。その時点で描いてたビジョンはありますか?

ニシ ナオキ:シンガーソングライターとして、とにかくたくさんライブをしていた時期があるんですけど、共演する人たちと音楽性が全然違ったんですよね。上手く言えないけど、いわゆる「シンガーソングライター」として一括りにされていて、ずっと「何か違うな」と感じていました。

それこそ、僕はみんながカラオケで歌うような曲も全然歌えなかったし、たぶんそういう方たちとは聴いてきた音楽が全然違っていた。アコギで高らかに歌うような感じとか、僕はやりたくてもできないし。だったら自分のルーツに素直な音楽をやるべきだなと考えるようになりました。

――自身のバンドを「ナビゲーションズ」と呼んでいますね。いわずもがな、これはPrince & the Revolutionのオマージュですよね。

ニシ ナオキ:はい、そうです(笑)。

――メンバーはどういう人たちなんですか?

ニシ ナオキ:自分よりももっとブラックミュージック寄りですね。ベースのMorrincyはQuincy JonesとかMichel Jacksonが大好きで、あとはFrank Zappaとかも詳しいです。ギターのシノハラヤス氏はJoão Gilbertoだったり、結構ラテンとかボッサも詳しい。で、キーボードのタカナシコウタ(YAKA)は若干現代寄りというか、テクノとかも好きで。ドラムの田口源一郎はKool & the Gangなどファンクに傾倒しています。

――どういう風に出会い、バンドとして固まっていったんですか。

ニシ ナオキ:高校の友だちが渋谷LUSHというライブハウスで働いていて、僕がまだシンガーソングライターとして活動していたときに、初めてバンドとの対バンを組んでくれたんです。そこで衝撃を食らって、「やべえ、このままじゃヤバい」と思って、そこからLUSHに週5ぐらいで遊びに行くようになったんです(笑)。そこでどんどん話しかけて、仲間を集めていった感じです。

――BillyrromやDoona、luvなど、最近頭角を表してきたバンドはこぞってLUSHの名前を挙げている気がします。

ニシ ナオキ:やっぱLUSHなんですよね。ちなみに、Doonaのゲンちゃん(Genki)は高校が一緒なんです。(年齢は)1個下だけど部活も一緒だったから仲良くて。LUSHは結構ブラックミュージック寄りのバンドが出演していて、Billyrromのみんなや〈sen records〉のサンウさんともそこで出会ったので、LUSHがなかったら今ここにはいないですね。


「自分が生きてるこの時代のシティポップを作りたい」

――ニシさんの活動に話を戻すと、2023年に複数の楽曲を発表しましたが、2024年はリリースがないんですよね。2025年の後半まで空きますが、その期間はどのように過ごしていたのでしょうか。

ニシ ナオキ:新卒で就職して、千葉に住んでいたんですよ。その期間は曲をリリースできる感じじゃなかったし、バンドも組んだばかりだったので、ライブの修行期間みたいな感じでしたね。働きながら月3ぐらいでライブして、千葉と東京を車で行き来しまくるみたいな感じ。稼いだお金は全部音楽活動にぶち込んでました。

――ちなみに以前はYouTubeでカバー動画を挙げていたと思うんですけど、最近はあまりやってないですね。

ニシ ナオキ:以前は竹内まりやさんとか、ORIGINAL LOVEなどの曲を歌っていたんですけど、「ああ、シティポップね」と言われることが増えそうだなって思ったんですよね。自分はシティポップに憧れるだけのミュージシャンにはなりたくないんです。自分が生きてるこの時代のシティポップを作りたい。確かに影響受けてるところはいっぱいあるし、カバーするのもすごく楽しいんですけど、まずは自分の曲をやろうという感じですね。

――こういう音楽をやってると、「80年代のあれだよね」とか言われがちになると。

ニシ ナオキ:そうなんですよ。それがちょっと悔しいのもあるし、そういうサウンドを鳴らしながら、自分は今の日本の曲を歌うよっていう、最初からそういうイメージで活動してきたので。《スマホ》とか《DM》とか、歌詞で昔にはなかった言葉を使うのはそういうことを意識しているからで。今を生きている人に伝わりやすい音楽になればいいなと思っています。

――新作の『JUNCTION』がリリースされます。タイトルは交差点という意味ですが、これは過去と現代を繋ぐようなイメージなのでしょうか。

ニシ ナオキ:実家の近くにでっかいジャンクションがあって、首都高とかそういうのを見てカッコいいなと思って育ってきたんですよね。それは自分の町のストーリーにも繋がるし、車も超好きだったんで、パッと出てきた言葉でした。

――制作する上で、音楽的に意識していたことはありますか。

ニシ ナオキ:前のミニアルバムは結構歌謡というか、のっぺり歌ってる部分があったので、今作ではリズムよく、誰が聴いてもノレるような曲を作るってことを意識していました。あと、前は全部打ち込みで作ったんですけど、今回は初めてバンドでレコーディングしていて。やっと自分が納得できる作品ができました。

――“マーマレードバケーション”のMVでは思いっきりビンタされてましたけど。

ニシ ナオキ:はい(笑)。

――“枇杷の花”も別れを歌った曲だと思います。失恋や悲恋の方が曲のモチーフになることが多いんですか?

ニシ ナオキ:ちょっと弱い男を歌いがちなのは自分でも気づいていて。たぶん、そういう性格なんでしょうね。あんまりオラオラいけないんで、やっぱ女性に寄り添うというか。そういう歌詞になってしまうところはあります。

――“マーマレードバケーション”はブリージンな雰囲気もあるポップソングですね。

ニシ ナオキ:自分は性格が暗めなので、楽曲では明るくいたいというか。あとはシンプルに言葉の響きが気に入ったんです。

――ノスタルジックな夏を描いていますね。

ニシ ナオキ:今ちょうどハマってるのがそっち寄りの感じです。大瀧詠一さんとか山下達郎さんみたいな感じではなく、南佳孝さんや永井博さんの絵みたいな、ちょっと物寂しげな感じ。それが今の自分には合ってるのかなと。“マーマレードバケーション”はそういう夏を表現したかった楽曲ですね。

――“枇杷の花”は演奏がエモーショナルで、フォークロック的なものも感じました。

ニシ ナオキ:スケボーで怪我したとき、何をするでもなく川によく行っていたんです。“枇杷の花”は、そのときに見た景色をそのまま歌にした感じです。全部フィクションなんですけど、ここにもし誰かがいて、花が咲いたら……とか想像しながら作りました。だから、実際の場所に紐づいている楽曲です。


「直接会って話すこと」――承認欲求が蔓延る現代社会への抵抗

――“ウーロン”はボサノバやジャズ風味の楽曲になっていますね。

ニシ ナオキ:この曲を作ったとき、『どうぶつの森』(『あつまれ どうぶつの森』)にハマってたんですけど(笑)、とたけけの弾いてた曲のコード進行を調べたら、めちゃくちゃよくて。それを少しアレンジしつつ作っていきました。それと、詩集にハマっていた時期だったので、いろんな方の詩を読んで、歌詞はちょっと不思議な雰囲気にしてみました。

――好きな詩人はいますか?

ニシ ナオキ:ベタですけど、一番は俵万智さんです。『サラダ記念日』にはめっちゃ影響を受けてます。

――全体的に心地良い曲なんですけど、《沢山のいいねがついて 喜んでいましたね だけれども 本当に必要なものはそれなのかい》というラインにはドキッとしました。

ニシ ナオキ:自分もそうなんですけど、周りの人とかを見ていても、そういうことをいちいち気にしちゃうというか。今の時代、あちこちに承認欲求が蔓延っているけど、そういうのはやっぱり嫌で。それこそスマートフォンとかもあんまり自分は好きではないので、そういった意味を込めて作ったところはありますね。

――では、この時代、何が本当に大切なものだと思いますか。

ニシ ナオキ:そうですね……。とりあえず、直接会って話すこと。やっぱりそれが一番早いし、めんどくさくない。無理して誰かに会うってこともひとつの手なのかなと思います。

――制作面でも打ち込みからバンドサウンドに移行していますし、6曲とも実際の風景が浮かんでくるような作風になっていますね。

ニシ ナオキ:リアルであること。登場人物がいて、ドラマみたいに情景が浮かび上がる曲というのは結構意識しています。というのも、自分の好きなアーティストがそうだったんですよね。曲を聴いていると景色が浮かんでくるし、自分の生活もこうだったら素敵だなと思えたので。僕の曲を聴いてくれた人にもそう思ってほしい。だから、そういう作風になったんだと思います。

――ラスト3曲は踊れるリズムがありますね。“都心”は本作では最も80’s感があって、煌びやかなシンセとギターが映える。なんというか、ネオンが浮かんでくるような楽曲です。

ニシ ナオキ:夜って感じですよね(笑)。“都心”は“枇杷の花”と同じ時期に作りました。車で首都高を走るのがすごく好きだったので、それを歌にしたいっていうのがまずあって。タイトルは「都会」や「東京」だとしっくりこなくて。なんか他にあるかなと考えて「都心」にたどり着きました。男女がドライブをしている1時間の物語で、男性が女性にただ愛を伝えるという曲です。“プラスティック・ラヴ”のMVのようなイメージもありましたね。

――ニシさんにとって「都心」はどういうイメージですか。清澄白河は都心だと思いますか?

ニシ ナオキ:都心のちょっと外れぐらいのイメージですね。都心というとちょっと暗めの東京のイメージがあって、繁華街ではないし、渋谷とかでもない。大人が働く場所――例えば大手町とかのイメージです。

――なるほど。そしてそういうイメージにはこういう曲調が合うと。

ニシ ナオキ:そうですね。実は全曲弾き語りで作っていて、“都心”も元はフォークみたいな感じだったんですけど、ナビゲーションズのみんなで肉付けしていく内に変化していきました。“マーマレードバケーション”と“Jealousy”以外は全部ライブでやっているんですけど、“都心”は特にライブを重ねていく中でどんどんブラッシュアップされていった曲です。


子供時代に見ていた風景を、音楽として記録する

――そして“Jealousy”ですけど、これはワイルドなディスコファンクですね。個人的にすごく好きです。

ニシ ナオキ:嬉しいです。これはPrinceの初期みたいな、ただただミネアポリスファンク(※2)をやりたかった曲です。まだPrinceの小指の爪のカスにも及ばないんですけど、自分でもできるんじゃないかなと思って作ってみました。あと、ちょうどそのときドラムマシーンを買ったので、それもインスピレーションになりましたね。The TimeとかSheila E.の感じは今後も続けてやっていきたいです。

あと……歌詞については、ちょっと怖い感じにしたかったんですよ。

※2:Princeが築き上げ、1970年代後半から1980年代にかけて米ミネソタ州ミネアポリスから世界へ広がった、エレクトロニックなファンクミュージック。

――確かに、恋にのめり込み過ぎてる感じがありますね。

ニシ ナオキ:そうです。決して綺麗な恋愛じゃない。それはサウンドも相まってだと思うんですけど。僕は他のアーティストに対してなど、ジェラシーをよく感じてしまうタイプで、それを歌にしたいと思ったんです。でも、そのまま表現するのはちょっとナンセンスだと思ったので、恋愛に置き換えてみようと。みんなに嫉妬した経験を聞きまくって、歌詞を書きました。

――《お前の事を壊したい》と歌っていますが、これは要するに、不器用な登場人物なりのアイラブユーですよね。

ニシ ナオキ:まさしくそうです。

――“都心”の《愛は片道一車線のドライブ》もそうですが、ニシさんのこういう表現がいいですよね。ご自身の言語感覚はどこで養われたと思いますか?

ニシ ナオキ:本かなぁ……。いや、やっぱりそれも町からなのかもしれないです。結構大人と関わる機会も多かったし、下町なので「お前!」とか「この野郎!」とか口調が荒いんですよ(笑)。僕の言葉はそういうところに影響されているのかもしれないです。恥ずかしいからストレートに「アイラブユー」とは言えない。ちょっとキザな感じとか。

――6曲目の“ただ抱きしめて”は、80年代の歌謡曲やシティポップのイメージがぴったりハマる曲です。

ニシ ナオキ:まさにそんな感じの曲で、サビのメロディが最初に出てきました。(曲を作るときには)グラフみたいなものがあって、色はピンクで、刑事ドラマで、どんな登場人物がいて……みたいなことを考えながら構成して、そこに日々溜め込んでいる言葉を当てはめていくような感じで曲が完成していくんですけど。

“ただ抱きしめて”は刑事ドラマをイメージして、夕日をバックに港で犯人を追い詰めるみたいな情景を想像していました。サウンド面では自分の好きなシンセサイザーの音を多用しています。あと、この曲はドラムも打ち込みですね。

――全体的にノスタルジックな風景が浮かんでくる曲が多いですけど、それはご自身の創作においてどういうものが表れていると思いますか。

ニシ ナオキ:また町の話になるんですけど、東京って移り変わりが激しくて、当時自分が見ていた景色と今見てる景色が全然違うんですよね。僕は自分の子供時代に見ていた風景を曲に落とし込みたいという気持ちが強くて。駄菓子屋だったのに駐車場になってしまったり、古い家がなくなってマンションが建ったりとか。昔の風景を忘れてしまうのはすごく悲しいことだと思うし、そういうのを記録していくことって大事なことなんじゃないかなと思うんです。

――確かに清澄白河も、この10数年でめちゃくちゃ変わりましたよね。

ニシ ナオキ:すごく綺麗になりました。神社とかはまだあるんですけど、おもちゃ屋さんとか昔ながらのお店とか、商店街自体がなくなってしまったり。そういう景色を見ていると、やっぱりどこか悲しい気持ちになりますね。

――でも、音楽は残りますからね。

ニシ ナオキ:間違いない。自分が在りし日の景色を感じたいから、こういう曲を書いているのかもしれないです。

――10月には『年刊タイムスリップ』と題したリリースパーティが控えています。

ニシ ナオキ:それこそジャンクションな感じです。「昭和・平成・令和」みたいなイメージ、いろんな要素が混じり合う日にしたいなと。ぜひ遊びに来てもらって、いつもと違う非日常感を味わってほしいです。

――共演の2組ともニシさんがオファーしたんですか。

ニシ ナオキ:そうです。QPLOとはライブハウスで出会って、アマイワナさんは彼女がMCをやられている『カタマリ』TV番組に呼んでいただいたがあるんです。これからは、どんどんこういうカルチャーを広めていく仲間を作りたいですね。

――QPLOもアマイワナもすごく世界観のあるミュージシャンですよね。

ニシ ナオキ:確かに、みんなバチバチですね(笑)。(QPLOの)Someyaさんには、どうやったらそんな綺麗な髪のキューティクルを出せるのか気になりますし、車好きなので、いろいろとお話してみたいですね。

――(笑)。この先どういうシンガーソングライターになりたいですか?

ニシ ナオキ:誰かの青春になれればいいなと思っています。「学生の頃、ニシ ナオキのあの曲をめっちゃ聴いてた」とか、「あのときライブに行って、めちゃくちゃ踊ってた」とか、そういう思い出になれたら嬉しいです。ベテランアーティストのライブに行くと、60〜70代ぐらいの方がめっちゃ踊ってたりするじゃないですか。僕もそういうアーティストになりたいですね。


【リリース情報】


ニシ ナオキ『JUNCTION』
Release Date:2026.09.23 (Wed.)
Label:sen records
Tracklist:
01. マーマレードバケーション
02. 枇杷の花
03. ウーロン
04. 都心
05. Jealousy
06. ただ抱きしめて

■配信リンク


【イベント情報】


『年刊 タイムスリップ』
日時:2026年10月30日(金)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京・下北沢 BASEMENTBAR
出演:
[LIVE]
ニシ ナオキ
アマイワナ
QPLO

[DJ]
純子
Shotaro

■ニシ ナオキ:Instagram / X


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