新潟県妙高市LOTTE ARAI RESORTにてSpincoaster主催のリゾート音楽フェス『MIND TRAVEL』が10月16日(土)〜17日(日)にわたって開催される。
冬場は全15コースあるスキー場として、グリーン・シーズンは澄んだ空気と山並みを堪能できるプレミアムなマウンテン・リゾートと知られるLOTTE ARAI RESORT。同施設にて行われる初の音楽フェスとなる『MIND TRAVEL』では、エッジーなアーティストによるライブやDJステージはもちろん、テント・サウナやCBDが楽しめるチルアウト・エリアも展開。ラグジュアリーなホテル・ステイや温泉完備のキャンプ体験とセットで心と身体がほぐれて、“ととのう”ワンランク上のプレミアムで快適な野外フェスティバルを目指すという。
今回は主催となるSpincoaster代表・林潤とbacteria_kunの2人にインタビュー。一風変わった新フェスの立ち上げの経緯や魅力について語ってもらった。
Interview & Text by Takazumi Hosaka
――『MIND TRAVEL』開催について教えて下さい。どのようなところから構想が生まれたのでしょうか。
林:個人的な趣味で国内の色々なスキー場に行っているのですが、そのなかで今回の会場「LOTTE ARAI RESORT」を見つけました。また、元々知り合いだったbacteria_kunが「フェスをやりたい」と言っていたこともあり、ここで一緒にフェスを開催したらおもしろいんじゃないかなと思ったのがきっかけです。そこから2人の共通の趣味でもあるサウナの要素などを追加したり、“ととのう”というコンセプトが生まれてきました。
bacteria_kun:元々Spincoasterとはお仕事でご一緒したこともあって。ちょうど私がフェスティバル/イベント制作会社を退職してフリーランスになったことだったり、素晴らしい会場を見つけたこと、協力してくれる人員が集まったということが重なって、奇跡的に開催実現に至ったという流れです。運営チームに関しては7月に開催したSpincoaster主催イベント『SPIN.DISCOVERY -SPECIAL-』とほぼ同じなのですが、国内でフェスがどんどん増えていくなかで、自分たちの世代からも何かおもしろいアクションを起こしたいという気持ちもあります。
――「LOTTE ARAI RESORT」で音楽フェスが開催されるのは今回が初とのことですが、会場とはどのようなやり取りを経て開催の許可を得たのでしょうか。
林:スノボ目的で何度か通ううちに、「LOTTE ARAI RESORT」にテナントを出店している方と仲良くなって、そこからマーケティング担当の方を繋いでもらいました。いざ提案してみたところ、先方も冬季以外の集客方法については色々と考えていたようで、いい反応を頂けました。
――おふたりから見た会場の魅力というのは?
bacteria_kun:まずはシンプルにグレードの高いリゾート・ホテルだということ。ミシュランで4つ星認定されていて、4年前に全面リニューアルしているので施設もとても綺麗で快適です。あと、海外資本だからかセンスがどこか日本的ではないというか、海外の高級ホテルに宿泊しているような感覚を得られます。大浴場として星空温泉という露天風呂やサウナ付きの広くて綺麗な入浴施設があって、会場の協力で今回のフェス開催期間はホテル、キャンプ宿泊問わず利用することができます。
林:リニューアルに加えて、2015年から北陸新幹線が開通したこともあって交通アクセスがとてもよくなりました。東京駅から新幹線で2時間弱、車であれば高速道路の出口(新井スマートIC)から10分ほどで着きます。また、LOTTEはお菓子メーカーとしても有名ですが、世界中で高級ホテルの展開事業も手がけていて、「LOTTE ARAI RESORT」はまるで美術館かと思うくらいに美しい建築も魅力です。スキー場となっている大毛無山の山頂からは日本海を見下ろすことができたり、大自然も存分に堪能することができます。
bacteria_kun:あとはフェスとしての“快適さ”にかなりこだわっていて。他のフェスだとホテルやキャンプサイトとステージ間がかなり離れていることも多いですが、今回はメイン・ステージをホテル真ん前の広場に設けています。今年はコロナ禍ということもあって1000人限定での開催となるので、全員がゆったりと快適に過ごしてもらえるはずです。一番遠いステージでもホテルから徒歩5分ほどなので、お子さん連れや家族でも快適に楽しめるんじゃないかなと。キャンプサイトも今年は1stステージと2ndステージの間に作っているので、キャンプしながらライブを観ることもできます。
bacteria_kun:アクティビティも充実していて。アジア最長のジップラインや紅葉ゴンドラ、あとはステージ間移動として、チュービングというタイヤに乗って坂を駆け下りるアクティビティも稼働します。私たちが大好きなサウナに関しては星空温泉だけでなく、今回はMORZHさんのテント・サウナを用意します。一番のポイントはインフィニティ・チェアで外気浴をしながらメイン・ステージを観ることができるということ。テント・サウナは少人数の交代制になってしまいますが、ぜひとも水着持参で、ととのいながらライブを体感してほしいです。
林:そもそもこのフェスにおいて“ととのう”というのは大きいテーマになっていて。フェス・オリジナルのCBDオイルも作っていますし、シーシャや温泉、あとはアウトドア・ブランド〈MAAGZ〉さんが展開してくれる焚き火ブースなど、チルで自分の心と向き合えるような時間を大事にしています。『MIND TRAVEL』という名称自体もそうですし、アーティストのブッキングもそういったコンセプトを考慮しつつ行いました。ステージ名も全て“MIND”という言葉と合わせて成立する名前になっていて。
bacteria_kun:メイン・ステージはそのままフェスの名前でもある(MIND)TRAVELステージで、2ndステージはBLUEステージと名付けたのですが、“BLUE MIND”という言葉は海や水辺を眺めているときに訪れる心の平穏を指す言葉なんです。DJステージは“集合精神”を意味する“HIVE MIND”という言葉からHIVEステージという名前にしました。こちらはPANORAMAさんの移動式DJトレーラーを用意するのですが、野外レイヴのような一体感を狙いたいなと。
林:加えて、普段はあまり一般公開されていない、著名な建築家・藤森照信さんが手がけたギャラリー・スペースにチルアウト・エリアを展開します。そこは“落ち着いた心”というまさに“ととのった”状態を指す言葉からCALM MINDと名付け、アンビエントなDJとドリンクやCBD、シーシャが楽しめるチルな空間になる予定です。空間・装飾のディレクションは、数多くの大型フェス装飾にも携わっていたアーティスト、ミナイマサシさんにお願いしていて、アート作品の中に入るような、非日常的な安らぎが得られるんじゃないかなと。
bacteria_kun:ミナイマサシくんも含め、最初にお話した通り本当に偶然、いいタイミングで出会って意気投合して。しかも運営チームと同世代なんです。これも不思議な縁を感じるところだなと。
林:また、当日は南新宿で営業しているSpincoaster Music Barもオフィシャル・バーとして出張展開します。こちらでもCBDドリンクが楽しめるほか、うちのバーでも好評なSpincoasterオリジナルのクラフトビールも提供します。
――感染者数が減少傾向にあるとはいえ、コロナ禍でのフェス開催となります。感染症対策についてはいかがでしょうか。
bacteria_kun:入場には「ワクチン接種証明」もしくは「PCR検査陰性証明(公演日より72時間以内有効)」を必須条件とさせてもらいました。こういった高いハードルの条件を設けたフェスは、まだ日本国内では前例があまりないと思いますし、おそらくこのような形式が今後世界のスタンダードなルールになっていくのではないかなと。証明書はSpincoasterのフェス向けアプリ・サービス「FESPLI」を利用して作ったオリジナルのアプリから登録してもらいます。
林:アプリから日付印付きのワクチンの接種済証、もしくは実施日が72時間以内で、検査機関名と氏名が明記されているPCR検査の陰性証明をアップロードする形で、個人譲歩と登録してもらう予定です。ただ、今回は開催発表が遅くなってしまったので、対応が難しい方のために当日現地での抗原検査もできるようにして、陰性であれば入場できるよう調整しています。
bacteria_kun:新潟県で独自に発令されていた特別警報との兼ね合いもあり、イベント開催をアナウンスできたのが開催日の3週間前になってしまったので、ポリシーに賛同してくれても準備期間が十分に取れない方もいることが考えられるので、そのような措置を取ることにしました。ただ、抗原検査も24時間以内の自主申告ではなく、検査キットの結果をその場でスタッフに確認してもらう形を想定しているので、感染症対策としての効果は高いと考えています。
林:もちろん、開催中もマスク着用必須で、飲食エリアを限定したり、スタッフからの注意喚起や見回りも徹底します。参加者にもご不便を掛けてしまうのですが、その分会場ではゆったりと余裕を持って楽しんでもらえるよう努めます。
――開催に際して自治体とはどのようなやり取りを?
bacteria_kun:まず市役所と地元の自治体に資料を持って説明に伺いました。今年の夏頃は音楽フェスに対する風当たりも強かったので、最初は不安の声もあったのですが、そこはじっくりと話をして理解を頂いて。その後、新潟県では1000人以上のイベントを開催する場合は事前相談が必須なので、再度ガイドラインを含め県の職員さんに説明させてもらいました。結果、県のLINE公式アカウントでのお知らせシステムを使用するなどの条件のもとで開催ができることになり、最終的に自治体の方々も「妙高を盛り上げてほしい」「妙高のよさを若い人にも知ってほしい」というように協力的な姿勢でサポートしてくれて。
――先ほども少し話に上がりましたが、ラインナップについて特に意識したことはありますか?
林:自分もbacteria_kunも海外フェスが好きで足を運んでいたので、構想が生まれた当初は海外アーティストの招聘も考えていたんです。ただ、あいにく長期にわたるコロナ禍ではやはり難しいということになり、今回は国内アーティストのみで固めました。ただ、来年以降の開催も考えているので、海外アーティストが呼べるようになったときに違和感なく溶け合うというか、受け入れられるようなアーティストという部分は意識しました。
bacteria_kun:それこそ海外レーベルから作品をリリースしたばかりの食品まつりさんやSeimeiさんなどはまさに、という感じで。私も元々海外アーティストの招聘に関わる仕事をしていたので、そこは来年以降積極的に挑戦していきたい部分ですね。あとはE.sceneやKick a Showさん、grooveman Spotさんのように新潟/東北出身のアーティストというのも意識しています。
――フェスなんだけどクラブやレイヴ的な要素も強いラインナップですよね。
bacteria_kun:私がクラブ寄りの音楽が好きというのもあって、特にHIVEステージはそういった色が濃いですね。
林:CALM MINDエリアでもクラブ/レイヴ寄りのDJに敢えてアンビエント的な選曲でプレイしてもらったり、ヴァイナル・オンリーのリスニング・パーティを開催しているクルーを招聘したりなど、クラブ・ミュージックには留まらないディープな音をお届けする予定です。
bacteria_kun:あとタイムテーブルの構成にもとてもこだわっていて、それぞれの時間帯に合うような並びになっているので、ぜひとも全体の流れを楽しんでもらいたいです。
――フェスとしての来年以降の展開についても教えて下さい。
林:先ほどの話と被るのですが、LOTTEは日本と韓国にルーツがありますし、Spincoasterとしても韓国アーティストのリリース企画に関わっているので、海外でも特に韓国のアーティストやDJのブッキングを視野に入れています。あと、野外フェスというのは体力面や環境面でなかなかに過酷なケースが多いですよね。それもフェスの魅力のひとつになり得るとは思うのですが、『MIND TRAVEL』では逆の方向性を考えています。例えコロナ禍が収まったとしても、キャパはそれほど多くせず、来場者が快適に過ごせることを重視したいです。『Pitchfork Music Festival』のように上限をしっかりと設けて、いたずらに大きくするのではなく、しっかりとコントロールできる規模感でクオリティを高めていきたいです。
bacteria_kun:いずれは毎回チケットが争奪戦になるような、プレミア感を出せるのが理想です。地元の方とも密に連携をとって、毎年1〜2回イベントを開催できたらいいなと思っています。
林:このプロジェクトは最初から単発開催ではなく、継続的な開催を見据えて始動させていて。運営チームとしては今後理想的なフェスになるヴィジョンが見えているし、実際にそれを実現できる人材も揃っていると思っています。初回から回を重ねることで感じる変化や成長もフェスの楽しみのひとつだと思うので、ぜひとも貴重な1回目から多くの人に体験して頂きたいです。
bacteria_kun:とにかく一度来てもらえればこのロケーションのよさは絶対にわかってもらえると思っていて。1000人上限というのは確実に今回限りになると思うので、快適さマックスのこのタイミングを逃さないでほしいです(笑)。
【イベント情報】
『MIND TRAVEL』
日時:2021年10月16日(土)〜17日(日)
会場:新潟県妙高・LOTTE ARAI RESORT
出演:
AAAMYYY
aTTn
Campanella
田我流
DIANA CHIAKI
DJ PUCCI
どんぐりず
鋭児
Emerald
E.scene
FNCY (ZEN-LA-ROCK, G.RINA, 鎮座DOPENESS)
gato
Gonno
grooveman Spot
has
hosaka
ケンモチヒデフミ
Kick a Show
Kuro
Kzyboost
MÖSHI
NAGAN SERVER
okadada
PEARL CENTER
Seiho
Seimei
鯱
SHINICHI OSAWA (MONDO GROSSO)
食品まつり a.k.a foodman
SUKISHA
STUTS (BAND SET)
YOSA & TAAR
TENDRE
The Antoinettes
xiangyu
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料金:
2DAYS FESTIVAL TICKET:¥20,000
CAMP SITE TICKET:¥3,000
PARKING TICKET:¥3,000
HOTEL RESERVATION:1 Room 2名利用 ¥22000 〜