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Yungen / Comfy


UKグライム/ヒップホップ・シーン、2016年最初のビーフがここから始まった...!

2016.03.13

一昨年あたりから再燃の兆しを見せているUKグライム/ヒップホップ・シーンのホープ、Yungen(ヤンゲン)が先月公開した「Comfy」を紹介。
一度聴けば頭から離れないシンセ・リフとスチール・パンの音の掛け合いが印象的なこのトラックは、Fugativeという名前でEd Sheeranとも共演していたラッパー兼シンガーのHarry Jamesによるもの。
グライム特有の140のBPMに合わせた高速シンセ・リフに駆り立てられたかのようなパワフルなフロウがスカッとするほど気持ち良く、「Man’s Comfy」(Comfy=Comfortable: 「快適な」の意味)というパンチラインもしっかり効いている。

多くの実力派グライムMCを輩出しているサウス・ロンドン出身のYungenは2011年頃から活動を続けていたが、人気デュオ、Krept & Konanと共演した「The Motto(Play Dirty)」(2014年)や自身のトラックのリミックス版「Ain’t On Nuttin’ Ft. Sneakbo」(2015年)などを機にブレイク。昨年、UKのブラック・ミュージックを起源とした音楽の祭典MOBO AwardsでBest New Comerにノミネート(受賞したのはBBC Sound of 2016にも選出されたSection Boyz)され新世代UKラッパーたちの仲間入りを果たした。

先月公開されたこの「Comfy」はベテランMC、Chip(Chipmunk)がYungenのMOBO Awardへのノミネートに「Yungenがノミネートされたことは賞賛されるべきた。だけど、(それなら)Sneakboもノミネートされるべきだった」とツイートしたことに対するアンサー・ソング(「Big Up」とYungen自身は讃えられていたことはほぼ無視されているようだ…)、というかこの「Comfy」を機にYungen VS. Chipによる今年最初のUKグライム/ヒップホップ・シーンのビーフが始まったのでディス曲という感じ。
ここまで約1ヶ月の間で両者がこのビーフに関連して発表した楽曲は6曲。UKの民放局Channel 4のニュースでも取り上げられるほどの盛り上がりを見せていた。ちなみにChipは昨年も若手MC、Bugzy Maloneとビーフを繰り広げており1年以上闘い続けている。いずれにせよ、Bugzyもそうであったが、メジャー・レーベルとの契約を機にノリに乗っているYungenにとってこのビーフは自身の名を更に広める恰好の機会になっているようだ。

(Text By Daichi Yamamoto)


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