10月26日(土)に東京・新宿 東急歌舞伎町タワーにて『MIND TRAVEL – TOKYU KABUKICHO TOWER EDITION -』が開催された。
新潟県妙高市LOTTE ARAI RESORTを舞台に2021年に始動し、昨年より東急歌舞伎町タワーに舞台を映した本フェスティバル。当初から掲げている「心と身体をととのえる」というコンセプトはそのままに、Zepp Shinjuku(TOKYO)の2フロアと東急歌舞伎町タワー1階広場(無料エリア)、さらにはJAM17のルーフトップテラスを使用した回遊型タワーフェスとして今年で2回目の開催となった。
立ち上げ当初のアイデンティティは変わらずに、都市型フェスとしての魅力もより増強した『MIND TRAVEL』。今回もアフタームービーと多数の写真と共に当日の様子を振り返りたい。
Photo by tatsuki nakata(TRAVEL)、toshimura(BLUE, HIVE, Other)、Nanami Shinkai(CALM)
Text by Spincoaster
トー横広場に多様なサウンドを鳴らしたBLUEステージ
今年も『MIND TRAVEL』で最初に幕を開けるのは、東急歌舞伎町タワーの正面エントランスに位置するBLUEステージだ。チケット購入者のみが入れる前方エリアに加え、後方エリアは無料エリアとなっており、道行き通行人や海外観光客と思しき人々がライブやDJパフォーマンスに耳目を奪われ立ち止まる姿も、もはや恒例の景色となっている。
ステージの装飾は初年度からタッグを組むキャンドルアーティストのミナイマサシが担当。繁華街のど真ん中に幻想的な、時間の経過と共に表情の変化を楽しめる空間を作り上げた。
MCにて開会宣言を行うのは、こちらも同フェスお馴染みの菅野結以。続く一番手のYonYonはダンサブルながらも心地よいDJプレイをトー横広場に響かせる。また、DJだけでなく、自身のオリジナル楽曲ではマイクを持って歌唱し、華やかなステージを披露した。
続くのは新作EP『Blue Inside You』をリリースしたばかりの京都出身のSSW・luvis。ベースに鋭児の菅原寛人、ドラム(パッド)に山本直親を迎えたミニマルなセットながら、熱量の高いライブを展開。終盤には進行の深いダンサーのmico率いるクルー・mico pieceが登場。演奏に華を添えた。
3番手に登場した沖縄発の3人組、HOMEはオルタナティブなサウンドとキャッチーなメロディを行き来する変幻自在のパフォーマンスで観客を魅了。そのパンキッシュな立ち振舞いに、前方エリアだけでなく後方エリアまで沸かせた。
台湾からの来日出演となったWhyte(?te)はドラムレスなミニマムなバンドセットながら、洒脱なR&B〜ソウルで新宿の街並みにアーバンな風を吹かせた。日本語でのMCも挟み、待ちゆく人々の耳と心を掴んだ。
日も暮れ始め、夜の匂いが漂いだした歌舞伎町に続いて登場したのは、ラッパー・森とプロデューサー・チョモからなるどんぐりず。ベースの効いたダンスミュージックに合わせて繰り出される切れ味鋭いラップ、そしてユーモラスかつキャッチーなリリックでトーヨコ広場をダンスフロアへと変えた。
BLUEステージのトリを務めたのは、2022年に新潟・妙高で開催された『MIND TRAVEL』にも出演した、シカゴ出身のラッパー/プロデューサーであり、日本とも縁の深いAce Hashimoto。キャッチーかつ風通しのいいヒップホップで、華やかに締めくくった。
また、BLUEステージを含めた野外エリアには軽食や「ひむかのくろうま by 神楽酒造」とのコラボバー、ミナイマサシによるキャンドルやサスティナブルなアロマ商品などが手に入るブースも出店。なかでも初出店となった「ひむかのくろうま」によるバートラックでは、華やかな香りとすっきりした飲み口で通な飲み方が愉しめる、本格焼酎 × ソーダ割りと、本格派に嬉しい焼酎ロックを提供。「ひむかのくろうま」のコンセプト「素直になれる時間。」を感じられる、本格焼酎の新しい体験が提供された。
熱量高いライブ/DJが続々と。最後にはサプライズも飛び出したTRAVELステージ
ZeppShinjukuのメインフロアとなるTRAVELステージは、その圧倒的な音響と360度LEDビジョンにより圧倒的なライブ体験を味わうことができる。この日のトップバッターを務めたのは、フェス初出演となるCHIANZ。SSWのeill、Foi、YABI×YABIとして活動しているChieと、同じくYABI×YABIで俳優としても活動している月川玲の幼馴染4人からなる彼女らは、今年3月に突如1stシングル“GIG”のリリースとともに活動を開始。ドラマーにたくろうを迎えた編成で、新曲交えたフレッシュなライブを披露してくれた。
続いて登場したのは、今年4月にメジャー1stアルバム『AVEANTIN』をリリースしたBREIMEN。2022年に新潟・妙高での回にも出演していた彼らだが、MCでは本フェスについて「ゆるいところが好きです」と言及。笑いを誘うMCと、グルーヴィーかつ巧みな演奏のギャップで駆けつけたオーディエンスを魅了した。
そして9月に待望の1stアルバム『WiND』をリリースしたBillyrromは、アルバム収録曲を中心としたセットリストで勢いを感じさせるライブを展開。“SERENADE for Brahma”といったスローかつ長尺なナンバーで緩急を効かせつつ、スケールの大きいサウンドスケープを描き出した。
『MIND TRAVEL』初出演となったSIRUPは、Shin Sakiuraとのデュオセットで登場。Shin Sakiuraは曲によって器用にギターとベースを使い分け、2人だけとは思えないほどの厚いサウンド、ライブ感を演出。翌日に衆議院総選挙が迫っていたタイミングだったこともあり、MCでは選挙へ行こうというメッセージも。新旧混ぜ合わせた鉄板なセットリストで会場を踊らせた。
続いてTRAVELステージに登場したのは、およそ5年ぶりの来日公演となった韓国の4人組バンド・ADOY。「シンセポップバンド」と紹介されることの多い彼らだが、そのライブパフォーマンスはもはやスタジアムロックと形容したくなるほどパワフルだ。鉄壁のバンドアンサンブルとスケールの大きいサウンドでZepp Shinjukuを揺らした。詳細なライブレポートは韓国音楽シーンをサポートするポータルサイト「K-MUSIC」にて公開中なので、こちらもぜひチェックを。
■ADOYが織り成すドリーミーな世界 Mind Travel出演ライブレポート(K-MUSIC)
この日のトリを飾ったのは、初回から毎年出演しているSHINICHI OSAWA。TRAVELステージ唯一のDJアクトながら、ストイックな選曲 & 繋ぎでアグレッシブなDJプレイを披露。360度LEDビジョンに映し出された攻めたVJと相まり、トランシーな空間へと塗り替える。また、終盤ではOSAWA自身がDJ台に登り、「お前らステージ上がってこれる勇気ないやろ」と挑発。結果、ステージ場になだれ込んだオーディエンスに囲まれてのパフォーマンスとなったほか、DONGROSSOとして共作を重ねるどんぐりずの面々も乱入。DONGROSSO名義で発表された“SUKIYAKI”などを披露し、何度目かのこの日のピークを更新した。
コラボも盛んに行われたCALMステージ。多幸感溢れるクロージングを演出したHIVEステージ
ZeppShinjukuのB3F、メインフロアの上階に位置するCALMステージは、そのステージの特性を活かしたR&B〜ヒップホップなどクラブミュージック寄りのアクトが集結する。この日の一番手を飾ったのは、音楽ディストリビューションサービス〈FRIENDSHIP.〉との合同オーディションにて選出されたR&Bシンガー・FLEURだ。
KKJ(Ba. Manip.)、大井隆寛(Gt. / Deep Sea Diving Club)を迎えた3人編成でパフォーマンス。サウンドチェック時から多くのオーディエンスが集まり、早い時間帯にもかかわらずハンズアップや感性が飛び交う。途中、盟友・Salaが客演参加し“(Not)friends”を歌唱。スムースなR&Bで会場を横に揺らした。
FLUERのステージにも登場したSalaは4人組バンド・Simmer PineのAmiをバックに迎えたDJセットで出演。AmiはDJだけでなく、要所でサックスも披露しパフォーマンスに華を添えた。ゲストには先ほどTRAVELステージに出演したばかりのCHIANZからFoi、そしてFLUERももちろん登場。それぞれ共作した楽曲を歌い、シーンの横の連帯感/繋がりを感じさせた。
続いて登場したのは、気鋭のクリエイティブコレクティブ/レーベルのw.a.u。今回はKota Matsukawa、Ryuju Tanoue、Reo Anzai、01sailらプロデューサー陣によるDJセットでの出演となり、ハウスやガラージを中心としたDJプレイでフロアを温め、途中ではMÖSHI、MK woopと2名のラッパーによるショットライブも展開。会場の空気をクラブ仕様に塗り替えた。
昨年に引き続き、CALMステージではライブ、DJだけでなくダンスセッションも行われた。今年はluvisのステージにも登場したmico pieceによるショーケースとなっており、ステージとフロアの一部を使用し、入れ替わり立ち替わりスリリングなパフォーマンスを披露。DJは鯱のDr.Payが担当。ゲストボーカルとしてluvisも登場し、ライブ顔負けの盛り上がりを見せた。
CALMステージのトリを務めるのはR&BシンガーのVivaOla。R&Bを基軸としながら、ときにダンサブルに、ときにメロウに多彩な表情をみせる楽曲群を流麗なファルセットで披露。ライブDJを務めたのはw.a.uのKota Matsukawa。彼と共に作り上げた2ndアルバム『APORIE VIVANT』収録曲を中心としたセットリストで、華麗に締めくくった。
そして、ここで終わらないのが『MIND TRAVEL – TOKYU KABUKICHO TOWER EDITION -』だ。ZeppShinjukuの遥か上階、東急歌舞伎町タワー 17Fに位置するHIVEステージへと舞台を移し、こちらも『MIND TRAVEL』には欠かせない存在のYOSA & TAARが2時間ぶっ通しでDJプレイ。キャッチーな選曲でフェスのフィナーレを鮮やかに演出しつつ、途中ではシンガーのFLEURも急遽マイクを握るシーンも。多幸感溢れるフロアで長い一日を締めくくった。
東急歌舞伎町タワーにて2回目の開催となった『MIND TRAVEL』。野外フェス、ライブハウス、そしてクラブ的要素も詰め込まれたその個性がより強固に打ち出され、オリジナリティの高い内容になったのではないか。来年は果たしてどのようなラインナップになるのか、今から期待していてほしい。
【イベント情報】
『MIND TRAVEL 2024 – TOKYU KABUKICHO TOWER EDITION -』
日時:2024年10月26日(土) 12:00〜23:00
会場:東京・新宿 東急歌舞伎町タワー(B2F – B4F ZEPP SHINJUKU、1F 野外エリア、17F SPACE WEST)
出演:
ADOY(from Korea)
Ace Hashimoto(from US)
?te (from Taiwan)
Billyrrom
BREIMEN
CHIANZ
FLUER
どんぐりず
HOME
luvis
mico piece (DANCE SESSION)
Sala
SIRUP
SHINICHI OSAWA(MONDO GROSSO)
VivaOla
w.a.u(DJ set) feat. MÖSHI & MK woop
YonYon
YOSA&TAAR
(AtoZ)
主催:Spincoaster inc. / TST inc.