INTERVIEW & REPORT

NF#02 -SEN-

11月に開催されたサカナクションがオーガナイズするパーティ"NF#02"へ潜入取材!

サカナクションに関わるクリエイター・アーティストと共に音楽に関わる音楽以外の新しいカタチを提案するプロジェクト、”NF“。そのイベントの第2回(0回目を含めると3回目)が11月6日(金)恵比寿リキッドルームで開催された。

今回SpincoasterではNFの会場とバックヤードを行き来し、潜入レポートを敢行。そして、イベントで気になったポイントについて、サカナクション山口一郎、そして江島啓一にインタビューも行った。改めてこのNFというイベント/プロジェクトについて深く理解ができる内容になったのではないだろうか。

また、合わせて本イベントに出演したAkufenのインタビューも実施。こちらも音楽の未来に対して示唆的な内容となっているので、このレポートと前回の山口一郎のインタビューと共に合わせて読んで欲しい。
Interview / Akufen
Special Interview 山口一郎(サカナクション)から見る、2015年の音楽と音楽のこれから

(Text by Kohei Nojima / Photo by Mao Yamamoto)

 テーマ -SEN-

今回のNF#02は「-SEN-」というテーマが設けられた。イベントにテーマが設定されたのは今回が初となる。このテーマに関してイベントの主宰であるサカナクション山口一郎はテーマを設定したことについてこう語る。

「これまではイベントをやること自体に必至だったけど、今回実質3回目ということで。やっぱり、テーマがないとお客さんも楽しみ方が分からないと思うんです。テーマっていう一つの道筋があれば、『このテーマでこのチームはどんなことをやるんだろう?』ってイベントとしても理解しやすいと思うし。あと、本当にぶっ飛んだことにチャレンジする時もテーマがあった方が必然性が生まれてやり易いんですよ。今後も毎回、テーマを設けてやっていくつもりです。」

今回の「-SEN-」というテーマは9月にリリースした「新宝島」にある「線」という歌詞から出発している。このテーマ「-SEN-」に添って、様々なコンテンツがNF CULTURE LOUNGEにて実施された。

まず、登場したのがRed Bull Music Academy Presents LOST IN KARAOKEのNF Roomでも披露した作成進行型のインスタレーションだ。テクノロジーが融合した「光の線」による前衛的なアートと、和太鼓バンドGOCOOが打ち鳴らす、本能的なグルーヴがリキッドルームに強烈な違和感を生み出した。

Shinichi Miter(KiKi inc.)
Yusuke Tanaka(Caviar)
Atsuyoshi Edahiro(cinq-art co.,ltd.)
Tomoaki Yanagisawa (Rhizomatiks Research)
GOCOO

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次にプロアングラー辺見哲也氏による釣りのキャスティング体験、そして音楽雑誌MUSICAの連載である「山口一郎 世界を釣る」の公開収録も実施された。音楽イベントの中に釣りの体験コンテンツがあるのは驚きだが、サカナクションのイベントとしては必然とも言える。この企画における「-SEN-」とは、釣り糸が描く放物線のことだ。

そしてRhizomatiks Researchによる、サカナクションのライブではお馴染みのレーザーの体験も。NFのロゴの下に名前や好きな文字を打ち込んで、参加者自ら光の「-SEN-」を作り出す。これはファンにとってかなり嬉しいコンテンツだろう。

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 REFLECT

今回Part.1〜Pat.2では、山口一郎とAOKI takamasaが9月にパリのコレクションで行われたANREALAGEの2016 S/S COLLECTION “REFLECT”のショーにて使用された音源を使い、パフォーマンスを行った。もちろんANREALAGEの光に反応して柄が浮かび上がる、特殊な衣装を纏っての登場となった。Part.1ではオーディエンスが彼らのプレイを間近で見ることができる形式だったが、2人が実際に何をやっていたかはあまり分からなかったのではないだろうか。

2人の役割を大まかに解説すると、トラックはAOKI側のMacから流れており、AOKIが曲を繋いだり、ミキサーをいじったり、プレイのベースとなるものをコントロールしている。そこに山口が様々な場所でレコーディングしたバイノーラル音源や効果音を”TRAKTOR”というDJソフトでリアルタイムに重ねていき、セッション形式で音楽を作り上げている。つまり二度と同じ演奏はできない、ナマモノの音楽ということだ。あくまでもライブにこだわる山口らしい手法といえる。

そして今回、山口とAOKIのユニットが正式に結成することが発表された。リリースも予定しているとのことだが、正式なアナウンスを待つことにするとしよう。

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 Akufen

今回の出演者の目玉はサカナクションのメンバーがリスペクトし、待望の出演となったカナダのトラックメイカーAkufen。
筆者は翌日のイベント出演の流れでブッキングをしたのかと思っていたが、サカナクション自ら正面を切って、来日のオファーをかけたと言う。山口はAkufenの魅力をこう語った。

「Akufenの音楽ってクラブ・ミュージックに慣れていない人たちもすごくキャッチーに届きますよね。テック・ハウスっていうジャンル自体すごくフロアで盛り上がるし、どこかファンキーなところもあるよね。”楽しい”っていう部分がちゃんとキープできているというか、突き放し過ぎないところがAkufenの魅力だと思います。」

本人も「攻めたね(笑)」と言うように、山口はこの日の自身のソロDJでもAkufenを意識したファンキーな選曲となっていた。

AkufenはPart1、Part2と続けて出演したが、Part1では「AkufenのDJをこんな近くで観られること絶対ないから! みんな、めちゃくちゃ凄い体験をしているんだよ!」とオーディエンスを煽り、スピーカーの真ん前で一番楽しそうに踊る山口の姿が印象的であった。

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 BOOKING

今回ブッキング・アクトとして出演したのはカナダのAkufenの他にDJのMAA、So Inagawa、Daito Manabe+Setsuya Kurotakiの3組である。これまでの回も含め、NFのブッキングの意図について山口に話を聞いてみると、

「本当に僕たちが好きな人たち、僕たちがリスペクトする人たちに積極的に声をかけています。このイベントで若いアーティストをフックアップするという感じはまだないですね。彼らには彼らの場所があるだろうし。どちらかと言うと、僕らが尊敬する人たちをNFで知ってほしいという気持ちが大きくて。いずれ行おうと思っているレイブ・パーティーに呼びたい人たちって感じですね。

呼びたいアーティストは挙げればキリがないけど、引き続き僕らが好きな人たちを呼んで行きたいです。声をかけてもダメになることはたくさんあるけど、今回Akufenをブッキングできたことで、海外のアーティストもブッキングしやすくなったと思うし」

と今後も積極的に海外からアーティストを呼んでいきたいと語った。

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 TALK

本イベントでは毎回音楽業界内外から音楽に携わる人物を招き、リラックスしたムードのなか興味深いトークセッションが繰り広げられているが、今回はANREALAGE 2016 S/S COLLECTIONの他、様々なショーの演出を手がける金子繁孝氏に山口が”演出家の仕事”について話を伺った。

また”TREND OF CLUB MUSIC 2015″と題し、サカナクションの江島啓一の司会のもと、老舗レコードショップTECHNIQUEの佐藤吉春氏とDJ Taro氏を迎えて今年のクラブ・ミュージックの世界的なトレンドを探るトークセッションも行われた。AkufenがリキッドルームでDJをしている時間帯と被っていることもあり「僕らの話を真面目に聴くよりも、下のAkufenで踊った方がいいですよ! そっちの方がモテます!」と話をすぐに終えようとするTaro氏の発言に会場は何度も爆笑に包まれた。

また、トークセッションを終えた江島はこうも語っていた。

「Taroさんが言っていた、話しを聞くよりも踊った方がいいっていうのはある意味真理だと思います(笑)。クラブ・ミュージックはJ-POPとかと違って、『誰かが聴いていた』とか『テレビでよく流れていた』ということにあまり左右されないジャンルだと思うんです。だから他人からの情報じゃなくて、自分の感覚でレコードを選ぶっていう”宝探し感”があって。自分の耳だけを信じて音楽を探すって、趣味として理想的だと思います。レコードやクラブミュージックを掘る楽しさに気づいて貰えたら」

最後はMCにNuméro TOKYOのエディターである軍地彩弓を迎え、「-SEN- Installation」のクリエイター・チームと共に作品そしてNFの意義を紐解くトークセッションが行われた。サカナクション・メンバーの出演がない中でも多くのオーディエンスが彼らの話に耳を傾ける姿が印象的であった同セッションでは、”NF”の核心に触れるようなことも多く語られていた。

このトークセッションの内容の全貌は『Numéro TOKYO』のサイトに掲載されているが、最後は下記の一文でまとめられている。

──インタラクティブな部分に、ファン含めここにいる全ての人が参加している。サカナクションの世界の中に、すでに参加しているんですね。何より、NFはここにいるようなクリエイションの仕掛人たちが、会場をとにかくうろうろしているということ。インプットからアウトプットまで、この現場を目撃できるチャンスが平等にある。もの作りって楽しいなという気持ちからアイデアが生まれて、そのアイデアが違う人の意見でもっと膨らんで行く。そういう楽しみを知ってほしいですね。言葉にしていくと、ライゾマティクスリサーチのような“魔法使い”が叶えてくれるかもしれませんから!
(出典: サカナクション 山口一郎が仕掛ける「NF」が提示する、未来の価値とは? ーNuméro TOKYO)

音楽そのものの力、そして空間を創ることの意義や空間から生まれてくるパワーとは何かを改めて考えさせてくれるトークセッションであった。

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 NFのこれまでとこれから

0回目も含めると通算3回目となる今回の”NF”。オーディエンスの変化を山口はどう感じているのだろうか。

「めちゃくちゃ変わりましたね。オシャレな人が増えたし、みんな自由に踊るようになったし、お酒も飲むようになったしね。あと、どの場所にも偏りなくたくさんの人がいるようになったのもとても良いことだと思う」

また、NFに遊びに来てくれた人たちに、「どんなことを感じてもらえたら嬉しいか?」と尋ねると、

「音楽が好きだということで、他の事も好きになれる能力というか、キャパシティが自分にあるという事を感じて貰えたら良いなと思います。また、色んなジャンルの人たちもみんな音楽が好きなんだなということが分かると、自分に色々な可能性があるということにも気づいてもらえるんじゃないかな。あと、自分の知っている音楽以外にも色々な音楽があるということをイベントを通して知って貰って、イベントがまた新しい音楽を探すためのツールになるといいなと思います」

と答えた。”色々な可能性”とは、例えば、「音楽と関わる仕事をしたい」と思った時に、その方法は何も音楽業界やメディアに入るだけではないということが、NFに来れば気付けるハズだ。音楽好きであること自体が大きな可能性であるということは筆者も身を持って感じている。

NFの今後についてだが、インタビューの中で「実は、1月のテーマはもう決まっています。次は『SEARCH』です。」と山口は語った。

山口が度々口にする「探す音楽」という言葉、そして”NF”のサーチライトのロゴ。『SEARCH』はこのプロジェクトの核に触れるテーマでもある。きっとまた我々をアッと驚かせてくれる企画を用意してくれることだろう。
なお、今後は地方での開催も予定しているという。

知れば知るほど、考えれば考えるほど、”NF”への興味は尽きることがない。引き続き、このプロジェクトの動向には注目していきたいと思う。

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関連リンク
NF
サカナクション

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