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Billie Eilishが3rdアルバム『HIT ME HARD AND SOFT』を5月17日（金）にリリースした。
本作は先行シングルのリリースはなく、全て新録の10曲で構成されている。広大なオーディオ・ランドスケープを旅し、リスナーをあらゆる感情に浸らせるまさに映画のような、多様でありながらまとまりのある作品だ。Billie Eilishはアルバムを「曲の家族」とし、初めから終わりまでアルバムを一貫して聴いてほしいと考えている。アルバムのリリースを目前に、NYとLAで開催されたアルバム試聴イベントでは、ブルックリンにあるバークレイ・センターの16,000席全てが、LAのキア・フォーラムでは13,500席が埋まり話題となった。
また本作のフィジカル・フォーマットはエコフレンドリーな素材でリリースされ、廃棄物を最小限に抑え、環境に配慮した出来る限りリサイクル可能な素材を採用している。
以下、同作リリースに際してのオフィシャルインタビューを掲載する。
Billie Eilish オフィシャルインタビュー
――このアルバムはいつ頃から制作していたのでしょうか。制作秘話などがあれば教えてください。
アルバムの制作を始めたのはたしか2022年の10月あたりだったと思います。けど、今思えば2022年の8月に“BITTERSUITE”のフックと歌詞を書いたんだけど、それから全然手を付けていませんでした。もちろん、それが何かのためになるとか、このアルバムのためになるとか、そういうことは考えていませんでした。
アルバムを完成させたのは今年1月か2月なんですけど、実際のところ昨年の5月までほとんどアルバムの制作はしていませんでした。だから、それほど長い期間制作していたわけではありません。
アルバムの裏側のストーリーとしては……すぐ思いつくのは、私は子供の頃から過剰運動症候群で、そのせいで常に怪我をしたりしていて。それが原因であることもあれば、違う原因のときもありました。前に足の指を怪我したんですけど、原因などが一切わからなくて、2年間くらい治らない状態のままでした。去年の5月に足の指にステロイドの注射を打ちに行って、すごく痛かったです。病院の人は「絶対よくなるし、治ります」って言ってたけど、いつものように治らなくて、一日中その足に体重をかけることができなかった。そこまで痛くなるとは思わなかったし、朝6時に起きて病院まで片道1時間の道のりを往復して。運転もできなかったから、嫌なことばかりでした。
しかもその日はうつ病が激しくて、すべてが積み重なっていました。作業をするためにFinneasの家に送ってもらったんですけど、ソファーに座りながら、「今から音楽を作るなんて信じられない」って思っていました。でも、その日が“THE GREATEST”を書いた日で、そのおかげで残りの曲も書き始めることができました。それ以前は何も形になっていなくて、計画も自信もありませんでした。私たちは緊張感を持っていて、その日はとても辛かったし、音楽を制作できる気がしなくて、それについて話していました。ブリッジ以外の部分が全てその日に完成して、アルバムのインスピレーションとコンセプトも完成した日でした。
――楽曲“LUNCH”について教えてください。
すごく楽しい曲だと思う。この曲はフックを思いついた瞬間に、2人で「いい曲になる」って思いました。最終的にどのような形になっても、すごくいい曲になると確信できたんです。自分でもよくわからないのですが、すごくポップな曲で、最初はそれが少し怖かったんです。私もポップの世界にいるけど、その世界に入り込むことに対していつも躊躇していたから。
でも、この曲は大好きだし、歌詞もクレバーで楽しくてクールだと思います。
――“LUNCH”のMVについて教えてください。
MVはわかりやすいと思います。私が小さい頃から大好きだった90年代ヒップホップのMVへのオマージュを込めた作品を作りたかったんです。昔のビデオで使っていたカメラを用いて、当時の雰囲気を表現しています。ただ私が踊ってるだけの内容ですが、楽しいし大好きです。
裏話としては、MVには食べ物を食べているシーンがあるのですが、いいテイクが撮れるまでずっと食べている必要がありました。サンドウィッチを丸々ひとつ食べて、ピーナッツバターとジャムのサンドウィッチを3つ、クッキー、さくらんぼ、オレンジ、またクッキー、イチゴ、リンゴ、オレンジジュース、りんごジュース、チョコレートミルク……などをずっと食べたり飲んだりしていて。楽しそうに聞こえるかもしれませんが、実際は逆でした。お腹が空いてなかったから、飲み込まずにバケツに吐き出すような感じでした。グラマラスでしょ？
――楽曲“CHIHIRO”のテーマやエピソードについて教えてください。
“CHIHIRO”は日本人女性の名前。大好きな曲のひとつで、曲のタイトルと私にとってそれが意味していることも気に入っている。Finneasと一緒にプロダクションに取り組むのはすごく楽しかった。この曲の制作ではいっぱい残業をしました。最初の方に作り始めた曲のひとつでしたが、アルバム制作の最後まで調整し続けていた曲でもあります。最後まで完全に満足できなかったんです。
この曲の制作過程で「私たちはこの曲を楽しめる」、「変わったことをしてもいいんだ」って感じました。そして、これはFinneas & Billieの典型的なスタイルを表現している曲だと思います。歌詞や私の歌い方も、コアな部分と人々に知られている自分をよく表現できていると思いますし、プロダクションもFinneasらしくて、ユニークでおもしろいものになりました。この曲は聴くたびによくなっていく気がします。
――アルバムの中で特に思い入れのある曲を挙げるとすると？
“THE GREATEST”ですね。さっきも話したように、それがアルバム全体を作れた理由だから。私にとってすごく特別な曲で、アルバム全体の芯のような曲だと思う。上手く言葉で表せないけど、本当に大好きで、この曲のおかげでやっと正直になれた気がします。
この曲を書く前、私は「正直になること」ができていなかったと思います。自分に正直になれていなかったので、歌にも誠実に向き合えていなかった。この曲でやっと「ああ、今は正直でいていいんだ」って自分を許せた気持ちになれました。そしてそれは素晴らしいことだと思います。
――日本のファンへメッセージをお願いします。
みんな大好きです。みんなに会うことを楽しみにしています。日本に行くのが本当に待ちきれません。すぐに会いにいきます。
【リリース情報】
Billie Eilish 『HIT ME HARD AND SOFT』
Release Date：2024.05.17 (Fri.)
Label：Darkroom / Interscope / Universal Music
Tracklist：
1. SKINNY
2. LUNCH
3. CHIHIRO
4. BIRDS OF A FEATHER
5. WILDFLOWER
6. THE GREATEST
7. L’AMOUR DE MA VIE
8. THE DINER
9. BITTERSUITE
10. BLUE
