サンフランシスコの17才、Justin Cheromiahのプロジェクト、High Sunn(ハイ・サン)。
14才から宅録を始めたという彼ですが、5月にリリースされる新EP『Hopeless Romantic』では、Naomi PunkやCraft Spellsを手がけたDylan Wallがプロデュースを務めており、一作品としてもミュージシャンとしても立派な翼を広げているようです。その中から「Polaroids」が先行公開されていますので、ご一聴下さい。
今まさに17才を生きるあなたも、ノスタルジアの中に当時の自分を思い描くあなたも、多かれ少なかれ彼の感受性に共鳴できるはずです。どうしようもなくて、情けなくて、精一杯な自分がいる。それだけで世界は完結してしまうのに、家族や友人、はたまた恋人という次元も同時に存在するなんて、最早、不可解極まりないですよね。でも、見える景色があり得ない速さで変化していくというのは、本当に羨ましい限り。
―― という感じで、まるでその甘酸っぱさに憧れたように”騙る”のはこそばゆくて仕方ありませんが、それは、新作へ大いに期待しているが故のことです。いえ、正直に言えば、羨ましくもあり辟易しているのでもあり、そしてもうその幻想を抱くべきではないと、思い込んでいるだけでしょうか……。
何はともあれ、『Hopeless Romantic』というタイトルが全てを語り、象徴していますので、私がとやかく言う必要はないですね。
ただ、”音楽に救われる”感覚がことさら強いのが青春時代である、これだけは言い添えておきます。聴く対象がヒット・チャートであろうと、インディ・サウンドであろうと、その経験はおよそ全ての人にあるはずです。私にとっての代弁者は、80年代のUKのバンド・The Smithsの系譜にあるような音楽ですが、2017年、今この瞬間のHigh Sunnも手を差し伸べてくれているように思います。角度の違うやり方で。
そして、今年2月にリリースされたアルバム『U Stole My Heart』こそ、私が次回作を待ち望む理由です。1曲目からコレですからね。
何というポップ・センスでしょう……。これを抜群と言います……。また、2曲目・7曲目にはシューゲイザー、8曲目にはエレクトロニカ、10曲目にはアンビエント・ポップやポスト・ダブステップ、最後の12曲目にはグローファイの色が感じられ、そのジャンル的混淆も見事。
ちなみに、本アルバムは、おニャン子クラブと宮崎アニメに影響を受けたとのことです。
【リリース情報】
High Sunn 『Hopeless Romantic』
Release Date:2017.05.19 (Fri.)
Label:PNKSLM Recordings
Tracklist:
1. Joy of Romance
2. Ramen Waitress
3. Holding Hands
4. Tears
5. Polaroids
6. Good Evening