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Interview / Låpsley


デビューアルバム『Long Way Home』が指し示す意味とは? 19歳の大型新人SSW、Låpsleyの心境に迫る!

2016.04.11

イギリスはサウスポート出身、弱冠19歳のシンガーソングライター、Låpsley(ラプスリー)。

2014年にSoundCloud上にアップした『Monday EP』が約50万回もの再生を記録し話題となり、リヴァプールで初ライブ。2回目のライブではなんと世界最大級の音楽フェスの”Glastonbury Festival”に出演という異例の経歴を持つ彼女。翌年2015年にはBBCが毎年選出するその年期待の新人アーティスト・ランキング”Sound Of 2015″にもノミネート、今年にはNMEが選ぶ”Best New Artist”にも選出されるなどUKを中心に注目を集めてきた。

数々のレーベルからの争奪戦の末、AdeleやVampire Weekendなどを擁する〈XL Recordings〉と契約した後に、The xxのミックスなども手がけたRodaidh McDonaldをプロデューサーに迎え、3月にデビュー・アルバム『Long Way Home』をリリースした。

そのように目まぐるしい変化の中で飛躍的な活躍を見せ、世界中から熱烈な注目を浴びている彼女にインタビューを敢行。
異例の経歴を持つ19歳の彼女の心境やデビュー・アルバムについて迫ってみた。

Interview by Jun Hayashi
Live Photo by Kazumichi Kokei
Other Photo by Takazumi Hosaka

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—初めての日本はいかがですか?来る前から日本へ抱いていたイメージや特別な想いなどはありましたか?

素晴らしいわね。オフの時間に原宿に行っていたんだけど、ファッションがとても興味深いわ。例えばロリータファッションとか。
高層ビルだったりの街並みもとても素敵ね。もともと地学の勉強をしているから、日本には火山だとかそういうイメージを持っていたのだけど、やっぱり実際来てみないと本当の文化などは経験できないんだなって感じたわ。

—あなたが最初に音楽に惹かれていったキッカケを教えてもらえますか?

両親がかけていた音楽を聴くという行為が自分にとって初めての経験で、それを機に音楽にのめり込んでいったわ。
お母さんはKate Bush、お父さんはJoy Divisionを良くかけていたので、まずは70〜80年代の音楽から入っていった。あとは5歳からピアノを始めてそこからいろいろ楽器を勉強していったんだけど、自分でプロデュースをするようになったのはここ2〜3年のことね。

—最初はクラシック音楽も勉強されていたそうですが、自分で今のような音楽をプロデュースするにようになる、転機となった出来事などはありますか?

中学生の14歳くらいからソング・ライティングを始めたのだけど、始めようと思って始めたというよりは、どちらかというと自分の部屋で自分の好きな音楽を模索している中で自然発生的にスタートしたって言ったほうが正しいわね。
その中で、演奏していたクラシックやよく聴いていたエレクトロ、両親がかけていた音楽など自分が影響を受けている音楽全てを混ぜ合わせて楽曲を作るようになっていったわ。

—大学進学を考えてた中での初のライブがリヴァプールで、その次がいきなり”Glastonbury Festival”という大きい舞台に出演されましたが、そういった凄まじいスピードでの環境の変化に対してどういったことを感じましたか?

いろいろ起こっている出来事の中で何が一番正しいかを考えるようになったわね。やっぱり勉強というのは好きだし、してきたことではあるんだけど、レコード契約ができるというのは他の17歳の方にはそうそうないチャンスだから。そっちを活かして大学へは戻ろうと思えばいつでも戻れる場所だと思ったので、今は音楽活動を優先することにしたの。

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—音楽活動を優先していく中で、AdeleやVampire Weekendなどが在籍する〈XL Recordings〉と契約しましたが、その決め手はどういったところにありましたか?

いくつかのレコード会社から話がきて、その全てと話をして、その内容で判断したっていうのもあるし、そのレーベルに関わっているプロデューサーやアーティストなどを全部見たとき、トータルのラインナップで〈XL Recordings〉が一番自分に合うものだと思ったの。
自分が好きなアーティストやプロデューサーが在籍しているレーベルが自分を気に入ってくれる、それが大事だってね。
あと、インディー・レーベルっていうのにこだわりがあって。メジャーだとビジネスっていう感覚で音楽を扱っているけど、自分がやっている音楽はそういうものではないから、やっぱりインディーっていう要素が重要だったの。

—本作『Long Way Home』の楽曲が生まれるまでの経緯や、苦労した点などを教えて下さい。

まず『Long Way Home』というタイトルなんだけど、実際の距離的な意味ーー音楽活動をする中で、リヴァプールやロンドン、イギリスを出て他国でのライブを行う中でのホームとの距離もあるんだけど、もう一つの意味として、例えば放課後に家に帰るまでの道のりを友達と楽しむ。その時間をなるべく長くしようとして楽しもうとする、ということも表現していて。そういったもののメタファー(隠喩)にもなっているの。
それから恋愛とかでもそれがいつか終わると分かっていながらも、あえてそれを伸ばしたりすることもあると思うんだけど、そういった意味合いも含まれているわね。
作曲についていうと、自分がピアノで作ったものが多いの。ノートに一から書きはじめることもあるんだけど、例えば何かコードを思いついたとしたら、そのあとにガッっと吐き出すように書くことのほうが多いわね。歌詞自体はすぐに出来上がるけど、音作りというのがとても大変で、キーをどう変えるとか繋ぎをどうするだとかが難しかったわ。

—この作品をリスナーにはどういう風に聴いて欲しいですか?

曲の中にはポップなものもあるから、パーティーとかで流すのも良いけど、基本的に自分が作っている時点では、2人以上の人のために作っているものではないの。だから車の中で聴いたり、旅行の移動中だとか寝室だとか、自分自身が一人になれるタイミングでエンジョイしてもらえたらなって思うわ。

—本作では気鋭のプロデューサー、Mura Masaとコラボしていますが、今後他にコラボしたいと思っているアーティストはいますか?

Kanye WestやThe Internet、Kaytoranada、Rihannaとかとコラボできたら最高よね。あとは、ジャズだったり映画音楽だったりも含めて、自分がやっている音楽とちょっと違ったスタイルをもっているアーティストとコラボできると面白いんじゃないかなって思うわ。

—アーティストとしての最終的な目標はありますか?

自分自身が不幸せになったりだとか人から何かを強要されるようになったりして、何か他の目的のために音楽活動を続けるというのは間違いだと思っているので、自分の好きなように満足できる活動を続けるというのがゴールかな。

—では、最後に明日(4/10)の日本でのライブの意気込みをお願いします。

特別な照明と、あとはシンセとかエレクトロ・ドラムだったりベース、あと、2つのマイクを用意していて、自分の本当の声と低音をミックスできたりだとか、環境的にも作品全体の世界観を表現出来る日になると思うわ。

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※近日中に、彼女の音楽的ルーツに迫るルーツコースターも公開予定!


【リリース情報】

Lapsley-Long Way Home (jake-sya)(BGJ-5010)

Lapsley『Long Way Home』
Release Date:2016.03.04
Label:XL / Hostess
Cat.No.:BGJ-5010
Price:¥2,400 + Tax
Tracklist:
1. Heartless
2. Hurt Me
3. Falling Short
4. Cliff
5. Operator (He doesn’t call me)
6. Painter
7. Tell me the truth
8. Station
9. Love Is Blind
10. Silverlake
11. Leap
12. Seven Months
13. Brownlow ※
14. 8896 ※
15. Dancing ※
16. Burn ※

※日本盤ボーナストラック
※歌詞対訳、ライナーノーツ付


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