SPIN.DISCOVERY-VOL.02-の連動企画で実施したLUCKY TAPES × 藤澤 慎介(THISTIME RECRODS)の対談ですが。話は熱く、深く、脱線に脱線を重ね90分に及びました。LUCKY TAPESやHey Annaに関する対談はこちらからご覧いたければと思いますが、LUCKY TAPESの高橋氏がHey Annaを見つけたきっかけのエピソードから日本と海外の音楽メディアの話になりました。カットするには勿体ない内容、そしてSpincoasterのメディアとしてのスタンスを少し、お伝えできる内容だったので、別記事として作成しました。音楽メディア等に興味のある人はぜひ。(Interviewer:Nojima)
(前回の対談の続きから)
藤澤:そう言えば、どうやってHey Annaを見つけたの??よく見つけたね。
高橋:当時、WEBの音楽ブログすごいチェックしてて。
藤澤:外国のブログ?
高橋:いや日本人のブログです!
濱田:逆にそれ誰が書いたん?
高橋:えーっとどこだっけなぁ?
藤澤:どこかめっちゃ聞きたいわ…!
高橋:そうだ!Nobody Loves Me だ!
藤澤:あーそうだ!取り上げてた!!
高橋:Nobody Loves Meよくチェックしていて、それでHey Anna知って、Bandcampでずっと聞いていたんですよ。Spincoasterも取り上げる前。去年の5月とかかな?
藤澤:(ウチで)出してから知ったんだ。けっこう日本の洋楽ブログって限られてるじゃないですか?PUBLIC IMAGE REPUBLICとか。
–それ、ウチ(Spincoaster)のキュレーターがやってるブログですよ(笑)
藤澤:そうだったんだ(笑)逆に海外って音楽ブログ死ぬほどあるじゃないですか?でも、日本はTwitterが盛んになったからなのかそういうブログが全部なくなっちゃって。昔はけっこうあったのに。海外は逆にブログがめちゃくちゃ増えたように感じます。
–海外はブログをキュレーションするサービスがたくさんありますもんね。
藤澤:そうそう。Hype Machineとか。キュレーションが必要なほどめっちゃあるってことじゃん?
–Spincoasterも先日Hype Machineに登録されましたよ(笑)
藤澤:ほんと日本ってSpincoasterが出てくるまで、洋楽扱うところが一気になくなっちゃってて。
高橋:indienativeとかはどうなんですか?
藤澤:あれはブログと言うよりは、ニュースサイトかな。超見てますね。
高橋:Spincoasterはニュースサイトではないんですか?
–どっちかというとブログよりです。ニュースリリースは届きますが、チェックして個人が音源として引っかかったものだけ。あと、そのニュース原稿はできるだけ使わないようにしています。
藤澤:「自分コレ好きっす!」ってオススメしているもんね。
高橋:あーなるほど。
藤澤:めちゃくちゃ残念なんですよ。日本はみんなTwitterで「これ良いっす!RTよろしこ!」みたいな(笑)いや、それ見てないからー!ブログに書いてくれー!って(笑)
–おかげさまでSpincoasterは検索からのアクセスがけっこうあるんですよ
藤澤:もうないからね。日本語で取り扱ってるブログが。ブログの名前出しといて!Nobody Loves Meって出しといて。
高橋:でも最近、更新されているのかな?
藤澤:してないのかぁー…!みんなブログとかリアクションしないんですよね。だからモチベーションが上がらない。海外は書いたことに対してTwitterが盛り上がるんだけど、日本は逆でTwitterに書いたことだけ盛り上がるみたいな感じじゃないですか?リンク先すら見てない。
–確かに反応がないから、読んでいただけてるのかどうかすら分からないですよね
藤澤:海外だとPR会社に頼むと全部ブログに送るんですよ。ようは個人のブログがナタリーとかと同じ位置にいるわけ。それが世界中にめちゃくちゃあるわけ。世界がどんどん近くなっているから、香港だろうがシンガポールだろうが、みんな同じ音源をイイネ!ってするんだけど、日本だけはそのシステムがないんですよ。
–だから音楽性もガラパゴス化していくんでしょうね
藤澤:そう。だからプロモーションが日本はすごく難しいと思う。海外はまずブログに情報を落とす。「世界で一番最初にこの音源紹介したいだろう?」「プレミアにしたいだろう?」て言ったら「はいはいはいはい!」って食いつくんですが、日本だと「そういうの面倒くさいんで、まずニュース原稿送ってもらっていいすか?」みたいな(笑)
–日本はもうイベントに出るしかないって感じですよね。フジ・サマソニ・ホステスとか。
藤澤:そうそう。もう頭おかしいブログとか出てきて欲しいですよね。「こいつ時間よくあるな!」みたいな「こんなに書いて何やってんのこいつ!?」みたいな(笑)
一同:爆笑
藤澤:昔は「こんなどうしようもない音源よく書くなー」みたいなブログもたくさんあったんですけどね(笑)みんなTwitterで一言書いて終わりみたいな。影響力がないですよね。特定の人のRT見てるくらいですよね。だからそういう事をアーティストに言って欲しい。「このブログ見てたら、こんな楽しいバンド見つけました!」って。
濱田:それこそさっきのNobody Loves Meみたいに。
藤澤:多分、書いた人がそれを見かけたら、テンションぶち上がって1周間に5個くらい記事更新すると思う(笑)最近めちゃくちゃ更新あるな!と思ったらアーティストの誰々が紹介してたみたいな。
高橋:そしたらまた見直しますもんね。最近あまりチェックしてなくても過去の記事も遡って。
濱田:モチベーションにつながりますね。
高橋:Bandcampってフリーダウンロードでも良質な音源がたくさんあるじゃないですか?数がありすぎて個人で発掘するのが難しいから、紹介してくれるサイトがあったら嬉しいですよね。
藤澤:で、そいつの趣味が結構ツボだったらずっと見ちゃうよね?
濱田:探す手間も省けますよね。
–Spincoasterっていう音楽メディアがあるんですけど…
一同:爆笑
藤澤:そうそう(笑)Spincoasterはそれをやるために生まれたんだよね。Spincoasterはかなり希望なんですよ。本当に。今でこそ色々その実態について語られる場が増えてきたけど、まだまだメーカーからお金とれるかどうかっていうのが基準で、このバンドは好きだけどお金もらえないから取り上げてる暇ないってことがけっこう常態化してるから。Spincoasterはそんなこと関係なしに「オレこのバンド好きだから書くっす!」ってスタンスじゃないですか?そして、それを会社としてやってるっていうのが好きなんです。会社でやるって何がいいかって「回さなきゃいけない」じゃないですか。モチベーションが必要なんです。だからめげない。誰も見てなくてもめげない(笑)そのハートが超大事で。レーベルやってていつも思うのは「めげない」(笑)「このバンドいいっしょー!?」って言ってRTゼロ、「……うん、いいっしょー!?」って言い続ける(笑)
一同:爆笑
濱田:ダワさん(FLAKE RECORDS)のTwitterとか見てたらそんな感じですよね。深夜に1人に飲みに行くって言うた日はすごい深いこと言ってらっしゃる(笑)
藤澤:そうそう(笑)「お前が好きな音楽、おれも好きだよ!」ってちゃんと盛り上がってもらったらもっと綺麗になるのが、「いや、でもお金もらえないから言えないです」って言う世界って辛いじゃないですか。マネタイズするのがどこかは置いといても、Spincoasterはそれを根幹に据えてやっているわけだから、希望があるんですよ。
海外って今、2強とか3強みたいな状況ってあんまりないんです。むしろ、それを取りまとめてるやつがお金をもらってる。WEBサービスとかポータルサイトとかPR会社とかね。一個、一個がお金取るんじゃなくて全部まとめて。日本だけそのシステムから外れちゃった。だから音楽PR会社って日本にあまり無い気がします。海外だから良いとかそういうわけじゃないですが、PR会社が個人にお願いしてくるのって単純に痛快じゃないですか。だから個人で「私はこれが好きなんです!」ってちゃんと発信してくれる人がいっぱいいて欲しんですよ。よく言うんですがダワさんみたいにレコード屋じゃなくても「大工なのにめっちゃ詳しい人」とか「服屋なのにやたら音楽の情報発信してる人」とかそういう人がどんどん出てくればいいなぁと願っています。
–Spincoasterもそういうキュレーターを求めています(笑)
一同:笑