INTERVIEW

Tempalay

「自分の中から湧いてくる音楽が嫌いな人はいないって、そういう変な感覚がある」――怒涛の2016年をTempalayはどう駆け抜けたのか

結成から間も無くして”FUJI ROCK FESTIVAL ’15″や”りんご音楽祭”などへ出演を果たし、その勢いのまま2016年1月には1stアルバム『from JAPAN』をリリース。その後も”SXSW”、”USツアー”を敢行したり、盟友ドミコらと共に野外フェスティバルとしての開催を含む自主企画”BEACH TOMATO NOODLE”を2回主催したりと、活発な活動ぶりをみせていたTempalay。

そんな彼らが前作からおよそ1年ぶりにリリースした5曲入りの新作EP『5曲』は、根っこにある淡いサイケデリックなグルーヴはそのままに、より多彩な音色と仕掛けで、グンと幅を広げた作品だ。それでいながら、ボーカル・小原綾斗の歌唱スタイル、歌詞からはより明確にポップを追求する姿勢が窺える。

この怒涛の2016年を彼らは一体どのようにして駆け抜け、そしてそこから何を得たのか。1stアルバムのリリースに合わせた前回のインタビューをからおよそ1年。今回は新作のレコーディング作業の一部を行ったというRed Bull Studios Tokyoの会議室にてインタビューを敢行。バンドの現状、さらには今後の方向性などについて話してもらった。

Interview & Photo by Takazumi Hosaka
Location:Red Bull Studios Tokyo

L→R:藤本夏樹(Dr.)竹内祐也(Ba.)小原綾斗(Gt./Vo.)


―まず、1stアルバムのリリースとともに始まった2016年はUSツアーを敢行したり、”BEACH TOMATO NOODLE”を主催したり、様々なイベントに出演を果たしたりと、忙しく活動されてきたと思いますが、今振り返ってみるとTempalayにとってどんな一年でしたか?

綾斗:去年……ちょっと記憶がないですね(笑)。記憶がないくらいの怒涛な一年で、地に足が付いていない状態というか、振り回されていたというか、そういう状態だったっていうイメージですね。3月のSXSW過ぎて、夏以降くらいからやっとその1年間を吸収し始めたというか、それが糧になってきたという感じもすごくしていますけど。あと、すごく仲悪くなりましたね。

―メンバー間で?(笑)

綾斗:はい。アメリカですごく仲悪くなって(笑)。なんならもうほぼ解散みたいな状態にまでなりましたね。そこから日本に帰ってきて、2、3回ライブした辺りから「これ、マジで俺ら売れてないな」って思い始めて。

―売れていないとは?

綾斗:そう。一昨年フジロックに出演させてもらって、昨年はアメリカまで飛んでSXSWに出させてもらって、「あれ? これ売れたんじゃね?」って勘違いしてアメリカから帰ってきたんですけど、2、3ヶ月くらい経ってからその状況をちゃんと確認し直したというか。だから、結局はそういう1年だったと思いますね。その結果、今年は本格的に地に足つけて行こうってことになりました。

―SXSWから帰ってきて2、3ヶ月というと、夏くらいになると思うのですが、そこから2016年はまだ結構ありますよね。2016年の後半はどうでしたか?

綾斗:本当に音楽で飯を食うために、自分たちでしっかりと行動をしなきゃいけないなという感覚になったので、結果的に振り出しに戻った感じはあります。

—それは何かキッカケがあったのでしょうか?

綾斗:5月くらいに大事なライブがあったんですけど、僕らそこでほんまにカスみたいなライブをしてしまい。その時はまだそのライブの大事さというか、そこに出演できることのすごさを全然分かっていなくて、「そら出れるやろ」くらいに思っていたんです。でも、終わってから色々な人に怒られて、反省して、そこからほんまにちゃんと練習するようになりました。その頃は練習もあんまりしなくなっていたので……(笑)。

夏樹:やってたね。それから週2くらいでね。。

綾斗:そこから「ちゃんと練習する」を目標に(笑)。

—初心に立ち返るというか(笑)。その、大事な機会を活かすことができなかったっていうのが、バンドとしてのモチベーションを持ち直すキッカケになったと。

綾斗:そうですね。それまでにもきっとチャンスはいっぱいあったのに、そういうものに対して適当に接していたなっていうことに気付いたというか。そういうツケが回ってきたんだなって。なので、今はそのツケを返しつつ、次そういう機会がきた時に向けて準備しているというか。だから最近はすごく調子がいいですね。バンドとしてのモチベーションやメンバーの関係性とかも。

―SXSWとUSツアーでメンバー間の関係が悪くなったとお聞きしましたが、それを持ち直したのも同じようなタイミングで?

綾斗:そうですね。確認し合ったわけではないんですけど……。

夏樹:そもそも元から仲悪いバンドではなかったでしょ(笑)。

綾斗:だからもとに戻ったというか。

―外から見てると仲よさそうなバンドに見えます。

夏樹:ただアメリカで本当に仲悪かったですけどね(笑)。

―それはツアーが過酷だったから?

綾斗:というか……全員のモチベーションが一緒じゃなかったんですよね。そんな状態でSXSWとUSツアーっていう過酷な状況に放り込まれてしまって、各々の感情が爆発したというか。そこのモチベーションの統一が出来ていなかったことが一番の原因ですね。なんならベース(竹内祐也)はアメリカで1回辞めてるので。
そこから色々とお互いの気持ちも確認し合って、戻ってきて、そのモチベーションの統一っていう部分も今はできてきたかなって。でもそれは言葉としては確認し合ったりはしてないですね。

―では、今回リリースされる新作EP『5曲』についてお訊きしたいと思います。まず収録曲自体はいつ頃から書き始めていたのでしょうか?

綾斗:曲自体はだいぶ前からありましたね。まず、アメリカに行く前に「New York City」の原型みたいなものはできていて。あとアメリカ滞在中、ロスで「Austin Town」、「ZOMBIE-SONG」、「San Francisco」の3曲を書きました。そこから日本に帰ってきて最後の一曲「CHICAGO in the BED」を作ったっていう感じですね。元々はアメリカに行った思い出みたいなアルバムを、自主でリリースしようとしていたんですよ。

―レーベルとかも関係なく?

綾斗:はい。関係なく。それが伸びて伸びてこうなったんですよ(笑)。だから、自分の中では既にすごい昔の曲っていう印象もありますね。最初は夏ぐらいに出そうとしていたんで。

―メンバー間の仲も悪くなったりと、過酷な環境だったUSツアーですが、それでも今振り返ってみると、経験できてよかったなって思いますか?

綾斗:それはめっちゃ思いますね。

夏樹:単純に一旦後悔したんで、もし次行ける機会があったらその経験を色々と活かせると思うし、仲悪くなったのも今振り返るとよかったんじゃないですかね。一旦そういうのがあったからこそ、今のいい状態があると思うので。

綾斗:あとは、単純にアメリカをいっぱい見ることができてよかったですね。出演したライブ以外でもクラブとかライブ・ハウスにも行ったし、アメリカでカッコいいことをやってる人もいれば、自分たちの方が確実にカッコいいだろって思うくらいダサい人もいたけど、そこに真摯に向き合ってるアメリカのお客さんの感じというか、雰囲気が自分の中では一番グッときました。
そこから日本に帰ってきて、自分の中で一旦感情を整理したんですけど、やっぱりもう1回行きたいなって改めて思いましたね。ちゃんと考えて、準備してからもう一度勝負したいなって。自分たちがやってる音楽は、決してアメリカで評価されない音楽じゃないと思ってるので。あとは……単純にキレイな所でしたね。キラキラしているというか。音楽だけじゃなくて全部。街並みも人も。

―やはりそういう憧れ的な部分もありつつ?

綾斗:そうですね。僕はニューヨークが好きだし、なんか憧れるんですよね。

―3曲目の「ZOMBIE-SONG feat.REATMO」以外は、全て曲名に直接アメリカの地名がついていますが、それはやはりアメリカの思い出的な作品という構想があったからなんですね。。

綾斗:そうですね。5都市回って1都市毎に1曲っていうのを順番に出そうか、みたいなことを考えていたんですけど、それがこういう形になりました。
アメリカ行く前に原型ができてた「New York City」は、NYのこと思い浮かべて作ったわけではないんですけど、後々歌詞をNYっぽく当てはめて。もちろん他の曲はそれぞれの土地を想像しながら作りましたけどね。「ZOMBIE-SONG feat.REATMO」も一応サンタモニカ、ロスをイメージしながら作った曲で、他はタイトル通りですね。

―レコーディング自体はいつ頃から始められたんですか?

夏樹:プリプロできたのが10月くらいかな? 本番のレコーディングは2ヶ月前、12月の頭くらいには終わりましたね。

綾斗:間にちょっと色々あったんですけど、トータルで2週間くらいかけて録りました。結構ギリギリで、マスタリング終わったのが12月末くらい。

―今回はアレンジにこだわっているのが伝わってくるというか、音数が増えましたよね。

綾斗:音色は増えているかもしれないですね。でも、逆にギターとかはかなり少なくしたつもりなんです。今はライブ時にAAAMYYYYがシンセでサポートに入ってくれているので、そういうのも意識して作ったというか。自分の中では一応ライブでも再現できるぐらいの音数にはしたつもりです。でも「New York City」に関しては敢えてゴチャゴチャにしたかったんですよね。あれは一応隙間を狙ったというか、あとは単純にゴチャゴチャしたのを一度作ってみたかったんですよね。足し算で作る音楽っていうか。もちろんその方がNYっぽいなって感じもしたからっていうのはありますけど。

―では曲作りの面でも、大きな変化はない。

綾斗:そうですね、大きくは変わらないですね。ただ、さっきも言った通りシンセがあるので、そこの部分だけは家で作ってスタジオに持っていくっていう方法より、スタジオで即興で作ったりっていうことが多かったですね。

祐也:バンド・サウンドの骨組みは既に出来上がっている状態で、そこに即興で合わせて音を乗っけて録っていくって感じですね。

夏樹:シンセのパートだけ最後まで決まらないので、みんなでイジってみて「お、それいいじゃん」ってなったものをプリプロで録ってみる、みたいな。

綾斗:結局これまで自分で作ってきた曲では、シンセっていうものをあまり取り入れてなかったので、何となくのイメージで「こういうの入れたい」っていうのはあるけど、それをどう具現化したらいいのかわからなかったんです。だから、そこはもう何も考えずにスタジオに持って行って、その場で決めちゃう、みたいな。

―シンセが入ったことにより、曲の方向性が変わることはありましたか?

夏樹:主役が変わった曲とかあるよね。「ZOMBIE-SONG」は、最初はギターのリフが主役だったんですけど、その上のシンセの方が主役な気がするってことになり、少しサウンドのバランスを変えましたね。

綾斗:でもちゃんとバランスがとれてると思います。やっぱりシンセを入れるようになって、色々な気づきがありましたね。1stの曲とかも、シンセがないとつまんなかったんじゃないかなって(笑)。

夏樹:ハハハ(笑)。でも、みんなでシンセをイジって「ああでもない」、「こうでもない」ってやるのが楽しかったよね。

綾斗:うん。あと、何か今回はみんな真剣にやっていた気がします。

一同:(笑)。

夏樹:時間があったからね(笑)。

綾斗:ドラムもベースも各々がすごいアイディアを持ってきてくれたりして、それがちょっと楽しかったですね。みんなで作った感というか。それが前回と違った点ですかね。

―ライブで叩き上げていくのではなく、プリプロの段階で3人でじっくり練りながら作った、と。

祐也:今回はそういう感じでしたね。1回もライブでやらずに。

綾斗:あの、ビックリさせたかったんですよね。いきなり「EPを出します!」って。……だけど、やっぱりライブでやっておくべきでしたね(笑)。

祐也:本当に。溜めすぎた感あるよね。

綾斗:今はちょっとずつ披露しているんですけど、いざ「ライブでやるぞ!」ってなった時に最初できなくて(笑)。もちろんまだ披露していない曲もありますけど。

祐也:ようやくセットリスト変わってきたもんね(笑)。

綾斗:でも、その新曲が入って今のセットリストもすごいいい感じになってきてるっていう自覚があるんですよね。

―前作では結構「◯◯ぽいね」って特定のアーティストを引き合いに出して例えることができたと思うんですけど、今回のEPに関しては個人的にそれができなくなったように感じていて。Tempalayのオリジナリティが確立されてきたような印象を受けています。逆にその分、みなさんが最近はどういう音楽に影響を受けているのかなって気になったりもするのですが……。

綾斗:最近ですか……とは言え、曲の骨組みを作ったのがもう約1年くらい前になっちゃうんですよね。……何聴いてたかな……すっとBECKを聴いていたような気がするんですけどね。「Wow」が出たばっかりだったので、それの系統というか、『Midnite Vultures』とかですかね。「ZOMBIE-SONG」を作った時はそればっかり聴いてましたね。

―確かに言われてみれば「ZOMBIE-SONG feat.REATMO」のガチャガチャ感は、『Midnite Vultures』期のBECKっぽいですね。

綾斗:あと、僕はその時KINGにもハマってましたね。アルバムも出たばっかりだったので。メンバー間で流行ったものでは……僕と夏樹は向こうでPort St. Willowとかにハマったり。あとはToro Y MoiがSoundCloudにUPした、僕らも知らないような日本の歌謡曲とかシティ・ポップのミックス音源にハマってましたね。

夏樹:あったあった。めちゃくちゃコアだったよね。俺らも知らないような日本人の曲ばっかりで。

綾斗:後はすごくヒップホップを聴いていた気がします。

―ちなみにその「ZOMBIE-SONG」には、昨年一緒にSXSWに出演していたREATMOさんが参加していますよね。

綾斗:最初ヒップホップの真似事みたいなことをしたくて、単純に”ヒップホップっぽい”って言っても色々あるとは思うんですけど、それでスクラッチとかを間奏に入れたいなと思って最初は自分でイジってたんです。そしたら「あ、これREATMOできるわ」ってなって。本当にノリですね。何でと聞かれても「いいやん!」って思ったからとしか言えない。基本的に僕らはあんまり何も考えてないんで(笑)。

―では、ヒップホップっぽいことをしたいっていうアイディアはどこから?

綾斗:何かここ最近はヒップホップがめちゃ流行ってるじゃないですか。だから、それを敢えて僕らがやることのダサさというか、ダサおもしろさというか。そういうところが上手く表現できたと思います。ラップの感じとか。「ゾンビ」っていうのも何かそういうことを匂わせているような気がして。

夏樹:何か本当に真似事っぽいことをしましたね。本当に難しくてライブでやりたくないなっていう感じなんですけど、逆にこの下手クソで真似事ぽくなってるのがTempalayぽいのかなって思ったりもしますけどね。”へっぽこヒップホップ”みたいな感じですよね。

綾斗:今の世の中だと、無限って思えるくらいに色々な音楽に簡単に手が伸ばせるので、好きな音楽も毎月くらいのペースで変わるんですよね。それこそ3月に自分が作った時と、実際にプリプロとかレコーディングしていた時期ではハマってるというか影響された音楽も違うし、自分でもわからなくなるんでしょうね。でも、だからこそオリジナルっぽくなったんだと思います。パット見ただけじゃわからない感じというか。

―わかります。色々なものがくっついているというか。キメラ感というか。

祐也:なるほど。確かにTempalayってキメラぽいですよね(笑)。

―ちなみにここ最近の気分でいうとどうでしょう?

綾斗:ナウの感じだと、僕はCurtis Mayfieldの『There’s No Place Like America Today』ってあるじゃないですか。「アメリカ最高!」みたいな看板の下に黒人たちが並んでいるジャケの。最近はあれをめちゃ聴いてますね。あのグルーヴ感とか、何かOGRE YOU ASSHOLEぽいんですよね。

―実際にOGRE YOU ASSHOLEの出戸さんがそのアルバムを好きな作品として挙げてましたね。

綾斗:そうなんですね。なるほど。……あとは、Todd Rundgrenの『Something/Anything?』とかを最近聴いてますね。あのアルバムの良さに改めて気づいたというか。今、そういう「ザ・名盤!」みたいなものをすごく聴いてるんです。宇多田ヒカルの『Fantôme』とか。次の僕らのアルバムも、そういう誰も文句を付けない名盤みたいな、そういう感じにしたいなと思ってて。もしかしたらその次のアルバムの方がカッコよかったり、攻めた内容だったりするかもしれないけど、「これはこれでオッケー」みたいな。「これはこれでもう殿堂入り」みたいなアルバム。そんな感じですかね。

―去年大事なライブで失敗してしまい、それが気持ちを切り替えるキッカケになったという話でしたが、新たにEPをリリースした今、バンド全体としてのモチベーションはどこに向いているのでしょうか?

綾斗:メンバー間でちゃんと、具体的な話をしたことはないんですけど、漠然と話しているのはアルバムを作って、おいしいものでも食べたいねって(笑)。
……っていうのは冗談なんですけど、モチベーション自体はヤバいんですけど、どこに向かっているかは自分たちでもわかってない。でも、カッコいいものを作って広めていく作業って、ある意味タイミングの世界だと思っていて。しかも広めていくのは僕らっていうか大人なので。

祐也:思いついたことをすぐやってくれる大人を求めてます(笑)。アイディアはいっぱいあるけどお金とかで実現できないことが結構あるんですよね。それができればもっとおもしろい活動ができるはずだっていうモチベーションがあります。

―そのためには何をすべきだと思いますか?

祐也:そのために作品を作って認知度を上げてみたいなことですかね(笑)。

綾斗:半分ギャグですよ。……半分ギャグなんですけど、半分本気です。もちろん自分らの作品を聴いてもらいたくて作ってます。でも、もっと広めてもらいたいんです。結局、僕らは人に聴かれてないだけだと思ってて、そして多くの人たちに聴いてもらえるためには僕らでは限界があるというか、届かないところがある。もちろん基本的にはカッコいい作品を作りたい、多くの人に聴いてもらうために、多くの人にライブを観てもらうために、って思っていますけど。

―ちゃんと届きさえすれば、掴む自信はあると。

綾斗:だと思うんですけどね。僕らの周りのバンドもみんな同じように考えてると思いますよ。基本的に難しいことはやってないし、なんなら僕ら自分たちのことJ-POPバンドやと思ってるんで。こんなこと言ったら真っ当なJ-POP作ってる人に怒られるのかもしれないですけど。でも、本当にそういうところでは意識が変わったなって思います。
今は受け入れられるための音楽を作りたい。受け入れられなくてもカッコよければいいや、じゃなくて。そういう意味では、歌詞の面でも受け入れられるようになりたい。あの、僕はオリコンチャートがダサいとは思わなくなったんですよね。例えば西野カナのすごさに気づいてきたというか。上手くまとめられないんですけど、音楽で飯を食っていくためのカッコいいやり方って、たぶんすごい色々な方法があって。でも、そういうところのキャパが狭い人たちが、どんどん評論家みたいになっていくんやな、というか。みんな、ちょっと”カッコいいの基準”が狭いんじゃないかと。やれ「ジャニーズがダサい」、「J-POPがダサい」とか。売れていることには一定の理由があって、星野源とかSuchmosだってもちろんすごいと思うし。……何ていうか、カッコよさの幅を広めたい。大分混乱してきましたけど、何を言っているかわかりますかね(笑)。

―わかります。ちなみに、そういう風に意識が変わったことで、リリックの書き方に変化はありましたか?

綾斗:変えようとしてるんですけど、やっぱりめちゃ難しいんですよ。でも、今作の歌詞も頑張ったので、すごい気に入ってますね。

―歌詞の面で言えば、ざっくり噛み砕いてしまうと前回のアルバムよりも具体性が高まったというか。前作通りメロディにも上手く乗っているんですけど、より描き出す風景が鮮明になったというか。

綾斗:そうですね。前は「リズムに上手く乗ればいいや」っていう感じもあったんですけど、宇多田ヒカルの新作の歌詞がすごくおもしろくて、それに引っ張られたり。あと、ドミコのひかるくんに「歌詞は考えれば考えるほどいいよ」って言われたのもあって、結構考えて作りましたね。まぁ今となってはもっとできたんじゃないかとも思いますけどね。これまで歌詞にこんなに向き合ったことはなかったんで、今回は歌詞にも注目してほしいですね。

―リリックの変化に対して、おふたりはどう思われていますか?

夏樹:いやぁ、めっちゃいいですね。

祐也:あと、文句がなくなりました。もっとこうして欲しいとか。普通にカッコいいですよね。

綾斗:前は結構文句言われてたもんね。

―EPの曲はだいぶ前に書いていた曲ということで、今溜め込んでる曲も既にあるのでしょうか?

綾斗:ありますね。でも、僕は基本パーツで作るんで、一曲丸々できてるっていう意味では3曲くらいしかないんですけど。パーツだけならいっぱいあります。とにかく名曲が1曲あれば人生変わるというのはわかってきたんで、次のアルバムではそれを目指していきたいです。

―その名曲というのはいわゆるヒット曲というか。

綾斗:そうですね。(Ykiki Beatの)「Forever」ってことですね。

―なるほど(笑)。では、Tempalayのアイデンティティを保ちながら、その1曲を生み出すためには、何が必要だと思いますか?

綾斗:う〜ん……運じゃないですか(笑)。でも、シュガー・ベイブの『SONGS』みたいな、名曲しかない作品を作りたいという思いは自分の中にあります。「ちょっとメインディッシュばかりで飽きちゃうかもな〜。でも、聴けば聴くほど深いな〜」みたいな作品。車にはそれを絶対置いておきたくなるような作品。自分の子供ができたら聴かせたい、みたいな作品。そこには普遍的なポップさが必要だと思うんですけど、それって意外と僕ら得意なんじゃないかと思ってるんです。

―それはどうして?

綾斗:どうしてだろう……それは言わずもがなというか、聴いてもらえればわかるかなと(笑)。なんていうか、僕は自分の中から湧いてくる音楽が嫌いな人はいないと思うんですよね。そういう変な感覚というか、自信がある。

―Tempalayとしては、常にキャッチーでポピュラーな音楽をやっているという自負があると。

綾斗:そうですね。でも、これからはもっともっとポップな作品を作りたいと思います。SMAPみたいな(笑)。
それで一度認知してもらえれば、あとはもう自由に何もややこしいこと考えずに作品が作れるんじゃないかなって思うので。それが僕らの今の目標です。次、ヤバいアルバムを作ります。

―それはすごい楽しみです。では、作品以外の面では、何か意識やスタンスの変化はありますか?

綾斗:最近。やっぱりライブが楽しくなってきたんですよね。なので、もっとクオリティーを上げて、ガチガチに追求したライブをしたいですね。雑に見えるんだけど実は細部のディティールが追求されているような、圧倒的に他のバンドに勝つライブをしたいですね。そしたらお客さんも増えて、フェスとかいっぱい出れて、おいしいもの食べれると思うんで(笑)。あと、ワンマンとかできたらいいなと思いますけどね。

―そうか、まだワンマンはやったことないですもんね。

綾斗:今まで興味なかったんですよ。出演時間長いからシンドイなって(笑)。
でも、最近になって興味出てきて。自分らだけを観に来たお客さんで会場が埋まるのって……ヤバいなって(笑)。会場のどこ歩いても「あっ!」てなるじゃないですか。そんなの楽しくて仕方ないです。会場を歩き回りたい(笑)。

―そういったライブへの姿勢の変化は、やはり何かキッカケが?

綾斗:幾何学模様とかオウガ(OGRE YOU ASSHOLE)のライブを観て、衝撃を受けちゃったんですよね。あぁいうインプロとか混じってる感じを取り入れていきたいなと思って。あとはUnknown Mortal Orchestraもライブに映像を取り入れたりとかしていて、そういうことを気にし出してから、セットリストが締まってきたというか。前は曲毎のバランスだけを考えてやっていたんですけど、最近はセットリストの流れもすごい意識するようになって。単純にお客さんが増えたということもありますし、色々なところに呼んでもらえるようになったということもあるんですけど、これが上手くいけば何か起こるかもしれないという期待と緊張感をいつも持つようにしています。前はベロベロにならないとライブしたくなかったんですけど(笑)、今は飲まなくてもライブできる。それくらい今はライブが楽しいですね。

―なるほど。

綾斗:幾何学模様って「規制がないと自由になれない」っていう思想の元にやっているようで。音楽理論とかをめちゃくちゃ勉強した上で、それに則ってやっているらしいんです。だから一見適当にやっているようにも観えるんですけど、実はあの中に数字がきちんとあって、その理論の範囲内で自由に泳いでいるっていうことが、聴いてる側の気持ちよさに繋がってるんだなっていうことに気づいたんですよね。だから……僕が言いたいことは……。

―狙ってないように見えて、実は狙ってるみたいな。

綾斗:はい。そういうのがやっぱりグッとくるんだなって。ラフな魅力っていうのもありますし、実際に僕らは今はまだ雑なんですけど、今後はもっと細部を追求したいですね。MCがなくても楽しいライブってあるじゃないですか。洋楽とかだとそもそも外人のMC何言ってるかわからないし。そういうMCなくても、音楽だけで満足できるようなライブ、そういうのをやりたいですね。


【リリース情報】

pcd4549_tempalay

Tempalay 『5曲』
Release Date:2017.02.15
Price:¥1,500 + Tax
Cat.No.:PCD-4549
Tracklist:
1. New York City
2. Austin Town
3. ZOMBIE-SONG feat. REATMO
4. CHICAGO in the BED
5. San Francisco

■オフィシャル・サイト:http://tempalay.com/


【イベント情報】

■ONE × BEAMS SHIZUOKA
2月26日(日) 静岡 BLUE NOTE 1988
w/ yahyel, ZOMBIE-CHANG

■Unknown Mortal Orchestra 来日公演
2月27日(月) 渋谷DUO
w/ Unknown Mortal Orchestra

■『5曲』リリースパーティー & Jerry Paper来日公演 2MAN SHOW
3月18日(土) 東京 渋谷WWW
w/ Jerry Paper(from LA)

■『5曲』リリースパーティー
3月26日(日) 大阪 アメリカ村CLAPPE

■中国ツアー
3月3日(金) 上海 育音堂
3月4日(土) 広州 SD Livehouse
3月5日(日) 深釧 B10 Live

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