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INTERVIEW / Last Dinosaurs


Last Dinosaursが語る、盟友・OKAMOTO'Sへのシンパシーと日本への思い

2022.10.27

オーストラリア出身の3人組バンド、Last Dinosaursが盟友・OKAMOTO’Sのツアーに帯同する形で久方ぶりの来日公演を開催した。

Last DinosaursはLachlan(Gt.)とSean(Vo. / Gt.)によるCaskey兄弟、そしてMichael Sloane(Ba.)からなる3人組。すでに10年以上のキャリアがあり、これまでに3枚のアルバムをリリースし、世界各地をツアーで駆け回るタフなバンドだ。

11月には4thアルバム『From Mexico with Love』のリリースを控えるタイミングで来日が叶った今回、メンバー3人にインタビューを敢行。日本と繋がりの深いメンバーのバックボーンを中心に話を訊いた。

Interview & Text by Takazumi Hosaka
Interpretation by 渡瀬ひとみ
Photo by YOUNGMYUNG“SONG”


「大事なのは人間性」――OKAMOTO’Sとの共鳴

――久しぶりの日本でのライブだと思いますが、いかがでしたか?

Sean:よかったよ。前回とは全然違う感じで興味深かった。前回の来日では僕はギターを壊すくらいエネルギッシュなライブになったんだけど、今回はクリーンな感じだった。

Lachlan:アメリカやメキシコでのちょっとダーティなライブとは全く雰囲気の異なる、フォーマルな感じのライブだった。

――それはやはり感染症対策に関するレギュレーションなどが大きく影響していると思います。日本のミュージシャンからも「やりづらい」という声をよく聞きます。

Lachlan:昨日、(オカモト)ショウと話してたんだけど、他の国でもそういった状況を体験してきたので、こればかりはしょうがないよね。

Sean:確かにみんなマスクをしていて、表情が見えないんだけど、演奏しているとみんなが笑顔になっているのが伝わってくるんだ。それはすごくモチベーションに繋がる。

――OKAMOTO’Sとあなたたちは音楽性は大きく異なりますが、アメリカ・ツアー、そして今回の日本ツアーを共に回るなど、親交を深めています。彼らの魅力、シンパシーを感じる点などを教えて下さい。

Sean:Lachlanとショウがコラボしたのがきっかけで交流が始まったんだけど、結局音楽性とかはあまり関係なくて、大事なのは人間性なんだ。

Michael:ちょっとした言葉の壁はあるけど、彼らはみんな気さくでラブリーだよ。

Lachlan:アメリカ・ツアーでは僕らのショウにOKAMOTO’Sが参加してくれた形なんだけど、僕らのオーディエンスの前でOKAMOTO’Sが演奏していて、2つの世界が繋がったような不思議な感覚になった。

Sean:OKAMOTO’Sのみんなもオーディエンスも最高だったね。メンバーの(オカモト)レイジは名前の通り“RAGE(激しい、猛烈、などの意味)”だったし(笑)。

――先ほども話に挙がりましたが、Lachlanとオカモトショウさんのコラボはどういった経緯だったのでしょうか。

Lachlan:2019年にNYのWebster Hallという場所でライブをしたときに、Sony Musicのスタッフに紹介してもらったんだ。ただ、その後僕はメキシコに拠点を移したので、ショウとはリモートでやり取りを重ねて、「Slider」を完成させた。さっきの話にも繋がるけど、もし似たような音楽性だったら、あまりおもしろいコラボレーションにはならなかったんじゃないかな。それぞれ音楽的なアイデンティティが違うからこそ、刺激的なコラボになったんだと思う。

10月2日(日) 東京 豊洲PIT公演より


日本をルーツに持つSeanとLachlanの生い立ち

――SeanとLachlanはオーストラリアと日本をルーツに持っていることが知られていますが、どのような幼少期を送ったのでしょうか。

Sean:オーストラリアで生まれ育ったから、多くのオーストラリア人と同じような幼少期を送ったと思う。ただ、僕らの地元は小さな田舎町で、その町にはアジア系の人は僕らしかいなかったから、どことなく居心地の悪さを感じるときもあった。町中でちょっと絡まれたりね。逆に学校は大きくて色々な文化背景の人がいたから、そこでは何も問題なかった。

Lachlan:母が日本人なので、家の中では日本語でも会話していたし、小さい頃から親戚を訪ねて日本によく来て、日本食も食べていた。だから、気づかないうちに日本のカルチャーも吸収していたと思う。僕らも少し日本語を喋れるんだよ。……お父さんは日本語の先生です(日本語で)。

――Michaelは2人とは小さい頃からの友人なんですか?

Michael:僕とSeanは高校で出会ったんだ。それでSeanの家に遊びに行ったときにLachlanと初めて話したんだけど、彼はすごく大人びていて。当時はまだ10歳くらいだったと思うんだけど、大学生なの? って思うくらいクレバーだった(笑)。

Sean:好きな音楽の話で盛り上がったり、その頃からなんとなく3人がバンドを組む道筋が見えてたんだと思う。

――ちなみに、今回のツアーで販売していたマーチャンダイズも『AKIRA』を彷彿とさせるデザインでしたね。ああいった日本のアニメも、小さい頃から親しんできたのでしょうか。

Lachlan:AKIRAとかジブリは小さい頃から好きだった。オーストラリアではドラゴンボールやデジモン、遊戯王といった有名な作品は普通にTVで放送されていて。

Sean:日本のアニメ・カルチャーって本当に独自の美的感覚があると思っていて。とくに近年のインターネット・カルチャーとは親和性が高いよね。すごくクールな存在として捉えられていると思う。

Sean Caskey(Vo. / Gt.)
Lachlan Caskey(Gt.)
Michael Sloane(Ba.)

シティポップからの影響も取り込んだ新作

――11月には4作目となるニュー・アルバム『From Mexico with Love』がリリースされます。Instagramのポストによると、昨年8月には完成していたようですね。

Sean:一番の理由はCOVID-19の影響。今の時代はアルバムをリリースして、ツアーを回るっていうのがとても大事なんだけど、去年の段階ではそれが難しそうだった。それで最適なタイミングを探っていたら、結果として今年の11月になってしまったんだ。

Lachlan:いきなりアルバムを出すんじゃなくて、シングルをリリースしてMVを公開して、それぞれの楽曲をより深く楽しんでもらいたいからっていうのも理由のひとつだね。

Sean:間違いない。最近はアルバム単位で音楽を楽しむ人も減っているようだし、先にシングル・カットするのは重要だよね。プレイリストにピックされることで、新しいリスナーも獲得できるかもしれないし。

――前作と同様にセルフ・プロデュースで制作されたそうですね。このやり方が自分たちには合っていると感じたのでしょうか。

Sean:それもあるし、バジェットの問題でもある(笑)。

Michael:2ndアルバム『Wellness』(2015年)はちゃんとしたプロデューサーを起用して、いわゆるオーソドックスな作り方をしたんだけど、ちょっとしっくりこない部分もあって。前作は半分は自分たちで作りつつ、もう半分は外部の人に協力してもらいながら作ったんだけど、やっぱり3人だけで作った音の方が満足できるんだよね。僕らのサウンドはユニークだから、外部の人が関与しない純粋な状態でアウトプットした方がいい。結果として、セルフ・プロデュースになってからリスナーからの反響もいいんだ。

――ちょっと話がズレますが、前作『Yumeno Garden』はタイトルやアートワークに日本的要素が散りばめられています。当時考えていたコンセプトというのは?

Lachlan:『Yumeno Garden』の楽曲の半分くらいは九州の有田(佐賀県)という町で書いたんだ。あと、アートワークはブリスベン出身のアーティスト、Em Niwaに描いてもらったんだけど、Niwaは日本語で「庭」になるよね。あと、全体的にドリーミーなアルバムになったから、『Yumeno Garden』というタイトルにしたんだ。シティポップ的な作品を目指していたこともあって、アートワークにも日本のテイストを取り入れることにして。しかも日本庭園風の絵なのに、サボテンが生えていたりと、色々なカルチャーや世界がミックスされていて。自分たちを象徴する作品だなと感じた。

Sean:空想の場所なんだよね。僕らの夢が詰まっているというか。

――なるほど。今、「シティポップ」という言葉がでましたが、新作にも日本のシティポップにインスパイアされたという楽曲「Put Up With The Weather!」が収録されています。シティポップにはどのように出会ったのでしょうか?

Lachlan:たぶん最初に耳にしたのは、以前ドラマーとしてサポートしてくれていたメンバーに教えてもらったことがきっかけかな。でも、今は世界中で流行っているよね。アニメと一緒で日本独自のカルチャーとして確率されていると思う。

Sean:シティポップって一聴するとキャッチーでポップなんだけど、聴き込むと色々な要素が入っているのがおもしろいよね。80年代にこんな複雑で高度な音楽が聴かれていたのが驚きだよ。

――まだまだお聞きしたいことはあるのですが、時間が迫ってきてしまいました。最後に、残りの日本滞在で楽しみにしていることを教えて下さい。

Lachlan:おいしい料理、スイーツをたくさん食べたい(笑)。

Sean:おばあちゃんと会うのが楽しみかな。あと、日本のリサイクル・ショップを巡るのが好きなんだ。オーストラリアでは本当にジャンクな物しか売ってないんだけど、日本のリサイクル・ショップはギターや洋服、靴まで、状態のいいものがいっぱい売っていて。見てるだけでも楽しいんだ(笑)。


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※フリマサイトなどでの転売は固く禁じます。


【リリース情報】


Last Dinosaurs 『Auto-Sabotage』
Release Date:2022.08.05 (Fri.)
Label:ASTERI ENTERTAINMENT
Tracklist:
1. Auto-Sabotage

配信リンク

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Last Dinosaurs 『Put Up With The Weather!』
Release Date:2022.09.16 (Fri.)
Label:ASTERI ENTERTAINMENT
Tracklist:
1. Put Up With The Weather!

配信リンク

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Last Dinosaurs 『From Mexico with Love』
Release Date:2022.11.04 (Fri.)
Label:ASTERI ENTERTAINMENT
Tracklist:
1. Hanson Ghost
2. Look Back
3. CDMX
4. Put Up with the Weather!
5. Auto-Sabotage
6. Note to Self
7. Can’t Afford Psychoanalysis
8. The Hating
9. Collect Call
10. When I See Pigs Fly

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Last Dinosaurs オフィシャル・サイト


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