台湾のラッパー・SOWUTがテクノ・コレクティブ〈Smoke Machine〉のdiskonnectedとコラボ

台湾のラッパー、SOWUTがテクノ・コレクティブ〈Smoke Machine〉と『Organik Festival』の合同創始者、diskonnectedとコラボした新曲「JOY」、「Benjamin」をそれぞれリリースした。

台湾アンダーグラウンドのシーンの中でキングとして名を馳せているSOWUT。若い頃に過ごしたというカナダでの生活が彼の音楽スタイルに影響を及ぼし、本土に帰省後はHigher BrothersのMa Siweiを初めとしたメインストリームからローカルなラッパーたちまで、数々のコラボを果たした。2020年にはファッション・ブランド〈吉豐重工Guerilla Group〉が主宰するレーベル〈NXWV〉（Nextwave　新浪潮）に加入。Netflixオリジナル番組『Rhythm + Flow』と同規模の台湾発ラップ・バトル『大嘻哈時代 The Rapper』に参加し、業界からはチャンピオン候補として注目を集めた。「JOY」、「Benjamin」の2今日は番組内でも披露した新曲となっている。

この2曲はBerghain、『Boiler Room』などのワールドツアーやDasha Rush、Ben UFO、Blawanとも共演を果たすdiskonnectedが編曲を担当。ドリルをベースにテクノのインダストリアル感を重ねるといった実験性を湛えいた1曲になっている。SOWUTの柔軟なフローとラップ・スキルも存分に感じられる作品となっている。

また、「JOY」のMVでは皮肉な歌詞に合わせ、無限に広がるミラー反射を隠喩に、各時期の自分との対話という意味が込められているという。さらに、様々な角度からのカメラ割は、アーティストとして感じる他人の目線を表現しているという。さらに、SOWUTが《N、X、W、V》のハンド・サインにカメラを落としてぶち壊すと言ったエンディングが、ラッパー・キャリアの締め括りや、新しいチームとこれからを作るという未来への期待が感じられる。

「JOY」のテーマがダークで自省的ならば、「Benjamin」は過去と区切りをつけて明るい復帰のイメージ。テクノ・トラップなアレンジに、サウスの手法と合わさった幅の利かせたフローが印象的な作品となっている。さらに、MVでは『ベンジャミン‧バトン数奇な人生』（原題：The Curious Case of Benjamin Button）からインスピレーションを受け、ラッパーとして10年間サバイバルした結果、自分を磨き直すことに揺るぎない態度を示唆している。人生を「Benjamin」に例え、生まれたての赤ちゃんのような熱意と自我主張を音楽に注ぎたいという初心を呼び覚ますような作品となっている。

MVは両方とも〈NXWV〉が制作。〈NXWV〉は〈吉豐重工Guerrilla Group〉と映像コレクティブ・GJ94が2020年に新たに立ち上げたマルチ・メディア・レーベル。〈吉豐重工Guerrilla Group〉は〈Lex Record〉のGILA、Do HitsのHowie Lee、Smoke Machineのdiskonnectedと長期間に渡ってコラボ・プロジェクトを運営している。