昨年5月にこんな記事を書きました。
http://hihiwhoopee.tumblr.com/post/86105243758/video-special-favorite-music-special-favorite
それから1年、Special Favorite Musicはとんでもない音源『ROMANTICS』を完成させてくれました。
現在試聴用音源として4曲のティーザーが試聴可能なので、それぞれを簡単に説明しましょうか。
まず、1曲目「Summer Serve」はCymbalsが真っ先に頭に浮かぶ、スピード感のあるポップナンバー。この曲を初めて聴いたのは昨年末のライブで、バンドの瑞々しさとも相まってド肝を抜かれた覚えが。これが今年の夏を彩ると思うと今からワクワクする。そして2曲目「Sweet Days」と3曲目「Railway」については、“渋谷系”という文化の生まれるよりも、“シティポップ”という近年では曖昧模糊になってしまったカテゴライズが定着するよりも前の文脈に参照点があることを記しておきたい。
このティーザーにもある程度のヒントが隠れているが、それは松田聖子や中山美穂、小泉今日子であり、YesやGENESISのこと。70~80年代の歌謡曲は、如何にして洋楽のヒット曲を日本人歌手向けに作りかえるか、そこにどう和のメロディを乗せるかというポップス職人たちのこだわりにより、ハイクオリティなトラックとマス向けの歌が共存していた。Special Favorite Musicがそうなれるだろうと確信できるのは、ラストの「GOLD」を聴けばわかるだろう。
ダンサブルな歌謡曲を鳴らすバンドサウンドに管と弦が加わって、男女のツインボーカルが合わさればもう完璧。楽曲序盤から2サビまではじわじわと焦らしつつ、ラスサビで高揚感が一気に頂点へ到達する。今年色々聴いてきたなかでは、スバ抜けて多くの人に届くべきポップスだと思ってるし、このミニアルバムを機に彼らのことをもっと知って欲しい。
最後に。個人的にNOKIES!は結成当初から見てきたため、約5年ほどになるが、クメユウスケという男の才能は底が知れない。現行の海外インディーと共存できる音を作ることもできれば、同プロジェクトでは抜群の国産ポップミュージックを生み出してみせる。これを天才と言わずして何と言おうか。
(Text by Takumi Nakamura)