2015年突如インディ・シーンでメキメキと人気を獲得したバンド、TENDOUJI。昨年リリースした1st EPは瞬く間に完売。数多のライブ・イベントへの出演を経て2016年6月29日に2nd EP『breakfast』をリリースした。ガレージでローファイなサウンドとキャッチーなメロディは、海外のパワー・ポップやグランジ、サーフ・ロック、ブリット・ポップなどを彷彿とさせる。
TENDOUJIは決して演奏スキルの高いバンドでも、前衛的な音楽を奏でるバンドというわけでもない。しかし、このバンドには多くの人を惹きつける何かがある。今回Spincoasterではダブル・フロントマンであるモリタナオヒコとアサノケンジ、そしてバンドのグルーヴを支えるドラマー、オオイナオユキの3人にインタビューを敢行。「東京インディ・シーン屈指の愛されバンド」として評されるその理由を、彼らのバック・グラウンドとともに探った。
なお、アルバム・リリースの前夜祭として、Spincoaster Music Barではアルバム試聴会&アコースティック・ライブも実施。そのハイライト映像も合わせてお楽しみください!
Interview & Text by Kohei Nojima
(L→R:モリタナオヒコ、アサノケンジ、オオイナオユキ、ヨシダタカマサ)
ーまず、バンド結成の経緯などをお聞きしたいのですが、TENDOUJIの結成はいつ頃だったのでしょうか?
アサノ:2014年3月ですね。最初はおれとナオ(モリタナオヒコ)とヨシダの3人でやってました。
ーみなさんそれ以前のバンド歴とか、楽器歴はどのような感じだったのでしょうか?
アサノ:実はそれまでバンドとか全然組んだことなくて。楽器はおれとヨッシー(ヨシダ)がクラッシックギターを小学校くらいからやってたんですけど。
モリタ:おれは遊びでエレキを家で弾くぐらいで、バンドどころか人前ではほぼ弾いたことなかったですね。
ーみなさんほぼほぼ初めてのバンドだったんですね。では、みなさんの出会いは?
モリタ:中学の同級生なんですよ。ベースのヨシダとケンジなんかは小学校からの同級生。おれはケンジと小学校のサッカー・クラブで出会って、中学で同じ学校になりましたね。
ーだからみなさんそんな仲が良いんですね。ちなみにこのインパクトあるバンド名はどこから?
モリタ:バンド名の由来はよく聞かれるんですけど、バンド結成した頃たまたま読んでた本の主人公がテンドウジで……あ、違う。脇役かな? で、そいつがすごく好きだったんですよ。だからこれをバンド名にしたいってみんなに言ったら、「クソどうでもいい」って言われて(笑)。
だから別に全然深い意味もないし、なんだったら最初は愛着もなかったし、むしろ恥ずかしかったんです。国内でも海外でも「なんとかbeach」みたいなバンド名が流行ってた時だったし。
ーなるほど。メンバーみなさんそれぞれの音楽的バックグラウンドはどのようなものだったのでしょうか?
アサノ:おれは浅いっていうか王道というか。NirvanaとかOasis。あとはミッシェルとかDragon Ashですかね。
モリタ:みんなバラバラだよね……? Dragon Ashはみんな好きだけど。
アサノ:唯一って言っていいくらいメンバーみんな共通して好きだよね。
モリタ:あとからバンドに加入したドラムのナオユキは一個下でサッカー部の後輩なんですけど、すごいサッパリしてるっていうか、シンプルっていうか……なんて言ったらいいんだろうか。
アサノ:こいつ(オオイ)は今でも音楽嫌いですから(笑)。
オオイ:洋楽とかほとんど聴いたことないです。日本のヒップホップばっか聴いてましたね。
モリタ:でも、ナオユキの家は超バンド家系なんですよ、実は。
ーバンド家系ということは、ドラムも結構長くやられてたんですか?
オオイ:いや、全くゼロですね。
モリタ:こいつは本当に正真正銘の(楽器経験)ゼロです。おれよりゼロでした(笑)。
アサノ:本当にやばかったよね(笑)。
モリタ:もちろんドラムを叩いたことなんてなかったんですけど、地元のお祭りとかでナオユキは顔がカッコいいから「(ドラマーは)ナオユキでいいんじゃね?」っていう話になったんだよね?
アサノ:うん。最初はナオユキとあまり絡みがなかったので、ナオユキの後輩でめっちゃ仲いいやつがいたから、そいつを入れようと思ってたんです。でも、そいつめっちゃブサイクなんですよね(笑)。
モリタ:ノリは合うけど、めっちゃブサイク(笑)。
アサノ:なので、ダメ元で一応最初にナオユキに声をかけてみたら「やりたい!」って言ってくれて。何かおれらがYouTubeにUPしていた音源とかも実は聴いてくれてたみたいで。
ーそこから前作となる1st EP『Pretty!Pretty!!Pretty!!!』をリリースしたのが2015年9月で、結成してから1年半ぐらいですよね。
アサノ:そうですね。ナオユキが入ってからちょうど1年くらいの時かな。
モリタ:そんな経ってたんだ。
ー曲作りはどのようにして行われているのでしょうか?
アサノ:曲はおれとナオの、ボーカル2人で作ってますね。作ったほうがリード・ボーカルを取る、いわゆるThe Beatlesスタイルで。
ーバンド経験や人前での演奏経験があまりないということは、おそらく作曲経験もなかったんじゃないでしょうか。
アサノ:全くなかったですね。それこそみんなゼロです。しかも大体みんな最近はパソコンでやってるじゃないですか。でもおれらはそういうのができないからアコギ一本でメロディーだけ作って、歌詞もない状態でバーってボイスメモに録るんです。それをスタジオに持って行き、ベースに関してはヨッシーに丸投げして、ドラムは一応「こんな感じで叩いてほしい」っていうのがあるのでそれを伝えて。そこから合わせて練っていきますね。とりあえずお互いギターは最初適当だよね。
モリタ:適当ですね。
アサノ:それで1回4人で合わせてみて、メロディーはよくてもなんとなく「これはいくら練習しても、いくら他のメンバーに注文してもよくならない」っていう時はもうやめますね。そこから育てるのも面倒なので(笑)
そんな感じでパパッてやっていってみんながわりといい感覚だなってなったら、さらに詰めていくって感じです。
モリタ:アコギで持ってきた時に既に「これイケるな」っていうのはなんとなくあったりするんですけどね。やっぱりダメになる曲は、最初から「これはダメかも」って少し不安になってる。
アサノ:やっぱりメロディーが全てだよね。メロディーがよくなかったら絶対ダメ。
モリタ:おれはNirvanaがすごい好きで、アコギだけのデモ音源とかもめっちゃ聴いてるんですけど、それが超絶いいんですよ。なので、まぁ、そういうことなんですよね。いい曲はアコギ一本でもいい曲なんだなって。
ーギターのリフとかもセッションしていく中で練り上げていく感じですか?
アサノ:いや、リフはだいたいナオが考えますね。
モリタ:そうですね。完全におれかな。リフは探り探りっていうよりかは鼻歌なんですよ。鼻歌を全部ボイスメモで録ったり、頭に残っていたモノを全部ギターにするっていうだけの、超単純なやつですね。
ーちょっと言ったらアレですけど、脳天気というか、そういうイメージを抱かせますよね。もちろんそこが魅力なんですけど。
アサノ:そうそう。つまりはヒョウキンっていうか、バカっぽい(笑)。
モリタ:なんかカッコいい感じのものもやりたいんですけど……たぶんあんま好きじゃないんでしょうね。
アサノ:カワイイ感じになるようにしてるんだよね、全体的に。キャッチーというかポップというか。
モリタ:そうそう。ルックスもおれらカワイイわけじゃないし、っていうかどっちかっていうとゴツい。そしてバンド名もゴツくて、そこにリフまでゴリゴリとかになったらなんか終わりだなって思って。そのギリギリのラインを狙っていきたいなっていう思いもありつつ、あとは単純にわかりやすいのがいいなっていうのと、やっぱり歌えるリフが最強だと思っているので、それを個人的には目指していますね。
ーバンドでの役割分担とかありますか? リーダーとか。
アサノ:役割かぁ……改めて考えてみると難しいですね。結構ぼくら、バンド内のリーダーは持ち回りみたいな感じになっているんですよ(笑)。
モリタ:権力とか権限とか、意外と4人平等なんですよ。なんか困った時に決定権を与えられるのは、ビリヤードで勝ったやつっていう一応ルールみたいなのがあって(笑)。
ーじゃあ何かある毎にビリヤードをしに行くんですか?(笑)
アサノ:2、3ヶ月に1回くらいですね。
モリタ:本当に決まらなかったらビリヤードで決める、みたいな。ここ最近はアサノがリーダーです(笑)。
アサノ:そっすね。おれがフロントマンなんで(笑)。
モリタ:まぁ完全にそうですよね。ケンジは色々なところに顔を出して色々な人に会いに行ってくれるし、知り合いも勝手に増やしてくれる。超ありがたいですね。まぁ、こいつは歩いてるだけでも目立ちますしね。
アサノ:ナオはライブ・ハウスだと黒くて見えないんで(笑)。
モリタ:やめろや(笑)。最初はどちらかというとおれがグイグイバンドを引っ張ろうとしてたんですけど、だんだんそれが均等になってきた感じですね。各々がそれぞれ役割を見つけてきたんだと思います。
ー各々得意分野や逆に不得意な分野はありますか? 「こういう分野は誰々が、こういう方面は誰々が担当してる」みたいなのとか。
アサノ:ヨッシーが経理だよね(笑)。
モリタ:そうだね。ケンジはクリエイティブ方面と外交というか社交的な面が得意ですね。
ークリエイティブ方面というのは、アートワークとかそういったビジュアル的な方面ですか?
アサノ:今回のアートワークに関しては、割とおれの意見がスタートとかになってるんですけど、パソコンとかいじれないので、実際の作業はデザイナーに任せましたね。
ーでは、ナオさんは?
アサノ:…………。
モリタ:いや、あるだろ! 一個くらいあるだろ!(笑)
アサノ:ナオはね……鉄砲玉かな(笑)。
一同:(笑)。
モリタ:でも確かにおれがメンバーの中で一番尖ってるのかもしれませんね(笑)。
アサノ:デリカシーがないからね。
モリタ:嫌いなバンドとか本当に嫌いで、良くないモノはすぐに良くないって言っちゃいますね。思ったこともすぐ口に出るし。でも、いい感じのやつらとはすぐに仲良くなりたいってなります。
アサノ:まぁあんまり八方美人みたいなバンドになっちゃうのもアレだしね。ドラムのオオイは……客観的に見てもらってる感じですね。
オオイ:口出す係だよね。
モリタ:「これ普通に考えたらヤバいよ」っていうことを言ってくれたり、おれらが暴走してしまいそうな時とかに、本当に最後の最後でストップをかけてくれたり。あと、「これはつまらない」とか「あんまよくないんじゃない?」っていうダメ出しとかもしてくれますね。
たぶん、おれとかは結構理想を追いがちで。こんなの現実に叶うわけもないっていうことに向かっていってしまいそうな時に、「いや、待て」と、「一旦こういう順路を踏んでからそこを目指そう」みたいな感じで、段取りを取ってくれますね。
ー自主レーベルの〈浅野企画〉についてお聞きしたいのですが、そもそも自身でレーベルを立ち上げたキッカケは何だったのでしょうか?
アサノ:自分たちと近しいバンドがそれなりのレーベルから作品をリリースしているのを見ていて、とりあえず早く売れるということを念頭に置いているおれらとしては、それを軸に考えるのは最適な手段ではないんじゃないかなって思ったんですよ。
例えば、どこかのレーベルに入って、プロモーションとかをやってもらうっていうのはもちろん有効な手段だとは思うんですけど、実際にお金を稼ぐっていうこととか、色々なことを現実的に考えたら、それはスタートが遅れるだけなのかなっていうのがあって。一応レーベルと契約した際の売上の割合とかも具体的に色々と聞いてますし。そういうのを考えると……。
例えばそういうレーベルと契約して、「1年後のリリースに向けて作品を製作します」ってなったら、その1年は絶対飯食えないじゃないですか。そう考えたら最初から自分たちで取れるところを取れるスタイルにしようかなって。
ーちなみに1st EPは完売のお店が相次ぐということで、話題にもなりましたよね。
モリタ:とりあえずは全部在庫がなくなりました。勝手に……っていう言い方はよくないですけど、自然な流れで売れていって。なんかあのEPを出した頃に周囲の人がドンドン増えてきたんですよね。お客さんというか友達というか、線引きがかなり曖昧なんですけど。対バンも自分たちが前から知ってたような有名なバンドとよくできるようになったし、勢いは確かに感じていました。
アサノ:あと色々アートワークであったり映像だったり、なんかレーベルを立ち上げる際に色々と相談できる人が近くに自然と集まり始めたんですよね。だから、こういう恵まれた状況もあるし、いっそのこと仲間の力を借りて全部自分たちでやろうかって思って。
ー2nd EPとなる今作『breakfast』はディストリビューターとしてSPACE SHOWER MUSICに流通のみを委託しているということですよね。
アサノ:そうですね。
ーそのようにして国内でDIYな活動を進める一方で、海外での活動も視野に入れてることを公言していますよね。
モリタ:それは……本当に最初期に公言しちゃったものがそのまま残っているという感じですね。今でも考えてなくはないですけど。
アサノ:だんだんブレてきます。やっぱ日本で暮らしたいし(笑)。まず、日本で売れるのが一番の目標なので。「どうなるかわからないけど、とりあえず海外行ってみる」っていうのはナシにしたいですね。
モリタ:何かを日本に持って帰ってこれないと、海外に行く意味ないですよね。何かをフィードバックできるようにしたい。
ーなるほど。では、2nd EP『breakfast』の話に戻るのですが、1曲目の「Orangejuice」のイントロは……。
アサノ:これはね、秘話があるんですよ。
モリタ:え? あるの!?(笑)
アサノ:最初全然違うリフだったんですよ。半年前くらいからライブとかでもちょくちょくやってて、そのリフのままでレコーディングしようってなったんですけど、いざレコーディングしようと思ったら「なんかちょっと違うな」って。もう「この曲入れるのやめようか」って話にもなったんですよ。その時ベースのヨッシーの家にナオユキ以外の3人で集まってどうしようかっていう話をしてたんですけど、おれが飽きちゃったんですね。それでその時、携帯のゲームで「桃鉄」が期間限定で値下がりしてるっていう話をヨッシーがしたので、「じゃあおれ、『桃鉄』やってるわ」ってなっちゃったんです。でもナオはその後も真面目にリフを考え続けて。で、しばらく「桃鉄」やってたら「リフできた!」ってナオが言ってきたんですよ。それでいざみんなの前で弾いてみたら、めっちゃ桃鉄みたいになってて爆笑する、みたいな。あのリフ、超「桃鉄」っぽくないですか?(笑)
ーゲームっぽいですよね(笑)。
アサノ:そうそう(笑)。
モリタ:もう本当にこいつら嫌なやつで。一応「Orangejuice」はおれが作った曲なので、「ここはこうしない?」とかアイディアを出すんですけど、全然こいつら考えないんですよ。挙句の果てには飽きて「桃鉄」をやり始めるし(笑)。それで「ふざけんなよ」とか文句言いながらも考え続けて、やっと完成したリフを弾いたら「これ『桃鉄』やん(笑)」とか言われて。「なんてやつらだ……」って思いましたね(笑)。
ーハハハ(笑)。今作はアップテンポの曲やゆったりしたBPMの曲など、非常に作品としてバランスが取れているように思うのですが、収録楽曲の選曲とか曲順は全体を見ながら整えていったという感じなのでしょうか?
アサノ:結果オーライだったからいいんですけど、実は結構反省する部分もありまして。わりと突貫作業で、レコーディングする2週間前に曲が揃ったんですよ。一応ストック的にはまだ曲はあったといえばあったんですけど、これはあんまり今レコーディングするタイミングじゃないなっていう曲だったんですよね。なので、もう全部曲単体の考え方しかしていないんですよ。
ーなるほど。ちなみに、TENDOUJIの楽曲はタイトルがユニークなものが多いですよね。なかには結構読み方がわからないものもあります。
モリタ:そういうのは大体ケンジがやってますね。意味があるものもあれば、全く意味のないものもあって。曲を作って4人で合わせて録音したデモを、最初はDropBoxにあげてたんですよ。その時タイトルはまだないけど、保存するにはファイル名が必要じゃないですか。だからおれが適当にキーをバババって打ったのをタイトルにしてたんですよ。それがそのまま採用されるわけではないんですけど、結構そこからタイトルに繋がることが多くて。自分たちの中だけで勝手にニックネームみたいな感じで呼んじゃうんですよね。「Venz_O(ベンゾー)」とかはまさにそうですね。
アサノ:「Venz_O」は完璧にそうだよね。これに関しては、ナオが本当はゴリゴリにクサいタイトルにしようとしてたんですよ。なんとかかんとかフレンドみたいな(笑)。
モリタ:(爆笑)。
アサノ:「いや、そんな寒いことできるか!」ってなり、それでそのまま「Venz_O」になりました(笑)。
モリタ:あの、結構ぼくはロマンチストみたいなところがあるので、真面目にそのタイトルを考えて、かなり長いタイトルをカッコよく提示したつもりなんですけど、普通に「シーン……」ってなりました。なので「もう、『Venz_O』でいいっす……」みたいな(笑)。
ー6曲目の「D.T.A.」っていうのは何かの略称なのでしょうか?
モリタ:これも超適当で、最初は「Dutch The American」っていう曲にしたんですよ。これは適当にことわざみたいなのを勝手に自分の頭の中で作ったんです。「オランダ人は一生アメリカ人に敵わない」みたいな。でも、そんな意味全くないんで(笑)。
ー最後、7曲目に位置する「Chav(チャヴ)」っていうのは?
モリタ:「Chav」っていうのはイギリスのヤンキーの総称なんですよ。これは普通に歌詞もタイトルもわりと明確な意味を持ってますね。そんな有名な言葉ではないんですけどね。
ーそういう真面目なところとふざけてる部分っていうのは、バランスを考えながら?
モリタ:7割ふざけてるかな(笑)。
アサノ:いや、でも基本的に真面目なんですよ。実は4人とも結構真面目な性格なので。最初にポンって出てきたものは真面目でおもしろくないものが出てくる。だからそこから少しずつズラしていっちゃうっていう。
ー4曲目の「Mayonnaise」はどういう内容なのでしょうか?
アサノ:これも本当に意味ないですね。他の曲もそうなんですけど、できるだけ歌詞に意味を持たせないようにしようってなったんですよね。基本的におれは英語もわからないし。なので、音とか響きを重視していて。
モリタ:ケンジは意味を持たせないようにするタイプなんですけど、おれは結構その逆で。曲を練っていくと後々歌詞に意味がついてくる時があるんですよね。それが日本語と違うところかもしれませんね。もちろん最初から自分なりに意味を理解しながら英語で歌詞を作っているんですけど、後から違った解釈とか理解の仕方が出てくる。最近ではそういう意味というか、メッセージというか、イメージみたいなものも、徐々にライブでの演奏にも反映されてきたんじゃないかって思います。
ー今のところ日本語で歌うというアイディアや構想は全くないのでしょうか?
アサノ:次の作品で挑戦してみたい気持ちもあるんですけど、そもそも日本語で歌詞を書いたことがないので、まだ何もわかんないんですよね。
モリタ:怖いよね、日本語の歌詞って。
アサノ:うん、怖い。
ー曲を作っている時に何かイメージしているものはありますか? 例えば映像であったり、具体的なアーティストや楽曲、作品であったり。
アサノ:最初のメロディーを作ってる段階では自分たちのバンドのことしか意識してないですね。結局何曲作ってもこの4人で演奏するためのものなので。そこからスタジオとかで4人で合わせて作ってる時は、何となく景色を想像しながら作ってますね、おれは。
モリタ:おれは自分以外の3人をビックリさせてやろうって思って作曲してますね。他の3人に聴かせて「ヤベェな!」って言われるのが一番嬉しいです。「絶対ココでビックリするだろうな」っていうのとか、「ここで『いいね』て言ってくれるかな」とか、そういうことを考えてますね。だって、悩んで作ってきた曲をこいつらにクソだって言われたら普通に凹みますもん(笑)。
ー過去にそうやって言われたことはあるんですか?
モリタ:なんとなくみんなそう思ってるんだろうなっていうのは何回かありましたね。これあんまよくないんだろうなとか、こいつあんまりいいなって思ってないなとか。
アサノ:一人で自己嫌悪になるときありますね。「いいって思ってないんだったらいいって言うなよ」とか(笑)。
モリタ:お前めっちゃネガティブやん(笑)。
アサノ:だって一番緊張するじゃん。メンバーに曲を提出するのって、ライブとかよりも緊張するわ。
オオノ:ぼくは作曲してないので偉いことは言えないですけど、でもそういう環境ってめっちゃいいことだと思うんですよね。だってバンドのメンバーがみんなイエスマンだったら、超つまらないじゃないですか。
ーでは、国内での活動において、当面の目標みたいなものはありますか?
アサノ:やっぱり10曲入りくらいのアルバムを作りたいですね。あとは……フジロックですね。
モリタ:フジロックは出たいですね。
アサノ:「つまんない国内のシーンをぶっ壊してやる!」みたいなのは全くなくて。そんな照れくさいことは言えないんです(笑)。でも、おれらの周りで似たようなことやってるやつらとか、そういうシーンというか、個々のバンド活動の規模が大きくなって、最終的にみんなでMステ出れたらいいよねって、そんな感じですね(笑)。
ー今後共演したいバンドとかはいますか? 国内外問わずで。
アサノ:Dragon Ashですかね。BAY CAMPみたいなフェスとかで共演できたりしないかな(笑)。
モリタ:Dragon Ashはめちゃめちゃやりたいですね〜。Dragon Ashだけは4人とも本当にみんな好きなので。世代っていうのもありますけど。
アサノ:海外のバンドだったら……これは絶対みんなバラバラになるな。だってMac DeMarcoとかおれどうでもいいもん(笑)。
モリタ:そうだよね。おれは逆にMac DeMarco超好きなんですよ。Tempalayの企画でHOMESHAKE(元Mac DeMarcoバンドのギタリストとしても知られるPeter Sagarによるソロプロジェクト)と共演した時は「もう死んでもいい!」って思いましたね。なので、次はやっぱMac DeMarco本人と共演したいなって。彼の全てが好きですね。
アサノ:おれは……The Strokesかな。
モリタ:あ〜いいねぇ! 話がデカい!(笑)
【リリース情報】
TENDOUJI 『breakfast』
Release Date:2016.06.29(Wed)
Label:浅野企画
Cat.No.:DDCR-9004
Price:¥1,389 + Tax
Tracklist:
1. Orangejuice
2. LIFE-SIZE
3. Skippy
4. Mayonnaise
5. VENZ_O
6. D.T.A.
7. CHAV