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Буерак / Усталость от безделья


次なるインディ・フロンティアとも言うべきロシア。侘び寂びのあるポストパンクが、秋の景色に溶け込んでゆく

2017.09.13

ロシアのバンド、Буерак(ブラク/英語表記はBuerak)が、2ndアルバム『Скромные Апартаменты』を9月5日にリリースしています。”Modest Apartments”を意味するタイトルと、爽やかなミント・グリーンをマージンとして取り、中央には2人のクールな露美女の佇む写真を配置した印象的なジャケット。そこにはインディ・ポップとポストパンクを掛け合わせたようなサウンドが詰まっており、好きな人はとことん好きなバンドではないかと感じました。

楽曲の中でギターがクリーンに鳴り響いていたり、ハイハットも跳ねていたりする一方で、淡々とした低音ボーカルや、ビートを強調するベースとスネア・ドラムが聴こえてくる様は、2012年前後のインディ・サウンドと80年代のポストパンクが融合したかのようです。というのは上述した通り。

音色や音の感触としては全体的にハッピーなのですが、旋律に侘しさが漂っているせいか、彼ら2人の気だるい態度が似合ってしまうんですよね。この二面性にときめきます。それから、これを聴いていると感情の中に自ずと(というか、極めて受動的に、強制的に)抑揚が生まれてくるので、例えば、ぼーっと突っ立って無意識を旅するときなどにも最適なナンバーと言えるかもしれません。

また、以下のMVはアルバム未収録のシングルのものなのですが、それこそ〈Sauna Cool〉〈ano(t)raks〉『Ç86JPN』などのジャパニーズ・インディと相性の良さそうな。
夏の匂い漂うイントロに始まり、進行とともに少しずつ穏やかな雰囲気を帯びてゆくこちらの楽曲。木々が赤黄に染まり、そのあと落ち葉が舞う11月というよりも、稲穂やススキが陽に輝くような9月――(秋という季節の内で言うと)今まさにこの時期がイメージされ、初秋の風景を彩るのにぴったりです。きっと何でもない公園でさえ、心躍り、はしゃいでしまうような空間に変えてくれるはず。

さて、今回発表されたアルバムは、ポップさとセンチメンタリズムがコンパクトに巧くまとめ上げられており、さらっと聴き終えることができます。それを繰り返すうちに隠れた良さがじわじわと滲み出てくるので、この音楽とともに力を抜いて生活してみるのもきっと素敵なことでしょう。個人的には、2曲目の「Песни Малых Городов」と4曲目の「Свидание В Трамвае」がオススメです。
Буерак以外にも、MotoramaPlohoなどの面々が活躍する広大な国・ロシアのインディ・シーン、掘ってみるとおもしろいですよ。


【リリース情報】

Буерак 『Скромные Апартаменты』
Release Date:2017.09.05 (Tue.)
Label:Свет и Тени
Tracklist:
1. Кафе Для Дураков
2. Песни Малых Городов
3. Иммунитет
4. Свидание В Трамвае
5. Твоя Фигура
6. Дом
7. С Пустым Карманом Ты Всегда Один
8. Усталость От Безделья
9. Забытые Очки


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