INTERVIEW / 中小企業

主催であるTSUBAMEを擁するTOKYO HEALTH CLUBが老舗レーベル〈Manhattan Records〉へと移籍し、所属アクトのZOMBI-CHANGも〈BAYON PRODUCTION〉へ移籍、その他MCperoやJABBA DA HUTT FOOTBALL CLUBなどといったアクトも続々とフィジカル盤をリリースし、様々なイベントへの出演も果たすなど、その勢いは衰えるどころかますます加速するばかりのネット・レーベル、〈OMAKE CLUB〉。 そんな〈OMAKE CLUB〉のダークホースとも言えるのがこの中山信一(Illust & MC)と小山秀一郎(Art Direction & Track Make)からなるヒップホップ・ユニット、中小企業だ。2013年末にフリーEP『CONCHAS!』をリリースし、2015年6月には初のフィジカル盤となる1stアルバム『COOKIE』をリリースした彼らは、その一癖も二癖もあるジャジーかつメロウなトラックと、ステレオタイプなヒップホップとは遠くかけ離れたスタイル&アティテュードで、コアなリスナーからの支持を獲得。しかし、ライブ活動の少なさや本人露出の少なさから、同レーベルの他アクトと比べても、謎多き存在となってしまっている感は否めない。 そんな彼らが先週、JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUBと共に待望の2ndアルバム『NESS』をリリースした。昨年、数え切れないほどのライブ数をこなし、その勢いや熱量を上手く落とし込んだJABBA DA HUTT FOOTBALL CLUBの新作とは対象的に、緻密に音のレイヤーを重ねるようにして作り込まれた本作は、〈OMAKE CLUB〉と共にその所属アクト=中小企業自信も飛躍的に成長を遂げたことを確信させてくれるような一枚だ。 今回はそんな中小企業のふたりにインタビューを敢行。バックグラウンドやこれまでの経緯、そして本業である仕事と音楽活動における距離感、関係性など、様々なことを語ってもらった。作品にも滲み出ている彼らふたりのパーソナリティが本記事から伝わらえば幸いだ。 Interview by Takazumi Hosaka ―2ndアルバム『NESS』のリリースおめでとうございます。まず、今回のインタビューでは未だにあまり情報が出回っていない中小企業のパーソナルな情報からお訊きできればと思います。まず、おふたりの出会いと結成について教えて頂けますか? 中山:元々はふたりともTOKYO HEALTH CLUB(以下:THC)のメンバーとかと同じ多摩美術大学のグラフィック・デザイン科出身なんです。小山がTHCの4人と同級生で、僕は学年的には一個下の代なんですけど同い年で。なので、まぁ……普通に大学で出会った友達っていう感じですね。 小山:そうですね。 中山:変わったことと言えば……一緒にカフェをやったりしてたよね。 ―カフェを? 中山:そうです。ちょうど多摩美術大学の隣に造形美術大学っていう美大があって、その2校から10数人集まって、相原っていう本当田舎の駅の近くに自分たちでslow boatっていうカフェを経営していて、そこにTHCとか、YOSAくんのMVとか撮ったヤスダタカヒロ君とかも初期メンバーで参加していたんですけど、そこに僕らも入ってて。 小山:学生たちの間でスタッフも代々受け継ぐ形で4〜5年続いてたんですけど、2014年末に閉店しちゃいました。元々あそこの地主みたいな方が、美大生を応援するような形でサポートしてくれて始まったプロジェクトだったんです。自分たちで内装や施工もやって、壁の色一つ決めるのも話し合ったりして。作品の展示とかライブとかもやってましたね。 中山:そこで出会ったんですけど、当時はめちゃめちゃ仲良かったとかでもないんですよね。 小山:そうそう。学生時代はそんな感じだったんですけど、じゃあなんでそんなふたりが今こうして一緒にやってるかって言うと、その、運命の日みたいなものがありまして(笑)。 僕が大学卒業後に、中山くんの卒業制作展を見に行ったんです。そこでもう「天才だ……!」ってやられてしまって。イラストもめちゃくちゃいいし、表現方法も素晴らしいので、僕から声を掛けたんです。なにか一緒にできないかなって。 中山:告白みたいな感じになってますけど(笑)。 小山:その時ってZINEとかが全盛期でめちゃくちゃ流行ってたんですよ。なので、最初は「フリーペーパーみたいなの作るか」っていうような話もしたんですけど、「なんかもっと実験的なことしたいね」みたいな話になり。色々話してるうちに、最終的にはお互いの共通点が音楽だったので、そこに着地しました。 中山:僕も一応DJは遊びでやってて。別にそんなクラブでバリバリやってるっていうよりかは、ただ普通に好きな曲を流すような感じだったんですけど。で、ヒップホップはお互い世代的にも好きだったので、自然とそっちの方向に話が進み。ただ、最初はスチャダラパーとか、有名な人たちのジャケットとかアートワークを僕らでリメイクと言うか、デザインしてみようっていう話も挙がってたんですけど、何かそれも味気ないなってなり、どうせやるならゼロから自分たちのオリジナルを作っていこうって。 小山:せっかく自分たちでプロジェクトをゼロからスタートさせるんだったら、僕たち自身がワクワクするようなことをやらないと意味がないなって思ったんです。なので、結局は自分たちでアートワークから音まで全てを手掛けてみようっていうことでこの中小企業がスタートしました。 中山:僕が大学院に入る時だったので、ちょうど5年前の今頃ですね。 ―そこから最初の音源を〈OMAKE CLUB〉よりリリースするまでにはかなり期間がありますよね。 中山:かなりありますね。結局、言ってしまえばノリというか勢いで「ヒップホップやろう」ってなったんですけど、音楽制作の経験がないので、何もわからなかったんです。その時既にTSUBAMEくんたちとも友達ではあるけど、もちろん〈OMAKE CLUB〉もまだ出て来てないし。当時はまだお互い実家住まいで、僕は横浜、彼は横須賀なんですけど、毎週日曜日に彼の実家に遊びに行ったり、カラオケしに行ったり(笑)。 … Continue reading INTERVIEW / 中小企業