INTERVIEW

PARKGOLF

「僕はもうちょっと新しいところに行きたかったんですよね」――新作でより多彩な表情を提示したPARKGOLF。その胸中を語る

札幌出身、現在は主に東京を拠点とするトラックメイカー、PARKGOLFが2ndアルバム『REO』をリリースした。

今作にはおかもとえみ、一十三十一、GOODMOODGOKUなど、多彩なゲスト・シンガー〜ラッパーが参加していることでも大きな注目を集めている。2015年にリリースされた1stアルバム『Par』はゲスト不在のインスト・トラックのみだったことを考えると、より大文字のポップスへと舵を切ろうといった姿勢が伺えながらも、しかし根底にはPARKGOLF特有の、何とも表現し難い独創性が確かに流れている。
そして前作以上にフロア仕様な楽曲が少ない本作からは、クラブ・ミュージックのシーンから芽を出してきたPARKGOLFが、新たな地平へと歩を進めているのだと感じさせる内容となっている。

今回はそんな新作をリリースしたPARKGOLFに、前作リリースから新作までの道のりを振り返ってもらいつつ、そこで何を感じ、そしてこの新作はどのようにして生まれたのかを訊くことに。PARKGOLFはその胸中を、言葉少なに淡々と語ってくれた。

Interview by Takazumi Hosaka
Photo by Yuma Yamada


―2ndアルバム『REO』のリリースおめでとうございます。なんでも今作は、元々は昨年ぐらいにリリースされる予定だったそうですね。

PARKGOLF:そうなんですよね。アルバムの半分くらいの曲は去年の春くらいにできていて。それとGOODMOODGOKUくん、MACHINAさん、一十三十一さんに参加してもらった曲とかももうその頃には完成していましたね。あと、インスト曲も何曲かできていて。結局一年延びたんで色々と音を差し替えたりもしたんですけど。一十三十一さんとの曲とかは僕の1stアルバム『Par』を(2015年4月に)リリースしてすぐにデモを作ってたりもして。

ー前作『Par』をリリースしてから2年半近く経ちましたが、この期間を今振り返ってみると、PARKGOLFさんにとってはどのような期間だったと言えるでしょうか?

PARKGOLF:僕だけじゃなくて、全体的な話になるんですけど、何ていうか、流れが本当に全部見えるようになったというか。例えば、1stアルバムは2013年くらいから作っていたものを、2015年になってやっと出せたっていう感覚なんですけど、その時はまだ東京とか大阪の会ったことなかった人たちと徐々にリアルで会い始めるっていう時期で。僕みたいな札幌に住んでたりとか、地方に住んでた人たちが一気に繋がり始めて、一体感というか集合してきた感覚があったんです。でも、2015年以降になると、ちょっと色々なものが共有出来すぎてきたな、って。一種のシーンみたいなものがいくつかポンポンポンって固まって来ちゃったなって。
でも、それはそれでいいんですよ。すごいいいことだと思うんですけど、何かそうなるとまたちょっと新しいところに行きづらくなる人とかが出てきちゃうのかもなって。そのままそこで同じようなことをやっていても、新しいところへは行けなくなったりする。僕はそれがいいことなのか悪いことなのかはわからないんですけど、「今とは違うところ」に行きたいっていう思いがあって。今作でたくさんシンガーの方とかラッパーの方とコラボしたのも、そういう考えからきていた部分もあって。僕はもうちょっと新しいところに行きたかったんですよね。

―なるほど。それこそ例えばLounge Neoを中心とした界隈というかシーンも、大分固まってきたというか、一種の成熟ぶりをみせていますよね。その一方で新たな世代交代みたいなものも起きているような気もしますし。

PARKGOLF:去年のLounge Neoの周年イベントの時に、スーさん(渋谷・Lounge Neo/Gladの店長)から「こういう界隈近い人全員集合のイベント、やめようかな」という相談を受けたんです。「この感じでやってても、みんなが新しいところに行けなかったりするし、シーンのためにも(やめた方がのいいかも)」みたいな内容で。でも、Lounge NeoのシーンはLounge Neoのシーンであった方がいいし、せっかくみんなが集まって形ができあがってきたのに、それが流行って飽和してしまったからやめるっていうよりは、この先より良い方向に行く可能性もあるので、このシーンのためには続けていた方がいいんじゃないかなって。
それで結局は続けることになったみたいなんですけど。新しい世代の子とかも出てきてるし、そうやって少しずつ世代交代をしていけば、またちょっと違うトレンドが生まれていくんじゃないかなって思いますね。意識的にトレンドを追っかけたりするわけでもなく、自然な形で。

―それこそ昨日のイベント(”ハイパーゴルフシステム”)もこれまでの集大成じゃないですけど、とても成熟したものを感じましたよね。もっと昔だったらワチャワチャしちゃいそうな気もしましたが、やる側も観る側もすごい成長したなと勝手に感じていたのですが。

PARKGOLF:わかる気がします。そうですね、あのイベントは何かを新しく繋げるようなイベントではないので、出演者それぞれの個性とかやりたいこと、今後の方向性みたいなものをそれぞれがキッチリと提示できたんじゃないかと思います。普段のライブ・セットよりも、イベントの雰囲気とかを考えずに好き勝手できて。すごい楽しかったですね。

―それはすごい伝わってきました。パーゴルさんのセットで言えば、「無理に盛り上げなくてもいい」みたいな意識も感じられて。では、先程も少し触れていましたが、今作『REO』に収録されている楽曲というのは、前作リリース後から書き溜めていたものなのでしょうか?

PARKGOLF:はい。楽曲自体は常日頃作り続けていて。その中で、今回のアルバムに合いそうなもの、今の気分がより反映されているものをピックアップしてきたっていう感じですね。僕はあんまりコンセプト・アルバムみたいなのってまだ向いてないなって思ってるので、最初からテーマみたいなものが決まっていたというわけでもなく。

―シンガーやラッパーを自身の楽曲に招こうと思ったのは?

PARKGOLF:実は、最初のアルバムをリリースする時に、『Par』とは別にシンガー、ラッパーを招いた楽曲で固めた作品を同時に別でリリースしようとしていたんです。7、8曲ずつにして2枚同時リリースっていう形で。でも、流石にそれは色々と難しいことがあって実現しなくて。結局タイミング的に最初はインストのアルバムを出しておきたかったので、『Par』に集中することにして。なので、ボーカルものを作りたいっていうアイディアや構想は、それこそ活動開始した当初くらいから考えていたんですよね。やっぱりずっとヒップホップが好きだったので、ラップも入れたかったですし。中学生くらいの時には自分でもラップをやってたんで。

―その当時から温めていたアイディアなどは、今回のアルバムにも活きているのでしょうか?

PARKGOLF:一応掘り出してきてチェックしてみたんですけど、最終的にはその頃のトラックはほぼ使わなかったですね。やっぱり、新しい曲を一から作ろう、みたいな思いもあって。あ、でも一十三十一さんとの曲「百年 (feat. 一十三十一)」だけは、その頃のトラックの原型を少し使ってました。本当にそれくらいですかね。

―今作にはGOODMOODGOKU、おかもとえみ、一十三十一、MACHINA、Kiano Jonesといった多彩なゲスト陣が参加していますが、それぞれの参加の経緯はどのような形だったのでしょうか?

PARKGOLF:まず一十三十一さんはずっとファンで作品も聴いていて。札幌でライブがあった時とかにも観に行ったりしていたんです。僕がSoundCloudを始めて本当に一年しないかくらいの頃に、一十三十一さんの「今、パークウェイ」のブート・リミックスみたいなものを作ってUPしていたんですけど、そのことも一十三十一さんは知ってくれていて。同じく札幌出身っていうのもあり、何か一緒にやりたいなっていうのはずっと思っていて、このタイミングで思い切って声をかけさせてもらいました。
GOKUくん(GOODMOODGOKU)は東京に住んでたみたいなんですけど、北海道に帰ってくるっていうタイミングで僕が出てるイベントに遊びに来てくれたことがあって。そこで初めて会って、「何か一緒にやりたいね」ってなり、そこからやりとりして今回に結びついたっていう感じですね。

―元々繋がりがあったわけではなく、たまたま北海道で会ったと。

PARKGOLF:はい。GOKUくんは旭川出身なんですけど、僕は彼がデビューした時からずっと知っていたし、曲も好きでチェックしていましたね。Kianoくん(Kiano Jones)は、アルバムに参加してくれるラッパーを探している時に、何ていうか、ガチガチなラップをする人じゃなくて、わりと流れるようなというか。しっかりラップするけど、特徴のある感じの人をずっと探していて。それで見つけたのがKianoくんっていう感じですね。

―9曲目「Ever」に参加されているMACHINAさんですが、検索してみたら2016年9月リリースのMACHINAさんのEP『Color Me』に、PARKGOLFさんはコメントを提供していますよね。

PARKGOLF:そうなんですよね。アルバムに参加してもらうことも決まっていたし、曲も出来てたので、そういう繋がりでコメントを書かせてもらったんですけど、結局アルバム出るのが遅くなったし、僕はMACHINAさんの作品には関わってないので、何だかよくわからないことになってしまい(笑)。本当は僕のアルバムが先に出ている体だったんですよ(笑)。
MACHINAさんは僕のレーベル担当の人が紹介してくれたんですけど、元々英語とか韓国語とか、日本語以外の言語で歌うシンガーの方と一緒にやりたいなって思ってたのと、音源もすごくよかったのでお願いしました。

―なるほど。では、おかもとえみさんは?

PARKGOLF:おかもとえみさんはもちろんフレンズもソロの作品も聴いていて。本当に声もいいし、歌い方も好きだなって思ってて。これも単純にコラボして欲しくて、僕からお願いしたっていう感じですね。全然面識もなく、レコーディングの時に初めて会う、みたいな。実際昨日のイベントで会うのが2回目だったんですよ。メールでのやりとりがメインだったのですが、ライブでゲスト出演してもらって以降、最近ではよく遊んでますね。

―昨日のライブではおかもとえみさんとの共演ということもあり、「HIT NUMBER」もプレイされていましたね。あれは自前のリミックスですか?

PARKGOLF:リミックスというか、リアレンジ・バージョンというか。せっかくなのでライブでやってみようかって。あれは他の形で発表するとかそういう予定は今のところ全然ないですね。

―元々前作『Par』と同時に歌ものメインのアルバムをリリースする構想もあったとのことですが、実際にはその話しが一旦流れたわけですよね。そこから再び今回の2ndアルバムという形で、また歌ものを軸とした作品を制作しようと思ったキッカケなどはあるのでしょうか?

PARKGOLF:元々シングルをリリースするっていう考えがあんまりなくて。やっぱりちゃんとリリースするならEPかアルバムだなって。アルバムにしようって思ったのは、いつのタイミングだったかな……。

―アルバムやEPとして、楽曲をまとめることに対してやはり何か特別な意識が?

PARKGOLF:まとめることができれば、まとまった段階ですぐに出したいっていうのは常に思ってるんですよね。でも、例えば5曲入りEPとかになると、僕が作るとしたら流れとかもあまり組めないし、わりと似通った曲ばっかりになっちゃうと思うんですよね。あまり雰囲気が統一されてる、コンセプトが固まっている、みたいな作品って作るのが苦手で。どうしても色々な曲をパッケージングしたくなっちゃう。そうなると、やっぱりアルバムくらいのボリュームが必要になってくるんですよね。

―前作リリース時の色々な媒体でのパーゴルさんのインタビューを改めて読み返していたんですけど、2015年に行ったQrionさんとの対談では、既に「最近の流行り、トレンドみたいなものがわかりにくくなっている、見えなくなってきている」というようなことを言っていたと思います。そういった状況ってこの2年ほどでさらに加速してきたように感じているのですが、パーゴルさんはそんな状況下に置いて、この2年ほどはどのような音楽に惹かれてきましたか?

PARKGOLF:僕はここ一年は日本語ラップがすごいおもしろいなって思って、めっちゃ聴いてましたね。あとはもちろんUSのヒップホップとかも。考えてみたらヒップホップばかり聴いてましたね。もちろんダンス/クラブ・ミュージックもチェックはしていたんですけど、普段聴いたりしているのはヒップホップが多かったですね。単純に昔からヒップホップが好きだったからというのもあると思います。

―でも、そのわりには意外とトラップとか日本語ヒップホップの方に引っ張られていませんよね。GOODMOODGOKUさんやKiano Jonesさんが参加している曲も、当たり前ですけどパーゴルさんのカラーが全然薄まってなくて。

PARKGOLF:自分で作るとなるとまた別の話なんですよね。なんかこう、いきなりガチンコのヒップホップのトラックだけ作る人になりたいわけでもないので。だから、ちゃんと自分の感じが出せるようには常に意識しています。あとはヒップホップ以外だとニューエイジですね。

―昔の?

PARKGOLF:昔のもですけど、意外と今でもBandcampで謎にリリースされてるんですよね。そういうところでゲットしてきた、ニューエイジとかヒーリング・ミュージックみたいなものをめっちゃ聴いてましたね。環境音もそうだし。それこそEnyaとかも聴いてました。Bandcampでニューエイジとかヒーリング・ミュージックを探し始めると、見たことも聴いたこともないような作品がいっぱい出てくるんで、普段はわりとそういうのを聴いていましたね。実は自分でも結構作ってて、曲数もかなりあるんですけど、果たしてこれを自分の名義で発表するのはアリなのかって(笑)。

―ライブ・セットの曲間みたいなタイミングで使ったりとかは?

PARKGOLF:それはいいかもしれないですね。今度ちょっとやってみようかな。

―本作は冒頭の2曲にブラスの音色が入っていますよね。前々からChance The Rapperが好きだとおっしゃっていましたが、今回はそのChance The RapperとコラボしてるBrasstracksっぽさも感じられました。

PARKGOLF:Brasstracksもいいし、FKJみたいなオーガニックな感じにも惹かれるんですよね。ああいうのは何て言うんですかね。僕はわりとヒップホップの文脈で捉えていたので、自然な感じで影響されたのかなって思うんですけど。

―ボーカルの曲とインストの曲では、曲を制作するスタートの時点から意識が違ったりしますか? それとも作り込んでいくうちに分かれていくのでしょうか。

PARKGOLF:最初から多少は違うと思いますね。ボーカルが入ることを考えると、あんまり他の音を入れないようにしないといけないし。まぁ、元々音数は少ない方だと思うんですけど、ボーカルとかラップが入る時はさらに削ぎ落としたりしますね。あんまりハイハットとかをチキチキやりすぎないようにしたりとか。作り方自体は基本的に変わらないですけど。
今作で言えば、一十三十一さんとおかもとさんの曲に関しては、本当にボーカル入りの歌モノっていう意識を最初から持っていて。自分でよくやるアタックの強いキメの感じのはやらないようにしましたね。あとは曲を作り始めた頃の作品をもう一回聴き直してみると、昔作っていた曲の方が今より要素が少ないのに、自分の癖が出ていて。その当時に比べたら、今では技術とかも上がってきたなって自分でも思うので、今回は要素を減らして「自分だけのオリジナル、原曲を作ろう」みたいな(笑)。
特に「ダンスの合図 (feat. おかもとえみ)」と「百年 (feat. 一十三十一)」の2曲は、なるべく手数も減らしてドンドン削ぎ落としていって。その上で残った、自分らしさの核みたいなものを上手く出せるように制作しました。

―「百年 (feat. 一十三十一)」はパーゴルさんのカラーも強く出ていますが、同時に一十三十一さんのテイストや個性も存分に活きているように感じました。

PARKGOLF:ずっと一十三十一さんの作品を聴いてきていたので、一十三十一さんの得意なキーとかも何となくわかっていたんですよね。なので、歌を入れてもらったときも「歌いやすい」って言ってくれたりして。

―ゲスト・ボーカルを招いた楽曲のリリックもご自分で?

PARKGOLF:一十三十一さんとおかもとさんとの曲は自分で作詞作曲メロまで書いてます。GOKUくんKIANOくんとの曲は、本人パートはメロも含めて全部お任せしましたね。MACHINAさんはメロだけこっちで作って、歌詞はお願いしました。

―ちなみに、今回のアルバムのタイトルを本名である『REO』と名付けたのは何故なのでしょう?

PARKGOLF:いつも作品ができた後にタイトルを考えるんですけど、さっきも言ったように、僕にはコンセプト・アルバムとかは向いてない。だから、基本的にタイトルはマジで後付けでしかないんですよ。『Par』の時も「アルバムができた! 名前はどうしよう? 1stアルバムだし、粋な感じのいい名前ないかな〜」って考えてて。それでゴルフ用語の「Par」から取ってきたりして。
今回に関しては、ここ数年生活していく上で頻繁に会う人が、基本的に音楽を通して知り合った人たちばっかりになってしまって、みんな「パーゴル」って呼んでくれるんですよね。札幌にいても「パーゴル」って呼ばれるし、高校とか専門の友達とかにも全然会わなくなっちゃった。なので、最近は中々名前で呼ばれることがないなと思って、これを機にちょっと実名を出しとこう、みたいな感じですね(笑)。あとは良くも悪くも自分っぽい作品になったと思ったので、このタイトルに決めました。

―PARKGOLFという名前が浸透した今だからこそ、逆に。

PARKGOLF:そうですね。本名言っとかないと。

―よくある、「本当の自分をさらけ出せた!」みたいな感じではなく。

PARKGOLF:ではないですね。わりといつもさらけ出してるんで(笑)。

―前回リリース時の、CARELESS CRITICのインタビューで、「どのような物事にインスパイアされているか」との質問に、ピタゴラスイッチやGIFみたいな短い動画を制作時によく観ているとおっしゃっていました。そのインスパイアされる物事、もしくは制作するときに観たり聴いたりするものってこの2年ほどで変わりましたか?

PARKGOLF:変わりましたね。本当、今回でいえば「石」みたいな。キッカケは本当に忘れたんですけど、暇でネットで色々探してた時に、「石、いいな」って。それで新潟のイベント行った時に、会場の近くにパワーストーン・ショップみたいなのがあって。そこで試しに500円ぐらいの石を買って、そこからですね。本当に、こう、何て言うんでしょう。パワーストーンのパワーがどうこうとかいうよりは、原石をそのまま観賞している感じがいい。

―でも、今回のジャケは素材なんですよね。自分の所持している石を使おうとは思わなかったのでしょうか?

PARKGOLF:もちろんそれも考えたんですけど、何故か使わなかったんですよね。ジャケお願いしてる人が前回『Par』のジャケをやってくれたPATANICAさんって人に今回もお願いしていて。前回は結構イメージだけを伝えて任せたっていう感じだったんですけど、今回は「もうちょっとこの辺はこうして下さい」みたいな感じで、ディレクションもさせてもらって。その時はまだ札幌に住んでいたので、わざわざ東京に石送って「これ使ってください」って言うのもな〜って(笑)。ちょうどいい画像素材も見つかったので。

―ちなみに、今回のアートワークを制作する際、どういうイメージを伝えたのでしょうか?

PARKGOLF:写真を何個か入れて、コラージュというか、変に目を引く違和感みたいなものを出したかったんです。それで最初、「写真自体は本当に何でもいいです」ってお伝えして。当初は石じゃなかったんですけど、何パターンか出してもらってるうちに謎に石の写真が入ってきて、「これ、めっちゃいいじゃないですか」ってなって。他の写真もヤバかったですけどね。全部変な感じの写真ばっかりで。でも、最終的には全体のバランスをみて、今回のアートワークになりました。なので、最初から固まったイメージとかを持っていたわけではないですね。

―その変な違和感みたいなものって、パーゴルさんの音楽にとっても大事なポイントですよね。

PARKGOLF:そうですね。やっぱり違和感は常に入れたいなって思いますね。MVもPATANICAさんと一緒に制作する予定で、まだ話してる段階なんですけど、そこにも変な違和感みたいなものを入れてきたいですねっていう話はしていて。やっぱり曲もこう、「ハッとさせたい」っていうところがあるんで。そういうところが音楽を作ってて一番楽しいところですね。

―そういう違和感みたいな部分にこだわるようになったのは何故だと思いますか? パーゴルさんのルーツとなっているヒップホップは、結構ワン・ループを軸にしたり、あまりトラック自体に違和感を持たせることをしないですよね。

PARKGOLF:それも謎なんですよね。何でなんだろうな。

―それこそ本当にマルチネから声をかけられた頃の、禁断の多数決のリミックス辺りからずっと根底に流れていますよね。そういう不思議な感覚、違和感というものが。

PARKGOLF:何でなんですかね。難しい質問ですね。……たぶん、僕は曲作りが器用な方ではないと思うんですよ。なので、その違和感みたいなものも最初は違和感だと思わずやってた結果なだけで。これがいいだろう、みたいに思ってやってたんですけど、色々作っていくうちに、他の人の曲とかと聴き比べたりすると、自分の曲には違和感があるんだなっていうことに気づいて。でも、そこから作為的な違和感みたいなことを考えるとまた難しくなったり……。違和感をなくそうって強く意識した方が、逆に違和感みたいなものが出てくるのかもしれない。まぁ、あんまり意識しない方がいいと思いますね、こういうことは。

―曲を作るときに物語とか景色とか思い浮かべる人もいると思うんですけど、パーゴルさんの場合は色とか質感が頭の中にあるのかなっていう印象を受けます。実際は制作時にはどういった物事をが頭の中にありますか?

PARKGOLF:そうですね。景色とかは全くないですね。この曲は何色とか、この音は何色みたいな感覚はありますけど。「Silk Curtain」を作った時は確かに質感とかをイメージしていたと思います。SoundCloudにUPされている「ナイロンとペットボトル」っていう曲もそういう質感を表現したかった時期でしたね。ただ、今はどうなんだろう……。

―「ナイロンとペットボトル」は珍しく4つ打ちテイストの楽曲でした。ここ最近ではビルドアップやキメの多いフューチャー・ベースやEDM的展開よりも、より滑らかな4つ打ちテイストの楽曲をリリースするアーティストが多くなった気がします。

PARKGOLF:そうですね。でも、僕の場合はイベントで聴く分にはいいんですけど、自分でそういう4つ打ちを作ろうとすると本当に全然ダメで。良くも悪くも暇になってしまうというか。「ナイロンとペットボトル」は4つ打ちでもちょっと変わった感じでできたんで気に入ってたんですけど、何かそれ以降はやめましたね。

―でも、「Silk Curtain」は少し4つ打ちっぽい展開も入っていますよね。あの曲はわりと古めの楽曲なのでしょうか?

PARKGOLF:たぶん、あの曲が今回のアルバムの中で一番古い曲なんですよね。2015年の終わり頃〜2016年の最初ぐらいにはできていたと思います。

―先程の話しにも繋がるのですが、石に惹かれるポイントというのは、さっきも言ったような質感っていう部分なのか、それとも視覚的な部分なのか、もしくはまた別のポイントなのか。どう思いますか?

PARKGOLF:最初は普通に見た目で、視覚的にいいなと思っていたんです。でも……これは結構意味わかんない話になるかもしれないんですけど、石とか花とか、もしくは景色とかって、それぞれ他人に求めているものと繋がるのかなって思っていて。

―なるほど。もう少し具体的に教えてもらえますか?

PARKGOLF:例えば花だと水をやって育てて、綺麗に咲きました。よかった。っていう流れじゃないですか。花が好きな人にこういう話をすると、結構相手に対して期待してるんだなって思うんですよね。

―他者に対して、見返りというか、何かしらの反応を求めてる、と。綺麗な花を咲かすということを見返りとしている。

PARKGOLF:そうです。あくまでそういう人が多いんじゃないかなっていうだけだし、それが良い悪いという話ではないんですけど。で、石が好きな人は、そういうリアクションとか見返りとかはどうでもいい。そこに存在してくれていればいい、みたいな。ポンって置いたらずっとそこにある。それだけでいい。

―パーゴルさんは後者だと。

PARKGOLF:僕はそうですね。本当に憶測でしかない話なんですけど。

―でも、確かにしっくりくる話ではありますよね。

PARKGOLF:そうなんですよね。そういうフェティシズム的観点で「何かいいな」って思うものって、意外とその人の心が反映されているんじゃないかなって。そういうことを、石が好きになってから考えるようになりましたね。

―パーゴルさんがSNSにUPする石の写真は、主に自然の中にある石じゃなく、石を人間の生活スペースのようなところに置いている写真が多い気がします。言うなれば、普通だったら石がない場所に、敢えて石を置く、みたいな。そういう違和感みたいなものは、音楽に繋がるのかもしれませんね。

PARKGOLF:あ〜なるほど。上手く繋がりましたね(笑)。

―先程、以前は質感みたいな部分にこだわってた時期もあった、というような話をしていたと思うのですが、今はどういうモードに入っていると言えますか? それこそ現時点という話になっちゃうと、また今回のアルバムとは違ってくるかもしれないですけど。

PARKGOLF:アルバムの最後の2曲、「Realize (feat. Kiano Jones)」と「Beyond This Point」が今回の中で最後にできた曲なんですけど、音数もめっちゃ少なくしていて、今まで作ってきた曲よりも全然削ってあって。「Realize (feat. Kiano Jones)」は本当にピアノとベースとキックだけ。あとはちょっとだけシンセも入れて、みたいな感じなんですけど、わりととそれでも曲として成立するなと思ったんですよね。
それこそ前にオカダダさんと話していた時に、「曲」として認識するのってどの辺かな? っていう話をしたんですよ。もちろん人によって違うと思うんですけど、歌が入ってないと聴けないっていう人もいれば、ビートだけでも全然聴けますって人もいるよねって。で、その話で言うと、僕はわりと音数が少なくても曲として認識できるタイプなので、試しに音数少ない感じで作ってみたら、自分にとってはそれが新しい感じというか、しっくりきて。今は「手数、音数が少ない感じ」にハマっています。本当、極限まで減らしてみたいです。

―アルバム・リリースしたばかりですが、既に新曲を制作していたり?

PARKGOLF:はい。今も新しい曲を作ったりしてるんですけど、それは完全に音数少ないモードに入っていますね。

―ちなみに、パーゴルさんはどこら辺で曲と認識できると思いますか?

PARKGOLF:何か、例えばドラム・マシーンみたいなので鳴らしたリズム――大体キック、スネア、ハイハットのオープン、クローズ、あとはリムとかタムとか、それだけでビートを構築して。そこからキックを抜いてハイハットだけにしたり、タムとかを入れたり、ちょっと弄ってあげただけでも既に曲だなって思いますね。

―それは元々ヒップホップ畑だからってうっていうのも関係していそうですね。

PARKGOLF:あとはニューエイジとかも聴いてるので。環境音だけで「フェーーー」って音が15分間鳴り続いたり。

―そういうのも曲といえば曲だな、みたいな。

PARKGOLF:そうですね。こっちに引っ越してきてから、一回パズラム(Pa’s Lam System)のユンボがうちに遊びに来て。せっかくだから「一緒に何か曲作るか」ってなって適当にシンセを「ファーン」って弾いて、それをずっとループさせてたんですよ。で、そのまま寝っ転がりながら喋っていたら、段々とハマってきて。それも3トラックぐらいしか使ってない、シンセを重ねただけの音源だったんですけど、本当にそれだけでも曲として認識できるんだなって。

―結構スピリチュアルな域に入っているような気もしますが(笑)。

PARKGOLF:そうですね(笑)。そっちもにいき過ぎるとダメなんだっていうのは意識しています。全然PARKGOLF感なくなっちゃうので。

―じゃあ最後に、長期的な目線で、今後PARKGOLFとしてどのようなミュージシャンになっていきたいと思いますか?

PARKGOLF:長くやりたいんですよね。なので、地道でも続けれるような感じでやっていきたいですね。そのためには、例えば新作をそれまでの作品と全く違う感じにして、そこで「やっぱり1stの頃の方がよかった」みたいなことを言われたとしても、それでも僕は変わり続けた方がいいと思っていて。その時々のモードに合わせて、これもやればあれもやるし、その次はまた違うサウンドもやって、別のタイミングでは逆に最初の頃のテイストに戻ったりとか。今回のアルバムは前作からそこまでガラッとは変わってないと思うんですけど、それでもより聴きやすい感じにはなったと思います。でも、かと思えば次回はすげぇ地味な、ニューエイジみたいな作品をリリースするかもしれない(笑)。
そのくらいの振れ幅があっても許容されるというか、聴いてもらえる。そんなアーティストになりたいですね。その方が長く音楽活動ができると思うので。自分が作った過去の作品に寄せたり、縛られたりしない方がいいですよね。

―ライブ・セットの方はどうでしょうか? 何か考えていることなどがあれば教えてください。

PARKGOLF:バンドと違って、トラックメイカーとかのライブって、エフェクトかけたりシンセ弾いたりするぐらいなので、そこはもうちょっと何かやれることを増やせたらなって思いますね。悪あがきかもしれないですけど。もうちょっと聴かせる感じのセットもいいかもしれないし、もっと魅せるライブとかができたらいいですよね。


【リリース情報】

PARKGOLF 『REO』
Release Date:2017.08.09 (Wed.)
Label:THINKR / 2.5d Production
Cat.No.:TDPCD-003
Price:¥2,300 + Tax
Tracklist:
1. Peacock Dress
2. ALL EYES ON YOU feat. GOODMOODGOKU
3. Silk Curtain
4. wav comic
5. ダンスの合図 feat. おかもとえみ
6. 百年 feat. 一十三十一
7. PINK
8. Crush On
9. Ever feat. MACHINA
10. Realize feat. Kiano Jones
11. Beyond This Point

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